M-1MC株式会社
「M-1 FAIRTEX SINGHA BEER ムエタイチャレンジ
第46回M-1ムエタイアマチュア大会」
2011年10月30日(日)千葉・ウィラサクレック天王台ジム
計量9:00 開始10:00
レポート&写真=鈴木雄一郎
今大会では、ジュニアと一般を分けた二部制となり、12月11日(日)開催のM-1ジュニアタイトル戦を前に、6階級(25kg級、30kg級、35kg級、40kg級、45kg級、55kg級)で熾烈な次期挑戦権の争いが行われた。
開始前から会場であるウィラサクレック天王台ジムは、応援に駆けつけた観客でビッシリ埋まっており、試合前から熱気に包まれていた。今大会のジュニアのメインとなる次期挑戦者決定戦、アマチュアデビュークラスによるビギナーズマッチ、定期ワンマッチで、それぞれ熱戦が繰り広げられた。なお、次回大会は12月11日(日)千葉・ウィラサクレック天王台ジムにて行われる予定。
▼M-1 55kg級次期挑戦者決定戦
○末永勇一(ウィラサクレック荒川)
判定
●HPS(Team DATE)
※末永がM-1 55kg級王座の挑戦権を獲得
一撃必殺のヒザ蹴りを武器に、首相撲と共に試合を組み立てる末永がM-1ジュニア最重量級となる55kg級の挑戦権を賭けた一戦に挑む。末永と対するは、Team DATEの新鋭・HPS。過去に、同門である陀羅尼もこの階級でタイトル挑戦権を賭けて挑んでいる。
開始前、リングコールからTeam DATE陣営の応援に熱が入り、HPSの名がコールされた瞬間、Team DATE陣営の応援が一気に過熱し、末永陣営の応援をかき消すほどの凄まじさ。大声援を受けたHPSはリングに上がると闘争心に火がついたのか、十分すぎるほどの気合をアピール。両者の応援合戦が過熱していく中、運命のゴングが鳴った。
1R、先に仕掛けたのは末永。アップライトスタイルでどっしりと構えながら左ミドルを打っていく。その左ミドルにHPSは右前蹴りを打ちながら前に出て首相撲へ。末永はすぐに位置を入れ替えようとするが、しつこく組み付いてくるHPS。独特のスタイルで末永にやりづらさを与えているようだ。その末永は、いったん距離を離し、飛び蹴り、右ミドル、首相撲と立て続けにつないでいき、徐々に末永ペースに。そして、終了間際には、強烈な左ミドルを叩き込み、首相撲からヒザの連打!
2R、1R後半から主導権を握った末永は首相撲からヒザの連打! ここから末永の得意のヒザが牙をむき始める。1Rで見せた左右ミドルは影を潜め、ひたすら首相撲からヒザ。耐えるのがやっとの状態のHPSは、何とか組んで末永のヒザに耐えていく。勢いづいた末永は首相撲からヒザという得意のパターンでこのRも主導権を握り、判定で末永が勝利。平本蓮(ウィラサクレック池袋)の持つM-1 55kg級王座の挑戦権を獲得した。
▼M-1 45kg級次期挑戦者決定戦
○石塚宏人(ドージョー☆シャカリキ)
判定
●佐々木輝夜
※石塚がM-1 45kg級王座の挑戦権を獲得。
1R、勢いよく飛び出し、右ミドルを打って先手を仕掛ける石塚。佐々木は様子を見る静かな立ち上がり。それも束の間、ワンツーから素早く右ミドル、首相撲へとつなげる佐々木。更に右ミドル、右前蹴りを追撃していくが、石塚は首相撲で応戦していく。
ジャブから右ローとつなげていく石塚だが、佐々木が首相撲を仕掛け、回しながら崩したところでゴング。
2R、右ローを打つ石塚に、すかさず右ミドルを返す佐々木。その後両者の首相撲の応酬が続いていく。ブレイク後、石塚が前に出ながら右ローを打っていく。石塚はこのラウンドは右ローを中心とした攻勢に。佐々木は右ミドルや右ローを返し、上下に打ち分けていく。
残り30秒、首相撲からヒザの応酬となり、そのまま試合終了のゴング。判定で石塚が勝利。ジュニア最強王者と目されている、那須川天心(チームTEPPEN)の持つM-1 45kg級王座の挑戦権を獲得した。
▼M-1 40kg級次期挑戦者決定トーナメント決勝戦
○溝口達也(尚武会)
判定
●黒木翔太(尚武会)
※溝口がM-1 40kg級王座の挑戦権を獲得。
シード権を獲得していた溝口が登場し、同門対決となった。新旧M-1 35kg級王者対決という図式となった一戦。黒木は35kg級に続き二階級制覇を、溝口は30kg級、35kg級に続いて三階級制覇をそれぞれ狙う。互いに手の内を知り尽くしているだけに、どう攻略して行くかが見ものである。
