▲勝利者のコールを告げられた裕樹(手前)はガッツポーズを作り、敗れた渡辺(奥)はがっくりとうなだれた
RISEクリエーション
「RISE 87」
2012年3月24日(土)東京・後楽園ホール
開場17:15 本戦開始17:30
▲1Rダウンを奪われた裕樹(右)だったが後半猛反撃を見せて渡辺を撃破
▼メインイベント(第12試合)ライト級(-63.0kg)タイトルマッチ 3分5R無制限延長R
○裕 樹(ANCHOR GYM/王者)※所属をリアルディールから変更
判定2−0 ※46−45、45−45、46−45
●渡辺理想(極真会館/挑戦者・同級2位)
※裕樹が初防衛に成功。
裕樹は2010年12月に初代ライト級王者決定戦で現スーパーライト級チャンピオンの吉本光志とベルトを争い、必殺のローキックでKO勝ちして王者となり、今回が初防衛戦。所属していたリアルディールから独立し、兵庫にANCHOR GYM(アンカージム)を立ち上げてからは初の試合となる。挑戦者の渡辺は、1・28後楽園大会で麻原将平との次期挑戦者決定戦を僅差で制し、初のベルト奪取に挑む。
1R、サウスポーに構えた渡辺が前蹴りからブラジリアンハイキック、左ミドル。渡辺が前蹴りで裕樹を吹っ飛ばすと、場内を埋め尽くした渡辺の大応援団から歓声が沸き起こる。渡辺の三日月蹴りで裕樹が下がり、そこへ追撃の左ミドル! 裕樹がしゃがみこむようにダウンを喫する! 渡辺は後ろ蹴り、左ミドル、飛びヒザ蹴り、左ストレート。裕樹はロープとコーナーを背負って耐える。終盤に前へ出て圧力をかける裕樹だが、渡辺は左ローと前蹴り、左ストレート。
2R、前に出る裕樹だが渡辺の左ストレートをもらって腰が落ち、渡辺はハイキック、左ミドル。裕樹はフックとアッパー、渡辺は左ストレート。渡辺はジャブを多用しつつ、パンチと左ミドルで裕樹の赤黒く変色した右わき腹を狙う。裕樹は前に出てフックとアッパー、渡辺は前蹴りで突き放す。裕樹の左ボディから左フック、さらに右ストレート! 近づくと左右のヒザ蹴りから左フック。渡辺も左ミドルで応戦するが、裕樹の圧力に下がり続ける。
3R、渡辺の左ミドルに裕樹が左フックを合わせ、渡辺に尻餅をつかせる。どんどん前に出てパンチとヒザ、右ローをヒットさせていく裕樹。渡辺は左ストレートから左飛びヒザ蹴り、左右のストレートと左ミドル。裕樹は喰らいながらも前に出るが、渡辺がジャブと前蹴りで突き放す。裕樹のノーモーションで繰り出す右ストレートに渡辺がのけぞる! 裕樹は右ローを蹴って渡辺の蹴りには右ストレートを合わせ、どんどん圧力をかけていく。
4R、渡辺はいきなり後ろ蹴りから左ストレート、左ミドルと前蹴りで裕樹を突き放す。裕樹は右ローを蹴って前に出て、ノーモーションの右ストレート、右ショートアッパー。渡辺は左ストレート、裕樹が右ロー。またも裕樹の右ストレートで渡辺がのけぞる! 右ストレートでのけぞらせ、右ローを蹴る裕樹。渡辺はステップを使って離れるが、裕樹は間合いを詰めてヒザと右ロー、そして右ストレートでのけぞらせる! 裕樹は前に出続けて攻撃し、渡辺を下がらせる。
5R、パンチで打ち合う両者。裕樹が右ショートアッパーからの左フック、渡辺は左ストレート。渡辺は鮮やかにパンチをかわすが、裕樹は右ローと右ストレート。さらに右ハイキック! 裕樹が猛然とパンチでラッシュをかけ、渡辺は防戦一方に。裕樹の右ショートアッパー連打、右ストレート、右フック、左ハイキック! 防戦一方の渡辺についにレフェリーがスタンディングダウンを宣告! その後も一方的な連打で渡辺は防戦一方となり、2度目のスタンディングダウンが宣告される。ラスト10秒、ラッシュをかける裕樹に渡辺も必死に耐える。
大熱戦に後楽園ホールは熱狂! 激闘の結末は判定に持ち込まれ、勝者は判定2−0で裕樹! チャンピオンらしくダウンを奪われても守りに入らず猛反撃し、最後まで諦めず攻めきった結果、大逆転の勝利をもぎとった。
