グッドルーザー
「Krush.23」
2012年10月8日(月・祝)東京・後楽園ホール
▼ダブルメインイベント第2試合(第8試合) スーパーファイト 60.5kg契約 3分3R延長1R
○卜部弘嵩(チームドラゴン/Krush −60kg王者)
TKO 延長R2分8秒 ※ドクターストップ
●グザヴィエ・バスター(フランス/COBRA Vannes/WPMFヨーロッパ・ライト級王者、WPKAヨーロッパ・スーパー・フェザー級王者)
卜部の対戦相手はハムザ・エッサリ(モロッコ)からムスタファ・ルーソ(フランス)に変わり、さらに大会1週間前にはバスターに変更になるという異常事態。度重なる対戦相手の変更が試合にどう影響するのか。
バスターはWPMFとWPKLのヨーロッパ2冠王で、フランスを中心にヨーロッパ諸国で名を馳せるファイター。ヨーロッパの一線級やムエタイ王者との対戦経験もあり、ムエタイ戦士を彷彿とさせる蹴りを武器としているという。戦績は64戦45勝(10KO)18敗1分。
1R、卜部が右ローで先制する。バスターは蹴りを多用し、左ミドルからの右フック。卜部もバスターの入り際に右フックを合わせる。さらに左フックから右ストレート。バスターはローからパンチ、パンチからローとパンチと蹴りのバランスがいい。卜部は飛びヒザ蹴りを仕掛け、着地と同時に左右フック。
2R、バスターがパンチとローのコンビネーション、ボディにもパンチを突き刺してくる。卜部は右フックのカウンターと右ロー、バスターの右アッパーに左フックを合わせる。
次第に攻撃の手数を増やしてくるバスターの右ローが決まり始め、卜部は動きが止まる。バスターのパンチも入り、卜部は右の強打を返していく。
3R、卜部が右ハイキック、右ストレートをヒットさせるがバスターは下がらずパンチを打ち返してくる。卜部はヒザでボディを狙い打ち、バスターはそれを嫌がって細かくパンチを放ち、ローとミドル。バスターのバックキックを空振りさせた卜部は右のボディ! これでバスターは腹ををかばい始めた。徹底して右のボディを打ち続ける卜部。
バスターも連打からバックキック。卜部は左ハイキックを放ち、右でボディを強打。バスターも右アッパーを返す。バスターのカカト落としに卜部もパンチで反撃。判定は卜部に1ポイント入ったが、ドローとなり延長戦へ突入する。
卜部の左ミドルにバスターは右ロー、さらにパンチを連打して右ロー。卜部は前に出て右ボディを連打、バスターもパンチを返して右ロー。卜部がボディを打てばバスターは右フックを返す展開が続き、バスターはボディ打ちに苦痛の表情を浮かべながらもパンチの手数を出して打ち返してくる。卜部の右フックにバスターが右アッパー。
この直後、バスターは左耳をカットして流血。ドクターチェックが入り、ドクターストップが告げられる。場内は“なぜ?”とざわつき、バスターのセコンドは抗議するが「耳の軟骨が傷口から出てしまっている」とのドクターの説明があり、卜部のTKO勝ちが宣せられた。
これで引き分けを挟んで12戦負けなしとなった卜部だが、「今日は自分の反省点だけです。僕も納得していないし、お客さんも納得していないでしょう」と、不完全燃焼の結末に笑顔はなく肩を落とした。
▼ダブルメインイベント第1試合(第7試合) スーパーファイト 70.5kg契約 3分3R延長1R
○城戸康裕(谷山ジム/Krush -70kg級王者)
判定3-0 ※30-26、30-26、30-26
●ラドウィック・ミレー(フランス/CS Meaux AP/ISKA世界キックボクシング・スーパー・ウェルター級王者、ISKA世界フルコンタクト王者、ISKA世界サバット王者)※ISKA推薦選手
ISKA推薦選手のミレーを迎え撃つ城戸は、現在5連勝中。キャリアの中で3度目の5連勝だが、「6連勝はしたことがない」とのことで初の6連勝を狙う。12月には『K-1 WORLD MAX世界トーナメント』出場が控えており、快勝で弾みをつけたいところだ。
1R、サウスポーの城戸が強い右ローで先制し、その後も右ローを蹴っていく。ミレーがパンチを出すとさっと離れる城戸。右に左にと構えを変え、右ローを蹴り続ける。
