5月29日付けで元DEEP女子ライト級女王・渡辺久江が突然の引退を発表。これまで女子格闘技界を引っ張ってきた“格闘ジャンヌ・ダルク”は今何を考え、これから何をしようというのか。渡辺本人を直撃すると、意外な言葉が……。
渡辺久江
フリー 1980年10月21日生 160cm・48kg 栃木県鹿沼市出身 |
■自分的にもすっきりしないなという感じだったので、引退を発表しようと思いました。
――お久しぶりです。しばらく会場で渡辺選手と会ってないと思ったら、(渡辺をマネージメントしていた株式会社ヴェスパエンターテインメントより5月29日付けで)“渡辺久江が格闘技生活を引退”という発表があったので驚きましたよ。一体何があったんですか?
「自分のブログに書いたとおり、女性ホルモンのバランスが崩れちゃいました。詳しい話をしちゃうと長くなるんですけど、女性だと生理前とかはイライラするじゃないですか。月経前症候群(※)という、病気とは言い切れないものになってしまったんです」※生理の約2週間前から起こる心と体のトラブルの総称。ホルモンのアンバランスさにともなって日常生活に差し障るさまざまな症状が一群となって現れること
――どういう状態だったんでしょう
「とにかく体調が悪くて、そんな自分が嫌でしたね。それで病院行って女性ホルモンを調べたら、『バランスが著しく崩れすぎてるね』と言われました。それ以外は全く異常なく健康体なので、自分でも受け止め切れない部分がありましたね」
――その間、格闘技はやり続けていたのですか?
「私は体を動かさないとダメなんじゃないかなと、無理やりな試合を何試合かした時期もありました。(2007年2月の「DEEP28」での)ハム・ソヒ戦では、やる気出たわという感じで臨んだんですけど、心身ともに体調が悪かったですね。徐々に、自分で納得のいかないままリングに上がってしまうのは、お客さんにちょっと失礼にあたるのかなと思うようになりました。決まっていた試合も体調不良のために辞退というかたちになりました。休んだら良くなるかといったら体は良くなるわけではないんですよね。休んでみたのはいいんですけど、でも試合に出続けないと不安にもなったりと、自分の中で戦いがありました」
――そういった自分の心の葛藤の中で引退を決意したと?
「中途半端な形でいるのも周りに迷惑をかけますし、自分的にもすっきりしないなという感じでしたので、いっそのこと引退を発表しようと思いましたね。理想の自分になり切れない自分に対してのフラストレーションで、溝が深まってしまいました。もっと淡々といけたら良かったんですけどね。こう見えても私は真面目なんですよ。試合をずっとやっていれば大丈夫かなと思っていたんですけど」
――こうも元気に渡辺選手が話ししていると、全く引退の“い”の字も感じさせませんよね
「しみじみとした引退じゃないんですよ。旦那(漫画家SP☆なかてま氏)は、『引退についての取材を受けたり、選手のセコンドに付いたりしたら、速攻で復帰しそうだよね』と笑ってましたけど。今一度、自分の立ち位置を確認しようと思いましたね。でも周りの人が必要とするならば…………」
渡辺久江
インタビュー 内容
■自分的にすっきりしないので引退しようかと思いました
※以下GBR会員の方のみご覧になれます。
■常に先頭に立っていたい。女子格闘技界の伊達公子になろうかな
■引退発表で、みんなは私の術中にはまりましたね(笑)
■引退式? ちょろちょろ何かを企んでいます
■練習で辻選手から取った一本が得意技。それは言いません。なぜなら……
■女子キックが盛り上がっている? 階段で「はあはあ」言ってる場合じゃないです
■応援してくれた人のことを考えると、引退は躊躇(ちゅうちょ)してしまう |
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