10月15日(金)東京・青海にてスポーツ専門TV局J-SPORTSの記者会見が行われ、“国内60kg級最強の男”山本真弘(藤原)が12月11日(土・現地時間)ギリシャ・アテネで開催される『IT’S SHOWTIME』で61kg級世界タイトルに挑戦することが発表された。
第22代全日本キックボクシング連盟フェザー級王者、2005年IKUSA-U60 GP優勝、2007年Kick Returnトーナメント優勝、2009年Krushライト級グランプリ優勝と、数々の大会でタイトルを手にしてきた山本が、ついに世界へ打って出る。「海外での試合はタイに続いて2度目です。そこに怖さはありません。日本代表の気持ちで試合をして必ずベルトを持って帰ります」と力強く宣言した。
会見に同席したスポーツライターの布施鋼治氏は「キックボクシングの大会がヨーロッパで盛り上がりを見せていますが、IT’S SHOWTIMEはその中でも最大のイベントとしてオランダ、イギリス、ベルギー、ドイツなどヨーロッパ各地で大会を開催しています。また、年に1度アムステルダムアリーナで観客を2万人以上集めてのビッグイベントも開催しています。今回、ギリシャでの開催は初。日本人がIT’S SHOWTIMEの世界タイトルに挑戦するのも初です」と大会を説明する。
チャンピオンは黒人ファイターのセルジオ・ヴィールセン(スリナム共和国/コンチネンタルFFC)。身長169cmで167cmの山本より2cm高い。戦績は山本の33勝(10KO)9敗5分に対し、29勝(18KO)3敗と高いKO率と勝率を誇る。トレーナーはオランダの名トレーナーとして知られるルシアン・カルビンだ。世界王座決定戦はバッティングによる負傷で、途中ラウンドまでの採点で世界王座に就いた。また、ムエタイの強豪であるアヌワットを右ロー連打からのハイキックで秒殺したことでも知られる。
会見場ではタイトルマッチのVTRが流され、それを見た山本は「(会場が)後楽園ホールとは雰囲気が違いますね。一発一発のパンチが強い感じがします。初めて闘うタイプですね。凄く楽しみです。軽量級にしか見せられないものを見せられると思う。61kgは自分が一番、体が動く体重です」などのコメント。アヌワット戦の映像も見たといい、「調子に乗らせると強い。一発もらったら一気にガッと来るタイプ。持っているものはあると思うので、警戒しています」と印象を語った。
VTRを見終わると「大体どんなスタイルか分かりました。バネがあって勢いがあるので、調子にのせたらやっかいですね。最初の一発をもらわないようにします」と感想を述べ、「タイトルマッチは5Rなので、3Rよりハッキリと差が出るので自分はやりやすい。3Rは勢いのある方が有利ですからね。5Rは頭を使って考えて組み立てることが出来ます。自信? 全然あります。ディフェンス、スピード、戦略は僕が確実に上回っている」と自信を漲らせる。
今回の試合オファーが来たのは9月末、即答で「やります」と返事をしたという。「IT’S SHOWTIMEは前から気になっていたので、凄く嬉しかったですね。61kgのタイトルが出来ると聞いていたので、自分にも合っているなと思っていました。海外の強豪とやってみたかったというのが一番です」。
山本の実力は誰もが認めるところだが、最近2試合はK-1の63kg級で大和哲也に延長R判定負け、ライト級(61.23kg)で羅紗陀に判定負けと日本キックボクシング界のホープたちにベストの60kgよりも重い体重で連敗している。それについては「特に気にしていません。次の試合をしっかりやって見返すつもりです」という。
