▲(左から)ドラゴンジム・佐藤亮会長、川島静夫トレーナー、モニカ、元ルンピニースタジアムのバンタム級1位のピーマイ・オーユッタナゴン
ワンソンチャイプロモーション
『タイ王妃生誕記念イベント クイーンズカップ2011』
2011年8月12日(金・現地時間)タイ・バンコク大ブランコ記念塔広場
第1部開始17:00 第2部開始19:30
▲ヒジが飛び交う!モニカ(右)とブラジル人選手の一戦は壮絶なものに!
8月12日(金・現地時間)タイ・バンコクの大ブランコ記念塔広場にて、ワンソンチャイプロモーション『タイ王妃生誕記念イベント クイーンズカップ2011』が開催された(タイランド・プロモート:ワンソンチャイプロモーション、コーディネート:ロンポージム・タイランド)。
今大会は世界各国の代表選手を招待し“ムエタイ世界最強”を決定するという、史上最大規模の女子ムエタイ大会であり、昨年は主催者であるタイ国ムエタイ界最大のプロモーター・ソンチャイプロモーションと友好関係を築いてきたJ-GIRLSが日本代表チームを結成(6名の選手を派遣)したが、今年は仙台のドラゴンジム(佐藤亮会長)が引き継ぎ、4名の選手をタイに送り込むこととなる。
本来は昨年と同じく王宮前広場での開催予定だったが、タイ王族に不幸があったために100日間同所は葬式場として使用されることで開始2日前になって開催場所が大ブランコ記念塔広場に変更。
→突然のスコールで、リングが設置してあるテント内のリングサイドに避難する観客
これを受けて、花火のセレモニーやパレード、アストラビジョンでの映画上映、ダンス、古式ムエタイショーなどといったイベントはバンコク市内に分散。
大ブランコ記念塔広場の広さは王宮前広場の20分の1の縮小スケールであり、さらにタイで連日降り続けるスコールの影響で、会場には予想を下回る約5,000人の観客(昨年は2万人)が詰め掛けた。
現地時間17時30分(日本時間19時30分)に第1試合がスタート。第2試合前には、若山龍嗣(ドラゴン)が登場し、若干18歳、30戦のキャリアを持つLomhesan(タイ)と対戦した。若山はフックからローで攻めるも、Lomhesanは首相撲からのヒザで主導権を握る。そのまま若山は盛り返すことが出来ず判定負けとなった。
第4試合には、“ハンマーパンチ”と呼ばれるハードパンチャーを持つ九州熊本の神風萸暉美(=かみかぜ・ゆきみ/神風塾)がタイトルマッチに初挑戦! 神風と対戦するKangpetch(タイ)は18歳で16戦12勝4敗のキャリアを持つ若手選手。
1Rからパンチを主体とした攻めを見せる神風だが、Kangpetchは距離を潰して首相撲の展開へ。神風にリズムを握らせないKangpetchに対し、それでも前に出続ける神風がパンチを何度もクリーンヒット! 4Rにわたる接戦は神風に軍配が上がった。
続く第5試合には、昨年にも登場したジェット・イズミ(M16ムエタイスタイル)がキャリア30戦のNapapron pudanggym(タイ)と対戦。
→ジェット・イズミ(右)は昨年のクイーンズカップにも出場。今回はタイ人選手を撃破した。
Napapronの左ミドルを主体とした攻撃の前に後手に回り気味のジェットだったが、後半になると右ミドル、ヒザで盛り返したジェットが優位に試合を進める。巻き返しを見せる形でジェットが判定勝利し、クイーンズカップ二連勝を果たした。
そして、タイ全土へのテレビ中継もあるメインイベントとなった第8試合には、3月11日に起きた東日本大震災後外国人が日本を離れる中、再三の帰国要請をはねのけ、被災地・宮城県のドラゴンジムで練習を続けているスウェーデン人留学生のモニカが登場。
本来は、昨年の同大会に続いて三冠王(WPMOジム女子世界ライト級王者、ワンソンチャイワールドタイトル63kg王者、J-GIRLSライト級王者)の村上リエ(ドラゴン)がメインに抜擢されていたが、5月に遭った交通事故の後遺症でドクターストップがかかり欠場となった。
