新日本キックボクシング協会
「MAGNUM22」
2010年3月7日(日)東京・後楽園ホール
開場16:45 開始17:00
▼メインイベント(第12試合) 日本ウェルター級タイトルマッチ 3分5R
−緑川 創(藤本/同級王者)
無判定 4R2分46秒 ※後日、ノーコンテストと正式発表
−藤田ゼン(横須賀太賀/同級2位/挑戦者)
昨年5月に、荻野からベルトを奪い初戴冠を果たした緑川が藤田を相手に初防衛戦を行う。昨年12月には、ルンピニーとラジャの両方でベルトを巻き、タイのK-1MAXと呼ばれているS-1トーナメントを制覇した実績を持つクンスックと激突。接戦の末、惜しくも敗れてしまう。
対する藤田は昨年10月に斗吾を左フック一閃、快勝劇となった。ドローに泣かされてきた藤田は、今宵ばかりはドローではなく、歓喜の涙に暮れたいところだろう。
緑川が負けた3敗は全てタイ人選手によるもので、対日本人は無敗。ここで初防衛を果たし“絶対王者”への足がかりを築きたいところだが、果たして…。
1R、互いに右ローを差し合い、出方を探る。緑川が突っ込んで右ボディストレートを出し、距離を詰めていく。左右フックを時折混ぜながら、右ローで攻めてくる藤田に応戦。終盤には藤田が緑川をロープに詰めて右ボディストレート。
2R、先に仕掛けたのは緑川。右ローで先制すると、藤田はワンツーを返す。
この直後にニュートラルコーナーで激しいパンチの打ち合いになる。距離をとり、藤田が右ロー、ワンツーをつなげると、緑川も同様に返していく。更に緑川はジャブから右ヒジを豪快に振りかぶるが、藤田はこれをきちんと見てかわす。残り30秒に差し掛かったところで、ロープ際でパンチの打ち合いに。
3R、藤田の右ストレートを緑川がかいくぐり、カウンター気味で左フックをかぶせる。ガードして防いだ藤田は左ロー、ジャブ、右ローとコンビネーションをつなげて応戦。
緑川はジャブで牽制しながらペースをつかみ、ワンツー、左フック、左右のフックを振り回す。ガードしてワンツーを返す藤田。ジリジリと緑川をロープに詰め、右ヒジを叩き込む。更にコーナーへ詰めて右ロー、左フックを出したところでゴング。
4R、先に藤田が右ボディストレートを出すと、すかさず右ローを返す緑川。軽くジャブを出し、右ストレート、左ロー、右ローとつなげた藤田に、右ストレートを返す緑川。藤田のアゴが浮いたところを緑川が左フック。
すぐに反応した藤田はこれをかいくぐり、右ストレートを返す。残り30秒あたりで、緑川が右ストレートでダウンを奪う。
しかし、藤田陣営はダウンではないと猛反発。レフリーのカウントが進み、続行へ。直後に緑川がダッシュし飛びヒザ!
