1月30日(土・現地時間)オランダ・Hanzehal Zutphenで行われた『beast of the east』に、昨年末、魔裟斗の引退試合の相手を務めたばかりのアンディ・サワーが出場。シュートボクシングのリングにも登場したWFCA世界王者“独眼タランチュラ”ファディル・シャバリ(オランダ)と対戦した。
シャバリ陣営はサワーに勝利する確信があったか、かなり以前から対戦オファーがあり、昨年中盤には決定していたこの試合。魔裟斗戦までの連戦のダメージが懸念されたサワーだが、1R、ジャブを突いてサワーの様子を探りたいシャバリに対し、上体でプレッシャーをかけ積極的にシャバリの打ち終わりにローキックやワンツーを返し、早々に自分の距離を作りにかかる。攻撃が良く見えてはいるが、サワーの圧力と攻撃スピードに上体を起こされ反撃するタイミングを掴めないシャバリ。
続く2R、シャバリは得意とする下がりながらのカウンターを合わせる戦法が難しいと見たか、ジャブを突きながら高いヒザ蹴りや前蹴りを駆使して前に出るも、サワーはおかまいなしに前進。手数と圧力に押され、最終的にはロープを背負わされガードを固めるほかないシャバリに強いパンチ、飛びヒザを容赦なしに打ち込むサワー。
3R、攻撃の要でもあるジャブでどうにかサワーの動きを制限したいシャバリ。しかし左右にスイッチするシャバリのリードブローが厄介なことを熟知しているサワーは、ヘッドスリップでかわしてパンチのカウンターや前足へのローキックを合わせシャバリに的を絞らせない。たまらず首相撲を仕掛けるシャバリだが、付き合うことなくストレートやアッパー、組み際のヒザを浴びせコーナーに追い込むサワー。素早い連打で反撃を試みるシャバリに、逆にパワフル且つ稲妻のようなコンビネーションを倍返しするサワー。
4R、前に出て勝負をかけるしかないシャバリに対し、既にシャバリのパンチの距離を見切った感のあるサワーはミドルキック、インローキックなど蹴りを散らして思うように攻めさせない。逆に、一瞬で間合いを詰めてアッパーを交えた高速コンビネーションを叩き込みシャバリをカメ状態にする。この日のサワーは、右クロスもさることながら左右のアッパーを効果的に活用。シャバリも打ち返すがサワーの体幹の強さに押され攻撃にウェイトを乗せることが出来ず、さらに打ちこまれる場面が多くなる。
最終ラウンド、ここへきてスピードが落ちるどころか、ますますハイスピードで技を交錯させる両者。シャバリのジャブを掻い潜りショートレンジでの打ち合いに持ち込むサワーに対し、フックやアッパーを矢継ぎ早に繰り出すシャバリだが、サワーはブロックしながら細かく頭を振り、身体を大きく反らすことなくパンチをかわしてすぐさま攻撃に転じる。
パンチが激しく交差する中、この日のサワーは決して冷静さを失わず、打ち気に逸るシャバリに対してインローキックやヒザ蹴りを散らして流れを断ち切るなど、まるで自分の動きを俯瞰で捉えているかのような隙のなさでペースを握らせない。疲れの見えたシャバリがバックキックなどで一発逆転を狙うも再びサワーに間合いを詰められてラッシュを浴びる。KOを期待した観客から“サワーコール”が巻き起きる中、終了のゴング。ジャッジは3者ともサワーを支持し、文句なしの判定勝利を収めた。
実はこの試合の3日前から39度の高熱に見舞われていたサワーだが、友人でもあるシャバリとの約束を守るために精一杯のパフォーマンスで2010年の好スタートを切った。
「今年2010年はボクにとって躍進の年。S-cupで4タイムス・チャンピオンになることと、K-1MAXの3タイムス・チャンピオンになることが使命。100%の状態ではなかったけど、このシャバリ戦でもいくつか課題を克服できたと思う。どんどん進化してる実感がある。今年のボクに是非期待してください!」と清々しく語った。
写真(C)Endo
協力:シュートボクシング協会
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