パンクラス
「PANCRASE 2010 PASSION TOUR」
2010年4月29日(木・祝)東京・ディファ有明
開場15:00 開始17:00
観衆=1,802人(満員=主催者発表)
▼メインイベント ミドル級キング・オブ・パンクラス タイトルマッチ 5分3R
○近藤有己(パンクラスism/同級暫定王者)
判定3−0 ※三者とも30−29
●金井一朗(パンクラスism/第8代ミドル級キング・オブ・パンクラシスト)
※近藤が第9代ミドル級キング・オブ・パンクラシストの座に就く。2度目の防衛に成功
正規チャンピオンの金井と暫定チャンピオンの近藤が王座統一戦を行う。同門対決はパンクラス史上実に8年ぶり。デビューから14戦して3勝しか上げられなかったという下積み時代を過ごし、王者にまで上り詰めた苦労人の金井と、デビュー時から注目を集めてパンクラスのエースとして君臨し続けてきた近藤。対照的な格闘技人生を歩んできた者同士が激突する。
近藤は入場テーマ曲が流れると足早に花道を駆け抜け、あっという間にリングイン。金井はゆっくりと花道を歩いて入場も対照的だ。
両者はそれぞれのベルトをコミッショナーに預ける。金井のセコンドには北岡悟と鳥生将大、近藤のセコンドには高橋和生が就き、まさに新旧対決の幕が開く。
1R、サウスポーの近藤の周りをステップで左へ回り込む金井。近藤は左インローを放っていき、金井は右ストレートとジャブから入ってくる。金井がジャブから右ストレート、左フック。金井は右ストレートを当てては離れる。近藤はハイキックから右フック、右ローから右フック。
ステップと右ストレートを繰り返す金井、近藤は左インローと右ロー。金井が入ってくるところに右フックを合わせようとする近藤。残り時間20秒で近藤が入ろうとすると金井がフックを合わせ、バランスを崩した近藤だが、すぐにパンチでラッシュをかける。
2R、ジャブで迫る金井に近藤が右ロー、左ミドル。ステップから左フックを狙う金井に近藤も左ストレートから連打、金井はすぐに離れてボディへのストレート。近藤が左ミドル2発、金井が入り込んで左フックを2度ヒットさせる。金井のパンチに近藤が右ロー。
両者ともパンチで入り込むが単発で当ててはすぐに離れる。金井のパンチに左ミドル、右ローを合わせていく近藤。金井はジャブを突き続け、近藤の左ミドルをもらうとワンツー、近藤も右フック。入り込み際を前蹴り、左ハイキックで捉える近藤、金井も返しのパンチを振っていくが空振りに終わる。やや近藤のペースでこのラウンドは進んだ。
3R、右ストレートと左フックで入る金井だが空振り、近藤は左インローと左ミドルを金井の入り際に合わせる。近藤が左のヒザ、金井はボディへのフック。
近藤の左ミドルに金井が右ストレート、今度はすぐにローから左ストレート。近藤がパンチから片足タックルに行ったが金井はすり抜ける。
金井のパンチに右ローを合わせていく金井、近藤の左ミドルには金井が左フックを合わせる。お互いにパンチを単発で当てていき、一進一退が続く。そこで近藤がボディへの飛びヒザ蹴り、金井が入ってくるところへ右フック。金井が入ってくるところへ徹底的に蹴りを合わせる近藤、パンチもフォローする。
タックルに行った近藤だがこれは防がれ、両者離れる。左インローと前蹴りで前へ出る近藤、この蹴りで金井の動きが止まり、近藤のパンチが入る。前蹴りで後退する金井も必死にパンチを繰り出していくが、近藤はかわしてパンチを返す。
残り30秒、共に鼻血を出しながら打ち合いに行く両者だが、近藤が左前蹴りとボディへの飛びヒザ蹴り! 苦しくなった金井はタックルへ行き、テイクダウンしたところで試合終了。マスト判定は判定3−0で近藤!
