極真空手道連盟 極真館
「2012 KARATE WORLD CHAMPIONSHIP SHINKENSHOBU
全世界ウェイト制空手道選手権大会」
2012年7月8日(日)東京・国立代々木競技場第二体育館
開場9:00 開会式13:30
▼80kg超級決勝戦
○アレクサンダー・コマノフ(ブルガリア)
延長1回 判定5-0
●セルゲイ・オシポフ(ロシア)
真剣勝負ルール初の世界大会が開催された。この真剣勝負ルールとは従来の極真空手ルールに顔面突き(オープンフィンガーグローブ着用)、ヒジ打ち(サポーター着用)、投げ、逆技(立ち関節技)を加えた総合格闘技に近いルールで、今大会は65kg以下級、72kg以下級、80kg以下級、80kg超級の4階級(各階級8名)で行われた。
この中で最も注目を浴びたのはロシア連邦警護庁(元KGB第9局)に勤め、プーチン大統領や政府要人を守る警護隊に属しているセルゲイ・オシポフだ。
1回戦、181cm、92kgのオシポフに対し、ブルガリアのトドール・トドロフは193cm、108kgと体格では大きくオシポフを上回る。開始早々、トドロフは重みのある突き蹴りの連打で前に出るがオシポフはうまく間合いを外し様子を見ながら突きを返していく。
2分40秒過ぎたところで、オシポフの左フック一発がトドロフのアゴに入りKO、オシポフの一本勝ちとなった。準決勝は対戦相手が負傷のため棄権し、オシポフは不戦勝、決勝に駒を進めた。
決勝戦の相手はブルガリアのアレクサンダー・コマノフ。176cm、86kgとオシポフよりも小兵ながら多彩な蹴り技を得意とする選手だ。
開始の太鼓が鳴り、ジリジリ前に出て圧力をかけるオシポフ。コマノフは下がりながら細かく手数を出しながら突き、上段廻し蹴り、前蹴りなどを繰り出し、オシポフも重く破壊力のある上段廻し蹴り、そして先ほどKOしたフックを何度も振りまわす。本戦3分終了、5人の審判のうち1人だけオシポフに挙げ、後は引き分け。2分の延長戦に突入。
1分過ぎ、オシポフがコーナーまで詰めたと思いきや、コマノフはオシポフの顔面に左の突きを当て、続けて出した左上段廻し蹴りがアゴをとらえる。ここでオシポフが一瞬ぐらつき、ここぞチャンスとばかりにコマノフは突きのラッシュ!オシポフはクリンチで逃れるも、再開後もコマノフの突き蹴りのラッシュは止まらない。終了の太鼓が鳴り、判定5-0でコマノフの勝利となった。
▼80kg以下級決勝戦
○キュレベグ・ミルザエフ(ロシア)
本戦5-0(ミルザエフに技あり)
●ニコライ・ヨルゴフ(ブルガリア)
183cmのヨルゴフはリーチのある突きでミルザエフの顔面を狙っていく。172cmのミルザエフはパンチをもらわないように距離をとりながら右ローキックをヒットさせる。スライディングしながら、そして、ときおりパンチをスウェーでかわしながら低い姿勢から右下段廻し蹴りを叩き込む。
太ももに徐々にダメージが蓄積していき、ヨルゴフは顔をゆがめ、背を向ける。1分23秒、ミルザエフが下段廻し蹴りによる技ありを奪う。後半、ミルザエフは更に積極的に突き、下段回し蹴りと相手を追い詰め圧勝。
これでロシアは65kg以下級、72kg以下級、そしてこの80kg以下級と3つ目の栄冠を手にした。
▼72kg以下級決勝戦
○サイプシン・ジャワタノフ(ロシア)
延長1回 判定5-0(延長戦でジャワタノフに技あり)
●遊佐真介(日本)
前半戦はお互い距離を保ちながら蹴りで様子をうかがっていたが、中盤からジャワタノフが相手の袖を片手でつかみ、もう一方の手で突きを連打するというアグレッシブファイト。
遊佐もジャワタノフのつかみ攻撃に付き合う形となったが、遊佐がそれをスウェーでうまくかわす。本戦3分が引き分けで延長戦へ入り、ジャワタノフのつかみ戦法に遊佐がハマリだす。つかんでは突き、膝蹴り、投げで攻め立てる。