会見に同席した師匠の藤原敏男会長は、「世界の強豪が集まるIT’S SHOWTIMEに招待されたことを光栄に思っています。山本は7年間の苦労を水の泡にしないよう大いに頑張ってもらいたい。必ずベルトを獲って帰ってくると思います」とエールを送り、「対戦相手はパンチから蹴り、ヒザの連携がいい。隙を見せるとハイキックをもらってしまうかもしれない」と評しながらも、「一発一発の思い切りがいいし、蹴りもいいがスタミナがない。山本のフットワークを使ったスピードを持ってすれば疲れさせ、思わぬ攻撃を仕掛ければラクに勝てる。私もその前にやってみたいくらい(笑)」と、山本の圧勝を確信していた。
また、IT’S SHOWTIMEのサイモン・ルッツCEOからのメッセージも読み上げられ、「この階級はIT’S SHOWTIMEが最後に設定した階級。これによりIT’S SHOWTIMEは全ての階級を網羅した。この階級は日本、タイなどアジアの選手が多くヨーロッパ人の層が薄いので、アジア人を中心に考えている。しかし、タイ人はクリンチが多く膠着する可能性があるので、激しい試合で観客を盛り上げることが期待できない。山本には綺麗に闘って、激しい試合を期待したい。ギリシャ大会は初めてなので激しい試合を期待したい。王座交代してもかまわないので、会場が沸く試合をやってもらいたい」と、山本に激しい試合を期待する。
それに対し山本は「僕はスピードとテクニックを見せたいと思います。ベルトはもちろん獲ります」とマイペース。「流れで決めますが、アグレッシブに行ってKO狙いで行きます。その中でストーリーを作るため、5R通してやるのも面白いと思います」と、KOか判定、どちらでも勝てる方法でやるという。
継続参戦については「呼ばれたら行きます。そこまで考えてないですね。目の前の試合に集中しています。世界の強い選手とやるために、ベルトを獲ることがまずやることです」と、今回の試合結果いかんだとした。
J-SPORTSでは今回、魔裟斗をゲスト解説に迎えて12・11アテネ大会、12・18アムステルダム大会を翌日に放映するが、来年はIT’S SHOWTIMEが15大会を予定する中、大きい大会を中心に年5〜6回の放映を予定しているという。会見に出席した竹本プロデューサーは「野球やサッカーもそうですが、日本人には日本人選手が海外で闘う姿をテレビで応援するという習慣があります。IT’S SHOWTIMEに日本人ファイターを送り込んで活躍すれば、番組も盛り上がります」と、今後も山本に続き日本人ファイターを送り込む用意があると語った。
「IT’S SHOWTIMEアテネ大会」
2010年12月11日(土・現地時間)ギリシャ・アテネ
<主な対戦カード>
ラファエル・デュデック
VS
シャヒッド・オウラッド・エル・ハジ
ヤバス・カヤバシ
VS
ガーゴ・ドラゴ
▼IT’S SHOWTIME 61kg級世界タイトルマッチ
セルジオ・ヴィールセン
VS
山本真弘
トーマス・ホロン
VS
アレクセイ・イグナショフ
パジョンスック・スーパープロサムイ
VS
ジョルジオ・ペトロシアン
▼IT’S SHOWTIME 70kg級世界タイトルマッチ
クリス・ンギンビ
VS
ムラッド・ディレッキー
※J-SPORTS放送は12月12日(日)21:30〜23:30 J sports ESPNにて。ゲスト解説は魔裟斗。
「IT’S SHOWTIMEアムステルダム大会」
2010年12月18日(土・現地時間)オランダ・アムステルダム
リコ・ヴァーホーペン
VS
ヘスディ・カラケス
モッサブ・アムラーニ
VS
モハメッド・カマル
マーセル・グローエンハート
VS
カリッド・ボーディフ
ケネス・ファン・エスヴェルデ
VS
ワレン・ステヴェルマン
アシュワン・バルラック
VS
アンデウソン・シウバ
▼IT’S SHOWTIME 77kg級世界タイトルマッチ
ロシオ・オグズニ
VS
コスモ・アレキサンダー
※J-SPORTS放送は12月19日(日)21:30〜23:30 J sports ESPNにて。ゲスト解説は魔裟斗。
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