和術慧舟會総本部
「JAPAN VS MYANMAR 5 on 5 Fight!
LET WHAY−拳神伝−」
2007年8月19日(日)東京・ディファ有明
開場13:00 開始14:00
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▲チョーはこの構えのまま前に出てヒョードとの距離を潰す。 |
▼メインイベント ラウェイルール 3分3R
○ロン・チョー(ラウェイ無差別級王者)
TKO 3R1分10秒 ※レフェリーストップ
●ニック・ヒョード(和術慧舟會総本部/UK-JKミドル級王者)
1R、前に出てプレッシャーをかけるチョーに対して、ヒョードはサイドステップで距離を取る。するとチョーが一気に距離を詰めて、ヒョードをロープに突き飛ばすと、その跳ね返りに飛びヒザ蹴り!
これは当たらなかったものの、チョーが思い切りのいい攻撃でヒョードを攻め込む。ヒョードの右ローにチョーは左フックを強振。ヒョードも左フックを当てて、チョーに尻餅をつかせるが、チョーはすぐに立ち上がる。
2R、左手を前に出して距離を詰めるチョー。ヒョードはそこに右ストレートと右ヒジを叩き込む。的確に攻撃を当てるヒョードだったが、前に出る圧力が強いのはチョー。ヒョードをロープに押し込んで、その跳ね返りを狙ってハイキック!
ヒョードは頭をかがめて何とかこれを空振りさせるが、チョーの攻撃に場内が沸く。しかしここでチョーの攻撃がローブローとなり、試合が一時中断。ヒョードに3分間のインターバルが与えられる。
再開後、ここでも左手を前に出して距離を詰めるチョー。ヒョードは必死に足を使って距離を作ろうとするが、チョーの突進は止まらない。するとここでチョーの放ったインローが再びローブロー! チョーにイエローカードが提示される。インターバル後、チョーのバックキックでヒョードがバランスを崩す。ややローブローの影響があるか。
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▲チョー(左)とラウェイ軍団のコーチ(右) |
3R、チョーの圧力に下がりながらもインローやバックキックを返すヒョード。しかしチョーが距離を詰めてパンチを連打するとヒョードがダウン。カウント内に立ち上がったヒョードだったが、ダメージが大きくレフェリーが試合をストップ。これにより日本VSミャンマーの対抗戦は日本の1勝4敗という結果に終わった。
●ロン・チョーのコメント
「対戦相手は強くて難しい試合だったと思います。ただし私の対戦相手として名乗り出てくれてありがとうと言いたいです。左手を前に出す構えは、相手が距離を取ってきたから。ああやって相手を追い詰める。普段の構えとは少し違う構えです。私は誰が相手であっても戦います。日本でラウェイの試合をできることもありがたいと思います。(寒川選手の挑戦?)先ほども言いましたが、私は誰とでも戦います」
●ラウェイ軍団のコーチのコメント
「ラウェイの王者は年に一度行われるトーナメントで決まるもので、防衛戦を行うタイトルではありません。トーナメントは一番少なくて2名、多くて8名、ミャンマー全土から選手を選考します。8名参加の場合は一日で行うのではなく、毎週1試合、3週間に渡って実施します」
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▲ガードの間にジャブを突き刺す寒川。基本的にはキックと変わらない戦い方を見せる。 |
▼セミファイナル ラウェイルール 3分3R
○寒川直喜(バンゲリングベイ/J-NETWORKミドル級王者)
一本 1R2分10秒 ※チョークスリーパー
●ソー・パイン(ラウェイミドル級王者)
待望のラウェイ参戦となった寒川。日本勢の苦戦が続く中、ミャンマー軍団に一矢報いることが出来るか? 寒川のセコンドにはいつも通り、新田明臣と帯谷信弘がついた。
1R、寒川はキックと同じように鋭いジャブと右ローで攻める。パインのパンチは両腕でしっかりとブロックし、距離が詰まると首相撲にとらえる。
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▲強烈な右ローでパインの出足を止める寒川。キックの技術だけに関して言えば、明らかに寒川の方が上だった。 |
パインの右フックが鼻先をかすめる場面もあった寒川だったが、ワンツーから右ロー! さらに右ハイキックでパインを吹っ飛ばす。そして前に出てくるパインを首相撲に捕らえた寒川はヒザ蹴りを連打。
これを嫌って横を向いたパインの後ろに回るとそのままチョークスリーパー! 必死に逃げようとするパインだったが、寒川はパインの体を強引に引っこ抜くようにして、首を絞め続ける。するとパインがタップ! 寒川がラウェイ初挑戦で衝撃の一本勝ちを収めた。
●寒川の試合後のコメント
「パンチが想像よりも痛かったですね。まあそれでスイッチが入った部分もありますけど。気持ちが折れる選手のことが少し分かりました。最後のチョークスリーパーは狙ってはいなかったんですが、練習はしていました。
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▲素手でもしっかりと両腕を閉じたブロックで、その間から相手の動きを見る寒川。 |
