ワールドビクトリーロード
「戦極〜第四陣〜」
2008年8月24日(日)さいたまスーパーアリーナ
開場14:30 開始16:00
▼メインイベント ライト級 5分3R
○五味隆典(久我山ラスカル/元PRIDEライト級王者)
判定3-0
●ハン・スーファン(CMA KOREA/DEEPライト級王者)
五味にとって戦極初のメインイベント、約1ヵ月後の9月22日に30歳の誕生日を迎えるため、これが二十代最後の試合となる。
「今後もメインを任せてもらえるチャンスがあるかどうか、それは明日の試合で決まる」と前日会見で意気込みを語った五味。「修斗時代の自分に似ている」と評するハンと、どんなメインイベントを見せてくれるのか。
対するハンは三島☆ド根性ノ助、横田一則、中尾受太郎と日本のトップどころをことごとく降してきた韓国が誇るハードパンチャー。今回の試合は母国にもライブ中継されることで、気合いは充分だ。世界ライト級のトップに君臨する五味を破り、韓国のスーパースターになる野望を燃やす。
1R、オーソドックスに構えた五味は軽くジャブ、ハンは両手を広げるようにして左右にステップを踏む。五味の右ロー、左ボディストレート。五味が再び右ロー、ハンのジャブにも右ローを返していく。五味のよく伸びる左ジャブに右フックを被せるハン。
五味がジリジリと前へ出て行くと、サイドにかわすハン。五味が左ジャブを出す度に、ハンは右フックを被せてくる。右に左にとスイッチする五味。オーソドックスに構えると右ローを蹴る。残り時間30秒、五味の右ストレートがヒット、離れたハンはワンツーを繰り出す。終了間際、五味の左を空振りさせてハンの右フックがヒット!
2R、やはりオーソドックスに構える五味はジャブを突き刺して右のボディブロー、今度はサウスポーに構えてハンのパンチを右フックで迎え撃つ。さらにオーソドックスになった五味は左ジャブから右ロー、右ボディストレート。両者のパンチが交錯し、五味は右ロー。ハンが右ローを嫌がり足を上げ始める。
胴タックルで組み付きに行くハンだが、五味のヒザ蹴りをもらって後退。ハンはかなりバテているように見える。それでも右フックで前に出ると、五味はアッパー。五味の右ローにハンもローを返すと、五味がワンツーを合わせた。
後退するハンを追っていく五味、前に出る五味がワンツー、苦しいハンが両足タックルに行くが、五味が潰して上からパウンド! マウントからバックを取りに行こうとするが、ハンに立たれてしまった。
五味の右ボディストレート、ハンはジャブを出すが明らかにスタミナ切れ。ハンの右ミドルキックに五味が飛びヒザ蹴り、パンチをまとめたところでラウンド終了。
ラストラウンド、左ジャブを出しながら前へ出て行く五味。ハンもパンチを出すが、最初の頃の威力は感じられない。打ち合いに行く五味にハンの左フックがヒット!
