11月12日(日)東京・後楽園ホールで開催される全日本キックボクシング連盟主催『Solid Fist』のメインイベントで、“ムエタイ現役四冠王”ジャルンチャイ・ケーサージム(タイ)に挑むWKA世界ムエタイ・ライト級チャンピオン“野良犬”小林聡(日本/藤原)が、6日(月)東京・荒川区三ノ輪の藤原ジムで公開練習を行った。
練習は3分5R、インターバル30秒のミット打ちだが、その内容は壮絶。まず藤原会長が自ら持つミットに休まずパンチを叩き込み、次に前田尚紀の持つミットにやはり休まず蹴りを入れて行くというのを1R内で交互に行うのだ。ちょっとでも力が抜けていたり動きを止めたりすると、藤原会長の「バカ野郎!」という怒号が響き渡る。
パンチのコンビネーションを3〜4組み合わせ、打ち終わりには必ず前蹴りを入れさせる。蹴りも単発ではなく必ず2発蹴らせる、キックミットはその場に止まっているのではなく動いて小林を歩かせるなど、随所に実戦的なものが見られた。
後半の小林は必死の表情でパンチ、キックを連打していく。最後のラウンドには山本真弘が持ったミットも加わり、小林はフルに3分5Rを動いた。最後のミット打ちを終えると、小林はリング上で大の字に倒れこんだ。
ところが、小林の凄いところはほんの数秒間だけ大の字になっただけですぐに立ち上がり、汗を拭くともうすっかり息が整っていたということだ。息遣いが激しくなることもなく、普通に喋り始めた。
これは「インターバルで回復するようなトレーニングを凄くやってるから」だと小林は言う。「1R1Rに勝負を賭けたい。1Rで全力を出してインターバルで回復、2Rにはまた全力を出し切ってインターバルで回復…とゾンビのようにやります」
公開練習用のトレーニングではなく、普通のトレーニングをそのままやったという小林。
「体が重くて疲れた。昨日休んだので、まだ体が眠っている感じ。長い練習は先週までで、今週はスピードを重視した戦略的な練習をやります」。
練習は前日計量(11日)の前の日まで続けるという。「(藤原)先生との練習はよくやっているけど、今回は少しいつもより多いですね。戦略は先生と練っています」。
ムエタイ現役チャンピオンとの対戦は小林自らが望んだものだった。
「ムエタイのチャンピオンが相手だから、心のどこかで燃えるものがある。過去最高に燃えています。何よりもタイトルを持っているのが魅力。おいしいものを用意してくれましたね。今回の相手じゃなかったから、これだけ燃えないですよ。今回ばかりは相手を選ばせてもらいました」と、全日本キックの計らいに満足気だ。
戦略をしっかり練っているとのことで、勝ちパターンの数を聞かれると「ラッキー7だから7つ」と答え、「今回のキーワードは“4”なんですよ。4年ぶりのチャンピオンとの対戦で四冠王で4時に起きて4時に会場入りして……」と言う小林は、調子に乗って「4Rまでに4回ダウンを獲って…」と続けたが、さすがにここでストップがかかった。ちなみに、これでムエタイとは昨年の12月から四連戦目になる。
「KOじゃないと勝たせてくれない」と確実に倒すことを心に決め、「これに賭けなきゃおかしい」と68戦のキャリア全てを賭けて挑むつもりだ。
「一昨年、“1・4もう一丁!”と宣言したのに今年の1・4で(大月晴明との再戦が)実現できず、目的を持てずに暗闇を走っているようだった。自分でモチベーションを上げるために、“今年で打倒ムエタイには一区切りつける”とテーマを決めたんです。それで3試合でチャンピオンまで辿り着くと宮田さんに言ったんですよ。僕もそれに応える。要望どおりにしてもらったので、要望どおりに勝ちます」
野良犬伝説の最終章、どんなドラマが待ち受けているのか? 2001年9月7日、ラジャダムナンスタジアムの現役ライト級チャンピオンであるテーパリット・シットヴォンイムを4RKOに破った再現となるか!?
