DEEK総合企画
「MUAY2010 1st〜ムエロークプレステージ〜」
2010年1月17日(日)東京・ディファ有明
開場15:00 開始15:30
▼メインイベント(第17試合) ヨードムエ チャンピオンズカップ60kg級一回戦 3分5R無制限延長R
○シンダム・ギャットムー9(タイ/2002年ムエタイ最優秀選手、2003年ルンピニー最優秀選手、ルンピニースタジアム&プロムエタイ協会スーパーフェザー級王者)
延長1R 判定2−1 ※10−9、9−10、10−9
●ノンオー・シットオー(タイ/2005年ムエタイ最優秀選手、ルンピニースタジアム4階級&プロムエタイ協会王者)
※本戦は49−48、49−49、49−49
王者の中の王者を決める立ち技最高峰のトーナメントとして、ルンピニー、ラジャダムナン、タイ国プロムエタイ協会という権威あるタイトルを獲得・保持している選手によって行われる「ヨードムエ
チャンピオンズカップ」(ヨードムエ=真の最高峰の選手にのみ使われる称号)。
60kg級の一回戦で激突したのは、2002年のムエタイMVPシンダムと、同じく2005年MVPのノンオー。ヒザ蹴り、右ミドルキックの技術では頂点と称されるシンダムと、ムエタイ最高の「崩し技術」を誇るノンオーの対戦を戦前に青木真也や佐藤嘉洋らが予想し、19人中12人がノンオー、7人がシンダムという結果が出ている。
試合前にはこのスーパーファイトの勝者に懸賞金が募集され、リング上に次々と懸賞金を手に人が上がる一幕も。
1R、ゆったりとしたリズムのスタートから、シンダムがいきなりギアを上げて右ミドル、パンチ、テンカオで攻める。ノンオーは前蹴りで様子を見ていたが、後半は右の蹴り合いからのパンチ、組んでのヒザ蹴りと展開していく。
2R、試合はかなりテンポアップ。右ミドルを連打して行くシンダムだが、それに偏ることなく様々な技が満遍なく飛び出す。
ノンオーもパンチ、左右のミドル、テンカオで応戦し、こちらも左右・上中下と攻撃を振り分けて様々なパンチと蹴りで攻撃。
遠い距離、中間距離、接近戦、そして組んでの状態と全ての距離で攻撃を繰り出し、ディフェンスして返す。その返しの攻撃にまた返すというように、技が途切れることなく応酬が繰り広げられる。終了間際にはノンオーが崩しでシンダムをコカす。
3R、シンダムの左右ハイキックと右ミドルでロープを背負うノンオーだが、シンダムが入って来るとカウンターのパンチ、右ミドル。組むとお互いに横からヒザを回しながら蹴り、離れるとやはりあらゆる距離での様々な技の攻防が繰り広げられる。
ややノンオーがシンダムの攻撃を上回っているように見え、シンダムに疲れが見える。ノンオーがパンチ、蹴りでカウンターを奪っていくが、シンダムも右ミドルを中心に前へ出て行く。両者とも両手両足を駆使して相手の攻撃を防ぎ、入らせないようにするため複雑に距離が次々と変わっていく。このラウンドが終了すると、両選手が両手を広げて“俺が取った!”とアピール。
4R、前に出るのはシンダム。ノンオーはロープを背負って左右のミドルを合わせていくが、右ミドルとパンチを連打して行くのはシンダムだ。
その右ミドルにノンオーはパンチでカウンターを奪いに行く。それでもシンダムの右ミドルは止まらない。
シンダムはさらにテンカオ、組んでのヒザ蹴り。ノンオーもしっかり組んでヒザを返していくが、本来は階級が上で身長でも優っているシンダムがやや有利。お互いに相手を僅かでも優ろうと、一発でも多く入れようとしているのが分かる。このラウンド終了時にも両者は両手を広げてアピール。かなりギリギリの部分で勝敗を争っているようだ。
5R、どちらかが攻めれば相手がすぐに返すという攻防が続く。常に相手よりも一発でも多く返そうと、相手を僅かでも上回ろうとする攻撃が繰り出される。
