8月23日(日)東京・後楽園ホールで開催されるDEEP事務局『DEEP 43 IMPACT』のメインイベントで、国内復帰戦を行う長南亮(TeamM.A.D.)と対戦する中尾。対戦相手が嫌がる長南との試合をなぜ受けたのか、そしてキャリア13年目にして達した境地とは?
中尾受太郎(なかお・じゅたろう)
1970年11月13日、神奈川県横須賀市出身
身長175cm
柔道を経て1995年12月、アマチュア修斗で優勝
1996年1月20日、修斗でプロデビュー
修斗のトップランカーとして活躍し、1998年5月13日には
桜井“マッハ”速人とミドル級王座を争うが判定負け
1999年2月2日、当時のUFC王者パット・ミレティッチから
得意の三角絞めで一本を奪う大金星をあげた
2001年9月28日と2002年3月22日にUFC出場、1勝1敗の戦績を残す
2004年7月3日よりDEEPに主戦場を移し、ウェルター級
トーナメント準決勝では青木真也をKO、
決勝戦では中村大介にTKO勝ちして初代DEEPウェルター級王者に
同王座は2006年3月4日に池本誠知を破って初防衛に成功したが、
2007年2月16日に長谷川秀彦に敗れて王座から転落
通算戦績:21勝14敗4分
所属:フリー |
■70kgでも77kgでもどちらでもやります
ーー今回、長南選手との対戦オファーを断った選手も何人かいたそうなんですが、その中で中尾選手が受けた理由は?
「別に理由はないですよ。基本的に断らないので。修斗の時から“はい、試合”と言われたら“分かりました”という感じでした。来たからには受けます」
ーー長南選手との試合が面白そうだった、というのはなかったですか?
「2月に70kgでやったじゃないですか。それで最初は70kgでやろうと思っていたんです。ところが77kgで来たから“えっ?”というのがありました。でも、ま、いいかと(笑)。そんな細かいことを言っても仕方がないので」
ーーあのまま今後は70kgでやろうと思っていたんですか?
「でも、負けてしまいましたからね。そんなわがままを言える立場ではないです。70kgで軽くベルトを獲って、外国人対策で70kgでやろうと思っていたんですが、それが日本人を相手にコケてしまったのではお話にならないですから」
ーー70kgで動いてみてどうだったんですか?
「減量したことでは、そんなに調子は悪くなかったんです。だから70で……と思っていたんですが、77kgでもオファーが来るんだ、と思いました。じゃあ、どっちでもいいやと。その時々で上下しますよ」
ーー77kgと70kgではだいぶ上下がありますけれど……。
「元々76kgでやっていましたから、77kgの方が近いですからね。70kgではかなり減量がキツかったんですが、体重はすぐ普段の体重まで戻るんですよ。77kgだと元々がそんなに大きくないので、戻るというほど戻らないですね。だから体格的にはちょっとキツいですね」
ーー本来の力が発揮できるのはどっちの階級ですか?
「70kgではまだ1試合しかやっていないので、まだ分からないというのが正直なところです。力がなかったわけでもなかったので」
■今は違った境地に入りたい、いい試合がしたいです
ーー長南選手にはどんな印象を持っていますか?
「強い相手ですね。パワーもあるし。一階級上から落としてきているので、体格的な面で上なのとパウンドが上手い。あと、下からの蹴り上げが上手いですね。けっこうああ見えてクレバーなところがあると思う。ポジションを引っ繰り返すのが上手いし、グラウンドで殴らせずに殴るという感じですね。自分が下になっても殴らせないで、ポジションを引っ繰り返してまた殴るとか。そういうイメージです。まとまってると言えばまとまっている。ただ、外国人とやるにはあの階級ではテイクダウンは弱いかな、と思う。思い切りやるだけです」
ーー対戦する時が来るとは思っていましたか?
「思ってなかったですね」
ーーメインイベントで試合をするというのは?
「過去にもけっこうやっているんですよ。今回はいい試合をしたいですね。もう老い先も何年あるか分からないし(笑)。いい試合をしたいです。なかなかそれが難しいんですけれど」
ーーUFCでの試合は見ましたか?
「1試合だけ(TJグラント戦)見ました。その時もテイクダウンでやられていましたね」
ーー日本での試合と違う部分は見えましたか?
「相手が強いからかもしれませんが、殺気が減ったような気がします。やらせてもらえなかったのかもしれないけれど」
ーーそれは本人も言っていましたね。あと、日本でやっている頃とは技術が全然違うと言っていましたが、その違いは分かりますか?
「うーん……技術的に全然違うという感じではなかったんですけれど、基礎体力が違うんじゃないですか。前はガツガツとどんどん攻めてくる感じでしたが、見た試合ではバテてましたからね。UFCはみんながアスリートなんじゃないですか。特に技術的にどうはないと思いますよ」
ーーもう一度ベルトを、という気持ちは?
「一度獲ったからいいんじゃないですかね。今は違った境地に入りたいんです」
ーー違った境地?
「今までそんなことはあまり考えていなかったんですけれど、いい試合がしたいです。“魂”を見せたい。魂を感じてもらえるような試合をしたいな、というのがありますね。俺らしくない(笑)。やられてもやられても前に出るような、そういう試合がしたいです。前はやられないで凌いで凌いで一発を狙う感じだったんですが、そうではなくてもっとガツンとした試合をしたいと思っています。こればかりはやってみないと分からないですけれどね」
ーー試合のキーポイントはテイクダウンになりそうですか?
「いや、テイクダウンはあまり狙わないと思います(ニヤリ)。向こうもデカいので、そんなに倒せないと思うので。分からないですけれどね」
(2009年8月22日、DEEP43 IMPACT公開計量後の囲み取材で収録)
|