バトンを受けるかたちでワンソンチャイワールドタイトル66kg王座決定戦に挑むモニカは、Prainara Lisbou(ブラジル)と激突。Prainaraは、17戦15勝2分無敗、20歳で170cmのMMAをベースとするパワーファイターだという。しかし、試合前のワイクーでは、完璧と言えるほどの舞いを披露し、会場からざわめきが起こる。
その前評判通りの強さを見せたPrainara。ワンツーからロー。さらにカウンターで合わせるヒジでモニカの鼻から大量の血が流れる。
モニカがジャブを出せば、
ヒジ、回転の速いパンチに押されっぱなし。モニカの顔面は血で染まり、Prainaraの連打をもらう場面もあり、いつレフェリーが試合を止めてもおかしくない状況となる。
しかし、
3R前にセコンドについた佐藤会長から「ここまで来たんだぞ! (3月11日東日本大震災による)津波を思い出せ! お前は津波で生き残ったんだから、亡くなった人の分まで頑張るんだ! みんなの(応援してくれる)声を思い出して戦え!」と檄を飛ばす。
すると、それに応えるようにモニカも大声で返事すると、観客からドドッと沸くようなどよめきが起こった。
3R。モニカは鬼の表情でひたすら前進し、首相撲からヒザ。相手にコーナーに押し込まれると、ひたすらPrainaraの顔面にヒジの連打! モニカの落ちない手数と前に出続けるプレッシャーの前に、遂にPrainaraの心が折れた! 最終Rも、モニカがパンチ、ヒザで攻め続けたところでゴング。判定決着となり、モニカに勝利が告げられると、まさかの大逆転勝利に場内の観客は拍手喝采。これでモニカは8連勝、デビューから僅か10戦目での二冠王となった。
大会終了後、佐藤会長の話によると、モニカは6月終わりから貧血状態が続き、練習が全く出来ない状況だったという。7月31日に練習を再開し、実際にこの日の試合を向かえるまでの練習期間は10日間。練習仲間の村上の突然の欠場で自身の試合がメインに繰り上がるといったことで、ナーバスになり試合をキャンセルするか、しないかの瀬戸際の状態にまでなっていた。
試合で見せたあのモニカの姿はまさに“青い目のサムライ”。男子の大会でも滅多に観られなかった大激闘を繰り広げたモニカは、大会MVPにも選ばれ、トロフィーが贈呈された。
“史上最大規模の女子ムエタイ大会”という触れ込み通り、滅多に見られない激戦、好試合が続いた今大会。女子日本代表チームの3戦3勝という結果を受けて、佐藤会長は「今年はまさかの津波被害、村上の交通事故による欠場があったりと、どうなってしまうのかとずっと不安でした。今は深く潜っていたプールからようやく顔を出して息が出来たような状態です。ドラゴンジャパンにふさわしい戦いが出来たと思います。モニカは2RKOされるかもしれない状況の中で大逆転し、メインの重責を果たしたと思います」とコメントした。
▼メインイベントTVマッチ ワンソンチャイワールドタイトル66kg王座決定戦 66.5kg契約 3分4R ※ヒジあり
○モニカ(スウェーデン/ドラゴン/MADタイトル66kg王者)
判定
●Prainara Lisbou(ブラジル)
※モニカがワンソンチャイワールドタイトル66kg王者に
▼ワンソンチャイワールドタイトルマッチ 57kg契約 3分4R ※ヒジあり
○神風萸暉美(=かみかぜ・ゆきみ/神風塾)
判定
●Kanpetch(タイ)
▼メインイベント 51kg契約 3分4R ※ヒジあり
○ジェット・イズミ(M16ムエタイスタイル/初代J-GIRLSミニフライ級王者)
判定
●Napaporn pudanggym(タイ)
▼52kg契約 3分5R ※ヒジあり
○Lomheesan(タイ)
判定
●若山龍嗣(ドラゴン)
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