攻撃を出せば隙が生まれる。そこを相手が突く。どちらがポイントで優っているのかが非常に微妙なラインであることを、両者が分かっているのだろう。なるべく隙を作らず、相手の攻撃を待ってひとつでも多く相手を上回ろうという攻防に見える。
最終ラウンド終了のゴングが鳴ると、両者共に手を上げて勝利をアピール。このことからも、かなり僅差で競っていたことが分かる。しかし、判定はドロー! 本場タイのリングではありえない、まさかの延長戦に突入した。もっと両者の攻防が見たかったのだろう、場内からワーッと歓声が上がる。
この最終ラウンド、さらに観客は驚くことになる。なんと、両選手が足を止めて真正面からのパンチの打ち合い、蹴り合い、さらに組んでのヒザの打ち合いを展開したのである。ムエタイではあり得ないまさかの光景に、場内は大歓声に包まれた。
しかし、この戦いでノンオーは体格に優るシンダムに勝てないと悟ったのか、明らかに下がり始める。シンダムも手を出さず、見合いが続く。時折、ノンオーが前蹴りと左ミドルで攻めるのだが、シンダムは確実に返してイーブンに戻してしまう。そのまま時間は過ぎていき、いかにもムエタイという流れで延長戦は終了。
判定は2−1でシンダム! ギリギリの大接戦の末、シンダムがMVP対決を制した。ムエタイのレベルの高い技術、戦略と試合運び、そして“らしさ”が満載の名勝負となり、ムエタイファンを魅了した。
観戦していた佐藤嘉洋は「ムエタイを堪能しました。シンダムのミドルキックは正確で速くて凄い。シンダムのファンになっちゃいましたよ。僕の採点では50−48でシンダムが本戦で勝っていましたね。ノンオーは最後に諦めてしまったと思います」と感想を述べている。
▼セミファイナル(第16試合) ヨードムエ チャンピオンズカップ51kg級一回戦 3分5R無制限延長R
○クンスック・P.N・ジム(タイ/ルンピニースタジアム認定ライトフライ級王者)
判定3−0 ※50−47、48−47、49−47
●ポンサワン・ポープラムック(タイ/ルンピニースタジアム認定ミニフライ級王者、プロボクシングWBC世界ストロー級10位&WBA世界ミニマム級13位)
「ヨードムエ チャンピオンズカップ」51kg以下級の一回戦で対戦するのは、ムエタイでルンピニースタジアムのタイトルをとったあと、ボクシングに転向してWBCの世界タイトルマッチまで上りつめたハードパンチャーのポンサワン(現在も世界ランキングにランクインされている)と、12月8日のルンピニースタジアム記念興行で敗れて王座陥落したものの、こちらもムエタイトップのクンスック。
クンスックはヒザ蹴りとヒジ打ちの攻撃的なファイターで激しい試合が信条。ポンサワンは今年2度の「月間再激闘試合賞」を獲得しており、ムエタイらしい、大流血の激しい戦いになる事が予想される。
1R、離れてミドルキック、接近してパンチとヒジ、組むと崩しとヒザ蹴りというように全ての距離で攻撃が次々と展開されていく。その途切れない攻防に、場内からはどよめきが起こるほど。ポンサワンは得意のパンチをショートでヒットさせていくが、クンスックは一歩も退かない。
2R、ポンサワンがショートでも充分に威力が伝わってくるパンチを連打。しかし、クンスックはパンチをもらっても全く退かず、首相撲で崩してすぐの蹴り連打。前蹴り、ミドル、パンチと多彩な技を矢継ぎ早に繰り出して優位に立つ。
3R、クンスックが流れるような動きでパンチから蹴りを決めれば、ポンサワンも右ストレートをクリーンヒットさせる。長距離から中間距離、接近戦、そして組んでも動きが止まることなく、流れるように様々な技が繰り出されていく。ヒジ、ヒザ、パンチとショートの距離でも無理に組みに行くことなく、技が交換される。
4R、クンスックがパンチとキックを交互に使い、ポンサワンがパンチで来るとヒジのカウンター!