1R、しばらく首相撲からヒザが続き、黒木が左前蹴りで牽制すると、溝口は距離を取って右ヒザ、首相撲。
共に蹴りを主とした攻勢となり、共に差がないままこのRは終了。
2R、ワンツーから右ミドルを打っていく溝口に、佐々木は距離を取りながら左ミドル。しかし、溝口がしつこく右ヒザを打ち続け、そこへ首相撲を追加。更にしつこく組み付き、黒木にやりづらさを与えて行く。
黒木の得意の左ミドルが影を潜め、溝口の右ヒザが色濃く出る結果となり、判定で溝口が勝利し、かいおっと(真樹ジムオキナワ)の持つ、M-1 40kg級王座の挑戦権を獲得した。
▼M-1 40kg級次期挑戦者決定トーナメント準決勝
○黒木翔太(尚武会)
判定
●名倉彗悟(堀切KMC桜)
※黒木が決勝戦進出
名倉彗悟、黒木翔太、溝口達也と、歴代M-1 35kg級王者が勢ぞろい。奇しくも揃って階級を上げ、40kg級の舞台で激突。王者クラスによる熾烈な争いとなることが予想される。くじ引きの結果、溝口がシード権を獲得。名倉vs黒木の勝者が溝口と次期挑戦権を争うこととなった。同時に新旧M-1 35kg級王者対決が実現。共に階級を上げ、名倉は30kg級、35kg級に続く三階級制覇を、黒木は35kg級に続く二階級制覇をそれぞれ狙う。
1Rは互いに様子見の状態が続き、これといった動きがないまま2Rへ。ここから一気に流れが変わっていく。名倉は得意の首相撲が影を潜めたのか、右ミドルを中心とした攻勢に。互いに右ミドルを出し合う場面が目立った。
名倉が右ミドルを黒木がキャッチしてコカす高等技術を見せ付けた。黒木は更に左ミドルから素早く首相撲を仕掛け、手数を増やしていく。後半に手数を増やした黒木が判定で勝利し、決勝へと駒を進めた。
▼M-1 35kg級次期挑戦者決定トーナメント決勝戦
○草子(フリー)
判定
●辻龍也(ウィラサクレック三ノ輪)
※草子がM-1 35kg級王座次期挑戦権を獲得。
1R、ジリジリと距離を詰めながら、インファイトに持ち込む草子。辻は距離を取りながら右ミドルとワンツー。
辻が仕掛ける首相撲に、草子も付き合う形となるが、草子は首を掴みながら強引に右ローと右ミドル、更に左フック、右ローと手数で圧倒していく。
2R、パンチを打ちながら前に出る草子。
辻は草子のインファイトには付き合わず、距離を取って右ミドル、右前蹴り、首相撲。1Rと同様の攻勢だ。辻が右ミドルを打ったところを草子がこれをキャッチしてコカす。辻がワンツーから右ミドルを打つと、草子はすかさず右ローとワンツーを追撃。
手数で上回った草子が判定で勝利し、次期挑戦権を獲得した。なお、M-1 35kg級王者の溝口達也(尚武会)が40kg級へと階級を上げたため、王座は空位となっている。
▼M-1 35kg級次期挑戦者決定トーナメント準決勝
○草子(フリー)
判定
●拓真(新興ムエタイ)
※草子が決勝戦進出
インファイタータイプの草子とムエタイスタイルの拓真。いかに互いの得意分野に持ち込めるかが勝敗の分かれ目となってくる。拓真が首相撲からヒザを中心とした攻勢に出るのに対し、草子は拓真の首相撲に付き合わず、突っ込んでの右ストレート、右ローを中心とした打撃中心の攻勢に。手数で草子が上回っていく。
2Rになると右ミドルや首相撲を積極的に仕掛ける拓真。それでも草子は前に出ながらパンチを繰り出していく。拓真が左インローを打ったところに、草子の右ストレートが拓真のアゴをモロにとらえる。手数を増やして攻めの姿勢を貫いた草子が判定で勝利し、決勝へと駒を進めた。これにより、辻と草子の間で次期挑戦権を争うことが決定した。
▼M-1 35kg級次期挑戦者決定トーナメント準決勝
○辻龍也(ウィラサクレック三ノ輪)
判定
●早川温貴(不死鳥道場)
※辻が決勝戦進出
右ミドルの打ち合いから幕を開けた第1R。互いに右ミドルを打てば、互いに右ミドルをキャッチするという似た展開に。
2Rには、辻の右ミドルに、早川はカウンターで右ストレートを合わせて首相撲へ持ち込んでいく。辻は右ミドルを中心に打っていき、距離を取りながらも右ミドルを打ち続けていく。辻の右ミドルに対して、早川は右ローを打っていく。手数で早川を上回った辻が判定で勝利し、ひと足先に決勝へと駒を進めた。
