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 2009.1.21  「振り返れば、やっぱり格闘技」 第40回 by熊久保英幸




 極真空手最大の荒行「百人組手」のことは誰でも知っているだろう。全日本大会優勝、全世界大会優勝、そして百人組手完遂は極真のグランドスラムと呼ばれている(今では定番化したが、ちなみにこの定義をゴン格で打ち出したのもボクだったりする)。

 百人組手のことはテレビ東京で放映した映画『最強最後のカラテ』で知っていた(ボクが中学生くらいの時、なぜかテレビ東京では午後7時のゴールデンタイムに『地上最強のカラテ』とか『激突!格闘技 四角いジャングル』とか格闘技の映画を放映したのである)。

 映画の中では世界チャンピオンの中村誠が百人組手に挑み、ボロボロにされてしまうという衝撃的な内容。「大山倍達の制止を振り切り、中村は水を飲む」というナレーションと共に、中村がヤカンから浴びるように水を飲んでいる姿が非常に印象深かった。

 極真史上でも達成したのはハワード・コリンズ、三浦美幸、松井章圭、アデミール・ダ・コスタの4人しかいない(ボクがゴン格に入った時点で)という荒行。いつか見てみたいと思っていたのだが、意外にもかなり早くその機会は訪れた。

 1990年2月、総本部で行われた昇段審査。土、日と2日間にわたって行われるのだが、その初日の取材を任された。ゴン格編集部に入って丸1年が経過していたが、当時のボクは本当にまだペーペーで、雑用的な仕事が多く(編集部員が近藤隆夫さんとボクの2人しかいなかったこともある)、ロクに記事も書かせてもらえない存在だった。

 この昇段審査を取材出来るのは極真の機関誌『パワー空手』(現・ワールド空手)とゴン格だけだったので、ゴン格にとってはウリの取材だった。そのため、フリーのような形でやっていた極真担当の先輩が取材に行くはずだったのだが、「メインの人は日曜日に組手をやるから、土曜日は大したことないので行って」と頼まれたのである。

 もちろん、喜んで引き受けた。土曜日は10人組手とか20人組手しかやらないとのことだったのだが、それを見るのも初めてだったのでワクワクして総本部へ。しかし、ここで思わぬ事態が……。

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