5月24日(水)東京・後楽園ホールにて、DEEP事務局主催『CMAフェスティバル 日本対韓国全面対抗戦』が行われた。
大会の目玉は何と言っても4年振りの後楽園ホール凱旋となった美濃輪育久(フリー)だ。いつものテーマ曲に乗り、日本の国旗を背負った美濃輪が客席の最上段に姿を見せると、館内は一気にヒートアップ! 美濃輪は群がる客をかき分けながらトップロープを飛び越えてリングへ上がった。
ゴングが鳴ると、美濃輪はヒョンガップのローに右ストレートで飛び込み、そのまま蹴り足を取ってテイクダウン。間髪入れずにヒョンガップの右足を掴むと、得意のアキレス腱固めを仕掛ける。
ヒョンガップも体を起こし何とかディフェンスしようとするが、美濃輪はしつこくヒョンガップの足にくらいつき、最後は自らが仰向けになるような形でヒョンガップの足首を極めた。
鮮やかな秒殺劇で沸き返る客席四方に向かって、美濃輪が「オーイ!」の掛け声と共に拳を突き上げるS・R・F8回を行う。
するとそれに呼応するように「オーイ!」の大合唱が起こり、観客の興奮のボルテージは最高潮に。そんな中、美濃輪は颯爽とリングを降り、足早に控え室へと戻った。
試合終了後、インタビュースペースに現れた美濃輪は「後楽園ホールは最高。僕に力をくれる感じがするし、距離感が近くて良かった。一瞬だったけど、最高の記録と記憶と感動をお客さんの心に刻み込めたと思う」と満足げな表情。
ミルコ戦の敗北を「最低の試合をして、最低な自分を見せてしまった。ぶっ壊れることが出来なくて反省点ばかり」と振り返る美濃輪だが、「だからこそ最高の経験が出来たと思うし、今日は最初からぶっ壊れることが出来た。ぶっ壊れた先にあるものがヘブンであり、火事場のクソ力であり、そこまで突き抜けることによって、自分の目指す超人やリアルプロレスラーになりたい」と熱く語り、完全復活をアピールする。
今後については「まだ何も決まっていない」と美濃輪。しかし夏場での試合を希望しており、「自分がなりたいものは60億分の1なんで、それは無差別級で1番になること」と、今後も無差別級で闘っていくことを高らかに宣言した。
美濃輪の後楽園凱旋同様に大会の中心となった日本VS韓国全面対抗戦では、日本勢が8勝3敗で圧勝。久しぶりの試合となった窪田幸生(フリー)はヒールホールドで、鬼木貴典(Team-ROKEN)はパウンドによるTKO勝利を飾っている。
トータル的には大敗した韓国勢だが、キックルールながら藪下めぐみ(SOD)を破ったキム・ヒョンソン(韓国)や、濱田順平(CMA誠ジム)を僅差の判定で下したナ・ムジン(韓国)など、今後に期待を持てる結果を残した選手がいたことも事実。
CMA諸岡代表は「韓国は日本と違い練習環境や社会環境の問題で、プロ格闘家に専念して練習している選手が少ない。そういった選手を受け入れ、試合をする場を与えていきたい。
背伸びすることなく、日本と韓国で年に1度ずつ大会を開いていきます。長い目で見守ってください」と、韓国勢のサポートと巻き返しに期待を寄せた。
DEEP事務局
「CMAフェスティバル 日本VS韓国全面対抗戦」
2006年5月24日(水)東京・後楽園ホール
開場17:30 開始18:30
<全試合結果>
▼メインイベント 日本VS韓国全面対抗戦
○美濃輪育久(フリー)
一本 1R 17秒 ※アキレス腱固め
●バク・ヒョンガップ(CMA KOREA MARC)
▼セミファイナル 日本VS韓国全面対抗戦
○ナ・ムジン(CMA KPW)
判定 2-1
●濱田順平(CMA誠ジム)
長いリーチから繰り出すパンチで濱田を苦しめるムジン。濱田が足関節に行くと、上から強烈なパンチを落とす。スタンドの左フックでも濱田を棒立ちにさせ、終始優勢に1Rを進めた。2Rになると濱田が左ハイキックでグラつかせ、左ミドルキックでダウン寸前のダメージを負わせるが、攻めきる事が出来ずスプリットの判定負けを喫した。
▼第9試合 日本VS韓国全面対抗戦 キックルール3分2R
○キム・ヒョンソン(CMA正進ジム)
判定 3-0
●藪下めぐみ(SOD女子格闘技道場)
キムのパンチを顔面にもらうと、顔を逸らしてしまう藪下。初のキックルールに不慣れなところをいきなり露呈した。キムは続いて首相撲からのヒザ蹴り、藪下はこれに対して両腕を腹の前で構えるアームブロックをやってしまい、いいようにヒザで蹴られてしまう。離れるとパンチやバックブローを繰り出す藪下だったが、すぐに首ヒザに捕まってしまい、キムがマイペースでスマックガールでの借りを返した。