▼M-1 30kg級次期挑戦者決定戦
○服部柊斗(ウィラサクレック蕨)
判定
●侃 sit sor nong(センチャイムエタイ)
※服部がM-1 30kg級王座次期挑戦権を獲得。
1R、右ミドルから首相撲を出し合う両者。その後様子見が続くが、服部が少しずつ距離を詰めて右ローと首相撲。その後ワンツーから右ハイ、左ミドルと積極的に手を出していく服部。侃は依然様子見の状態だ。
これを見かねた侃のセコンドから「もっと手を出せ!」と指示が飛ぶ。それをよそに服部はワンツーから左ミドル、首相撲からヒザと、服部が主導権を握り始める。
2R、1Rで手数が少なかった侃が、ようやく攻めの手に転じる。左ローを打つ侃に、服部は左ミドルを返す。更に服部は右前蹴りから左ミドル。左右ミドルを打ち分けていく。侃は左ロー、左ミドルで応戦していく。
このラウンドでも服部の手数の多さが目立ち、主導権を握り続けた服部が判定で勝利するも、服部は納得がいっていない様子であった。佐々木雄汰(尚武会)の持つM-1 30kg級王座への挑戦権を服部が獲得した。
▼M-1 25kg級次期挑戦者決定戦
○彪雅(クロスポイント吉祥寺)
判定
●中条天晴(マッハ道場)
※彪雅がM-1 25kg級王座の挑戦権を獲得
1R、右前蹴りで牽制しなが首相撲を仕掛ける彪雅。更に、距離を詰めて踏み込んで右ミドルを追撃。彪雅の右ミドルを中条がキャッチし、右ローを返す。またも踏み込んで右ミドルを打つ彪雅だが、またしても中条は彪雅の右ミドルをキャッチして右ローを返す。
いったん距離を取る彪雅は、その後距離を詰めて右ストレートを打つ。これが中条のアゴをとらえクリーンヒット。彪雅の右ストレートを被弾する中条だが、右ミドルを打ちながら前に出て首相撲を仕掛けていく。
2R、互いに首相撲からヒザがしばらく続く。中条が右ストレートを仕掛けると、彪雅は右ミドルで応戦。ここでも彪雅は踏み込んで右ミドルを打つが、中条がまたしても彪雅の右ミドルをキャッチ。そこから首相撲からヒザへ持ち込んでいく。互いに踏み込みながら右ローを打ち合い、一発一発力を込めて打っているようだ。
終盤に彪雅が右前蹴りと右ミドルを打ち、中条が左ミドルを返したところで試合終了のゴング。判定で彪雅が勝利し、松土龍冴(WSR天王台)の持つM-1 25kg級王座の挑戦権を獲得した。
▼ワンマッチ
鋭い右ヒザを武器にし、ひと際高い打点の前蹴りでインパクトを残した野田里穂(MADNESS CHERRY)、パンチの連打から右ミドル、首相撲からヒザと、圧倒的な実力を見せ付けた壮真(新興ムエタイ)といった新鋭が登場。現在のジュニアトップ戦線をひた走る選手たちに待ったをかける超新星が現れた。また、永遠(藤原)がヒザ蹴り一撃でKO。そのヒザ蹴りは、対戦相手が嘔吐してしまうほどであったため、強烈なインパクトを残した。湯田海斗vsGENの新鋭同士の一戦は、ハイレベルな攻防が繰り広げられ、ワンマッチではベストバウトと称してもおかしくない内容であった。
また、8月28日に、3度目の正直でM-1 25kg級王者に、10月23日にはMAジュニア25kg級王者となった松土龍冴(WSR天王台)が登場。二冠王者となって初の試合をホームリングで向かえ、勝利を飾った。
M-1ジュニアの常連ファイターの優音(藤原)も参戦。JMD理事長であり、藤原ジム会長でもある藤原敏男氏が見守る中、奮闘するも、惜しくも勝利に届かず。
▼ジュニアビギナーズクラス
今大会よりスタートしたジュニアビギナーズクラス。これは、2戦までの選手を対象としたクラスで、試合攻勢は1分2Rと短めになっており、無理なくエントリーが可能だ。ムエタイのデビュークラスと言い換えてもよいだろう。今大会では4試合がジュニアビギナーズクラスとして組まれた。
いざ蓋を開けてみれば、デビュークラスとはとても思えないほどのアグレッシブさであり、本当にムエタイデビューを果たしたばかりなのか、と疑うほどであった。それを色濃く思わせたのが、チームTEPPENのNENEとRIRIだ。姉妹揃っての出場となったのだが、姉妹揃って胴回し回転蹴りを繰り出し、共にクリーンヒットさせたことで、周囲を驚かせていた。NENEはドロー、RIRIは判定で勝利。
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