その直後、もつれるように赤コーナーへなだれ込む。立ち上がった藤田だが眉間をカット。一時中断し、審判団と本部席で協議が行われた。
しばらくしても再開されない苛立ちから、会場からは「タイトルマッチだぞ! あと少しなんだからやらせろ!」と怒号が飛ぶ。
更に藤田陣営からは倒れた後による攻撃だと強く主張。次第に会場からはブーイングが飛び、不穏な空気が会場を包み込んだ。協議の結果、倒れた後による攻撃であると認め、緑川に減点1が課されることとなり、4R2分46秒までの判定とするとアナウンスが流れた。
これを受けて伊原代表がリングイン。緑川と藤田をリング中央へ呼び、藤田に「その傷は3カ月くらいで治るよな? これじゃお互いに納得しないだろ! 3カ月後に再戦させます!」と、タイトルマッチの再戦が宣言された。
本部席より、「王座は一時協会預かりとします」とアナウンスが流れるも、肝心の採点結果が発表されず。ノーコンテストであることも発表されないまま無判定となった。(※後日、ノーコンテストと正式発表された)
▼メインイベント(第11試合) 日本フライ級タイトルマッチ 3分5R
○江幡 睦(伊原稲城/同級4位/挑戦者)
判定3−0 ※50−47、50−48、50−45
●越川大樹(市原/同級王者)
※江幡が新王者に
昨年4月に、前王者であったレオンケイスケが王座を返上、挑戦者だった越川が王者に認定され、初戴冠を果たした。同年9月には関正隆をヒジで切り裂き、王者対決を制している。
対する江幡は昨年10月にアトム崇貴をダウンを奪って完勝。未だ無敗の江幡がわずか9戦目にしてタイトルマッチに挑戦。江幡の勝利のほとんどはダウンを奪うかKOしての勝利である。江幡は無敗のまま王座に就き、数少ない10代での王座戴冠を果たしたいところ。
越川にとっては、猛追をかけてくる江幡をここで阻止して王者たる威厳を示しておきたいところだ。
1R、左フックからの右ストレートを中心に右の縦ヒジを混ぜながら攻撃を仕掛ける江幡。様子見なのか、手数が少ない越川。
お構いなしにと江幡が前に出て、越川が下がる展開になっていき、江幡がワンツー左ローとすばやくつなげると、ジャブ右ローを返して応戦する越川。
2R開始早々、江幡は1Rで見せた左フックからの右ストレートを仕掛け、そこから左フックを連打。
単発で左フックをかぶせると、越川が右ストレートを返す。ローを右、左と使い分ける江幡だが、越川の下腹部に当たりローブロー。注意を受け再開。回り込んで左ミドルを打つ越川だが、江幡に右ローを返されてしまう。
ローからワンツーを繰り出す越川に、江幡は左フック、右ストレート、左ローと、鮮やかなコンビネーションをつないでいく。越川が距離を取り左ミドルに江幡が右ローを返してゴング。
3R、江幡の凄まじいパンチのラッシュに防戦一方となる越川。
左フックから右ストレートを1Rと変わらぬキレで打っていく江幡は、右ボディストレート、右ボディブロー、右縦ヒジをと、右のトリプルコンビネーションをつないでいく。ロープ際で江幡がヒジで越川をカット。江幡が完全に主導権を握るラウンドとなる。
4R、これまでとは一転し、自ら前に出て先手を仕掛ける越川。左ミドル、右ローとつなげ、快音を鳴らす。しかし、スタミナが全く衰えていない江幡は左右フック、力強い右ローで越川を追い込んでいく。次第に江幡のパンチのラッシュで押され、3Rで切れた傷口が広がり、顔面が鮮血で染まっていく越川。
右ローや左ミドルを打ち、右ストレートをつないで、江幡を後退させていく。しかし、それもつかの間、江幡はワンツー左フック、ジャブから右アッパー、右ローと素早くコンビネーションをつなげ、更に首相撲からヒザで越川の動きを止めていく。
5R、江幡がジャブから左ミドルをつなげると、ほどなくして両者が突っ込んで、同じタイミングで右ストレートを打つ。越川がジャブから左ロー、左ミドルを的確にヒットさせ、右ストレートを追撃していく。
両者がロープ際にいたため、江幡が越川をコーナーに詰めて右ヒジ!当たりは浅いも、ワンツーから首相撲を追撃する江幡。残り5秒で越川が左フックをとらえるも、ここで試合終了のゴングが鳴り、判定へ。結果、3-0で江幡がフルマークで完勝・新王者となった。
マイクを手にすると、江幡は「バンタム級には弟の塁がいます。僕たちは双子です。自分が勝つと塁も勝つというジンクスがあります。今のところ100%です。
今日はその50%を僕が達成しました。残り50%を塁が達成するために、塁への応援よろしくお願いします」と、弟・塁へエールを送った。肩車を受け、喜びを爆発させた江幡。記念撮影が終わると、江幡はリングサイドにいる応援団へなだれ込み、お祭り騒ぎの中で胴上げされ、大歓声を受けて王座戴冠の祝福を受けた。
▼セミファイナル(第10試合) ミドル級3分3R
○ゲン・カー(タイ)
判定3−0 ※三者共に30−29
●喜多村誠(伊原道場/日本同級1位)
現在ミドル級1位に位置し、トップコンデンターとなった喜多村。宮本の持つミドル級王座に挑戦をアピールするには、まずこの試合で絶対的な勝利を収めることが必要となってくるだろう。
対戦相手のゲンはラジャでも上位ランカーにいた実力者。宮本や荻野といった王者クラスをことごとく撃破してきている。ゲンからしてみれば格下的な存在に見えるだろう。喜多村はゲンを倒してミドル級の王座への挑戦の足がかりを築くことができるか?
