ムエタイの本場タイのジムで学び、タイのスタジアムを主戦場にした佐々木功輔。ムエタイと違うことをやるのではなく、完全にムエタイと同化するスタイルは新しい打倒ムエタイの形として注目を浴びた。その佐々木は現在、一時帰国してクロスポイントで指導を行っている。ムエタイを誰よりも知る日本人は、生粋のムエタイ・ギャンブラーだった!
佐々木功輔(ささき・こうすけ)
1972年11月5日、
元NJKFフライ級初代&第3代王者
1994年7月、キックボクシングの北流会君津ジムに入門
1995年9月29日、後楽園ホールでプロデビュー
1996年10月6日、NJKF初代フライ級王座決定戦を制し5戦目にして王者に
1997年3月14日、タイで初めての試合を行う
1999年12月25日、ルンピニースタジアム認定フライ級3位の
ラッタナチャイ・ウォーウォラポンに判定勝ちの快挙
日本人ながらタイのウボン県で練習を積み
ルンピニースタジアムを主戦場にしていた
打倒ムエタイの新しい形として注目を浴びた選手
2001年1月30日のルンピニーの試合ではファイトマネー1万バーツを達成
2003年3月8日、オムノーイスタジアムでの試合を最後に引退
引退後はタイのKRSジムで代表も務める
現在はクロスポイント吉祥寺のトレーナー
生涯戦績:33勝20敗2分(タイ戦績:24勝15敗) |
■ムエタイはスポーツでは全くないですよ
ーー佐々木さんがクロスポイント吉祥寺のトレーナーに就任された理由は?
「山口元気さんからプロ練を見ていただけないですか、とのお話をいただいたことがきっかけです。3月から選手を指導しています」
ーータイのKRSジムの方はどうされたんですか?
「あちらは元々、タイ人オーナーとのビジネスでやっていたものです。ゆくゆくは俺もタイへ帰りたいというのが本音なんです。タイに住んでムエタイと関わって、博打をする(笑)。それが好きなので。
タイでも生活は出来るんですが、選手じゃないけれどジャパニーズマネー的なものを日本で稼げるような仕事を作れば定収入が入るじゃないですか。タイでは博打の不定期な収入になるので浮き沈みが激しいんです。だから日本で定期収入を得るというのが一番の理由ですね」
ーーえっ、タイでは完全にムエタイ・ギャンブラーなんですか!?
「毎日です(笑)。ラジャダムナン、ルンピニー、テレビ中継のあるスタジアムまで全部ギャンブルをやりに行きます。面白いんですよ。ムエタイとはそういうものですから。外国人の見方が違うのであって、ムエタイはスポーツでは全くないですよ。
ムエタイのオッズは始まる前から出ていて、それがダイレクトで分かるシステムがあるんです。携帯電話のSNSとかに加入すると、ラウンド毎に試合のレートが届いたりするんですよ。1R終了時、赤コーナー選手有利の青コーナー選手不利でこういうオッズです、とか。
オッズは試合場に行けばハッキリと分かりますが、このシステムは試合前の情報もあるし、予想屋さんの予想も載っているし、誰がどれくらい強いかとかのデータも全部出ているんです。その日の体調、疑惑が流れていないか、とか。
3R以降くらいになって自分が賭けた試合が凄い僅差で大金になったりすると、携帯で1分9バーツ(約27円)というそれよりも何倍もお金がかかるんですけれど、スタジアムのレートをずっと聞ける携帯サイトを聞くんです。“赤5-4、いま3-2に上がっています、赤が失速しました”とか実況中継が聞けるんです。それで試合がどういう風に動いているのかハッキリ分かるんですよ」
ーー競馬中継みたいな感じですかね?
「そうです。それと同じです。4Rで大差になると9割9分なにも起きないので、実況は切ってしまってあとは携帯の結果速報待ちです。ただ、タイは結果すら間違えることがあるので(笑)3社くらい加入しているんですよ。赤がKO勝ちしたのに実際は青がKO勝ちしていたことがあって、次の日になって気付きました。もらう額と払った額が何万円かの大きな差だったんですよね。そういうことがタイではあります」
ーー最高でどれくらい稼いだことがありますか?
「そんなに大金は賭けないんです。バーツにして1万バーツ(約3万円)くらいまでですね。平均して1試合数千バーツ、日本円にして1万円くらいです。チャーハンが100円くらいで食べられる国だから、5〜6000バーツ儲ければパーッと呑みに行ってもおつりが来ます。
負けた時は行かないですけれど、今日は絶対に儲けは間違いないという時は、何人かで試合前から呑んでますけれどね(笑)。賭ける前は絶対に呑まないんです。判断を誤りますから。賭けてしまえば後は結果待ちになるので呑んでしまう、と。スタジアム内ではないので、危ないからどっちかに乗り換えるとかは出来ないじゃないですか。試合前にパッと賭けて結果待ちです」
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