裕樹は「俺、ここで圧勝して渡辺にまだ甘いぞと言いたかったけれど、強かった。極真は昔からかっこいいと思っていて、胸を借りるつもりで行きました。マジきつかったです。でもジムを立ち上げて絶対に負けられないと思って、こんなに多くの人が応援に集まってくれたので絶対に勝たないといけないと思って諦めなかった」とマイクで応援団にお礼を述べる。
そして、「俺、リアルディールの畔田さんに電話で辞めると言ったんですよ。もう帰ってるかも知れませんが、12年間僕をここまで育ててくれてチャンピオンにしてくれて、道を作ってもらったのは畔田さんのおかげです。本当にありがとうございました。絶対に勝って言おうと思っていました。自分が格闘技界を絶対に盛り上げようと思います。でも見てくれる人がいないと今日みたいないい試合が出来ないんですよ。みなさん、ガンガン声を上げて格闘技を盛り上げていきましょう!」と、育ての師匠にお礼を言い、ファンにメッセージを送った。
なお試合後、裕樹は左足の内側々副靭帯断裂(ないそくそくふくじんたいだんれつ=ヒザの内側の靭帯)で蹴ることがほとんど出来ず、「右ローは確実に当たる時だけ蹴ろうと思っていた」という。「3〜5Rになったら絶対に相手のスタミナが切れると思っていた」と逆転勝利の要因を語った。
▲山上のヒザ蹴りに左フックのカウンターを合わせるKENJI(左)
▼セミファイナル(第11試合)バンタム級(-55.0kg) 3分3R延長1R
○KENJI(DC LAB.GYM/RISE同級王者)
判定3−0 ※28−26、28−25、29−25
●山上幹臣(総合格闘技道場STF/修斗世界フライ級王者)
1月大会でムエタイの強豪パジョンスックに勝利したバンタム級王者KENJIの対戦相手は、修斗世界フライ級王者の山上。昨年11月に修斗世界王者となった山上だが、RISEのアマチュア大会KAMINARIMONのトーナメントで優勝し、RISEのリングに上がっていたこともある打撃センスの持ち主。
今年は修斗、シュートボクシング、RISEの“SRS三冠王者”を目標に掲げており、今回のKENJI戦がその第一歩となる。KENJIはRISE王者として、山上からRISEの牙城を守ることが出来るか?
1R、サウスポーの山上は前蹴りで突き放しつつパンチを狙い、KENJIはジャブから左ボディを狙う。KENJIの左フックに左ハイキックを合わせる山上。KENJIは圧力をかけて右ストレート。山上のカウンターの右ストレートで腰を落としかけるが、KENJIは右ストレートから右フック、続く左フックと前に出ながらパンチを当てていく。
2R、ジャブと前蹴りで距離を取る山上にKENJIは右ストレートから距離を詰めていく。山上のヒザ蹴りには右フック、抱きついてくる山上に連打を浴びせてダウンを奪う。続いて左フックを何度もヒットさせ、山上はヒザ蹴りとタックル。KENJIの連打にグラつく山上は2度目のダウンを喫しKENJIのパンチをもらいまくる。
3R、山上は左のヒザを突き刺し、KENJIはパンチで前に出る。山上はホールディングでイエローカードを提示された。右ストレートと左フックで前に出て連打するKENJIに、山上も右ストレートと前蹴り、左フックで反撃。左フックでグラつかせるKENJIだが、山上のパンチをもらう場面も増えてきた。パンチで有効打を奪い続けるKENJIに山上もよく反撃し、勝敗は判定にもつれ込みKENJIが大差の判定勝ち。
「何やってるんだろう、すいませんでした。もう1回だけチャンスをください。次は絶対に倒します」とKENJIはKO出来なかった悔しさをマイクで吐露した。
▲上原(左)がわずか2発のローキックでKO勝利
▼第10試合 日中対抗戦 ライトヘビー級(-90.0kg) 3分3R延長1R
○上原 誠(士魂村上塾/第2代ヘビー級王者)
TKO 1R22秒 ※右インローキック
●ワン・ジンガン(中国/北京龍威搏撃クラブ/CFP)