城戸はミレーの右ストレートをもらった直後、その場で回転してのバックブローでダウンを奪う。
2R、城戸の右ローにミレーは右ストレートを合わせてくる。サウスポーに構えた城戸は左ミドルと左ロー。スピードはないがパンチをまとめ打ちしてくるミレーに城戸は左ロー、左ミドルから左ストレート。さらにカウンターのヒザ蹴り。城戸の右フックにパンチを返そうとしたミレーだが、バッティングになってしまう。再開後、城戸の右ローに右ストレートを合わせてくるミレー。
パンチを出しながら圧力をかけて城戸をロープ際まで詰めるが、城戸は左ローを蹴り返す。
3R、右ローと左ローを蹴り、ミレーがパンチを出そうと近付いてきたところで城戸が左ストレートでダウンを奪う。パンチからのハイキックを放つ城戸。ミレーは右フックからの連打で城戸を下がらせる。ミレーがワンツー、ハイキック。城戸は左ローとハイキック。ミレーが前蹴りからパンチで詰めてくると、城戸は突き放してのハイキック。
2度のダウンを奪った城戸が判定勝ちを収め、「倒しきれなかったですね。相手は強いけれど、俺の方が強い。物まね見たい? じゃあ、K-1 WORLD MAX 2006日本代表決定トーナメントで肩が脱臼したにも関わらず試合を続行しようと哀願する山本優弥選手とそれに応えようとするTATSUJI選手」と、マニアックな物まねを披露した。
▼セミファイナル(第6試合) スーパーファイト Krush -60kg Fight 3分3R延長1R
○石川直生(青春塾/元・全日本スーパーフェザー級王者)
判定3-0 ※28-27、28-27、28-27
●翔・センチャイジム(センチャイムエタイジム/NJKFライト級2位)
6月8日の『Krush.19』で板橋を破り、完全復活をアピールした石川は、8月12日の『Krush.21』で渡辺武からダウンを奪って勝利したNJKFライト級2位・翔と対戦。
翔は29歳(石川は33歳)で今回が27戦目とベテランの域に達しているが、石川はそのさらに上を行く今回が59戦目の大ベテラン。両者ともヒザ蹴りを含む蹴りを主体とする選手であり、蹴り合いが見られそう。
1R、サウスポーの翔に石川は身体を小刻みに動かし、ジャブを出しながら近付いていく。石川の右ストレートが直撃し、翔は鼻血を出す。右ボディ、右ハイキック、右ストレートと攻める石川に翔は左ミドルと左フック。
石川が右ミドルからの右ストレートを放った直後、翔が左ストレートでダウンを奪う。立ち上がった石川に襲い掛かる翔だが、石川が飛びヒザ蹴り! これでダウンを奪い返す。
2R、石川が右ストレートから右の顔面ヒザ蹴り、翔は左ストレートで打ち合うが、石川は動き回りながら右ストレートを狙い撃ち。さらに飛びヒザ蹴りから右ストレート。翔もパンチを打ち返すが石川にロングレンジからの右ストレートを直撃される。
このロングレンジからの右ストレートを狙い撃ちする石川。翔は接近しての左右フックを狙うが、石川は飛びヒザ蹴りを仕掛ける。
3R、翔は接近しての左右フックで勝負を仕掛けるが、石川は動き回って的を絞らせない。石川は右ハイキック。両選手ともクリンチが多くなり、警告を受ける。前に出てパンチを出していく翔に、飛びヒザ蹴りと前蹴りを繰り出す石川。ラスト10秒でラッシュを仕掛けた翔に、石川は右ハイキック。
判定勝ちを収めた石川はマイクを持ち、「相手が強いから、相手が尊敬できるからその相手を超えようとして練習する。だから感動が生まれる。それが格闘技の本質です。だから俺は現役であることにこだわり続け、現役でいる間にどこまでいけるか分からないけれどキックボクシングを広めていきたいと思います」と、ファンにメッセージを送った。
★第5試合(“狂拳”竹内裕二vs大沢文也)、第4試合(板橋寛vs後藤勝也)、第3試合(山崎秀晃vs高橋幸光)、第2試合(TaCa vs 塚越仁志)、第1試合(NOMANvs寺崎直樹)、オープニングファイト2試合の試合結果はこちら
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