▼第8試合 日本VS韓国全面対抗戦 キックルール3分2R
○せり(SOD女子格闘技道場)
判定 2-1
●ジョン・ヨンシル(CMA正進ジム)
序盤こそローやヒザ蹴りを見せていたキムだったが、突っ込んでパンチを当てるせりのペースに巻き込まれ、せりとの乱打戦を繰り広げる。せりは突っ込んで自分のパンチを当てると距離を殺し、キムが首相撲をしようとしても組み付いてしまいそれを許さない。終始、自分のペースで闘ったせりが今大会初の判定で勝利を収めた。
▼第7試合 日本VS韓国全面対抗戦
○高橋洋子(SOD女子格闘技道場)
一本 2R47秒 ※ヒールホールド
●イ・ヨンジュ(CMA KOREA)
柔道の韓国代表選手にも選ばれた事があるというイだが、パンチで前に出る。高橋もこれに応じ、ワンツーをヒットさせていく。高橋は構えを左右に変えながらパンチを打っていき、大振りのイの顔面を捕らえる。2R、高橋のパンチを嫌がりグラウンドに引き込もうとしたイだったが、高橋は足を取るとアキレス腱固めからヒールホールドに移行して極めた。この勝利で対抗戦は日本側の勝利が確定。
▼第6試合 日本VS韓国全面対抗戦
○鬼木貴典(Team-ROKEN)
TKO 1R3分40秒 ※ドクターストップ
●ジョン・ムンソク(CMA KPW)
約1年ぶりの試合となる鬼木はサイドに構え、「ワッ!」と大きな声を挙げてジョンを脅かすが、レフェリーに注意を受ける。その後は表情も真剣になり、右フックのクリーンヒットを皮切りとして一気にラッシュ。タックルからテイクダウンを奪い、しがみつくジョンの頭をマットに叩きつける。ここでジョンの右目下が大きく腫れあがり、ドクターチェックで試合がストップされた。
▼第5試合 日本VS韓国全面対抗戦
○恩田剛徳(CMA拳術会)
KO 2R1分1秒 ※右アッパー→パウンド
●イ・サンス(CMA正進ジム)
頭を低くして潜り込むようにパンチを打っていくイに対し、ヒザ蹴りを繰り出して行く恩田だが自分の距離を作れず大苦戦。左フックをもらってフラつく場面もあるなど、1Rは打撃で押されまくった。低く入るイのバッティングも2度もらう。イが首投げで豪快に恩田を投げたところで1Rは終了。2Rもイは頭を下げての左右フック。しかし、恩田は足を止めて打ち合いに来たイの肩を左手で押し、自分の距離を作ると右アッパー! この一発でイは前のめりに倒れ、恩田が逆転KO勝ちを収めた。
▼第4試合 日本VS韓国全面対抗戦
○窪田幸生(フリー)
一本 1R1分5秒 ※ヒールホールド
●バン・スンファン(CMA正進ジム)
約2年ぶりの復帰戦となった窪田がパンチからタックル、すぐに足を取ってアキレス腱固め。ハンはこれを足を組んでディフェンスしたが、窪田が足を引っこ抜いてヒールホールドを極めた。
▼第3試合 日本VS韓国全面対抗戦
○キム・ドンヒョン(CMA争心館)
一本 1R4分28秒 ※チョークスリーパー
●谷村光教(S-FACTORY OKAMURA-GYM)
韓国総合において10戦全勝、いま韓国で最も人気のある選手だというキムはタックルでテイクダウン、そのままトップをキープしてパウンドで谷村を鼻から出血させる。マウントをとったキムはパウンドを打ち込み、腕十字の体勢に。谷村が逃れようと背中を向けたところでバックから腕を首に食い込ませた。
▼第2試合 日本VS韓国全面対抗戦
○濱村 健(CMA京都成蹊館)
一本 1R41秒 ※チョークスリーパー
●キム・ジョンヒョン(CMA KPW)
ローキックで先制したキムだったが、濱村は首投げからサイドポジション、トップを奪ってパウンド。嫌がって背中を見せたキムにチョークスリーパーをガッチリと極めた。
▼第1試合 日本VS韓国全面対抗戦
○田中・フラビオ・一年(フラビオ・バーリトゥードチーム)
一本 1R3分8秒 ※三角絞め
●キム・ハンウ(CMA正進ジム)
ロー&ミドルキック、首相撲で相手をコントロールしながらのヒザ蹴りと立ち技での上手さを見せる田中。キムは突っ込むようにして2度のタックルを決めるが、2度目にテイクダウンしたところでコーナー際で三角絞めを極められた。
|