昨年11月23日に行われたヘビー級トーナメントで惜しくも準優勝に終わった上原が、新設されたライトヘビー級(−90kg)で再起戦を行う。対するワンは“大力金剛王”の異名をとるサウスポーのオールラウンドファイターで、ムエタイ、WBCボクシング、MMA(総合格闘技)で30戦24勝6敗の好戦績を収めているファイター。左フックとヒザ蹴りを得意にしているという。
1R、上原の右インロー2発で崩れ落ちたワン。そのまま立ち上がることが出来ず、上原があっという間のKO勝ち。これにより、RISEvs中国の対抗戦はRISE側が全員秒殺KOで勝利を収めた。
マイクを持った上原は「今日は20秒くらいで勝っちゃって、あまりにも早く終わっちゃって次の試合の人がウォーミングアップが終わってないと思うので5分くらい喋ります。実は昨日か一昨日くらいに風邪をひいちゃって試合が出来るかと思ったんですが出来ました。これくらいでいいですか? 6月も頑張ります」と試合時間よりも長いマイクパフォーマンスを行った。
▲小宮山(右)の後ろ蹴り一発でムーは腹をかかえるしぐさを見せた
▼第9試合 日中対抗戦 -61.0kg契約 3分3R延長1R
○小宮山工介(北斗会館/第3代スーパーフェザー級王者)
TKO 1R1分12秒 ※パンチ連打
●ムー・ユエロン(中国/北京龍威搏撃クラブ/CFP/2008年WKA世界自由搏撃ドイツベルリン大会60kg優勝、2010年WKA世界自由搏撃争覇戦香港大会60kg優勝)
小宮山はオランダのハムザ・エッサリ、韓国のキム・ジンショク、IT’S SHOWTIME -61kg級初代世界王者セルジオ・ヴィールセンなどを破り、現在6連勝中。今回対戦するムーは抜群のパンチ力を持ち、2008年にWKA世界自由搏撃ドイツベルリン大会60kg優勝、2010年にWKA世界自由搏撃争覇戦香港大会60sで優勝。華麗な回し蹴りと多彩なコンビネーションで観客を魅了し、MMAでも活躍中の人気ファイターだという。戦績は22戦15勝(6KO)5敗2分。
1R、ゴングと同時に飛び蹴りを繰り出すムー。さらにハイキックからの後ろ回し蹴りで場内を沸かせる。しかし、小宮山の後ろ蹴りで腹をかかえ、追撃のパンチでダウン。手を上げて"大丈夫"とアピールしたムーだったが、小宮山の三日月蹴りで再び腹をかかえ、小宮山がパンチの連打で追撃! レフェリーがストップをかけ、小宮山が神村に続いての秒殺KO勝ちとなった。
▲左フック一発でダウンを奪った神村(右)
▼第8試合 日中対抗戦 -48.0kg契約 3分3R延長1R
○神村エリカ(TARGET/Girls S-cup2011王者、WBCムエタイ女子インターナショナルライトフライ級王者、WPMF&WMC世界女子ミニフライ級王者)
TKO 1R33秒 ※左ストレート
●ファン・ヤーウェン(中国/演武堂/CFP/2011年 中国山東省武術学校48kg級散打王者、2011年中国山東省済寧市体育大会52kg級散打王者)
昨年11月にシュートボクシングのRENAとの女子頂上決戦に敗れた神村が、再起戦を行う。今年からWBA女子世界王者とのボクシングスパーリングを定期的に敢行し、パンチ力とコンビネーションを強化している神村が迎え撃つのは、中国散打の2階級制覇王者ファン。武術、格闘技の盛んな中国山東省の女子エースで、19歳になった神村よりも年下の17歳。幼少から格闘技を経験しており、長い手足から繰り出される変幻自在のスタイルで、特に伸びのあるスピーディーなパンチは相手を一発で沈める威力を秘めているという。戦績は23戦17勝(9KO)6敗。
1R、ファンがサイドキックからローを放った直後、神村が左フック直撃でダウンを奪う。続く左ストレートでファンは後方へ大きく吹っ飛び、レフェリーが試合をストップ。神村が復活のKO勝利を飾った。
★第7試合(モハン・ドラゴンvs菅原勇介)、第6試合(花田元誓vs仲江川裕人)、初代フェザー級王座決定トーナメント1回戦などの試合結果はこちら
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