若い後輩の追撃を上手さで振りきり、第9代ミドル級キング・オブ・パンクラシストの座に就いた。
「たくさんの応援ありがとうございました。ひとつひとつが自分の力になり、パワーになりました。こんな自分ですがこれからも一生懸命にやりますので応援よろしくお願いします」腰にベルトを巻かれた近藤は、謙虚にマイクアピールを行った。また、勝利者インタビューのためロビーに姿を現すと、一斉に温かい拍手が沸き起こった。
●近藤のコメント
「何を言っていいのか分かりません。真っ白というか、何とも言えない感じです。何も考えず、無の境地になれたという感じで何も感じなかったです。途中で集中力が切れるところもあったのでまだまだですが、いい動きが出来たのではないかと思います。ベルトを獲りたいという気持ちはなかったんですが、せっかくの同門対決だし、いい舞台をもらったと思いました。ベルトは何度巻いても嬉しいです。無差別、ライトヘビー級に続いて3本目なので嬉しいですね。
入場曲はカッコいいかなと思って変えました。ビビっとくるものがあって、思わず走っちゃいましたね(笑)。前蹴りは2〜3発は手応えがありました。特に磨いてないですが、コレいいかもしれないと思って。
中足(足の指を反らして付け根部分で蹴る)で蹴っています。菊野(克紀)選手が三日月蹴りをやっているじゃないですか。あれがいいかな、使えるかな、有効かもしれないと思ってちょっとやってみました。少林寺拳法(近藤は二段)でああいう中足でやる蹴りをやっていて、応用してやってみました。
一生懸命に一試合一試合いい試合をしていきたいですね。もっとパンクラスが盛り上がればいいし、そういう活躍が出来ればと思います。次の試合? 6月か7月……はちょっと早すぎますね(笑)」
▼セミファイナル フライ級戦 5分2R
○砂辺光久(TEAM reversaL/同級2位)
TKO 1R2分31秒 ※パウンドでレフェリーストップ
●佐藤ハヤト(パラエストラ松戸)
2度目の防衛戦で王座から転落した砂辺が早くも王座奪還へ向けて再出発。対するはプロシューターで2月のケージフォースで総合に復帰した佐藤。
1R、サウスポーの佐藤に砂辺はジャブを見せながらジリジリと迫る。佐藤は右ロー。砂辺がパンチから組み付いていくと佐藤は受け止めてヒザ、コーナーへ押し込むが砂辺が離れる。佐藤は砂辺が入ってくると右フックを合わせ、前蹴り。ジリジリと迫る砂辺は、佐藤がロープを背負ったところで鋭い右ミドル!
この一発が快音を発して決まり、すかさずパンチの連打。倒れ込んだ佐藤にパウンドを見舞い、砂辺が圧勝を収めた。
「やったぞ! メインでパンクラス史上最高の試合があると思うので、この熱のまま二人を盛り上げてください。あとひとつ、パンクラスフライ級の主役は俺だ!」と砂辺はマイクで絶叫した。
▼第7試合 ライト級戦 5分2R
○徳留一樹(パラエストラ八王子)
TKO 1R3分45秒 ※パウンドでレフェリーストップ
●伊藤崇文(パンクラスism/’95NBT優勝)
1R、両者サウスポー、伊藤はジャブを出しながら左へ回り込み、コーナーに詰まるとタックル。徳留は受け止めてコーナーへ押し込んでいく。これはブレイク。
伊藤が右ミドル、前に出てくる徳留へタックルに行くが、これはきられて徳留のパウンドをもらう。バックを見せた伊藤にスリーパーを決める徳留だが、伊藤は身体を捻って脱出、上になることに成功する。
コーナーに押し込み、両足を引いて寝かそうとする伊藤。徳留が立ち上がると伊藤は引き込むように下になり、徳留はバックを奪う。
立ち上がる伊藤、徳留はすぐに手を離してストレートを入れ、倒れた伊藤にバックからパウンドの嵐! 伊藤は亀になったまま状況を打破することが出来ず、殴られ続けてレフェリーストップとなった。伊藤は右目が大きく腫れあがっていた。
▼第6試合 バンタム級戦 5分2R
○赤井太志朗(ノヴァウニオン・ジャパン/同級2位)
TKO 1R4分30秒 ※パウンドでレフェリーストップ
