「スック・モエタイルンピニークリッククライ」
2012年8月18日(土・現地時間)タイ・ルンピニースタジアム
▼第6試合 116P契約
○ユースケ・エクシンディコンジム(=大田原友亮/B-FAMILY NEO/UKFインターナショナル&日本フライ級王者、TRIBELATEキックフェザー級王者)
判定
●サムリントーン・ポー・シッティチャイ(タイ)
「もうタイで何戦闘ったか戦績も覚えていない」という大田原友亮だが、これまでに約30戦を闘い勝率が7割、うち半分がKO勝ちだという。常時タイで特訓し、多い時で月に2戦をこなす大田原にとっては、細かな戦績も数えていられないだろう。そんなところも既にタイの選手らしい。
本日の相手は、やはり大田原同様に戦績約30戦のサムリントーン。この試合のためにタイ南部チュンポン県から出てきた16歳だ。
試合は初回、大田原が相手の顔面すれすれの高いミドルを連射。蹴り主体の試合運びは、ちょっとした立ち位置の違いで自分が優位に蹴れるかどうかが左右され、ムエタイの選手はそのあたりの駆け引きに長けているが、大田原も蹴り主体の駆け引きを身につけてきているようだ。
2Rに入りミドルキックの連射から、ハイキックとローキックを交互に繰り出す流れに変わった。普通ハイキックは試合の中で何発も蹴るものではないが、このハイキックとの組み合わせのせいか、大田原のローキックが多数ヒット。
3Rに入り、このままローキックを軸に試合を進めてもよさそうなほどだが、ここで大田原はそれまでのオーソドックスの構えから、サウスポーに切り替えた。
大田原がサウスポーに構えた瞬間、サムリントーンは「…???」となったようで、一瞬攻撃の流れが止まった。大田原はこの瞬間から前蹴りの連射でサムリントーンの侵入を許さなかった。
大田原の前蹴りが20連発ほど続いたか、みぞおち、そして顔面に次々と左右前蹴りが突き刺さる。そしてサムリントーンがリズムを崩したところで高いミドルキックを叩き込んだ。3R終了時の賭け率は5-1大田原だ。ここまでは順調だ。
だが4Rにサムリントーンの猛反撃が予測された。ムエタイの試合はインターバルが2分間あるため、それまでやられていた選手が突然生きり優勢に立つことも多いが、案の定サムリントーン逆転を狙って猛烈にアタックしてくる。
サムリントーンは左ミドルの連射、そして前蹴りで大田原の体勢を崩すなど、一時は優勢ぶりを見せつける。ここで大田原は構えをオーソドックスに戻し進撃を捌く。サムリントーンは中盤には力尽きたか再び大田原ペースの試合に戻った。
最終5R、サムリントーンはこのラウンドも奇襲をかけてくるかと思われたが、もうこのころには疲れ果てていたのか、大田原は再びサウスポーに切り替え、前蹴りで距離を取る。危なげなく試合終了。レフェリーは大田原に勝利の手を挙げる。
大田原は、蹴りの距離、立ち位置の細かな駆け引きを身に着けていたが、今回はその他にも攻撃を上下に散らし、そして途中サウスポーへの切り替えなど、絶えず攻撃に流れを付けた。
今回のリング上での動きは非常に良く、このまま連勝を重ねればビックマッチの主力メンバーまで駆け上がれるか、という程の闘いぶりだった。そうなるためにも、こうした平常時での試合でコツコツと勝利を積み重ねていってほしい。
レポート:写真=シンラパムエタイ・早田寛
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