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GBRの「UFC JAPAN」特集
高阪剛、桜井“マッハ”速人、長南亮、弘中邦佳がUFCについて語ったインタビュー、秋山成勲や五味隆典らのスパーリング動画など


 WOWOWのUFC中継解説者としてお馴染みの“世界のTK”こと高阪剛が、2月26日(日)さいたまスーパーアリーナで開催されるUFCの日本大会『UFC JAPAN EDGAR vs. HENDERSON』の見どころを解説。さらに、今大会が日本格闘技界にもたらす影響について、高阪が期待していることとは……?(2012年2月14日UP)

PROFILE
高阪剛
(こうさか・つよし)
1970年3月6日、滋賀県草津市出身
高校、専修大学、東レと柔道部に所属
1994年8月20日、リングスでプロデビュー
1995年10月13日、トーナメント・オブ・J優勝
1998年からは日本人として初めてUFCに定期参戦
2004年11月7日、初代スーパーヘビー級キング・オブ・パンクラス王座を獲得
2005年よりPRIDEに参戦
2006年5月5日、マーク・ハント戦で敗れ現役を引退
現在はA-SQUARE代表、チーム・アライアンス代表として
後進の指導や総合格闘技の普及に努める
また、UFCやDREAMのテレビ中継の解説者としても活躍中

■ケージの試合はグラウンドを縦で見ていると思うこと

ーーUFC JAPANがいよいよ開催されます。今回初めてUFCを見るファンも多いと思うので、“ここを見れば面白い”というポイントをお願いします。

「UFCの一番の特徴はやはりケージ(金網)です。ケージの中での戦い方、ケージを利用してどうやって勝つかということを選手たちはもの凄く考えています。UFCはケージでやる試合に慣れている選手ばかりなので、ケージをどう上手く使って試合を組み立てているのかを見るのが面白いと思います」

ーーPRIDEとの違いを分かりやすく言うとどうでしょう?

「例えば、PRIDEで使われていた正方形リングの場合、囲んでいるロープは選手が外に落ちないためとか、空間を限ることによって試合の展開を早くするとか、そういう意味合いが強いと思います。しかし、ケージの場合はケージをどう利用するかという考え方をするかしないかで試合が大きく変わってくるんですね。

 分かりやすい見方は、グラウンド(寝技)を縦で見ていると思うことです。一方の選手が相手をケージに押し付けている状態は、グラウンドで抑え込んでいる状態と考えればいい。相手をテイクダウンしてはいないけれど、相手を仰向けにして体重をかけている状態に近いです。また、ケージに押し込んでも体勢を入れ替えられて逆に押し込まれるケースは、グラウンドにおけるリバーサル(寝技で下になっている選手が相手を引っ繰り返して上になる技術)のようなものです。

 お互いに立っていてもグラウンドと同じような攻防が出来るのが、ケージの特徴です。どういう場面になってもお互いに攻めるチャンスがある状態を作ってくれるのが、あのケージだと自分は思うんですよね。それがリングとケージの大きな違いだと思います」

ーーああ、なるほど。2人とも立っているか寝ているかの違いはありますが、ロープとロープの隙間があるリングではなく、壁のようになっているケージだから床と同じというわけですね。よくケージはグラップラー(組み技主体の選手)が有利でストライカー(打撃技主体の選手)が不利、リングはその逆と言いますが、実際にそうなんでしょうか?

「それはケージのサイズが小さい場合ですね。オクタゴンは直径9メートルありますから、そうは言えないと思います。この広さもひとつのポイントですね。自分が実際にオクタゴンで試合をした経験上の話ですが、端と端に立って試合開始でお互いに相手に近付いていくじゃないですか。ここがリングよりも凄く時間がかかる感じがするんです。いつまで経っても近付けないような感覚。実際は1〜2秒の差だと思いますが、それくらいの感覚のズレはありました。

 ですから、ストライカーはステップワークを使って自分の距離を保って戦うことも可能な試合場だと思います。ケージというものをしっかりと意識して動けている選手は、ストライカーでも押し込まれそうで押し込まれない。サイドステップで上手く回っています。または、押し込まれても足を使って体勢を入れ替えることが出来ます」

ーーそう考えると、ケージは総合格闘技をやるのに適した試合場だと言えますね。

「自分は正直なところ、試合をやっている時にそう思いました。もちろんケージが敵にもなるんですが、自分の味方になってくれた時には試合が有利に運べます。今のUFCもグラウンドで展開がなくなった時はブレイクがかかりますが、それはお互いの能力の部分に関するブレイクだと思うんですよね。ロープの外に上半身や下半身が出てしまってのブレイクとは違います。ですから、お互いがしっかりとやり合える試合場ではないかなと思うんです」

ーー今回の日本大会で高阪さんが注目している試合を上げてください。

「秋山成勲(チーム・クラウド)vsジェイク・シールズ(アメリカ)です。自分は今、トレーナーとして秋山の練習を見ていますし、セコンドにも就きます。

→高阪が注目する秋山(左)vsシールズ(右)

秋山がどれだけ潜在能力を出した試合をやってくれるのか。秋山はまだ自分が持っているものを、今までの試合では出し切れていない部分があると思うんですよね。

  UFC初戦のアラン・ベルチャー戦(秋山が判定勝ち)にしても、負けたマイケル・ビスピンとの試合(秋山が判定負け)にしても、見ていて“コイツはすげぇな”と思いました。ボクシングの技術もそうなんですが、破壊力があるんですよね。身体能力が高いので、打撃に自分のウェイトを乗せるやり方も分かっているんです。

 ただ、もっと出来るところがいろいろあるんですよ。それが今回の試合でどこまで出せるかというのがポイント。今彼は36歳ですが、まだ眠っている部分を出せたらまだ出来るということが本人も周りも確信出来ると思います。それがシールズという強豪を相手にちゃんと出来るかどうか、トレーナーとしての自分が一番ワクワクしているかもしれません」

ーーしかし、UFCでは日本人選手たちがなかなか勝てないという現実があります。

「確かにそうですが、秋山の今の状態はハッキリ言って去年の状態とは全然違います。あとはそれを試合の中で本人が使えるかどうかですね」

ーーそれはテクニックですか、フィジカルですか、それとも戦略ですか?

「試合前なのであまり細かくは言えません(笑)。大まかに言えば“トータルバランス”です」

ーーその潜在能力を開放出来れば、秋山選手はUFCのトップ戦線でも活躍することが出来るのでしょうか?

「もう、全然出来ます。なんならもう一度ミドル級に戻しても(秋山は今回から階級を下げてウェルター級で試合をする)勝負出来ると自分は思っています。本当に凄いんですよ。自分も今までいろんな化け物を見て来ましたが、あの身体でこれだけ出来るのかというものを持っているんです。格闘家というよりもアスリートとして見た場合、ポテンシャルがもの凄く高いと思います」

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