しかし、五味は下がらずにローキック。さらに前へ出て行って右アッパー。ワンツーを放つハンに五味が右ボディ、五味が左を出す度に右のパンチをヒットさせるハン。しかし、五味の右ローにハンは組み付いて耐える。そこで五味はアッパー。
どんどん圧力をかけて近付いていく五味にハンが組み付き、離れ際にパンチ、すぐに五味が打ち返すという展開が続く。
五味は右ローを蹴った時に右足を痛めたか、ラウンド後半は動きが鈍くなる。パンチを連打していく五味だが、ハンも打ち返してなかなかクリーンヒットは奪えない。
KOを狙ってパンチで前に出て行く五味だが、ついに倒すことは出来ず、試合終了のゴングを聞いた。疲れ果てたハンは、その場で大の字に。
判定は3-0で五味の勝利。しかし、五味に笑顔はなく、マイクも拒否。すぐに出場した全選手が閉会式のためリングに上がったが、五味は手を横に振ってそのまま控え室に姿を消した。
その後、着替えてリングに戻ってきた五味は「今日はライト級の日本人選手みんな強かったので、僕は動きが良くなかったので言えないんですが、日本人は強いんです! おめでとう!」とライト級GPで勝ち上がった日本人4選手を称えたが、「ハン選手と僕が1位決定戦だったので、トーナメントの勝者とベルトを賭けて闘います。次はタイトルマッチになると思います。必ず初代チャンピオンになります! ここにいる4人には負けません!」と、戦極ライト級初代チャンピオンの座を獲得すると宣言。リングに並ぶ日本人4選手に宣戦布告した。
試合後のインタビュースペースには、車椅子に乗せられて現れた五味。やはり右足を試合途中に痛めていたという。「2Rのアタマくらいですかね、自分で蹴りすぎて変な所に当たっちゃって痛めてしまいました。腫れています」と説明。
「正面からパンチで打ち合うよりは、ローを蹴って動かそうと思いました。相手の得意な正面からの打ち合いは必ず外してやろうと思っていた」と作戦を語り、「昨日、ベルトを初めて見て…今回の試合は1位決定戦だったと思う。あとはトーナメントの優勝者と決定戦をやると。だから絶対落とせない試合だという(気持ちが)のが、急に出てきたんですね。やるからには少しはベルトに対する興味が沸いてきましたから。ハンもチャンピオンなので、あまり出てこない守りの試合をやっていた。もっと出てきて欲しかったですね」と、慎重な試合運びで判定になってしまった理由を明かした。
▼セミファイナル ミドル級 5分3R
○フランク・トリッグ(アメリカ/Xtrem Couture/R1/Icon
Sport世界ミドル級王者)
判定3-0
●瀧本 誠(吉田道場/シドニー五輪柔道81Kg級金メダリスト)
PRIDEのリングでPRIDEウェルター級GP覇者になったばかりの三崎和雄を破り、衰えぬ実力を満天下に知らしめたトリッグが戦極に初登場。ミドル級の台風の目となりそうだ。
シドニー五輪柔道金メダリストの瀧本を前にして、「オリンピックの金メダリストと闘えるのは光栄だ。私は怠け者だから、彼のような強い選手は1RでKOするしかない」と“秒殺宣言”をしている。
一方の瀧本はオリンピックイヤーにどんな試合をするのか? 戦極でまだ勝利を挙げていないだけに、この強豪から初勝利を奪いたいところ。瀧本は柔道、トリッグはレスリングがバックボーン。
1R、トリッグの左ローに瀧本がパンチを返す。トリッグがヒザ蹴りから胴タックルで組み付くと瀧本が投げを打ってテイクダウン。トリッグはラバーガード、瀧本が腰を上げるとトリッグは立ち上がり、ボディへのヒザ蹴り。瀧本はパンチで応戦する。
瀧本が片足タックル、これをトリッグが潰して上になる。トリッグはヒジを押し付けながらのパンチ、立ち上がってパウンドを落としていく。サイドを奪ったトリッグはボディへのヒザ蹴り、パンチを放ったところで瀧本がロープの外に出てしまいブレイクに。
立ち上がった瀧本はパンチで攻めていくが、トリッグにテイクダウンされる。立ち上がったトリッグがパウンド、足を取りに行く瀧本だが、トリッグに上に乗られて第1R終了。
2R、瀧本がパンチのコンビネーション、トリッグも左フックを打ち返す。パンチでどんどん前へ出て攻めていく瀧本を、タックルでテイクダウンするトリッグ。
サイドへ回り、ボディへのヒザ蹴り。瀧本がハーフに戻す。瀧本の両足を払いながらパンチを入れていくトリッグ、左のパンチが何度もヒット! トリッグの踏み付けをかわして立ち上がった瀧本は左フックをヒットさせるが、トリッグがすぐに片足タックルでテイクダウン。
下になった瀧本はトリッグの右腕をアームロックに固め、トリッグがそれから逃れて抑え込んだところでラウンド終了。トリッグは疲れたか、なかなか立ち上がらない。
