4年に一度の空道(くうどう)世界大会、国際空道連盟/大道塾総本部『第三回世界空道選手権大会』が、今年11月14日(土)15日(日)東京・国立代々木競技場第二体育館で開催される。今回は第二回の40カ国をさらに上回る過去最多の58カ国が参加。史上初の2日間にわたる大会開催となった。今や母国日本をはるかに超える競技人口が存在するロシアを始めとして、強力な外国人選手を相手に日本代表メンバーは王座を獲得することが出来るか? 日本代表のコーチを務めた“ミスター空道”こと小川英樹に聞く。
小川英樹(おがわ・ひでき)
1970年福岡県出身
他流派の空手家として大道塾に挑戦した後、1990年に大道塾入門
1993〜1997年北斗旗体力別選手権軽量級5連覇
1998〜1999年北斗旗体力別選手権中量級2連覇
2001年北斗旗体力別選手権軽量級優勝
2001年第一回世界空道選手権軽量級優勝
2001年4月、グラントロフィーに出場して1RKO勝ち
独創的な技の数々で無敵を誇り、空道を体現したミスター空道
大道塾四日市支部支部長 |
■ロシアは空道に関する意気込みや気持ちの面が日本人とは全然違う
ーー6月から月1回(2日間)のペースで選手強化練習(合宿)を行っていますが、今回の日本選手団を見てどう評価していますか?
「ロシアに限らずとにかく海外勢は強いです。それに対抗するために日本代表の底上げという点で、自分も世界大会を経験してきた者として役に立てればという想いでいろんなことを考えていたんですが、こっちが思っているほど選手たちが危機感を持っていないというか。どんどん“勝つためにはどうすればいいんですか?”という質問が常に来るかと思っていたんですけれど、そうでもないしという感じだったんですよね。
コーチと選手の温度差を感じました。“俺が絶対に勝つんだ”というものが個人個人に感じられなかった気がしたんです。全体的な意識としては何とかして日本が……という気持ちはあるかもしれませんし、みんなと一緒に練習して“頑張ろうぜ”っていう気はするけれども、それだけでは勝てないんじゃないかっていうのがあって。その中で何人かは“こういった練習内容では強くなれないと思うんですけれども”と相談してきた選手がいて、こいつも考えているんだなって思うことはありましたけれども。
こういう合宿の中で他の選手や先輩コーチ陣の技を盗もうとか、貪欲にどうやったら勝てるかを追求する選手がいっぱいいたら頼もしさを感じたり、こいつには任せられるなっていう気はしたんでしょうけれども……。あまり合宿の中ではそれが感じられなかったので、ちょっと頼りないというか心配なところではありますね」
ーーと言うことは、他のコーチ陣の意見同様、今回の世界大会はかなり不安だと。
「そうですね。かなりの不安があります。日本のエースって誰ですかと問われた時に、自分は答えられないんですね。各階級で期待できる選手はと聞かれればそれなりに応えられるかもしれませんが、とにかくこいつには任せられるっていう中心選手がちょっと思い浮かびません」
ーー小川支部長は海外にも行かれていると思いますが、やはりロシアが一番の強敵になりそうですか?
「ロシアはそうですね。規模的にはもう日本を上回ります。世界チャンピオンになったら大きく人生が変わるくらいじゃないですか。それだけで喰っていけるくらいの規模がロシアには出来上がっていますから、やはり意気込みが違います。ロシアへ遠征したのはだいぶ前ですが、その時点で空道に関する意気込みや気持ちの面が日本人とは全然違いましたし、元々身体のパワーなどの身体能力的なものはロシアが上ですし。昔は技がまだ追いついていないという感がありましたけれども、もう日本よりも上な部分がいくつもあります。正直なところ、何人ロシア人を倒せるというか、太刀打ちできるかなって感じですね」
ーー他に強豪国になりそうな国はありますか?
「具体的にどこの国のどの選手がっていうのは聞いていませんけれども、これだけ空道の名前が海外である程度広まってきているのであれば、対応できる選手は増えてきていると思います。第一回の世界大会はキックや空手をやっている選手が、顔面・投げ・寝技ありのルールで試合に出てみたという感じだったので、まだ日本人選手が付け入る隙があったんですけれども、これだけ空道が広まってきて総合の選手も入ってきているし、まだ見ぬ強豪もいると思います。そういう面では危機感はありますね」
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