遊佐は攻撃をもらいながらも耐えていたが、延長戦2分の終了間際、つかんでからのフックからアッパーの連打が遊佐のアゴにクリーンヒット。これが技ありとなり、それと同時に終了を告げる太鼓が鳴り、ジャワタノフが勝利。
この試合前に65kg以下級の決勝で中川が敗れており、これで日本王座の夢は次回の大会まで持ち越しとなった。
▼65kg以下級決勝戦
○アントン・クリボシーフ(ロシア)
本戦 合わせ一本
●中川裕介(日本)
ロシアMMAで優勝の実績を持つアントン・クリボシーフに対し、中川は距離をとりながら前蹴り、廻し蹴りで攻める。クリボシーフは中川の蹴りを受け、突きを返す展開。
2分過ぎ、中川の前蹴りをバックステップでかわし、クリボシーフが左ストレート。中川の体がふらつき、これが技ありに。
ポイントを奪われた中川は積極的に突きで前に出るが、中川の右フックとクリボシーフの左フックがクロス。一瞬早くクリボシーフの突きが顔面をとらえ、中川がダウンし技あり。クリボシーフが技あり2つで合わせ一本で完勝した。
同時開催
「全日本高校生ウェイト制大会」
-59kg以下級、-65kg以下級、80kg超級の3階級で行われた。
注目されたのはロシアで開催された「ロシア全世界青少年空手道選手権大会」で2008〜2010年まで3連覇を果たした大西拳伍(15歳・埼玉中央支部)だ。
65kg以下級にエントリーした大西は、決勝戦で同じ埼玉中央支部の同門、赤坂聡海の突きを顔面にもらい技ありを取られたが、試合再開後、大西は蹴りから右フックにうまくつなげ技ありを取り返し、以降、蹴りを上下に使い分け突きもうまくまとめて優勢に試合を進め、判定5−0で逆転優勝を飾った。
なお、大西選手のさいたま中央支部は顔面の攻防に力を入れており、この高校生大会の59kg以下級で優勝の秋葉尉頼や、今回の世界ウェイト制大会72kg級3位の田中晶典、80kg以下級3位の水野大成を輩出。
また、川崎・元住吉道場では真剣勝負ルール・全日本ウェイト制準優勝の古賀裕和師範が教え、同じく顔面の研究はもちろん他武道、格闘技との技術交流を深めており、今回の高校生ウェイト制の80kg超級で優勝した遊佐隆介や世界ウェイト制大会72kg以下級で準優勝した遊佐真介を輩出している。
明日の日本を担う選手がこの高校生大会からも出てきそうだ。
<大会結果>
▼80kg超級
優 勝 アレクサンダー・コマノフ(ブルガリア)
準優勝 セルゲイ・オシポフ(ロシア)
3位 アレクサンドル・ツアレフ(ロシア)
3位 クラシミル・コレフ(ブルガリア)
▼80kg以下級
優 勝 キュレベグ・ミルザエフ(ロシア)
準優勝 ニコライ・ヨルゴフ(ブルガリア)
3位 アレクサンダー・シュローター(デンマーク)
3位 水野大成(日本)
▼72kg以下級
優 勝 サイプシン・ジャワタノフ(ロシア)
準優勝 遊佐真介(日本)
3位 田中晶典(日本)
3位 谷口雅春(日本)
▼65kg以下級
優 勝 アントン・クリボシーフ(ロシア)
準優勝 中川裕介(日本)
3位 時田元気(日本)
3位 フジャトゥーラー・サメザッダ(日本)
同時開催
「全日本高校生ウェイト制大会」
▼59kg以下級
優 勝 秋葉尉頼(さいたま中央)
準優勝 黒口貴成(広島)
▼65kg以下級
優 勝 大西拳伍(さいたま中央)
準優勝 赤坂聡海(さいたま中央)
▼80kg超級
優 勝 遊佐隆介(川崎・元住吉)
準優勝 鈴木俊平(千葉・東葛)
「全日本青少年空手道選手権大会/団体戦」
優 勝 西新井チーム 西新井支部
準優勝 京都チーム 京都支部
第3位 川崎元住吉チーム 川崎元住吉支部
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