タイでの洪水被害が懸念されていた真っ只中の11月9日(水・現地時間)タイ・ラジャダムナンスタジアムにて、“90年代の名キックボクサー”佐藤孝也氏率いるキング・ムエのWINDY Super Fight 45kg級王者・福田海斗、同30kg級王者・福田真斗の両兄弟が試合を行った。
前回8月のタイ遠征では、兄・海斗はルンピニースタジアム、弟・真斗はサラブリー県・アディソンスタジアムにてそれぞれ試合を行い、真斗は判定勝利し、タイ側から賭け試合(ドゥームパン・ムエ)での再戦要求が申し込まれていた。また、海斗は判定で敗れたものの現地での評価が高く、今回ルンルアンレックやパノムルンレックといったスター選手が登場する興行に起用された。
写真提供:早田寛(シンラパムエタイ)
記事提供:キング・ムエ
「スック・ダーウルンプラパート」
2011年11月9日(水・現地時間) タイ・バンコク・ラジャダムナンスタジアム
▼第7試合 96P契約
○カイト・エクシディコンジム(=福田海斗/キング・ムエ/WINDY Super Fight 45kg級王者)
判定
●ペットエーク・ポールンゲット(タイ)
序盤、積極的にローキックを繰り出すものの、ペットエークの前蹴りに出足を阻まれ、なかなかペースがつかめない海斗。
2R、B-FAMILY NEO・大田原光俊代表から「一度、がっちり組んでみろ!」との指示通り、前に出て得意の首相撲勝負を仕掛ける。
3R、このラウンドも海斗が積極的に前に出て首相撲、ペットエークがロープを背負う場面が多くなる。しつこい海斗の首相撲に体力を奪われているようだ。勝負どころとなる4R、ペットエークも海斗を脇差しでロックする作戦に切り替え、つかまってしまう海斗。そしてロックされたままコカされてしまう! ムエタイにおいて、勝負のラウンドである第4Rにコカされることは大きなポイントロスにつながる。
海斗も必死に応戦、セコンドからの「パンチ!パンチ!」の指示に反応し、ヒジを使って空間をこじ開け、渾身の右ストレート! この一撃でペットエークは後退、海斗がヒザ・ヒジで追撃し、そしてお返しのコカし技。これでほぼ勝負あり、最終5Rは前半首相撲で攻め続け、後半ムエタイの定石通り間合いを外してポイントアウト。見事な試合展開で、判定勝利した。
タイ人以外の外国人がムエタイのリングで試合をする場合、おおよそ1、2Rはパンチ・キックで圧倒していても、3R目からヒザで逆襲され判定負け…というパターンが多い。しかし、海斗は逆に3R以降首相撲で勝負して判定で勝つという、どちらがタイ人か見間違えるほどだった。ムエタイをしっかり理解している証拠だろう。これで海斗は、2大メジャースタジアムで2戦して1勝1敗となった。
▼第8試合 75.5P契約
○ナオト・エクシディコンジム(=福田真斗/キング・ムエ/WINDY Super Fight 30kg級王者)
判定
●ノンビー・スワンアーハンピークマイ
当初、8月に対戦したジャオプラヨックとの再戦が予定されていたが、急遽対戦相手が変更となり、しかも約3ポンドのハンディを背負うことになった真斗。タイのリングで3ポンドの差は、当然賭けに大きく影響してくる。このピンチをどう乗り切ったのか。真斗が練習拠点にしているエクシンディコンジムと関係が深いセンチャイ・シンビームエタイが真斗のセコンドにつく。
1R、左ローをクリーンヒットさせ、主導権を握る。ノンビーはこれを嫌がり、首相撲を仕掛けていく。1R目から首相撲という思わぬ展開であったが、真斗も冷静に対処し、リードを許さない。
2Rも、離れて戦うのを嫌ってノンビーが積極的に前へ。組んでは小さいながらも真っ直ぐのヒザ蹴り(テンカオ)を真斗のボディに突き立てる。しかし真斗も組み負けることなく、中盤には入ってきたところへカウンターの右ヒジもヒット!
3R以降は、センチャイの指示でフェイントからの右ミドルキックを多用。ノンビーが入ってくるところへミドル、そのまま蹴り足を相手のベルトラインに食い込ませ、前進を止めるという高度なテクニックも見せた。
4R、後がないノンビーは必死に前進、首相撲をどんどん仕掛けてくるが、真斗は冷静に右前蹴りで突き放す。そして3Rと同じく、フェイントからの右ミドルキック、組んでも常にロープを背負うのはノンビーの方だ。このラウンドでほぼ勝負あり。
最終5R、前半は出てくるノンビーを迎え撃つも、ギャンブラー達から早々に「ポーレーウ!!(もう充分だ!!)」の掛け声が上がり、前蹴りを使って突き放し、ゴング。ほぼパーフェクトな内容で判定勝利。3ポンドのハンディをものともせず勝った真斗。会場にいた日本でもトレーナー経験のある元選手のタイ人は「こんな動きをする日本人は見たことないよ!」と絶賛であった。真斗のタイでの戦績は2戦2勝。日本でもタイでも、今後の活躍が楽しみだ。
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