世界45カ国192名が出場する4年に一度の空手オリンピック、11月4日(金)〜6日(日)の3日間にわたって開催される極真会館『第10回オープントーナメント全世界空手道選手権大会』。第8回大会で王座を奪回した世界チャンピオン木山は今回、日本選手団の監督として世界大会に臨む。自分と同じ“王座奪回”をテーマとする空手母国ニッポンを語る。(2011年10月27日UP)写真提供/ワールド空手
PROFILE
木山仁(きやま・ひとし)
1974年1月9日、鹿児島県鹿児島市出身
1997年、全世界ウェイト制選手権中量級優勝
1998年、第30回全日本選手権3位
2000年、第32回全日本選手権優勝
2001年、第33回全日本選手権優勝、史上4人目の2連覇
2003年、第8回全世界選手権優勝
現役時代、自動車を押す独特のトレーニングを行ったことが有名
元々は中量級の体格ながら、無差別の全日本と全世界を制した
第10回全世界選手権日本代表選手団監督
国際空手道連盟極真会館名古屋中央支部長
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■日本の選手たちは“機動力”が大事
ーー『第10回全世界大会』が目前に迫ってまいりました。日本代表監督としてどんなお気持ちですか?
「いよいよやって来たな、という心境です。最終的に選手たちがどれだけ仕上がっているのかというところですが、前回(9月)の合宿を見た限りでは日本選手団が一致団結して盛り上がっていましたし、『王座奪回』というテーマに向けて気持ちもひとつになっていたので、おそらく最高の仕上がりになっているのではなかろうかと期待しています」
ーーその強化合宿ですが、どんなことを特に強化されたのですか?
→前回の第9回大会で日本人選手はベスト8にわずか1名しか入れず、表彰台は外国人選手が独占した
「9月の最終合宿では実戦的な組手と体力強化に重点を置き、1回目(強化合宿は1月、4月、7月、9月と4回行われた)から通してやってきたことは“機動力”の強化です。機動力を最後まで重視して稽古を行ってきました」
ーー機動力というと?
「日本選手よりもはるかに体格で優る外国人選手を相手にした時に、正面に立って戦い続けることは厳しいです。そのため、相手の攻撃を正面から喰らわないとか、もしくは相手との間合いを一瞬で詰めてしまうとか、または相手の攻撃をしっかりかわすための機動力を強化する稽古です。本格的に始めたのは第2回合宿からで、機動力の大切さをしっかりと選手たちに伝えてきました」
ーー外国人選手が相手になると、日本選手同士の試合のような正面衝突では勝てないということですね?
「はい。中には荒田昇毅選手や谷口誠選手のような正面から行っても外国人選手を粉砕してしまう体格を持っている選手もいますが、全ての選手がそうではないですからね。彼ら以外の選手を見た時に、軽重量級から中量級くらいの体格の選手が非常に多いので、そういった選手たちが勝ち残るには機動力が必要になってきます」
ーー合宿を通じて一番調子が良かったのは誰でしたか?
「前回の世界大会で日本人唯一のベスト8入りを果たした村田達也選手ですね。途中で抜けることなく平均的にずっと稽古を続けていて、フィジカル面でも組手の面でもレベルの高いところにいました。前回の経験も活きてくるでしょうし、今回も期待が持てます。もう一人は当然、田中健太郎選手です。彼は明確に機動力というものを理解して、その動きを取り入れていこうという意識を持ってしっかりと稽古に打ち込んでいたように見えました。
経験においても彼は長い戦歴を持つベテランですから、組手の面でも非常に安定したものを持っています。合宿で今回の日本選手団主将に任命させてもらったんですが、他の代表選手たちを引っ張る形でしっかりと号令をかけていましたし、非常に頼もしくなったという印象を受けましたね。
前回の第9回世界大会では、第8回大会で私やベテランと言われる選手が引退して、その次にいきなり田中選手が来て正直なところ頼りない部分もありましたが、今回に関しては主将として頼りがいのある状態でみんなを引っ張っていました。本人も主将としての自覚や選手としてピークを迎えていることもあってか、充実した稽古をして頑張っていたと思います」
ーー今回のキーマンになりそうな選手は誰でしょうか?
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