1月11日(木)都内ホテルにて、2006年12月31日(日)大阪・京セラドームで開催されたTBS/MBS/FEG主催『K-1
PREMIUM 2006 Dynamite!!』での秋山成勲(フリー)VS桜庭和志(フリー)戦に関する記者会見が行われた。
会見には谷川貞治イベントプロデューサー(以下EP)、磯野元HERO'Sルールディレクター、平直行HERO'S審判長、梅木良則レフェリーが出席、この一戦の裁定に関する結果報告が発表された。また秋山本人も会見に出席し、今回の件についてコメントを残している。以下、磯野ルールディレクターによる発表内容の詳細。
「オイルに疑惑についての検証結果を報告させていただきます。青コーナーより先に桜庭選手が入場し、赤コーナーより秋山選手が柔道愛好者140名の少年少女と共に入場します。通常、選手はリングインする前のリング下で、サブレフェリーにボディチェックを受けますが、この時はいつもの秋山選手の入場曲が終わってしまいそうになったため、リング下で芹沢サブレフェリーが秋山選手に道衣を着るか、脱ぐかを確認します。
ここで秋山選手が『脱ぎます』と返答したため、まずはリングインさせてから、リング上でボディチェックをすることになりました。ここで芹沢サブレフェリーは秋山選手の道衣の中にを手を入れ、体に直接手を触れて異物の存在、オイルの有無をチェックしましたが、異常が認められなかったため、通常通りに試合を開始することになります。
試合開始、立ち技の攻防の中、1分39秒あたりで、桜庭選手が秋山選手の左足にファーストタックル、テイクダウンが奪えず、再び立ち技の攻防となります。2分5秒あたりで桜庭選手の左ローキックが秋山選手の金的に当たり、試合が一度中断。このインターバル中に桜庭選手は、桜庭選手側にいた和田サブレフェリーに「体が滑るんですけど」とアピールします。
しかし和田サブレフェリーはこのアピールが強い主張がではなかったこともあり、秋山選手の体をチェックしませんでした。また梅木レフェリーをはじめ、他のジャッジ陣はこの時に桜庭選手からこのようなアピールがあったことは認識していませんでした。
試合再開後、3分37秒あたりで桜庭選手がタックル、秋山選手が足を抜くようにタックルをはずします。それに対し桜庭選手がコーナーに下がりながらタイムを要求しますが、秋山選手がパンチでラッシュしていったため、レフェリーは試合をストップできず、そのままパンチの応酬となります。
その後、、一旦間合いが開きますが、再びパンチの応酬となり、4分13秒あたりで桜庭選手が三度目のタックル、テイクダウンが取れずに桜庭選手がそのままガードポジションになり、秋山選手がパンチを何発も放つ展開となりました。
秋山選手がパンチを放っている間、桜庭選手は下から手を取り、腕ひしぎなどを狙いながら『おい、レフェリー! 滑るよ』と何度もアピールします。秋山選手は構わずパンチを落とし、レフェリーも『アクションしないと試合を止めるぞ』と桜庭選手に返しました。
試合はパウンドを連打されながらも、桜庭選手の意識が飛んでいなかったため、レフェリーはリング下の本部席にいる平直行審判長とコンタクトを取ります。HERO'Sルールではドクターやサブレフェリーが危険と判断した場合、審判長が代表して試合を止める権限があり、最終的にはこのままでは危険な状態にある、この状況では展開が変わらないと判断し、リング下の協議で審判長裁定によるTKOとなりました。
TKO後も意識のある桜庭選手は強い語気で『何で? 滑るよ!』とレフェリーにアピール、梅木レフェリーはすぐにその場で秋山選手の胸と背中をチェックします。またテレビ放送では映っていなかったのですが、ジャッジの松本審判員は桜庭選手の抗議の内容から、秋山選手の足をチェックすべきだという指摘をし、梅木レフェリーはその時すでに道衣の下を履いていた秋山選手の裾をめくり、足をチェック、オイルの有無など、異常を確認することはできませんでした。
より正確な判断をするため、私と他の審判員一同はリング上で行われた閉会式での秋山選手の挙動に注目しました。リング下に降りてからも、私が秋山選手の帯を抱えるように密着、同行し、会場を退場するまでの秋山選手の挙動を観察しましたが、体から何かを拭き取るなどの不正の痕跡を隠滅、隠蔽するような行為は一切ありませんでした。
控え室に戻る途中の通路で、秋山選手と同行していた私、平審判長、K-1ルールディレクター大成審判員、桜庭選手のセコンドを務めた豊永稔氏が立会いのもと、秋山選手にもう一度道衣を脱いでもらい、まず豊永氏に秋山選手の体に直接触れてチェックをしてもらいました。
次に平審判長、大成審判員、私の順で全身、特に足、ふくらはぎ、膝裏などを入念にチェックします。感触や臭いなどから総合的に判断し、『ヌルヌルしている』と感じた者もいましたが、それがワセリンやオイル等、不正な物質を塗布しているとまで言い切れないという判断になりました。
それを審判団より桜庭選手サイドに説明しましたが、桜庭選手は何度もクレームを続け、後日、正式に書面で抗議の申し出がありました」
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