さらに足払いでコカす。クンスックは攻撃が全く途切れず上中下、そして左右からパンチと蹴りがめまぐるしく飛び出す。恐るべきスタミナだ。ポンサワンは一発KOを狙い始めたのか、パンチに偏りすぎ。
5Rはポンサワンが諦め気味で、時折パンチを繰り出すが、クンスックが蹴りを出したくらいで両者流して終了。ムエタイらしい、もう勝敗がついたと思ったらそれ以上は攻めないという最終ラウンドだった。判定はその通り、クンスックが最大3ポイント差をつけて勝利を収めた。
ムエタイ通でも知られる佐藤嘉洋は「前半はポンサワンが押していたけれど攻め疲れた。クンスックの打たれ強さが凄かったですね。普通なら倒れるようなパンチをもらっていましたよ。クンスックの根性勝ちだと思います」と評した。
▼第19試合 ムエリーグ 55kg契約 3分5R
○清水雄介(尚武会)
判定3−0 ※50−48、50−47、50−46
●謙・センチャイジム(センチャイムエタイ)
バンタム級ながら178cmという長身、18歳の現役高校生で2007年11月9日にプロデビュー以来12戦無敗の清水。2月21日にはJ-NETWORKバンタム級タイトル挑戦が決定しているが、その1カ月前にも試合に臨む。対する謙は2戦2勝のサウスポー。
1R、清水が圧力をかけて謙をコーナーへ詰めてのパンチとヒザ。いいタイミングでパンチとテンカオも突き刺していく。
2R、抜群のパンチの当て勘を見せる清水だが、謙のパンチからつなげていくローが有効。清水はローをもらうとすぐにミドルキックで反撃していく。
3R、清水はローを左足に効かされたか、バランスを崩して転倒する場面が目立つ。それでもミドルとハイキックを蹴り分けて、パンチもいいタイミングで入れていく。
4R、ローを警戒してか下がりながらも、しっかりと左右のミドルを蹴って相手をコントロールし、矢のようなストレートを突き刺していく清水。ハイキックも振っていく。
組んでも両者はヒザを回して蹴っていき、両者アグレッシブに動き続けるが、清水が試合の主導権を握っているように見える。下がる、前へ出るを繰り返す。
5R、ポイントでリードされ、このままでは勝てないと悟ったか、謙がパンチで前へ出て倒しにいく。だが、清水は焦ることなく冷静にパンチとテンカオでカウンターをとり、組んでのヒザ蹴り、離れてミドル。最後は清水もパンチでしっかりと打ち合い、フック&アッパーを炸裂させて最大4ポイント差の大差で判定勝ちした。
▼第18試合 ムエリーグ フライ級 3分5R
△魂叶獅(はまっこムエタイ)
ドロー 判定1−1 ※49−48、49−49、48−49
△勇児(細川/MA日本キックボクシング連盟)
元J-NETWORKフライ級王者・魂叶獅が2008年8月のリッティデェ・センチャイジム戦以来、約1年半ぶりに復帰、MA日本キックボクシング連盟のランカーである勇児と対戦する。
1R、常に右へ回り込みながらのパンチから蹴り、飛びヒザ蹴りと巧みに動く勇児。魂叶獅は復帰戦のためかやや堅い。
2Rも勇児は右へ回り込む動きを止めず、スピーディーに上中下とパンチ&キックを連打してくる。この動きに魂叶獅はついていけない様子。勇児の回転は止まらず、死角へ死角へと回り込んで自分の攻撃を当てて行く。
しかし3R、魂叶獅が乱戦に持ち込む。一気にパンチで間合いを詰めて掴んでのヒジと組んでのヒザ蹴り。勇児が右回り込もうとすると左ミドルで止め、回転を完全に止めて打ち合いに持ち込む力技を見せる。
4R、魂叶獅は同じように乱戦に持ち込むが、勇児は再び回転を始めて回り込みながらのロー、飛びヒザ、ミドルキック。魂叶獅は左ミドルでその回転を止めに行き、パンチの打ち合いに持ち込もうとするが、勇児のペースになりつつある。
5R、魂叶獅が強引にねじ伏せるようなパンチの打ち合いに行き、組んでのヒザ蹴り。勇児は胴廻し回転蹴りを連発し、ローで応戦するが、組まれると両足タックルのようにしがみつくだけになってしまう。魂叶獅の身体の圧力に押されているという印象だ。
判定は三者三様のドロー。魂叶獅が復帰戦だったとはいえ、日本フライ級トップクラスを相手に22歳の勇児が大健闘という内容になった。
▼第15試合 グローブハンデ戦 3分5R
○マット・テーチャカリン(タイ)
判定3−0 ※50−49、50−48、49−48
●クイントン・アレンサ(南アフリカ/IMPAKT)
※ヤソトーンが怪我により欠場。マットは計量をクリアできなかったため2オンスのグローブハンデ
ヤソトーンが負傷のため欠場となり、代わって長島☆自演乙☆雄一郎のトレーナーとしても有名なマットが急遽参戦。計量をパス出来ず、2オンスのグローブハンデ戦となった。対するアレンサはKOTC南アフリカ王者の総合格闘家。
1Rは特に動きがなく、お互いにジャブのけん制とローを蹴る程度。2Rになるとマットは左右ミドルを蹴るが、アレンサがマットの蹴り足をキャッチしての軸足払いを連発。マットをコカしまくる。これに対し、マットはアレンサが蹴り足を掴むとヒジを繰り出す。
