
打撃のスペシャリストである筆者が、試合を題材に打撃技術を分析していく連載コラム。今回は6月5日に行われた「SHOOT BOXING 2011 act.3 -SB169-」のシュートボクシング(以下SB)日本レディース王座決定戦、高橋藍vsRENAを分析。RENAの敗因と課題、高橋の恐るべき可能性とは?
■試合開始から2分も経過していなかった時に……
6月5日のSB興行で13年ぶりにSB日本レディース王座が復活した。その王座の椅子を争ったのは、もはや日本女子格闘技界の牽引者であり、エースと言っても過言ではない及川道場所属のRENA。対するは昨年よりメキメキと力をつけてきたシーザージムの難敵・高橋藍。
2人は昨年夏に行われた『S-cup女子ワールドトーナメント』の決勝戦にて対戦していた。延長2回までもつれる大激戦ではあったが、地力・勢いで勝るRENAが大方の予想・期待通りに高橋を判定で下し、初代女子S-cup世界王座を奪取した。
約1年の時を経て再びグローブを交える両者。
怪我で一時戦列を離れていたRENAは4月の復帰戦にて国際試合を迎えることになっていたのだが、震災の影響で外国人選手が来日出来ず、急遽エキシビションマッチに。その相手が何と女子キック界ナンバーワンの実力との呼び声が高い神村エリカとなった。試合がなくなり、エキシビションとはいえライバルであり強豪の神村と対することになったのは、精神的な影響が多分にあったであろう。
1R3分のエキシビションではあったが、左フックを2発被弾し、2度マットに手をついたRENA。観客の誰もが度肝を抜かれていただろう。まさかRENAが……と。
肉体的ダメージはほとんどないように見えたのだが、それ以上に、精神的には相当堪えていたように思える。この屈辱の払拭は次戦で必ず、と今回の高橋との対戦にはより厳しく激しいジムワークをこなしてきたことだろう。
一方の高橋はRENAに敗れて以降、3連勝と一番勢いがある時期でもあり、昨年の雪辱を……と打倒RENAだけに賭けてきている印象が見受けられた。「シーザージムで一番練習するのは高橋」と豪語するシーザージムの敏腕タイ人トレーナー・ダム氏。試合前の関係者の下馬評は圧倒的に高橋有利の予想だった。豊富な練習量とここ数試合の内容、高橋のリーチ・体力はRENAには不利、さらにはRENAのブランクなどを考慮してのことだろう。
試合は大方の関係者の予想通りに、1Rから高橋がペースを握っていく。序盤から高橋の圧力に押されて後ろへ後ろへと下がらされていくRENA。圧力を掛けて前に出ながら接近戦でのパンチの打ち合いに強引に持ち込もうとうする高橋だが、RENAが巧みな胴へのクラッチによるクリンチワークで凌いでいく。
元来クリンチワークなどの組み技に優れているとは言えないRENAは、再三再四、接近戦での打ち合いを避けるため、胴クラッチにいくのだが、そのクラッチそのものに力みが生じており、3度目の胴を取った時点から息が上がり始めることに(試合開始から2分も経過していなかった)。
それでも、技量に勝るRENAはステップを使いながら顔面への左の前蹴りや組み際の左首投げを仕掛けていくのだが、クリーンヒットはせず、投げも決まらない。全てが空回りしているように見えた。上背のある圧力が強い相手に…………
ここから吉鷹弘がRENAが陥った技術的ミス、それでもRENAが持っている可能性、高橋の怖さを分析・解説!
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