極真空手道連盟 極真館
「第5回全日本ウェイト制空手道選手権大会」
2007年4月29日(日)埼玉・戸田市スポーツセンター
開場9:00 開始13:00
※今大会の動画を「リングサイドムービー」で公開中!
“顔面突きあり”の極真空手がついにベールを脱いだ。昨年4月のウェイト制大会と11月の全日本大会で模範試合として公開された「真剣勝負ルール」。
そのルールが試合に全面的に採用された全日本ウェイト制大会が4月30日(日)埼玉・戸田市スポーツセンターで行われた。
オープンフィンガーグローブ着用による顔面への手技(突き・裏拳・手刀・掌底・鉄槌など)だけではなく、サポーター着用による顔面へのエンピ(ヒジ打ち)を解禁。空手本来の技が試合でも使えるようになった。
しかも模範試合では着用していたヘッドギアは廃止された。選手側から「ヘッドギアをしていると蹴りが見えにくい」という声が持ち上がったからである。
ルール変更が影響したのか、エントリー選手数は通常より少なく、軽量級8名、軽中量級8名、中量級4名、重量級4名によるトーナメントに。
これは盧山初雄館長によれば、選手の安全面(脳へのダメージ)を考えてトーナメントは各階級最大8名までとし、ダメージの公平性からシードは無くすという方針のため、エントリーが8名に満たない場合、もしくは8名以上の場合は端数を切り捨てたからだという。
全20試合中11試合が一本・合わせ一本(技あり二つ)での決着となり、顔面骨折の疑いがある負傷をした選手が2名も出るなど、壮絶な大会となった。
盧山初雄館長は試合後、「極真空手は新しい大きな第一歩を印しました」と高らかに宣言。
「4年前に極真館としてスタートした時から、我々は武道空手の追求に務め、準備を整えてきました。今までは試合では危険だからとの理由で顔面を叩かず、抵抗力が失われ、端から稽古の中で顔面の防御が除外されて行われており、大山総裁の言われた武道空手とは内容に大きな違いが出ていました。
そのため相手の攻撃に機敏に反応できない空手になってしまい、その弱点を克服しようと我々は4年間、顔面を意識した稽古をやって、ようやく実現したんです」と挨拶。
今大会での試合は「我々の考えていた60〜70%の水準で行われていました」と総括し、「このルールを念頭においてこれから世界中が本格的な稽古に入ります。今後、立派な水準の大会が展開されるでしょう。これが完成ではなく、もっと完成されたルールにしていきます」とルールにも改善の余地があるとした。
そして、「そして近い将来、裏技、関節技、絞め技、寝技を含めたルールの完成を目指します」とさらなる進化を約束。
盧山館長は「これは発展であると同時に、原点回帰だと思っている。極真空手は構えから変わってきます。最終的にはどっちかが触れた瞬間に倒れるような試合を目指したい」と理想を語り、廣重毅・副館長は「一歩でも前に出た方が勝つというような、感に鈍なる空手を我々は排除していきたい」と語った。
■重量級
第1回ウェイト制重量級準優勝、第2回優勝、第3回準優勝、第4回全日本準優勝の実績を誇る夏原が、1回戦を上段逆突きと左上段鍵突きによる合わせ一本勝ちで決勝へ進出。
対する第4回重量級&第4回全日本王者の藤井脩祐が準決勝での試合で眼窟底骨折の疑いがありドクターストップとなり決勝戦は行われず、夏原が2度目の優勝を飾った。
夏原望のコメント
「練習してきたのである程度は出来たと思います。ずっと何年間か顔面ありでやってきて、去年の全日本大会では極真ルールでもいい動きが出来るようになったので、いいルールだという実感があります」
▼決勝戦
○夏原 望(城南川崎支部)
不戦勝 ※ドクターストップ
●藤井脩祐(城南大井町支部)
※夏原がトーナメント優勝
▼準決勝戦 第2試合
○夏原 望(城南川崎支部)
合わせ一本 ※上段逆突き、上段鍵突きで技あり
●山田雅則(黒澤道場)
▼準決勝戦 第1試合
○藤井脩祐(城南大井町支部)
判定5−0 ※上段逆突きによる技あり
●李 林建(韓国)
■中量級