3R、ローの蹴り合いから瀧本がパンチでラッシュ、組み付いてきたトリッグを足払いで倒すも、すぐに立ち上がったトリッグに片足タックルでテイクダウンを奪われる。下から腕関節を狙った瀧本だが、滑って外れてしまった。
上になるトリッグに再び腕関節をトライする瀧本だったが、これも外される。立ち上がったトリッグに片足タックルを仕掛ける瀧本、アンクルホールドに行くもトリッグにパンチを入れられてしまう。ここはブレイク。
疲れが見えるトリッグにパンチで襲い掛かる瀧本、トリッグが組み付く。離れると瀧本の連打からの左フックにグラつくトリッグ。それでもトリッグはタックルで瀧本をテイクダウン。トリッグが瀧本をガッチリ抑え込み、残り10秒で鉄槌を落とした。
判定は3-0でトリッグ。攻めの姿勢を貫いた瀧本だったが、テイクダウンを奪われ続けたことが判定に響いた。瀧本にとって今後の課題となりそうだ。勝ったトリッグは三崎との再戦が期待されるところ。
試合後、インタビュースペースに現れた瀧本は記者の質問にほとんど答えることなく、ボソッと「もう限界かも…」と引退をにおわせるような言葉を呟いた。
これを受けて国保広報は「まだ話をしていないので分かりませんが、トリッグを相手にあそこまでやったんですから、ぜひまたやっていただきたい。昨日、ホテルで会った時に話しかけたんですが、頷くだけだったくらい瀧本選手は今回の試合に気合いが入っていたようです」と、即答を避けた。
▼第7試合 ライト級グランプリシリーズ2008 一回戦 5分3R
○北岡 悟(パンクラスism)
一本 1R0分31秒 ※アキレス腱固め
●クレイ・フレンチ(アメリカ/H.I.T.Squad/KOTC世界ライト級王者)
※光岡がライト級GP準決勝進出。
前日の公開計量では下着を脱いで計量に臨み、リミットいっぱいの70Kgでパスすると飛び上がって喜んでいた北岡。真っ黒に日焼けした肌が逞しい。VS外国人無敗という実績を引っ提げ、いざライト級GPに出陣する。
前日の記者会見では相手を見て、「一本取れると思いました」と戦極初参戦での秒殺一本勝ちに続いての一本勝ちを宣言している。
対するフレンチは、かつてPRIDEで北岡の盟友・青木真也と対戦したことがある選手。青木には敗れたが、18戦して16勝という高い勝率を誇り、その内の9勝が一本勝ち、現在8連勝中と波に乗っている。
まだベルトを巻いたことがない北岡に対し、フレンチはKOTC世界ライト級王座を保持。北岡にVS外国人初黒星を付けるか?
北岡はリングインすると、真正面からフレンチを睨みつける。
1R、両者ともサウスポー。北岡がすぐに片足タックル、潜り込むと足を取る。上から殴るフレンチだが、北岡は体を捻ってフレンチの体を回転させ、電光石火のアキレス腱固め! あっという間にタップを奪った。パンクラスの代名詞である“秒殺”で勝利を飾り、リング上ではしゃぎ回る北岡!
「僕は日本人には弱いと思われていますが、そんなことはありません。11月にそれが分かると思います。パンクラスと総合格闘技、バンザイ!」と北岡は笑顔を振りまいた。
この結果により、ライト級GPは日本人全員が勝ち残り、準決勝・決勝はいずれも日本人対決になることが決定。
北岡は「日本人に勝ってないよと言われることがあるので、いい機会だなと思います。これで勝ってそういうノイズを消し去りたい」と言い放ち、横田が準決勝で北岡と闘ってもいいとGBRのインタビューで語っていたことを告げられると「誰とでもやるが、指名される筋合いはない!」と厳しい表情で答えた。
▼第6試合 ライト級グランプリシリーズ2008 一回戦 5分3R
○光岡映二(和術慧舟會RJW/第2回PRE
PRIDEトーナメント優勝)
一本 1R3分13秒 ※チョークスリーパー
●ホドリゴ・ダム(ブラジル/アライアンスBJJ/ブラジリアン柔術世界選手権レーヴィ級、アブソルート級3位)
※光岡がライト級GP準決勝進出。
試合前のリング上で、宇野薫と入念なマススパーリングを行っていた光岡。先日行われたDREAMのライト級GPで優勝したヨアキム・ハンセンを、昨年11月に破っている実績が光るファイターである。
しかし、対戦相手は多くの識者・関係者が優勝候補に挙げている“黒船”ダムだ。
ブラジリアン柔術で世界選手権(コパ・ド・ムンド)3位、寝技世界一決定戦アブダビ・コンバットのブラジル予選でも優勝という実績を誇り、総合格闘技でも8勝1敗と高い勝率を誇っている。柔術ベースのグラウンドだけでなく、打撃も強烈。光岡はこの難敵を退けることが出来るか?