●清水隼人(アンプラグド国分寺)
1R、接近戦になるとすぐに両足へタックルに行った清水は離れ際にパンチとヒザ、赤井は打撃からのタックルでテイクダウンを奪う。すぐにマウントを奪ったが清水がマウント返しで上になり、パウンドを入れながらパスを狙い、赤井が一度立ち上がるもすぐに寝かせる。
すると今度は赤井が腕を手繰り寄せながらリバーサル、上体にプレッシャーをかけながらパスを仕掛け、サイドを奪う。
動き回る清水は再びリバーサルで上を奪い、鉄槌を叩き込んでいく。赤井はエビで脱出し、清水が立ち上がり際にヒザ蹴り。
スタンドに戻り、残り時間30秒、パンチで攻めていった赤井の左フックが炸裂! 清水が倒れ込み、赤井は一気にパウンド! 上位ランカーの力を見せ付けた。
▼第5試合 フェザー級戦 5分2R
○内山重行(GRABAKAジム/’09NBT同級優勝)
判定3−0 ※三者とも20−19
●高橋 渉(Laughter7)
1R、内山がワンツーの連打で前へ出て行き、タックルでテイクダウン。高橋は下から足関節を狙うが、内山がロープを掴んだためブレイクに。仕切り直しのスタンドから高橋がタックルでテイクダウン、パウンドをボディ顔面へ放っていく。
蹴り飛ばして立ち上がる内山に高橋が再びタックル、それを巴投げの要領で後方へ投げ飛ばした内山だが、高橋はしつこくタックルへ行く。
内山が胴をクラッチした状態から投げでテイクダウン、上体をぴったりと押し付けて抑え込むがブレイクに。
内山はバックキック、ワンツー。高橋の軽い左フックでバランスを崩して倒れる内山、高橋はすかさず組みに行くが、内山が上になる。立ち上がる内山を下から蹴り上げる高橋、内山はジャンピングフットスタンプからロープを掴む。
2R、すぐにタックルへ行く高橋だが、内山は軽くかわす。両者のパンチが空を切り、高橋が大振りしたところで内山が組み付いて倒す。すぐに起き上がる両者、内山は投げを見舞っていき、コーナーへ押し付ける。上体をぴったり密着させて抑え込む内山。
立ち上がると高橋が足関節を狙ってくるため、再び内山は抑え込む。ブレイク後、内山がワンツー、高橋が左フック。両者ともかなりの疲労が見える。内山がタックルからテイクダウンを奪うが、しがみついたままで展開が生まれず。内山はサイドからガブりに行くと、高橋が上を奪い返す。
パスを仕掛けていく高橋だが、内山が立ち上がってサッカーボールキック! そして再び上体を密着させて抑え込み、時折パウンドを入れる。内山が立ち上がってジャンピングフットスタンプ、高橋がその足を掴んだところで試合終了、内山が判定勝ちとなった。
▼第4試合 ミドル級戦 5分2R
△高瀬大樹(アイアムアイ)
ドロー 判定1−0 ※20−19、19−19、19−19
△キム・フン(韓国/パンクラスコリア/Team Tackle)
“影のグラップリング・キング”高瀬が約9年ぶりにパンクラスに参戦。セコンドには練習仲間の三崎和雄、桜木裕司。対するキムは、2月に大堀竜二を撃破し2連勝を狙う。セコンドにはPRIDEや戦極で活躍するチェ・ムベ。
1R、打撃戦になるかと思いきや、フェイントのパンチを交ぜながら高瀬がキムに組み付く。そのままコーナーに押し込んだが膠着したためにブレイク。高瀬は強烈な左右のローを入れながら組み付くとテイクダウン。キムはしがみついて防御に徹したが、高瀬は高速パスガードであっという間にサイドポジションへ。
そして足をキムの首に絡ませながらアームロック! キムの腕はえぐい角度に曲がるも、ここで1R終了のゴング。
2R、再びタックルを仕掛ける高瀬。一度は失敗したが、キムのローに合わせたタックルでテイクダウンに成功した。密着するキムに何も出来ないままブレイク。スタンドの攻防でキムの右フックがクリーンヒット! ダウンした高瀬は組み付いてキムのパウンドをしのぐ。下の高瀬は見事なリバースでマウントポジションを奪い返したものの、ここで時間切れ。判定はドローとなり、高瀬は納得のいかない表情を浮かべていた。
