6月30日(火)東京・後楽園ホールで開催されるDEEP事務局『DEEP 42 IMPACT』にて、福田力(GRABAKA)の挑戦を受けてDEEPミドル級王座の初防衛戦を行う中西。放送作家を目指してNSC(吉本総合芸能学院)に通っていたこともあるこの異色のファイターが、パンクラスとDEEPのベルトに続けて狙うベルトとは?
中西裕一(なかにし・ゆういち)
1981年3月6日、神奈川県出身
身長180cm、体重83.8kg
柔道初段
2000年、東日本アマチュア修斗-82kg級優勝
2000年、全日本アマチュア修斗-82kg級3位
2001年、全日本アマチュア修斗-82kg級準優勝
2002年5月28日、プロ修斗でプロデビュー
2003年7月27日よりパンクラスに参戦し、
ネオブラッドトーナメント・ミドル級で優勝
2006年12月2日、竹内出とキング・オブ・パンクラス
ミドル級王座決定戦を争い判定勝ちで第6代王者となる
同王座は2007年11月28日の防衛戦で竹内に敗れて失う
2008年5月19日からDEEPに参戦、ミドル級トーナメントに出場し、
決勝戦で福田力を破って第4代ミドル級王座に就く
通算戦績:9勝8敗3分
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■何でみんなDREAMに出たがるんだろう?
ーー記者会見では随分と言葉が少なかったですね。
「いや、まあ……そんなに喋ってもしょうがないかなと思って」
ーー初防衛戦を控えて緊張しているんですか?
「当然緊張はしているんですけれど……あまり言葉が出てこないもので」
ーー会見で福田選手の印象を聞かれて「絶対強いので。だけど……」と言いかけましたよね。あれは何を言おうとしていたんですか?
「またこういう舞台で出来てよかったな、と言おうとしたんじゃないですか」
ーー随分と試合感覚が空いてしまいましたね?(※2008年12月10日『DEEP 39』で白井祐矢に判定負けを喫して以来)
「自分は昔からあまり試合をやらないですよ。途中、何度か試合をする話もあったんですけれど。年2回が普通です」
ーーこの期間、何をしていたんですか?
「何をしてたんですかね? よく覚えてないです(笑)。練習はしていました」
ーー何か特殊な練習はしましたか?
「自分の練習自体が他の人と比べたら特殊なとところがあると思うので、そこが特殊かもしれないですけれど」
ーー例えばどんなことを?
「例えば、状況とかもあるんですけれど、スパーリングの数が他の人に比べて圧倒的に少ないですね」
ーー今回の試合に向けて特別なことは?
「特にないですけれど、iPod touchを手に入れたので動画を入れて遊んでいました」
ーー福田選手の動画を入れて、常に見て研究していたとかは?
「それは入れないで直接YouTubeで見ました(笑)」
ーー『DREAM』でのムリーロ・ニンジャ戦は見ましたか?
「見ました。強かったですね」
ーー先にDREAMに出場されたジェラシーはなかったですか?
「全然ないです。活躍されてよかったです」
ーー中西選手がDREAMのリングに上がりたいという気持ちは?
「今は特にないですね。……何でみんなDREAMに出たがるんだろう? いいんですけれど、別に(DEEPと)違いはないと思うので」
■修斗20周年記念大会を見て魅力あるなと思った
ーーでは、今後の目標はDEEPミドル級タイトルを防衛していくということですか?
「今回の目標が防衛で、今後はちょっと分からないですね」
ーーそれはどういう意味ですか?
「普通なら“勝ってDREAMに上がって…”みたいなことを言うじゃないですか。でも、自分はそんなのはあまりないですね。もう1回、修斗に出たいです。元々、修斗だったので。
急には出れないと思うんですけれど、この間の20周年記念大会を見て“やっぱ、いいな”と思って。別にDEEPがどうというわけではなく、見ていて魅力あるなと思いました。僕は元々、シューティングジム横浜出身だし、デビュー戦も修斗だったので、修斗がいいなぁと思います」
ーー福田選手に勝って防衛すれば、バリジャパへのアピールは充分に出来ると思いますが?
「いや、バリジャパに出たいわけでもないんですよ。公式戦に出たい」
ーー闘いたい相手がいるんですか?
「チャンピオン(シアー・バハドゥルザダ)と。三冠獲りたいです」
ーー大舞台に興味がないのはなぜなんですか?
「興味がないわけでもないんですが、正直、格闘家って儲からない仕事じゃないですか。それでDREAMに上がると多少なりとも今より知名度が上がるというか、Googleとかで検索するとヒット数が上がると思うんですよ。金もないのに知名度が上がると、今の世の中だとリスクが大きいと思うんです。すぐに名前が出たり。犯罪とかで。まあ、犯罪はしないですけれど(笑)。マイナスの方が大きいと思うんですよ。知名度が上がっていいことはないですね」
■日本の総合のタイトルはだいぶ価値が下がっている
ーーベルトは守り続けたいんですよね?
「そうですね。DEEPに関して非協力的ですけれど(笑)」
ーーベルトを持ったまま引退したいというのは?
「いや、別にないです。引退してもいいし、引退しなくてもいいし。ただ思うんですけれど、今はけっこう団体が多いし、選手が枝分かれしているのもあるので、日本の総合のタイトルに関してはだいぶ価値が下がっていると思うんですよね。
自分はアマチュア修斗からやってきたんですけれど、長くやっていればみんないつかはプロになるみたいな、選手も長くやっていればその内いつかは何かのチャンピオンになるんじゃないかって。DJ.taikiも同じようなことを言っていたと思うんですが、自分もそうかなって思います。
だからベルトそのものの価値より、大舞台へ行くための手段みたいになっているんじゃないですかね。それで下で成熟している選手がいなくないですか? 格闘技界は。最近で言えばそういう選手は中蔵(隆志)さんとかリオン(武)だと思うんですよ。下で熟しているのがなくなって、すぐに大舞台に上がれるような状況なので楽しみが減っているところもあると思います。そういう選手が大事なのであって、ベルトは言うほど価値がないと思いますけれどね」
ーーベルトの価値は持っている人の価値で決まるんじゃないですか?
「どうかな……青木選手は修斗のミドル級のベルトをずっと巻いていますが、それで修斗のベルトの価値があるかっていうよりも“青木真也”という個人で歩いていると思います。ベルトには結びついていない気がします」
ーー例えば、DREAMに上がっている同じ階級の選手に実力では負けないぞという自信は?
「同じ階級って誰がいましたっけ? ジャカレイとかですか(笑)。そんなことは考えたこともないです」
ーー明日(6月28日)のタイトルマッチはどういう試合にしたいですか?
「面白かったらいいと思います。やってみないと分からないですね」
ーー福田選手はフィジカルモンスターみたいなものですが、フィジカル面ではどうですか?
「普通です(笑)」
ーーでは、テクニックで勝ちますか?
「テクニックも普通なので(笑)」
ーーじゃあ、どうやって勝つんですか?
「何ですかね。逆にどの部分で僕はチャンピオンになったと思います?」
ーーテクニックじゃないですか。
「本当ですか? じゃあ、テクニックで勝ちます(笑)」
ーーありがとうございました。
(2009年6月29日、DEEP OFFICIAL GYM IMPACT 囲み取材にて収録)
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