1R、サウスポーの光岡はやや下がりながらジャブ。前に出るのはダム。光岡が片足タックル、突き放したダムが前へ出ると光岡が転倒、上になるダムは両足を担いでのパスを狙う。
ダムをセンタクバサミに捕らえる光岡。立ち上がったダムだが、光岡の足を越えることが出来ずブレイク。
パンチで前に出ようとした光岡にパンチを入れ、どんどん前に出るダム。スピードと伸びのあるパンチが繰り出され、光岡は下がりながら右フックで必死の応戦。
しかし、ロープを背負った光岡がダムの左フックに右フックのカウンター! 仰向けに倒れるダム! 光岡がダウンを奪うとすかさずバックを奪ってのチョーク! ダムがタップ! 光岡が優勝候補を破る大殊勲の勝利を得た。
大喜びの光岡は、マイクを握ると「今日は一番強い相手と思ってました。僕,もうすぐ結婚するかもしれない。今日勝ったらマイクで言おうと思っていました。まだ返事をもらってないので(相手の)名前は言えませんけど」と、突然の結婚宣言で会場を沸かせた。
▼第5試合 ライト級グランプリシリーズ2008 一回戦 5分3R
○横田一則(GRABAKA/前DEEPライト級王者)
判定3-0
●ボーヤン・コセドナー(スロベニア/WFC/スロベニア・コンバットリーグ王者)
※横田がライト級GP準決勝進出
五味隆典の首を狙い、また新たな日本人選手が戦極参戦を果たす。柔道出身ながらキックボクシングルールやシュートボクシングルールなど打撃の試合でも勝利を収めている横田だ。
得意の投げとパンチを武器に今年5月、ハン・スーファンに敗れるまで無敗を誇っていた。今回が復帰戦となるが、「普通にやれば勝てる」とビッグマウスは相変わらず。
ボーヤンは日本の総合格闘技のリングに上がる初のスロベニア人ファイター。柔道をバックボーンに約1年前にプロデビュー、今年7月に初黒星を喫するまで6連勝を挙げていた。UWCウェルター級王者ファブリシオ・ナシメントから勝利したのは特筆される。未知のスロベニア人ファイターが、ライト級GPに嵐を巻き起こすか?