▼第3試合 ウェルター級戦 5分2R
△渡辺大介(パンクラスism)
ドロー 判定1−0 ※19−18、18−18、19−19
△圭太郎(圭太郎道場)
2月の窪田幸生戦で勝利した渡辺がウェルター級2戦目。ケージフォースを主戦場としてきた圭太郎と対戦する。圭太郎のセコンドには光岡映二。
1R、単発の打撃を繰り出す両者。お互いにカウンター狙いか静かな展開となる。接近戦で打ち合う中、圭太郎の左ジャブで渡辺がダウン! 一気に畳みにかかった圭太郎だが、渡辺はすぐに立ち上がり反撃に転じる。
2R、打ち合いの中、今度は渡辺がお返しとばかりにフックでダウンを奪い返す。ダメージを感じさせることなく圭太郎は立ち上がりスタンドの展開へ。
渡辺は飛びヒザを出しながら距離を詰め左右のフック。圭太郎もスーパーマンパンチから連打を見せるも時間切れ。決定的な場面はなく、ドローに終わった。
▼第2試合 ウェルター級戦 5分2R
○窪田幸生(坂口道場 一族)
TKO 1R4分22秒 ※パウンドでレフェリーストップ
●北田 有(和術慧舟會富山支部S.P.O)
ここ最近はパンクラスに定期参戦しているものの、勝ち星に恵まれていない窪田。一方、北田はパンクラスゲート×2、パンクラスゲート、本戦デビューと4戦全てサブミッションでの一本勝ちを収めている新鋭。
1R、長いリーチを活かした左ジャブでペースを掴むのは北田。序盤は押され気味ながらも徐々にペースを掴んだ窪田は右ジャブからパンチと蹴りを交ぜていく。ゆっくりとしたスタンドの攻防から、北田がタックル。
窪田がこれをフロントチョークで潰す。そのままパウンド連打の雨を降らせ、レフェリーが即座にストップ!
6年ぶりにパンクラスでの勝利を収めた窪田は「勝ちに恵まれなくて苦しんできました。ようやく勝つことが出来たので、これからもよろしくお願いします」と歓喜のマイクアピール。
▼第1試合 ライト級戦 5分2R
△岩見谷智義(高田道場/同級6位)
ドロー 判定0−1 ※19−20、19−19、19−19
△岡澤弘太(ノヴァ・ウニオン・ジャパン)
ウェルター級から階級を落とした岩見谷のライト級初戦を迎える。対する岡澤はこれまでZSTを主戦場にし、パンクラス初参戦となる。
1R、レスリング力に定評のある岩見谷を胴タックルでテイクダウンした岡澤。そのままマウントポジションを奪うと、腕十字へ。これで腕は伸びきったかに見えたが、岩見谷は何とか耐える。2Rから岩見谷が猛反撃へ。失速した岡澤をテイクダウンすると、ガッチリ押さえ込みながらバックを奪う。スリーパーを狙った岩見谷だったが決めきれずにドローとなった。
▼パンクラスゲート第6試合 ライトヘビー級ワンマッチ 93.0kg以下
○福田雄平
KO 1R49秒 ※スタンドのパンチ
●渡邊 聡(ストライプル行徳)
▼パンクラスゲート第5試合 ミドル級ワンマッチ 83.9kg以下
△成田健二(和術慧舟會東京本部)
時間切れドロー
△黒木慈仁(ノヴァ・ウニオン・ジャパン)
▼パンクラスゲート第4試合 ウェルター級ワンマッチ 77.1kg以下
○草ホンマン(チームタックラー)
TKO 2R2分8秒 ※パウンドでレフェリーストップ
●金森道
▼パンクラスゲート第3試合 ウェルター級ワンマッチ 77.1kg以下
△川和 真(禅道会新宿道場)
時間切れドロー
△西川純也(GRABAKAジム)
▼パンクラスゲート第2試合 フライ級ワンマッチ 56.7kg以下
○小嶋壮太(吉田道場)
一本 1R3分4秒 ※アームバー
●島袋 力(CORE)
▼パンクラスゲート第1試合 フライ級ワンマッチ 56.7kg以下
○荒井 司(和術慧舟會TIGERPLACE)
KO 1R8秒 ※グラウンドのパンチ
●羽鳥洋輔(宇留野道場/チームZST)
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