2005年2月16日(水)、全日本キックボクシング連盟を退団した佐藤嘉洋が記者会見を開いた。
退団を発表して以来、初めて公の場に姿を現せた佐藤は「今日は台本も原稿も何も用意していません。ありのままの僕の気持ちを聞いてください」と前置きし、今の心境を語った。
「当初海外の強豪選手と試合をする予定だったんですが、それが流れてしまい清水貴彦選手と対戦することになりました。僕と清水選手はプライベートで話をするくらい仲が良いんですが、プロのキックボクサーとして冷静に客観的に見た場合、僕の方が一歩リードしていると思っていました。海外の強豪を相手に3連続KO勝ちしていただけに、戸惑わなかったと言えば嘘になります。それでも僕はこの試合にやりがいを見つけ、練習を積んでいたいんですが、清水選手がケガをしてキャンセルになってしまいました。それを聞いたときは張り詰めていた糸が切れてしまい、全日本キックさんの方に長期休養を申し出ました。
そんな時に清水選手の代役として、山本優弥選手が名乗りを挙げてくれて。山本選手は2月に決まっていたイタリアの試合を蹴って、僕と試合をするというのことだったので、それを断るのは失礼ですし、代役を一生懸命探してくれた全日本キックさんにも失礼だと思い、試合をすることにしました。自分では気持ちを切り替えて、試合に挑んだつもりだったんですけど、それは"つもり"でしかなくて、精神的に弱いということや、たくさんの課題が見つかりました。そういった点ではあの試合をやって良かったと思っています。
しかし僕の理想は海外のトップ選手と、どんどんやっていくということなので、そこに関しては理想と違っていました。今後は戦う場の選択肢を増やすという意味で、自分の窓口をフルキャストスポーツに移すことにしました。
一方的な退団ではあったんですが、いいマッチメークであるならば、全日本キックさんにも上がっていきたいですし、海外でも試合をしたいです。全日本キック関係者の方々に迷惑をかけたことは申し訳ないと思っています。」
会見に同席した潟tルキャストスポーツ 小林博取締役は「より強い相手と戦うために、佐藤選手はフリーという立場になりました。今後はニュートラルな立場として全方位に働きかけようと思っています」と語った。
現在、佐藤は名古屋JKファクトリーを離れているため、自主トレが中心となっているが「僕は十何年間、小森会長にお世話になってきて、小森会長がいたからこそ強くなれましたし、ベルトを巻く事が出来ました。僕にキックを教えるのは小森会長しかいないと思っています。もし許してもらえるなら、また小森会長のところで練習したいと思っています」と胸の内を明かした。以下、質疑応答の記事全文。
――小森会長に話をしなかったのは、なぜなんですか?
佐藤 小森会長だけでなく、全日本キックさんの方にも話をせずに、脱退を表明したのは、冷静に考えると筋は通ってないと感じています。
小林 その点については佐藤選手と話をしたんですが、十何年間お世話になっていて、突然脱退の相談をするのは迷惑がかかるんではないか、と。少々強引な形ではあるんですが、こういう形になってしまいました。
――現在、練習の方はどうされているんですか?
佐藤 自主トレをやっています。ただし僕の希望としては十何年間、小森会長にお世話になってきて、小森会長がいたからこそ強くなれましたし、ベルトを巻く事が出来ました。僕にキックを教えるのは小森会長しかいないと思っています。もし許してもらえるなら、また小森会長のところで練習したいと思っています。
小林 私たちも今のところは、小森会長以外に選択肢はないと思っています。会長に理解していただけるよう、交渉したいと思っています。
――所属はどうなるんでしょうか?
小林 フルキャストスポーツ所属ということになります。
――今後、佐藤選手をどんなプランで活動させていこうと考えているんですか?
小林 マッチメークに関しては高いレベルの相手と戦うというのが大前提です。そして全方位的にやっていきたいと考えています。今、現在のところ、具体的にみなさんに話が出来る状態ではありません。またフルキャストスポーツでは、試合以外のマネージメントの部分もやっていきたいと思っています。
――脱退を発表してから、小森会長とは話をしましたか?
佐藤 まずは正式にこういった形の会見を開いてから、会長に話そうと思っていたので、まだ話していません。今日は無理ですが、明日か明後日には話をしたいと思っています。
――いつ頃からフリーになることを考えていたんですか?
佐藤 1月中旬です。
小林 マネージメント契約した頃から、格闘家として長期的なプランを話していました。
――今後、全日本キックに参戦したいという気持ちはあるんでしょうか?
佐藤 (今回のフリー宣言は)あのリングに上がらないというわけではなく、自分の窓口を変えたということです。
――全日本キックを退団するということと、ジムを辞めるということは決してイコールではないと思うのですが
佐藤 そうしないと筋が通らないというか…
小林 私たちも佐藤選手のパートナーは小森会長しかいないと思っています。ただし小森会長は全日本キック所属なので。今後はニュートラルな立場として、全方位に働きかけようと思っていますし、全日本キックさんで試合をやりたいという希望もあります。
――全日本キックの会見では「本人と話をしたかった」という関係者が多かったのですが
佐藤 一週間以上経ってみて、不義理なことをしたなと感じています。失礼ではあるんですが、電話することも出来なくて、全日本キックの宮田さんにはメールで、今話したことは伝えました。もしまた全日本キックさんの方でやらせてもらえるのであれば、歩み寄らせてもらいたいと思っています。
――感情的になってしまったという部分はありませんか?
佐藤 「冷静じゃなかった」と言われれば、そうかもしれません。
――K-1MAXには興味はありますか?
佐藤 そうですね。23日の大会は生で見ようと思っています。大会の雰囲気とかを感じたいです。K-1さんが僕を必要としているなら、参戦したいですね。
――ちなみに気になるカード、選手はいますか?
佐藤 KID×武田戦は興味がありますね。あとはファリッド・ヴィヨムですね。とても強いらしいので。
――戦いたい相手はいますか?
佐藤 よく分からないんですけど、とにかく強い選手とやりたいです。僕は強いと言われる選手に勝って、自分の価値を出してきたんで、これからもそういう相手とどんどん戦っていきたいと思っています。
――ムエタイについてはどうでしょう?
佐藤 そうですね。出来るんであればルンピニーを狙いたいです。ただこの前ランキングを見たら、自分の名前がなかったんで、イチからやり直しです。
――4月にジャン・スカボロスキー戦が決まっていたという話もありましたが
佐藤 漠然と聞いてはいました。スカボロスキーは戦いたい相手の一人なんで、まだチャンスがあるならやらせてもらいたいです。
――タイトル剥奪についてはどう思いますか?
佐藤 当然だと思います。ただすべて海外で取ってきたベルトで、小森会長とコーディネーターの方と一丸になって頑張ってきたんで、申し訳ないと思っています。
――次の試合はいつ頃を希望しますか?
佐藤 出来れば早くやりたいんですが、フルキャストスポーツでも格闘技は初めてということなんで、期間が空くのは予想しています。色んな人に迷惑をかけたので、それなりのペナルティは覚悟してます。
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