11月24日(月・祝)さいたまスーパーアリーナで開催されるシュートボクシング最大のイベント『SHOOT BOXING WORLD TOURNAMENT S-cup2008』。日本代表として3度目の出場を果たす宍戸は、1回戦で北米MMA(総合格闘技)で注目を集める“ワンダーボーイ”クリス・ホロデッキーを迎え撃つ。しかし、彼の胸の内には、シュートボクサーとして外敵に勝つことより、打倒アンディ・サワーよりも秘めている強い想いがあった。
宍戸大樹(ししど・ひろき)
1977年3月16日、福島県出身
身長174cm、体重69.3kg
少林寺拳法を経てシーザージム入門
1998年6月4日、プロデビュー
2001年9月25日、王座決定戦で坂口立起を破りSB日本ウェルター級王座を獲得
2002年7月28日、WMCインターコンチネンタルスーパーウェルター級王座を獲得
2004年9月19日、S-cup2004でリザーバーながら決勝戦へ進出、
アンディ・サワーに敗れるも準優勝を果たした
2005年3月6日、王座決定戦で菊地浩一を降してSB日本ウェルター級王座を獲得
2006年11月3日、S-cup2006準決勝で同門の先輩・緒形健一に敗れ3位に終わる
裕樹、オーレ・ローセン、イム・チビン、アンドレ・ジダ、マルフィオ・カノレッティ、イアン・シャファー、ジョーダン・タイ、TATSUJI、ビッグベンらの強豪を圧倒的な手数と自由自在のコンビネーションで高速乱打を決める“SB百裂拳”で破っている
戦績:52戦42勝(16KO)10敗
シーザージム所属
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■記者会見で初めて相手を知ったんです(笑)
――『S-cup2008』の組み合わせが発表されましたが、トーナメント出場メンバーを見てどんな印象を持ちましたか?
「SBらしいカードじゃないかな、と思いました。初来日の選手が半分を占めていて実力は未知数ですが、予選をやって勝ち抜いてきた選手なので、逆に期待感は高まると思います。僕自身もどういう闘いになるのか、不安と期待が半々ですね」
――予選のVTRなどはご覧になったんですか?
「いえ、まだ全部は目を通していません。まずは自分の1回戦の対戦相手であるクリス・ホロデッキー(カナダ/Team Tompkins)に集中しています。もう少し時間はあるので、満遍なく全ての選手の研究はやっておきたいと思っていますけれども」
――そのホロデッキーなんですが、デビュー戦から10連勝を達成したり、北米のMMAで注目を集めるホープですね
「実は僕、記者会見で初めて相手を知ったんです(笑)。最初、トーナメント表に布が被せられていて、『それでは皆さん、お待たせしました。組み合わせの発表です』と司会者が言ってバッと布が取られた時、“あっ! ホロデッキーだ。しかも、1回戦の相手は俺だ!”って。ビックリしました」
――それはガチな話ですね(笑)。身内なんだから教えてくれてもいいのに
「直前までバタバタしていて忙しかったので、気にする余裕もなかったんです。その場で知ったので、どういうコメントしようかなって(笑)。吉鷹さんがホロデッキーを凄く評価しているのを雑誌で読んで知っていて、どんな選手なんだろうって興味は持っていたんですが、まさか闘うことになるとは思ってもいませんでした」
――どういう印象を持っていますか?
「いろいろ調べたんですが、キックボクシングだけでも30戦以上こなしているし、何より若いことが警戒しなければいけない部分です。吉鷹さんが評価している選手ということで僕自身興味があったし、そういう選手と試合をしてみたかったので、気が抜けない一戦ですね。さっそくYouTubeで検索して試合を見ました(笑)。パウンドで負けてしまった試合もあったんですが、立ち技の展開が多くて、パンチは回転が速いですし、コンビネーションもちゃんと上・中・下でやるんですよ。
一番気になったのは、スタンスは広いんですがちゃんとステップを使うんです。サークリングもやるし。僕が今まで見てきた総合の選手とは動きが全然違っていて、普通に打撃の試合をしていてもおかしくないレベルにあると思います。そういう部分で要注意です」
――ハイキックもバンバン蹴ってくるそうですね
「蹴ってましたね。元々、松濤館空手をやっていたそうです。蹴りはスイッチして溜めを作ってから重く蹴ってくるわけではないんですが、踏み込みのタイミングでパンパンッと蹴ってきます。足も上がるし、ローキックも蹴れるし、フックからローなどのキックボクシングっぽいコンビネーションも出してくる選手なので、いかにも総合ってタイプではないですね。拮抗した試合になるんじゃないかな、と予想しています」
――レスリングも経験しているとのことなので、投げや組みも強いのでは?
「試合の映像を見たら、テイクダウンされても立ち上がりが速いです。変に僕が投げを狙ったら逆に投げられてしまう可能性もあるので、そこは気をつけたい」
――総合の選手とはいえ、侮れない相手だと?
「僕、総合の選手とあまり相性がよくないんです(苦笑)。今の総合の選手って凄くレベルが高いじゃないですか。4〜5年前なら“総合の選手は立ち技ならカモでしょ”って空気がありましたが、ここ数年は北米を中心としてレベルアップのスピードが速すぎて、以前のような感覚でいたらやられてしまうかもしれない。それを抜きにしてもホロデスキーは強いと思いましたし、1回戦から厳しい試合になると思いますが、こちらとしては望むところ。そういう心境です」
――ホロデスキーをコーチしたトンプキンスはSBが好きで、映像を取り寄せて見たりしているそうですね
「みたいですね(笑)。向こうから要請があって、映像を手配してこちらから送ったこともあります。だから向こうも満を持してというか、自信を持ってSBに送り込んできた選手だと思うんですよね。対策をどれだけ練られているのかを考えたら不安になる部分もあるんですが、今回のトーナメントは“やるしかない”って心境なんです。よく“同じブロックにアンディ・サワーがいるぞ。大丈夫なのか?”とか言われるんですが、やるしかないでしょう。自分の持っている武器を最大限に使って、この中で勝てる方法を探すしかないだろ、と開き直っています。僕自身も楽しみで、自分がこのレベルの中でどこまで上に上がれるのか、ワクワクしている部分はあります」
■緒形さんに自分の全てをぶつけて越えたい
――いま言われた通り、順調に勝ち上がれば準決勝ではアンディ・サワーとの再戦になります。決勝でやりたかったという気持ちは?
「そんな先のことを言っても仕方がないんですが、夢としては日本人同士、日本人シュートボクサー同士の決勝戦になればいいなと思います。緒形さんが勝ち上がってきて、僕も自分のブロックで勝ち上がってこれたらいいな、って。それが関係者から見ても、お客さんから見ても一番盛り上がる構図じゃないかな、と思います」
――アンディとは2004年のS-cup決勝戦で対戦して、そこから打倒アンディへのロードがスタートしましたよね
「……そこはちょっと違うんです」
――と、言いますと?
宍戸大樹インタビュー内容
■記者会見で初めて相手を知ったんです(笑)
■緒形さんに自分の全てをぶつけて越えたい(前半)
※以下GBR会員の方のみご覧になれます。
■緒形さんに自分の全てをぶつけて越えたい(後半)
■自分が格闘技をやる意義・意味を考えさせられた
■今年は自分の中で勝手にテーマを作っていた
■シュートボクサーとしての意地を持って闘いたい |
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