横田は菊田早苗、三崎和雄などGRABAKA勢を大量に引き連れての入場だ。花道にはGRABAKA勢の長い列が出来る。
1R、ボーヤンはサウスポーからストレートを繰り出す。横田は左右フックで迎え撃つと、組んでの腰投げ。ボーヤンは粘りに粘って逆に投げ返そうとしたが、横田が足払いでテイクダウン争いに勝つ。バックを奪おうとしたが、ボーヤンに立たれてしまった。
スタンドに戻るとボーヤンがワンツーから組み付きに来る。横田はサイドに振って倒し、バックを奪うがまたもボーヤンに立たれる。横田のワンツー、ボーヤンが打ち返してくると横田はパンチを出しながら組み付き、胴タックルで相手を回しながらテイクダウン。
残り時間2分、上になった横田にガッチリとホールディングするボーヤン。横田は何とか離れようとするが、ボーヤンは両腕をクラッチしてなかなか離さない。すると横田は鉄槌とパンチ。ボーヤンがしがみついたまま第1R終了となった。
2R、横田がアッパー、フックで突進して組み付くが、ボーヤンは突き放す。ボーヤンのハイキックを空振りさせてパンチを入れる横田、ボーヤンにパンチを打たせてスウェーでかわし、すぐに連打で前に出るという動きを繰り返す。
ワンツーで前に出るボーヤン、横田が組むとボーヤンが投げをうとうとするが、横田が逆に足払いでテイクダウン。下になったボーヤンはやはり両手両足で横田をガッチリとホールディング。横田は口を手の平で塞ぐ、パンチ、鉄槌で何とか引き離そうとするが、すぐにホールディングされてしまう。
残り時間1分でブレイク、膠着を誘発したボーヤンにイエローカードが提示される。ボーヤンのフックにアッパーを返した横田は組み付き、外掛けからテイクダウン、上を奪うがボーヤンが奪い返し、パンチを入れたところでラウンド終了。
3R、横田が右インローで転倒させると、ボーヤンも蹴り返す。組み付いた横田がテイクダウンに持っていくと、ボーヤンがロープを掴んでしまいまたもイエローカード。両者共にストレートパンチを放ち、横田が入って来ると強烈なフックを放つボーヤン。しかし、横田の右ローキックがローブローとなり、試合は一時中断。
リング上で仰向けになり、苦しそうにもがくボーヤン。インターバルが取られる。ようやく立ち上がったボーヤンに拍手が送られ、横田にイエローカードが提示されて試合再開。
ワンツーで突っ込むボーヤンをスウェーでかわし、すぐにワンツーを返した横田はそのまま組み付き、足掛けからテイクダウン。素早く立ち上がろうとしたボーヤンの上に乗り、バックマウントも奪った横田だが、すぐに立たれてしまった。
横田が左フックから右ストレート、パンチから組み付いていき、得意の投げを見舞ったが、ボーヤンにすぐに立たれてしまう。さらに胴タックルへ行く横田、ボーヤンはロープを掴むなどして耐え、フロントチョークに。そのまま横田が落として首を抜き、上になってパンチを見舞っていく。その体勢のまま、試合終了のゴングが鳴った。
今大会、初のフルラウンド勝負となり、判定の結果はジャッジ3名とも横田の勝利。勝ち名乗りを受けた横田は納得のいかない表情でマイクを握ると「皆さん、すいません。言い訳させて下さい。昨日は絶好調だって言ったんですが、本当は怪我をしていて全然練習できませんでした。絶対優勝するようにこの先やるんで、また戻ってきます。今回はすいませんでした」と、“すいません”を連発してリングを降りた。
横田は試合後に体調不良を訴え、インタビュースペースにも姿を現さなかった。
▼第4試合 ライト級グランプリシリーズ2008 一回戦 5分3R
○廣田瑞人(GUTSMAN修斗道場/第2代ケージフォースライト級王者)
KO 2R4分45秒 ※右フック
●ライアン・シュルツ(アメリカ/チーム・クエスト/IFL世界ライト級王者)
※廣田がライト級GP準決勝進出。
井上幸彦コミッショナーの開催宣言により、幕を開けた「戦極ライト級GPシリーズ」。先陣を切るのはケージフォースライト級チャンピオンの廣田。対するは現IFLの世界チャンピオンであるシュルツ。
1R、お互いにジャブを繰り出し、廣田がフックで前に出るとシュルツもフックを返す。右ストレートで突っ込むシュルツ、廣田はヒザ蹴りを見舞うが、シュルツがパンチを連打! 鋭い左右のフックを繰り出すシュルツ、廣田は右ローキック。廣田の右ストレートがヒット、サイドステップで逃げるシュルツへ右ローキック。
左フックを放って前に出る廣田、徐々に圧力で押し始める。左フックをヒットさせて組み付いた廣田が、無理せず離れる。シュルツが両足タックルでテイクダウン、立ち上がってパンチを狙おうとしたが、廣田が下からの蹴りをカウンターでヒットさせて立ち上がる。
残り30秒、廣田が前へ出て両者パンチで激しく打ち合うが、シュルツが両足タックルで再びテイクダウン。が、そのまま第1R終了となった。
2R、両者ともワンツーを放ち、シュルツが両足タックル。今度は廣田が切る。パンチで前に出る廣田が打ち合いに持って行くと、シュルツはサイドステップで離れて距離を取る。廣田のローキック、シュルツもワンツーを返し、廣田が打ち返してくるとサッと下がる。
ワンツーで前に出て行き、シュルツが右へのサイドステップを使うと左フックで迎え撃つ廣田。シュルツもワンツーからタックル、廣田はそれを切るとすかさずワンツーを打ち込んでいく。そしてパンチからタックル、シュルツをコーナーへ押し込んでヒザ蹴り。これは離れる。
今度はシュルツがパンチで前に出ると、廣田は頭を振り、ガードを固めてパンチを避けると逆にパンチで突進。これをシュルツがタックルで受け止め、押し込んでいくとロープの間から廣田がエプロンに転落してしまう。
再開後、廣田が右ローキック、ヒザ蹴り。シュルツもヒザ蹴り。残り時間30秒、打ち合いから一度離れた廣田は飛び込み様の右フック! これが左フックを空振りしたシュルツへモロに決まり、シュルツはしゃがみ込むようにマットに沈んだ。廣田はダメ押しのパウンド二発でKO勝ち!