菊地は準決勝を上段逆突き二本で合わせ一本勝ち、藤井は上段逆突きによる一本勝ちで共に決勝戦へ進出。今大会で唯一、エンピ(ヒジ打ち)と組み膝蹴りを有効に使っていた長身の菊地が、エンピと膝蹴りのコンビネーションを巧みに使って技ありを奪い、本戦判定5-0で初優勝となった。
菊地先のコメント
「1年少しかけて準備してきたので、優勝できて嬉しいです。今日の動きを見れば慣れていない部分など課題があるので、来年また出て克服したいです」
▼決勝戦
○菊地 先(さいたま中央支部)
判定5−0 ※膝蹴りで技あり
●藤井浩史(山陰支部)
※菊地がトーナメント優勝
▼準決勝戦 第2試合
○藤井浩史(山陰支部)
一本 ※上段逆突き
●和田龍二(城南羽田支部)
▼準決勝戦 第1試合
○菊地 先(さいたま中央支部)
合わせ一本 ※上段逆突きで技あり2
●松井潤一(城南川崎支部)
■軽中量級
第2回全日本王者、第2回&第4回中量級優勝の東海林が出場したこの階級。東海林は1回戦から今ひとつ波に乗れなかったが決勝へ進出し、37歳のベテラン伊原との対戦を迎えた。
東海林は今までの慣れない動きが嘘のように積極的に動き、相手の首を引っ掛けながらの膝蹴りでダメージを与えて(場外だったので技ありにはならず)相手の道衣袖を掴むと上段逆突き(右ストレート)一閃! 見事な一本勝ちで王者の貫禄を示した。
東海林亮介のコメント
「結果は優勝ですが、廣重師範の言った空手が半分も出来ていなかったのでまた明日から稽古します」
▼決勝戦
○東海林亮介(城南川崎支部)
一本 0分33秒 ※上段逆突き
●伊原 純(山陰支部)
※東海林がトーナメント優勝
▼準決勝戦 第2試合
○東海林亮介(城南川崎支部)
本戦終了 ※ドクターストップ
●毛利巨樹(義道会館)
▼準決勝戦 第1試合
○伊原 純(山陰支部)
延長判定5−0
●渋谷 俊(城南川崎支部)
▼一回戦 第4試合
○東海林亮介(城南川崎支部)
試し割り判定 15枚−13枚
●延 翰宗(総本部)
▼一回戦 第3試合
○毛利巨樹(義道会館)
延長判定4−0
●山田義治(所沢支部)
▼一回戦 第2試合
○渋谷 俊(城南川崎支部)
一本 0分46秒 ※上段突き
●五十嵐智(極真会館浜井派)
▼一回戦 第1試合
○伊原 純(山陰支部)
判定4−0
●秋葉大輔(さいたま中央支部)
■軽量級
回転裏拳突き(バックブロー)が乱れ飛んだこの階級では、準決勝で第4回軽量級王者の岩田が回転裏拳突きで一本負けを喫する波乱があった。
決勝戦はその岩田を破った田川と泉沢の対決に。田川は先ほど極真会館(松井章圭館長)から独立し、極真会館浜井派となった浜井識安師範が率いる流派の所属。この試合が今大会のベストバウトとなった。
泉沢が先に上段逆突き(右ストレート)で技ありを奪い、一気呵成に上段突きで攻めていく。パワフルな左右の強打に押されていく田川だったが、泉沢がパンチの強振で前のめりになったところへ大逆転の右上段廻し蹴り! この一撃が鮮やかに決まり、泉沢は全身の力が抜けてバッタリと前へ倒れた。
田川貴章のコメント
「新ルールに向けて稽古をしてきました。また新しい武道を追求します。このルールが大好きになりましたし、優勝できて嬉しいです」
▼決勝戦
○田川貴章(極真会館浜井派)
一本 1分49秒 ※右上段廻し蹴り
●泉沢元喜(さいたま中央支部)
※田川がトーナメント優勝
▼準決勝戦 第2試合
○泉沢元喜(さいたま中央支部)
一本 0分22秒 ※回転裏拳突き
●橋本幸憲(城南川崎支部)
▼準決勝戦 第1試合
○田川貴章(極真会館浜井派)
一本 延長0分23秒 ※回転裏拳突き
●岩田 學(埼京・城北支部)
▼一回戦 第4試合
○橋本幸憲(城南川崎支部)
一本 0分31秒 ※回転裏拳突き
●原 哲平(武蔵中央支部)
▼一回戦 第3試合
○泉沢元喜(さいたま中央支部)
合わせ一本 ※上段鍵突き、上段逆突きで技あり
●田中章一郎(黒澤道場)
▼一回戦 第2試合
○田川貴章(極真会館浜井派)
判定5−0
●中川裕介(城南羽田支部)
▼一回戦 第1試合
○岩田 學(埼京・城北支部)
一本 ※膝蹴り
●瀧川裕之(さいたま中央支部)
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