■岩手が盛り上がるような戦いをする!その決意
――その後も支援活動を行いながら、道場の活動を再開されたのは?
「一応、区切りのいいところで4月1日を目標に再開しようと思っていたのですが、現実にはまだ状況的に厳しいかもしれないという気持ちもありました。
沿岸部の被害が落ち着いたわけでもなかったし、果たしてこの状況で稽古を再開していいのかと。そんな葛藤がありました。もしかしたら、あと1カ月道場をお休みにして、支援活動に専念した方がいいのかもしれないとも考えました。
背中を押してくれたのは、少年部でした。保護者の方から、家でうるさくしてます、とか、空手をやりたいと言っているとか聞いていくと、こんな状況だからこそ稽古を再開させてみんなで元気を出していくことが大事なんじゃないかと思えるようになりました」
――稽古を再開した心境は。
「震災前と変わらずいつも通りのメンバーが来てくれて、みんなすごいなと思いました。再開2日目には、これまで以上の道場生が集まってくれてじ〜んと来ました。まだガソリン不足も解消されていない状況なのですが、みんな道場が再開するのを待っていてくれたのかと」
――今後の活動はどんな方向性で進めていく予定ですか。
「岩手を盛り上げていきたいという気持ちは、変わっていません。震災によって注目されることになりましたが、それがなくてもすごい道場だと思われるような道場を作っていきたいと思っています。
正直、今回の震災によって道場生が離れていってしまうんじゃないかという不安がありましたが、それどころかこれまで以上に一致団結して盛り上がっているんです。まずは選手として自分も頑張っていきたいと思います」
――目前には出場を決意されたウェイト制が迫っています。
「自分は24歳で上京したのですが、そのときから選手として活躍して故郷に錦を飾りたいという強い思いがありました。それは今も変わらず、少しでも岩手の力になれるよう道場生の皆さんに良い話題を提供できればと思っています。
これまでは道場でも地震の話題が中心で、どうしても暗い雰囲気になっていましたが、今は『ウェイト制頑張ってください』と皆さんが言ってくださっているので、すごく励みになっています。
今回は“被災地・岩手からの出場選手”として多くの方から気にかけていただいていて、その分プレッシャーも感じていますが、強い気持ちを見せて挑んでいきたいと思います。岩手が盛り上がるような戦いをして、道場生や岩手、東北の方々に喜んでもらえれば最高です」
――最後に全国のファンへメッセージをお願いします。
「今回の震災にあたって、日本のみならず世界中から数多くのメッセージをいただき、またご支援をくださった皆様にこの場をお借りして感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。
被災地ではまだまだ支援が必要な状況が続いており、復興までにも長い月日がかかると言われていますが、このような大規模な震災に直面して、自分たちが多くの方々によって支えられていること、そして改めて極真会館という国際組織のネットワークの広さと絆の強さを感じることができました。
自分にとって、今回のウェイト制大会は特別な意味を持つ大会になります。東北人として恥ずかしくない戦いをして、ぜひとも日本代表の座を奪取し、世界大会の出場権を得たいと思います。
また、今後も被災地での支援活動を含めて、地元・岩手や東北を盛り上げていくために頑張っていくつもりです。多くのご支援をいただいたことに、本当に感謝しています。ありがとうございました」
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