10年前、極真で世界を獲った男は現役を引退後も更なる高みを目指し日々修行に励む。毎日の空手の指導、加えて自分自身の稽古もあり、引退後も休みはほとんどない。引退後から打撃の追求のために選んだ修行法について聞いてみた。
岡本
徹(おかもと とおる) 1968年9月9日 ・東京都稲城市。極真空手参段 98年・極真 第30回全日本空手道選手権優勝(現新極真会主催) 99年・極真
第7回全世界大会優勝(現新極真会主催) 2004年・第5回全日本ウェイト制空手道選手権大会 重量級優勝(国際武道人育英会主催) 極真会館東京城西三和道場所属。 |
■最強の打撃は剣術トレーニングにあり ーー99年の極真(現・新極真)第7回世界大会で優勝して、2000年には全日本大会に出場され、その後、第一線を退かれて9年が経ちますが、あれからどうされてましたか? 「もう終わった後は体がボロボロで、まともに歩けない、動けないがしばらく続いたんです。それで、ある治療院を紹介されて通ってたんですがある日、治療院の先生から、リハビリのために、重さ8キロある剣術修行に使う棒を使って素振り(面打ち)を薦められました」 ーーその先生は剣術を修めてる方ですか? 「そうです。このトレーニングは山岡鉄舟(江戸〜明治の剣豪)もやってたみたいですね。彼(山岡)は1日1000回振ってたみたいです。最初はリハビリ目的だったのですが、回復後はすぐにウエイトトレーニングはやめて本格的に棒振りトレーニングに徹しています」 ーーどのような効果があるのですか?
「ウェイトトレーニングは体の部分部分、パーツごとに鍛えて大きくしていきますが、それでは人間の体として不自然なつくりになっていきます。不自然は体にはあまり良くないと思います。例えば、大胸筋ばかり大きいと心臓に負担がかかるように、そして、負荷の高いスクワットばかりやっていたら、腰、膝に負担がかかって故障の原因となったり。これは、全身が無駄なく均等に鍛えられること、振り下ろしたとき丹田にグッ!と力が入ること、特にグリップが太いので、手の指から甲にかけての筋が一本一本鍛えられる。更に前腕(肘から手首まで)も鍛えられることから、突き、特にショートパンチの爆発力がつきますね」 ーー8キロというと軽そうに感じますが。 「それが最初は重くて全然振れませんでしたが、徐々に振れるようになりました」 ーー僕にも持たせていただけますか? うわっ!重い!! ベンチプレス80キロは上がるんですが、この棒振れないですね。 「振り方があるんです…」
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