廣田は「ありがとうございまーす! 右です! ガッツンと行きました。カウンター気味に入りましたね。応援ありがとうございました。一戦一戦きっちり勝って行きたいと思います。これから世界に羽ばたきたいと思いますので、応援よろしくお願いします」と元気に勝利をアピールした。
▼第3試合 ヘビー級 5分3R
○ヤン・ドンイ(韓国/CMA KOREA)
TKO 2R2分15秒 ※試合放棄によるレフェリーストップ
●パウエル・ナツラ(ポーランド/チームナツラ/アトランタ五輪柔道95kg級金メダリスト)
アトランタ五輪柔道の金メダリストであり、約4年間にわたって312戦公式戦無敗という超人的な記録を持つ近代柔道屈指の名選手、ナツラが戦極に初参戦。PRIDE参戦以来の日本マット登場に燃える。
1R、両者ともサウスポー構え。まずはヤンがパンチを放って行きタックル、受け止めたナツラがコーナーへ押し込んでいく。顔を押して突き放すヤン、離れるとナツラが左右フック。両者ともかなり慎重な見合いが続く。ヤンのローにワンツーを繰り出すナツラ、するとヤンがパンチで突進。
その攻防後、再び見合いとなり、ヤンが放ったローキックがナツラの急所に当たって試合は一時中断。
ナツラがパンチを出していくとヤンも大振りの左右フック、ナツラが組みに行くとヤンはコーナーへ押し付ける。が、ヤンのヒザ蹴りがまたも急所に当たり、再び試合は中断。今度はヤンにイエローカードが提示された。
再開後、大振りのフックで激しく打ち合う両者、特にヤンの勢いが凄い。ヒザ蹴りとフックで応戦するナツラが組み付きに行き、コーナーへ押し込む。パンチを放ってナツラが離れたところで第1Rが終了。
2R、やはりジックリと見合う両者、先にパンチで仕掛けて行ったのはヤンだ。その勢いに押されて倒れたナツラは下から足関節技を仕掛けたが、ヤンは後ろ向きになって足を引き抜く。
ナツラが立ち上がるとヤンがパンチで突進、逃げるナツラに襲い掛かる。ナツラもパンチを出して組みに行くが、テイクダウンを奪ったのはヤンの方。
上になってガムシャラにパンチを叩き込んでいく。しかし、ナツラが下からの腕十字! ヤンは何とか腕を引き抜く。
ヤンが離れると、ナツラは立ち上がらず股間を叩いて“急所攻撃だ!”とアピールしたが、これがレフェリーに受け入れられず、試合終了のゴングが鳴った。
ナツラは両手を広げて“何でだ?”というゼスチャー。観客も何が起こったのか分からない様子。そこで梅木審判部長より、「ブレイク後、レフェリーがナツラ選手にスタンドを要求したがなかなか立ち上がらなかったので、試合放棄とみなしました」と理由が説明された。
▼第2試合 ヘビー級 5分3R
○モイス・リンボン(フランス/ヨーロッパ・トップチーム)
一本 2R0分42秒 ※チョークスリーパー
●ピーター・グラハム(オーストラリア/A・E
FACTORY/2003年K-1 WORLD GP in メルボルン優勝)
パリのシャンゼリゼ通りでは、その名を知らぬ者がいなかったほどの悪童だったというリンボンが初来日。ストリートファイト三昧だったというが、一方のグラハムも悪童ぶりでは負けていない。かつてはK-1でバダ・ハリと、戦極〜第一陣〜では藤田和之と乱闘騒ぎを起こした前科がある。
悪童VS悪童の激しい試合が期待される。グラハムのセコンドには小路晃。