●元ラジャダムナンスタジアム・ライト級チャンピオン藤原敏男会長の話
「いつものパターンだけど、小林の中には単純と複雑の二つがある。それをいい方向に出せれば面白いことになるだろうね。後半に小林のペースになることが多いけれど、今回は“先の先(せんのせん)”で行く。打ち合ってすぐサイドステップを使ってサイドへ回って打ったり、相手のペースにはまらないように前蹴りを使ったりと。それがすっかり脳裏から外れると単純な攻撃になってしまうから、覚えこませる練習はしてきたね。
相手が若い選手だけに、ペース配分を小林が出来れば面白い。ジャルンチャイのビデオは見たが、破壊力のある選手じゃない。最近の試合を見ていないから変ったかもしれないが、いいパターンにハマれば、小林のリズムについていけないようになれば小林がリズムをとれる。ただ、小林は気を抜くところがあるから、そこをタイ人に突かれて突っ込まれないように動きを止めないで行かないといけない。
小林が以前にチャンピオンとやったのは3〜4年前でしょ?(2002年9月6日、ルンピニー・ジュニアライト級チャンピオンのサムゴー・ギャットモンテープ戦=3RKO負け)あの時より小林はトシとってるし、体力、パワー、スピードが落ちてるから、落ちてる部分をどう能力的戦法で闘うか? その練習はしてきたから、忘れずに出せれば面白い試合になる。サムゴー戦みたいな一方的な試合にはならないよ」
全日本キックボクシング連盟
「Solid Fist」
2006年11月12日(日)東京・後楽園ホール
開場17:00 開始18:30
※オープニングファイト開始17:30
<全対戦カード>
▼トリプルメインイベント第3試合 62.00kg契約 3分5R
小林 聡(藤原/WKA世界ムエタイ・ライト級王者)
VS
ジャルンチャイ・ケーサージム(タイ/現役ムエタイ4冠王)
▼トリプルメインイベント第2試合 68kg契約 3分5R
ゲーンカート・チューワッタナ(タイ/ラジャダムナン・ウェルター級1位)
VS
大 輝(JMC横浜/全日本ウェルター級王者&ラジャダムナン・ウェルター級8位)
▼トリプルメインイベント CROSS BOUT ライト級サドンデスマッチ 3分3R
大月晴明(AJKF/WPKC世界ムエタイ・ライト級王者)
VS
山本雅美(北流会君津/NJKFライト級1位)
※今大会より大月の所属はAJKFに変更となり、連盟所属選手として扱われる
▼セミファイナル 61kg契約 サドンデスマッチ 3分3R
チューティン・シットクヴォンイム(タイ/谷山/元ムエタイ二冠王)
VS
増田博正(スクランブル渋谷/全日本ライト級王者)
▼第4試合 全日本Sウェルター級ランキング戦 サドンデスマッチ 3分3R
佐藤皓彦(JMC横浜/同級5位)
VS
後藤友宏(TEAM GO/同級10位&元NKBウェルター級2位)
▼第3試合 ヘビー級 サドンデスマッチ 3分3R
安部康博(建武館/元全日本ヘビー級王者&同級3位)
VS
山宮恵一郎(GRABAKA/同級6位)
▼第2試合 スーパー・ウェルター級 3分3R
藤元洋次(NSG)
VS
クリストフ・プルボー(スクランブル渋谷)
▼第1試合 ヘビー級 3分3R
洪 太星(極真会館)
VS
コンボイ山下(超越塾)
▼オープニングファイト第3試合/ライト級3分3R
中向居尚輝(S.V.G.)
VS
野間一暢(JMC横浜)
▼オープニングファイト第2試合/フェザー級3分3R
甲野裕也(S.V.G.)
VS
上杉隼土(超越塾)
▼オープニングファイト第1試合/フェザー級3分3R
九島 亮(AJ)
VS
永野裕典(和術慧舟會DURO)
<お問い合わせ>
全日本キックボクシング連盟 TEL.03-3365-1171
●全日本キックボクシング連盟 2007年度・大会スケジュール
1月4日(木)後楽園ホール
3月9日(金)後楽園ホール
4月15日(日)後楽園ホール
5月11日(金)後楽園ホール
7月29日(日)後楽園ホール
8月25日(土)後楽園ホール
9月29日(土)後楽園ホール
11月18日(日)後楽園ホール
12月7日(金)後楽園ホール
※新宿FACE大会、横浜赤レンガ倉庫大会(はまっこムエタイジム)、その他追加大会予定
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