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 11月3日(火・祝)東京・国立代々木競技場第二体育館で開催された極真空手道連盟極真館『第7回オープントーナメント全日本空手道選手権大会』決勝戦でロシアのスリマン・コスモフを破り、2度目の優勝を果たした藤井。ハンガリーでの世界大会から僅か1カ月という強行出場にも関わらず、ロシアから全日本の王座を守った藤井に大会後、インタビューを試みた。

藤井脩祐(ふじい・ゆうすけ)
1985年11月19日、東京都出身
身長180cm、体重93kg
日本体育大学武道学科卒
2002年ISKA全オーストラリア大会一般フルコンタクト部門優勝
2004年ウクライナ国際大会マスタツカップ重量級優勝
2005年第1回全世界ウェイト制重量級 4位
2006年第4回全日本ウェイト制重量級優勝
2006年第4回全日本空手道選手権優勝
2008年第6回全日本空手道選手権軽重量級優勝
2009年第7回全日本空手道選手権優勝
極真空手道連盟極真館城南大井町支部所属

■一発の威力は絶対に日本人でも練習次第で出せる

ーー優勝したご感想からお願いします。

「1カ月前に世界大会がハンガリーであったんですが、そこではベスト8の時点でロシアのIFKのチャンピオンに技ありを取られて負けてしまったんです。ロシアの強さも世界の壁の厚さも分かりましたし、今回は自分が優勝できましたけれど、全日本で優勝できても世界大会ではベスト8。そのことから今の日本のレベルが計れると思います。ロシアに比べたら今の日本人の層は本当に薄いものなので、みんなが切磋琢磨して、レベルアップしないといけません。今回、自分が優勝したことで絶対にロシアに勝ちたい、海外に勝ちたい、俺が活躍したいという若い選手がどんどん育ってきてくれればいいと思います」

ーー世界大会から約1カ月、こんなに短い期間で試合をしたことはあるんですか?

「過去に2週間おきというのがあったんですが、その時はスネがボロボロになりました(笑)。今回は精神的に世界大会からの流れを止めないで今の全日本まで来たのが勝因だと思います。気持ちが途切れずに臨めました」

ーー右手は最初から怪我をしていたんですか?

「世界大会で小指の靱帯が切れていて、手術をしないといけないと言われていたんですが、試合になったら関係ないので(笑)」

ーー今回の試合を見ていて、一発一発の攻撃を強く打つように意識しているように見えました。

「はい。世界大会に出てみて、ちょこちょこ技をつないだり、ポイントを取ったりする空手は世界には通用しないことを肌で感じて分かったので。一発の威力は絶対に日本人でも練習次第で出せると思ったので、それを今回、金子(雅弘=城南大井町支部長)師範と研究してやってきました」

ーー特に中段廻し蹴りの威力が素晴らしく強かったですね。

「そうですね。今回の1カ月間で何が出来るかなと考えた時に、身体のつながりというものを意識しました。上半身と下半身を上手くつなげて、その時に蹴りやすかったのが中段廻し蹴りだったんです。それでずっと練習してきました」

ーー決勝戦で対戦したロシアのスリマン・コスモフ選手の強さはどう感じましたか?

「第5回全日本大会の3位決定戦でも対戦している選手でした。勢いが凄くあって、精神的なもので強さが変わる選手だと思います。今回は凄くノっていたし、彼以上に自分の精神的なものを上にもっていかないと勝てないなと最初から思っていました」

■極真だから顔を殴らないというのは違うと思う

ーー2年後に同じハンガリーで無差別級の世界大会が開催されることが発表されました。

「今回の世界大会を最後に引退してしまった先輩たちもけっこういるので、どんどん後が育つように自分も下から育ってくる選手たちと切磋琢磨して、絶対に日本が王座奪還できるように頑張りたいと思います」

ーー藤井選手は真剣勝負ルールの方にも出られるんですか?

「第5回ウェイト制の時に出ました。その時は眼窩底骨折して準優勝でした。真剣勝負ルールも空手の醍醐味だと思いますし、極真だから顔を殴らないというのは違うと思うので、普段から練習はしています」

ーー真剣勝負ルールをやると、通常のフルコンタクト空手ルールの試合にも活きることってありますか?

「より間合いを考えるようになります。自分の攻撃で一番のインパクトを生む間合いとか。首から下の突きだけだとどうしても接近戦が多くなってしまい、それだけでは空手の技の幅が狭まってしまう気がします。顔面攻撃があると一発で倒されるという気持ちもありますし、真剣味も増すので空手本来の醍醐味である間合いの操作や相手の気を読むといったところが長けてくると思います」

ーー世界大会へ向けてどんなところを強化していきたいですか?

「盧山(初雄)館長にも言われたんですが、精神面の落ち着きです。絶対に揺るがない心。殴られても蹴られても、歯が折れても崩れても絶対に勝つという気持ちを高めていきたいです」

(2009年11月3日、第7回オープントーナメント全日本空手道選手権大会終了後に収録)


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