1R、開始のゴングが鳴るとゆっくりコーナーを歩み出る二人。リンボンが左フックで先制、グラハムがジャブを伸ばすとリンボンは胴タックルで組みに行くが、テイクダウン出来ずすぐに離れる。
リンボンの左ハイキック、グラハムは圧力を掛けていき、リンボンをコーナーへ詰めていく。頭を小刻みに左右に振り、時折、大きなパンチを振るってリンボンを追っていくグラハム。
リンボンも思い切った左ストレート、左フックを放っていくが、グラハムのパンチに押され、タックルも切られる。グラハムがバックステップで間合いを外すと、すぐに両足タックルに入るリンボン。ロープを背負って耐えるグラハムはパンチを入れ、リンボンはヒザ蹴りを入れてから離れる。
ハイキックから右フックでコーナーへ追い詰めて行くグラハム。パンチで打ちに行くとリンボンも大振りのフックで打ち合い、グラハムが前に出てくればタックル。今度は両足を払ってテイクダウンに成功、あっさりとマウントを奪ってパウンドを放つが、残り時間は短かった。
2R、左ジャブからの左フックで前に出るグラハム、コーナーに追い詰められたリンボンがタックルに行くようなタイミングで右フックを放つと、これがカウンターで決まりなんとグラハムがダウン!
リンボンはすかさず上になってのパウンド、さらにバックを奪ってチョークスリーパー狙い。リンボンが絞め上げると、グラハムはあえなくタップした。
ストリートファイターらしからぬグラウンドワークを見せ、「応援してくれてどうもありがとう。今日は皆さんの応援を受けて本当に嬉しかった。皆さんの期待に応える選手になります」と、これまたストリートファイターらしからぬ丁寧なお礼をマイクで言ったリンボンであった。
▼第1試合 ヘビー級 ワンマッチ 5分3R
○ヴァレンタイン・オーフレイム(オランダ/ゴールデン・グローリー/2000年リングスKOKトーナメント準優勝)
KO 1R2分42秒 ※ヒザ蹴り
●高橋和生(フリー/元パンクラス初代ヘビー級王者)
アメリカで“ミスターMMA”と呼ばれる鉄人ランディ・クートゥアーを、リングスKOKトーナメント2000にてフロントチョークに下し、アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラに次いで準優勝を収めたオーフレイムが久しぶりに日本登場。弟はあのアリスター・オーフレイムである。
対する高橋もアメリカの総合格闘技メジャーリーグUFCにて、日本人として初勝利を挙げた実績が光る。「とにかく勝ちたい」と勝利に飢えている高橋は10kgの体重差を跳ね飛ばすことが出来るか? セコンドには高阪剛がつく。
1R、サウスポーの高橋はいきなり片足タックル、テイクダウンに成功するがオーフレイムはフロントチョーク! これは極まらずオーフレイムが腕を放すと、高橋はまず上半身をガッチリと固めに行く。
しばらくその状態が続き、高橋が足を使ってハーフガードから片足を抜いてパスしようと瞬間、オーフレイムが立ち上がってスタンドに。
立ち上がると蹴り、アッパーを繰り出していくオーフレイムは長いリーチからのパンチで距離を取り、踏み込んで右の飛びヒザ蹴り!
これがタックルに行った高橋にカウンターで決まった! 高橋は口から血を流し、もんどりうってバッタリと倒れた。試合後、高橋は病院へ直行している。
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