IF−PROJECT/日本ブラジリアン柔術連盟
「GiアマチュアBJJ&グラップリングオープントーナメント2008関東大会」
2008年3月23日(日)東京・台東リバーサイドスポーツセンター柔道場
※この大会の動画をGBR「リングサイドムービー」にて公開決定!
▼アダルトクラスAアブソリュート級(無差別級) 試合時間6分
優勝 小澤幸康(TEAM-KAZE)
準優勝 渡辺直人(タイガープレイス)
3位 八隅孝平(パラエストラ東京)
3位 西林浩平(GRABAKA柔術クラブ)
8月31日の『Giグラップリング・ジャパンオープン2008』への出場権を掛けて行われた、Giグラップリング関東オープン・クラスAアブソリュート級。21名の参加者の頂点に立ったのは、昨年のADCC世界大会99Kg以下級日本代表の小澤幸康(Team
KAZE)だった。
参加者11名の前半ブロック、一回戦からの出場となった優勝候補の一人・八隅孝平(パラエストラ東京)は、テイクダウンポイントを2度奪って初戦を突破。
→1回戦でリフトアップからテイクダウンする八隅。
二回戦でもラバーガードで防御に徹する水洗裕一郎(X-TREAM柔術アカデミー)からパスガードのアドバンテージを積みかねて準々決勝進出を決める。
昨年度のグラップリング界MVP的な存在、八隅は準々決勝で開始早々に太田洋平(和術慧舟曾A−3)から軽々とテイクダウンを奪うが、直後にリバーサルやバックを奪われそうになり、その後はなかなかグラウンドで攻めることができなくなる。
→パスガード狙いの八隅(2回戦)。
それでもスタンドの攻防で再びテイクダウンを奪うと、立ち技の攻防を捨てて、寝技で勝負を掛ける太田の反撃をリバーサルの2Pに抑えて準決勝へ。
→好試合となった準々決勝、八隅VS大田。
決勝前の山とみられた太田戦を乗り切った八隅だが、準決勝で思わぬ落とし穴が待っていた。和術慧舟會タイガープレイス所属、スタンド・レスリングや側転パスガードを駆使しつつも、コミカルな動きが目立つ重量級の渡辺直人を相手に不覚をとってしまう。
体重差20Kgはあろうかという渡辺を相手に、八隅はスタンドで攻勢に出られない。ならばと引き込んで潜りスイープを狙うが、渡辺は寝技に付き合わず、すぐにスタンドへ戻ってしまう。
→八隅のバックを奪った渡辺は豪快なジャーマン。
それでも八隅は潜りスイープから左足をキャッチし、リバーサルを仕掛ける。すると、渡辺が前方に一回転して、左足を引き抜くという俊敏な動きを見せる。
さらに八隅のバックを奪った渡辺は、ジャーマンスープレックスのように豪快に八隅を投げ捨てる。実際には場外となる赤い畳の上で繰り出された技だったが、レフェリーはこれを有効とみなし、渡辺に2Pが与えられた。
→サマーソルトドロップまで繰り出した渡辺。
その後は、引き込んだ八隅から距離を取り口頭注意を受け、さらにはプロレス流に一回転して、八隅の体の上に背中から落ちるなど、減点を取られてもおかしくないファイトを展開した渡辺だったが、最後はしっかりと八隅をホールドし、準決勝を勝ち上がった。
後半ブロックには、八隅と並びトーナメント優勝候補の小澤が、順調に勝利を重ねた。小澤もまた一回戦からの出場となったが、アキレス腱固めで新井亮祐(STF)を一蹴。
→小澤が1回戦でアキレス腱固めによる一本勝ち。
2回戦では荒井勇二(MAX柔術アカデミー)のバックを奪い、荒井が場外逃避したため2Pを得る。寝技でバックマウントこそ2度に渡りとりそこなうが、このまま逃げ切り準々決勝へ。
準々決勝の相手は、昨年12月にブラジルのスーバーチャレンジ・グラップリングに出場し世界を知った遠藤亮太郎(アライアンス・スクエア)だ。潜りからスイープを狙う遠藤の試みを遮断した小澤は、パス狙いで遠藤にプレッシャーを与えていく。
→遠藤は2回戦でノース&サウスチョークを極めている。
亀の態勢をとり、なんとかパスを凌ぐ遠藤だったが、小澤は首をネルソンに固める。極められまいと前転するように逃れるしかない遠藤は、アドバンテージを献上する。
→ネルソンで遠藤を固める小澤。
小澤は最後まで、遠藤に付け込む隙を与えず、準決勝の西林浩平(GRABAKA柔術クラブ)戦へ駒を進めた。
昨年のGiグラップリング、アマからプロで活躍した西林。足の裏が捲れて本領発揮とはいかなかったが、2回戦で寺本大輔(慧舟會タイガープレイス)とのガードワーク対決を制し、準々決勝では最軽量・牧野仁史(アカデミア・リバーサル)と対戦。牧野のギロチンでアドバンを許すが、その後はパス・アテンプションで3つのアドバンテージを奪い返し、小澤が待つ準決勝へ進出を決める。
→2回戦で腕十字を仕掛ける太田洋平。
注目の準決勝では、小澤が西林をパワーで圧倒した。テイクダウンを奪われないよう引き込む西林に再三再四パスを仕掛ける。6分間の試合時間、ほとんどの時間でパスを仕掛けられながら、なんとかアドバンテージで耐えていた西林だったが、小澤は最後にマウント奪取。パスガードと合わせて7−0で西林を下した。
柔道出身、立ち技グラップラーの印象が強い小澤だが、その実、低いタックルを仕掛け、グラウンドでも積極的にパス狙い、隙をついては関節技を仕掛けるという、グラップリングの三要素・倒す、抑える、極めるが兼ね備わっている。
→準優勝の渡辺は、1回戦ではフロントチョークの体勢から後方へ投げる大技も披露。
どのような局面でも持ち味が出せる小澤。同じ重量級の渡辺との決勝戦では、寝技に持ち込むことはできなかったが、常にスタンドでテイクダウンを狙い積極的な姿勢を崩すことがなかった。結果、ポイント&アドバンテージとも0−0の接戦ながらレフェリー判定で勝利を掴んだ。
決勝の重量級決戦では、流れるような動きや一発の強さを見せることはできなかった小澤だが、全試合を通して、危険なシーンは一度もなかった。順を踏んで技を仕掛け続けた結果、勝利が重なっての優勝。グラップリング界で、小澤幸康がその存在感をしっかりと示し始めたといってもいい関東大会無差別級制覇だった。
写真&レポート=高島学
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