3R、蹴り足を獲られてコカされ、パンチをもらうマット。しかし、このラウンド後半から右ヒジを何度も繰り出してアレンサを後退させ、ミドルを蹴っていく。アレンサは警戒して下がり、両者とも手数が出ない。
4R、マットがジャブで近づけさせず、アレンサがパンチで来るとノーガードでひょいひょいとかわして右ロー。アレンサのパンチを空振りさせる場面が何度も見られるが、マットの攻撃もジャブとローぐらいだ。
5R、前へ出るマットに下がるアレンサ。両者ともジャブしか攻撃が出ない。マットの右ローが効いてきたのか、アレンサはサウスポーに構える。特にこれといった攻防もなく、そのままゴング。マットが判定で勝利した。
▼第14試合 日泰交流戦 70kg契約 3分5R
○クンスック・アラビアジム(タイ/アラビアムエタイ/元ルンピニー&ラジャダムナンスタジアム認定ライト級王者)
判定3−0 ※50−48、50−48、50−47
●シノ・KRSジム(KRS)
数年前まで王者として活躍した名選手であるクンスック。現在は日本に定住し、元々は中量級ながら日本人重量級キックボクサーを総なめにしている。そのクンスックに挑むのは、タイで活躍した日本人キックボクサー佐々木功輔を師匠に持つシノ。
1R、両者ゆったりとしたリズムでほとんど動きもなく、相手の様子を探る。シノが右ロー、クンスックが前蹴りと左ハイキックを出すくらいに終わる。
2R、クンスックがジャブ、前蹴りでシノを入らせない上手さを見せ、ハイキックもちらつかせながら強い右ローを放っていく。シノも右ローを蹴るが、入らせてもらえずクンスックの距離が続く。
3R、組みに行って勝負をかけたシノだが、クンスックは両手を広げてシノの両腕を抑えるようにし、シノにいいところで組ませない。シノの蹴り足を掴んでは逆に蹴りを見舞っていく。クンスックは左ミドルと、相手に組ませずヒジも狙う。
4R、組みに来るシノを手技で組ませないクンスック。ヒザも入れる。このラウンドにはシノがいい場所で組んで優勢になる場面もあったが、あとはクンスックが面白いように組んでくるシノへ左ヒジを合わせる。そして離れると左ミドル。クンスックが組みに来たシノの右目下を左ヒジで切り裂く。
5R、組みに来るシノをクンスックは前蹴りで突き放して左ミドル、テンカオで迎え撃ち、組まれると投げる。ポイントでリードされていることが分かっているシノはパンチで逆転勝ちを狙うも、かわされ、防がれて為す術がなかった。
▼第13試合 ライト級 3分3R
○塚原光斗(クロスポイント古河)
判定3−0 ※30−29、30−29、30−28
●宮城友一(真樹ジムオキナワ/MA日本キックボクシング連盟)
▼第12試合 スーパーバンタム級 3分3R
○赤羽秀一(WSRフェアテックス)
判定3−0 ※三者とも30−28
●山村教文(グラップリングシュートボクサーズ)
▼第11試合 ヘビー級 3分3R
○小澤和樹(アストラルジャパン)
判定3−0 ※30−28、30−27、29−28
●瀧川リョウ(フリー)※リョウの漢字は左が令、右が羽
▼第10試合 ヘビー級 3分3R
○菊池圭治(はまっこムエタイ)
KO 1R1分5秒 ※ヒザ蹴り
●BIGカズ(全栄会館)
▼第9試合 68kg契約 3分3R
○左 禅丸(レグルス池袋)
判定2−0 ※29−28、29−29、30−29
●李 逵(尚武会)
▼第8試合 Jrスーパーファイト 35kg級 2分3R
○伊藤沙弥(尚武会)
判定3−0 ※30−28、30−27、30−27
●斉藤 歩(WSR蕨)
▼第7試合 52kg契約 3分3R
○悦・センチャイジム(センチャイムエタイ)
判定2−0 ※30−28、30−29、30−30
●加賀有美子(名古屋JKファクトリー)
▼第6試合 62kg契約 3分3R
○TOMOHIKO(レンジャー品川)
判定3−0 ※三者とも30−24
●宇都宮星太(禅道会)
▼第5試合 60kg契約 3分3R
○竜士(尚武会/GAREX立川)
判定3−0 ※29−25、29−25、29−26
●島袋繁文(義勇会)
▼第4試合 72.5kg契約 3分3R
○吉 重吉(契明/MA日本キックボクシング連盟)
KO 1R2分3秒
●伊澤寿人(YMC栃木)
▼第3試合 65kg契約 3分3R
○TACA(レグルス池袋/J-NETWORK)
KO 1R1分33秒
●ヤスタカ・ペタス(バンゲリングベイ・スピリット)
▼第2試合 スーパーフェザー級 3分3R
○晋・センチャイジム(センチャイムエタイ)
KO 1R2分58秒
●小浪裕太(尚武会)
▼第1試合 57kg契約 3分3R
○バズーカ福田(KFG)
KO 1R2分18秒
●マサ・マットジム(尚武会/マット)
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