10月11日(日)ゴールドジムサウス東京アネックスで行われた「SWAT!29」では見事な一本勝ちを収めた上田。上田の師匠は“東洋の神秘”と呼ばれ、独特なファイトスタイルでその地位を確立した矢野卓見。師匠譲りのトリッキーさと関節技で一本勝ちの山を築く上田は果たしてどんな選手なのか?
上田厚志(うえだ・あつし) 中学・高校で柔道を学び、大学時代にはサッカーを経験 矢野卓見が代表を務める骨法烏合会・矢野卓見道場で総合格闘技を始める 現在はSWAT!を主戦場に活躍中 骨法烏合会・矢野卓見道場所属 |
■フルラウンド戦わなくて済むので一本勝ちは楽でいい ーー大会のメインイベントで松田真吾選手から見事な一本勝ちを収めましたね。試合を振り返っていかがでしたか? 「いやあ疲れましたね。試合開始のゴングが鳴った瞬間にドッと疲れました(笑)。それで最初の関節技を逃げられた時、さらに疲れが出て、それからは何とか頑張って戦いました。とりあえず一本勝ち出来て、やっと試合が終わった、と感じます」 ーー対戦相手の松田選手の印象はどうでしょう? 「体がデカかったです。足関節を取られかけて、無理に足を抜こうとしたら、バキバキと鳴ってしまって…とりあえず何とか最後まで戦い抜きました。前回の試合もドローで、リングスルールの試合もドローで、一本勝ちは4試合ぶりくらいなんですよ。一本勝ちはフルラウンド戦わなくて済むので、本当に楽でいいです」 ーー試合に勝ったのに弱気な発言ですね(笑)。 「僕は基本的にいつも弱気です(笑)」 ーー上田選手の格闘技のバックボーンは何になるんですか? 「もともと中学・高校と柔道をやっていました。まあ地区大会レベルなんですけど、卒業する頃にはもう限界かなと思って、高校で柔道は辞めて。大学に入ってからは4年間サッカーをやってたんですよ。ポジションはサイドバックです」 ーーなぜ再び格闘技をやろうと思ったんですか? 「大学に入ってからちょうどPRIDEが全盛の頃で、試合をよく見ていたんですよ。それで自然とまた格闘技をやってみたいなという気持ちになりました」 ■矢野さんのことは全く知らずに入門しました ーー東京にたくさんジム・道場がある中で矢野選手の道場を選んだのは何か理由があったんですか? 「実は矢野さんのことは全く知らなくて、インターネットで検索していて、たまたま道場を見つけたんですよ。何か面白そうな道場だなと思って見学に行ったら、いい意味で緩い感じの道場で、リラックスして格闘技ができる感じだったので入門を決めました。それが3年前の8月ですね」 ーーでは矢野さんが他に類を見ないトリッキーなスタイルの選手ということも知らなかったわけですか? 「はい。矢野さんの試合を見たこともなかったし、予備知識はゼロでした」 ーー実際に矢野さんのスタイルはかなり独特だと思うんですが、すんなり覚えることは出来ました? 「他の道場で練習したことがないんで、どこに違いがあるのかよく分からないんですよね(笑)。独特と言われればそうだと思うんですが、もうそれに慣れてしまったので。トリッキーと言われても、僕はこういうものだと思って格闘技をやっています。総合格闘技には色々な技術・スタイルがあっていいと思うし、その中で矢野さんがやってきたことを学び、自分がやれることを試合で出しているという感じですね」 ーー矢野選手の愛弟子として道場の看板を背負っているというプライドはありますか? 「どうですかね…特にはないんですけど、道場の道衣を履いて試合はやってます(笑)」 ーーでは上田選手の格闘家としての目標は何でしょう? 「とりあえず怪我なく、マイペースでやっていけたらいいなと思います」 ーーファイトスタイルだけでなく、掴みどころのない発言も矢野選手に似ていますね(笑)。 「そうですか? もともとこんな感じなんですが、矢野さんの影響も少なからずあるかなと思います(笑)」 ーーありがとうございました。 (2009年10月11日、「SWAT!29」終了後に収録) |