1R、落ち着いた立ち上がりの両者。喜多村が右ローを仕掛けると、すぐさま左の縦ヒジを返すゲン。喜多村はこれをきちんとブロック。ゲンの左ローにジャブを合わせる喜多村。そこから右ボディストレートを放つが、左の縦ヒジを返すゲン。終盤には互いに首相撲となり、回りながらもみ合いになり、ゲンが喜多村の足を払ってコカす。
2R、序盤からコーナー際でヒジの応戦が始まり、ゲンが押し始める。ゲンが右ヒジを出せば喜多村も右ヒジを出すヒジ合戦となっていく。喜多村が左ミドルを打ち、ゲンをロープへ詰めると、喜多村は左ミドルと左ヒザを叩き込む。それでもゲンは執拗にヒジを出してくる。
3R、喜多村が左ミドルを打つとゲンはこれをスウェーで交わすが、ロープを背にしてしまう。すぐに抜け出したゲンは左ローとヒジを出し、徐々に前へ出始める。ゲンの圧力に押されたのか、喜多村が下がる姿が目立つ。下がる喜多村はジャブから左ミドルを打つも、中盤から手が止まり始める。
ヒジとローで喜多村に攻めるゲンに喜多村は右ミドルを打つが、しかしスウェーで交わされてしまう。互いに攻め切れず、試合終了のゴングが鳴り、ゲンがフルマーク判定で喜多村を下すこととなった。
▼第9試合 フェザー級 3分3R
○雄大(治政館/K-1甲子園初代王者)
判定3−0 ※三者共に30−29
●勝岡 健(伊原稲城/日本フェザー級3位)
勝岡は昨年11月に、古河たすく戦で階級をフェザーへと上げて臨んでおり、判定で破って一気に3位にランクインしている。階級転向に成功した勝岡は、タイトルマッチの射程範囲内にいるため、絶対落とせない一戦となる。
対する雄大は昨年10月にディンプン・チュワタナと対戦するも、ドローという冴えない結果に。勝てる試合を落としてしまった雄大。ここはきっちりと勝利しておきたいのが心情だろう。勝岡に勝利をすることになればランキング入りも見えてくることだろう。
それは即ち、フェザー級の王座が射程距離に入ってくるということをも意味する。互いに落とすことのできない一戦は、どちらに軍配が上がるか?
1R、先に仕掛けたのは雄大。前蹴りで牽制し距離を取るが、勝岡が左ミドルを打って自身の距離を保とうとする。勝岡が左ミドルから左インロー、すかさず左ミドル。雄大はこれをガードしてワンツーを返す。更にジャブから右ボディストレート、左フックとパンチのコンビネーションをつなげていく。
2R、勝岡はジャブを細かく差し、ゆっくりとリングを回りながら雄大の様子を伺う。雄大が前蹴りからジャブ、右ボディストレート、左フックとなり、もみ合う中で首相撲となり、雄大が右の横ヒジを入れる。更に雄大は勢いよく飛びヒザを放つ!
