ヨソに出たいんだったら出ればいい
その代わりに何にも持っていかさんですから
――調印式でDJ.taiki選手と顔を合わせましたけど、あの掴みどころのないキャラはどうですか?
「何なんでしょうね(苦笑)。ただリングの下で何を言うててもいいんですよ。試合を見ている人からすれば、リング上のことがすべてやないですか。リング下で掴み所がなくても、リングに上がったら掴まないかんですし、別に気にはならないですね」
――DJ選手の印象として「したたか」という表現を使われていましたね。
「ホンマに率直な印象です」
――ああいうキャラですが試合では徹底的に自分のスタイルにこだわりますし、前回の対戦ではやりにくさみたいなものは感じましたか?
「やりにくくはないですけど、どうなんですかね。打撃をもらってやられたってだけで」
――前田選手の過去の対戦相手を振り返った時に、DJ選手のようなタイプの選手はいなかったような気がするんですが
「どの選手の系統は一緒ですけど、ちょっとづつ違いますから」
――いつもは前田選手の方が先に打撃でペースを掴むじゃないですか。DJ選手が相手だとそれが出来なかったんじゃないかと思ったんです。
「確かにそこで自分のペースが掴めなくて、『アレ!?』って感じはありましたね」
――あの敗戦をキッカケに打撃に対する考え方は変わりました?
「そうですね。この階級の中でDJ選手はタッパもあるし、リーチも長い。単に打撃だけをとって考えればリーチって大きいですから、DJ選手のリーチをどう殺すかは考えてますよ」
――それが今回の試合に向けての練習の中で大きなテーマになってますか?
「まあそれこそ試合でやってみんと分からんのですけどね」
――1回戦の山本篤戦の直後に「ちゃんとやらないと負ける」ってこぼしていたじゃないですか。あれはどういった心境からだったんですか?
「試合までの2ヵ月半の期間に、しっかりやってくる人間とやらない人間の差は歴然。浮ついた気持ちを自分で抑えるのが大事ですから」
――周りでは前田選手がリベンジしてベルトを獲るという機運が高まっていますが、前田選手の中ではDJ選手は強敵として認識しているんですか?
「強敵ではないですけど、弱いと思ってはやらないってことです。それは普段の試合でもそう思ってますよ。ただ最終的にはどこかで自分の方が強いやろって気持ちもあるんで、そういう自分を締めるためにああやって言葉にしたって部分があるんです」
――ではDJ選手に対しても心の奥では「自分の方が強い」と思っている?
「結果が100%で“もしも”とは言えないんですけど、自分が一回やられとるわけで、格闘技はそういうことがあるわけじゃないですか。だからそれを失くすために気を引き締めるんです」
――会見では「これに負けたら後がない」という言葉も使ってましたね。
「後はないっすね。同じヤツに2回負けてベルトまで獲られたら、再戦させてくれとは言えないですし、前田が獲って当然と言われていたベルトを他のヤツに持っていかれたら、『前田ってそんくらいのもんか』ってなるし、そういう部分でも後がないですよね」
――ましてやDJ選手のように「ベルトを獲ってHERO'SやUFCに出たい」と公言されると、その気持ちも強くなるんじゃないですか?
「ヨソに出たかったら、出ればいいんですよ。その代わりに何も持っていかさんですから」
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まえだ・よしろう
1981年10月31日、香川県出身
身長170cm、体重64kg
2003年ネオブラッドトーナメントフェザー級優勝
パンクラス戦績 15勝1敗
総合戦績 18勝3敗1分
パンクラス稲垣組所属
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