しかし勝岡はこれをきっちりガードし、右ストレートを返し、首相撲からヒザを雄大に叩き込んでいく。首相撲が続く中で、体勢を入れ替えて右ヒジで勝岡をカット。傷は浅く続行となり、雄大が前蹴りからワンツーをつなげ、首相撲となる。勝岡がヒザを入れようとするが、雄大は右の縦ヒジで勝岡を再度切り裂きにかかる。
3R、ローの差し合いになり、勝岡の左フックに雄大は右ストレートをかぶせる。雄大が右ボディストレートから左ハイへとつなぎ、この左ハイが勝岡のアゴをとらえる。しかし当たりが浅く、ダウンには至らず。ワンツーを出す勝岡に、雄大は前蹴りを出して距離を図ろうとするが、勝岡の右ローを被弾。
勝岡は更に雄大のガード越しに右ストレートを叩き込むと、そこから右ボディ!これが雄大のわき腹に突き刺さり、右ローを追撃。互いに決定打を欠き、試合終了のゴングが鳴り響き、勝敗は判定へともつれ込み、結果は雄大が僅差ながらもフルマークで勝利。、フェザー級のランキング入りはおそらく確実であろう。フェザー級のトップ戦線へと一気に駆け上がっていくこととなった。
▼第8試合 フェザー級 3分3R
△白木伸美(トーエル/同級7位)
ドロー 判定0−0 ※30−30、30−30、29−29
△兼子ただし(伊原道場)
1R、静かな立ち上がりで幕を上げ、白木が左ミドルを打つが、兼子がスウェーで交わして右ミドルを返す。白木が首相撲を仕掛け、兼子をコカす。距離を詰めて前に出だす白木は兼子をロープに詰めて右ローを叩き込むが、兼子も右ローを返す。
2R、序盤、白木が右ローを打つが、兼子が効いてないよと挑発。互いにジャブを突いて右ローを出すが、白木が右ミドルを出し、兼子がやや下がったところを白木が追いかけて右ローを追撃。
なおも白木が前に出て距離を詰める。兼子がロープを背にするシーンが多々見られるが、兼子は右ローや右ストレートを出していく。終盤、兼子の右ストレートが白木をとらえる。白木が左ミドルを打つが、兼子も右ローを返す。
3R、開始早々、白木がワンツーを仕掛け、兼子をロープに詰めていき、左ミドルを打つ。これをガードで防いだ兼子はワンツーを返す。今度は兼子が白木をロープに詰めて左ストレートを打つが、白木がテンカオで兼子を迎撃。
白木の左ミドルに合わせて兼子は右ミドルを打つ。互いに蹴りを中心の攻勢となっていくも、攻めきれずにゴング。三者共に採点に差がつかずドローとなった。
▼第7試合 ウェルター級 3分3R
○後藤高志(トーエル/同級6位)
判定3−0 ※30−29、30−28、30−28
●中澤 賢(治政館)
▼第6試合 フェザー級 3分3R
○田中義人(伊原道場/日本フェザー級6位)
判定3−0 ※30−29、30−29、30−28
●王子(横須賀太賀/日本バンタム級7位)
▼第5試合 フェザー級 3分2R
○太田千久(伊原道場)
判定3−0 ※三者共に20−18
●古谷佑太郎(揚心)
※1Rに古谷は右フックでダウン1あり
▼第4試合 フェザー級 3分2R
○金子 雄(治政館)
判定3−0 ※三者共に20−18
●出口 優(藤本)
▼第3試合 ライト級 3分2R
○大槻翔太(伊原道場)
KO 2R39秒 ※右ストレート
●東 和希(大分)
※1Rに大槻は左ハイでダウン1あり
▼第2試合 フェザー級 3分2R
○迫田和也(伊原道場)
TKO 2R2分10秒 ※右ローキック→セコンドからのタオル投入
●平井功剛(トーエル)
※平井は2Rに右ローキックでダウン1あり
▼第1試合 バンタム級 3分2R
○佐藤仁志(藤本)
TKO 1R1分40秒 ※パンチ連打よる3ノックダウン
●堤好一郎(横須賀太賀)
写真&レポート=鈴木雄一郎
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