相手が横を向いた時に『チョークいける』と言われて、練習を思い出してやりました。入り具合は、あのまま行ってもこっちが疲れるかなと思っていたんですけど、スルッと手が顎の下に入って。最後は背中を反らして極める形になりました。相手が僕の腿をタップしたんですけど、最初は気付かなくて、珍しく興奮してましたね。
(普段の試合と違う緊張感はあった?)総合格闘技とか、キックの日本人対決の方が緊張しましたよ。ラウェイの試合は失うものがないというか、極限の試合なんで逆に緊張感がないんですよ。
ただ自分の前の試合で日本人が全員負けていたんで、俺だけは勝ちたいなと思って、逆に自分でプレッシャーをかけてしまいました(笑)。頭突きなんかは狙って出すと逆に隙ができると思うんです。ああいう技は試合で経験して覚えていくものじゃないですかね。
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▲試合直後にも関わらず顔に傷のない寒川。ブロックによるディフェンスの高さがうかがい知れる。今後のラウェイ挑戦に期待がかかる。 |
ラウェイを特別なものだと考えている格闘家は多いじゃないですか。でもミャンマーでは当たり前にやっているわけだし、僕も格闘技をやっていたら、このくらいやって当たり前だと思います。
今回の試合に向けて僕はキックの練習しかしなかったし、試合中もキックのコンビネーションは使えるなって感じました。素手やオープンフィンガーグローブじゃブロッキングは使えないとか言われてますけど、そんなことはないですよ。
(キックボクサーが)ラウェイになって勝てないと言うんだったら、それはキックのレベルが低いからでしょう。僕はキックを追及していけば、ラウェイでも勝てると思う。
もっとキックボクサーにも挑戦して欲しい? ラウェイで戦ってみたら強いと思う選手はたくさんいるけど、あんまり意味がないものだから(苦笑)。まあ僕はそういう意味がないものをやることに意味があると思っているんで。
今後もラウェイの試合はやりたいです。今日はチャンピオンに勝ちましたけど、(メインで試合をした)ロン・チョーに勝たないことにはラウェイを越えたことにはなりませんから」
▼第6試合 ラウェイルール 3分3R
○ソー・ゼー・レイ(ラウェイライト級王者)
TKO 3R1分10秒 ※レフェリーストップ
●村井義治(前MA日本ライト級1位)
1R、がっしりとした体系でいかにもパンチ力がありそうなレイは頭から村井に突進! 長身の村井はレイを首相撲に捕らえるものの、レイはそこに左フックと右アッパーを叩き込む。
レイの突進にやや押されていた村井だったが、ハイキックで鮮やかにダウンを奪う。再開後、左ストレートを当ててレイをぐらつかせる村井。その後もリーチを活かして右ハイキックや左のテンカオを突き刺し、終盤にはスタンドの肩固めを極めかける。
2R、村井はレイを前蹴りで突き放し左ハイキック。レイは一気に距離を詰めて村井に組み付き、豪快に村井をマットに転がす。そしてレイが村井を後頭部から叩きつけると、村井はなかなか立ち上がれずにダウンが宣告される。
これで勢いがついたレイは、村井のハイキックやヒザ蹴りを受けても「効いてないよ」とばかりに顔をさすって挑発。その後も左右のフックで前に出て、村井を後退させ、何度も村井をマットにこかす。
そして3R開始直後、レイの右ストレートが当たり村井がダウン! その後、レイが一気に村井に襲い掛かり、立て続けに2度のダウンを奪うと、レフェリーが試合を止めた。
▼第5試合 和術ルール 3分3R
△今村 洋(和術慧舟會総本部)
判定0-0
△小川 剛(フリー)
1R、急遽参戦が決まった小川に対して、今村はジリジリと前に出て左右のローを蹴る。小川は右ストレートを繰り出すが、今村はそれをしっかりブロック。序盤は動きに固さも見られた小川だったが、試合が進むに連れて徐々に強烈な右ローを飛ばす。
2R、左右のローを飛ばす小川。今村はそれを受けながらもパンチで前に出て右フックを当てる。しかしこのローが効き出したのが、今村はパンチの手数が減る。その今村はラウンド中盤からパンチではなくロー中心の攻撃にシフト。共にローをカットしないため、互いに右ローを蹴っては受ける攻防が続く。
3R、ローの蹴り合いから今村が胴タックル。そのまま小川をコーナーに押し込んで頭突きを入れる。小川がテイクダウンを奪ったところでブレイクとなり、スタンドでの再開となるとやはり右ローの蹴り合い。残り10秒、パンチを打ち合う両者だったが、クリーンヒットはなく試合終了となった。
▼第4試合 ラウェイルール 3分3R
○ター・トウ・ワ(ラウェイウェルター級王者)
TKO 3R0分40秒 ※レフェリーストップ
●佐藤真之(F・A・S拳真館)
1R、最初は見合っていた両者だったが、ワが頭突き気味に頭から突っ込んでパンチを振り回す。これに対して佐藤もヒジをふるって応戦! いきなりワの右目尻からは出血が見られ、ドクターチェックが入った。
王者のワに臆することなく立ち向かう佐藤は、首相撲の攻防になると強烈な頭突き、さらに出血するワの右目尻を狙ってジャブと左フックを打ち込む。佐藤はワのパンチには頭を下げて組み付いて、首相撲の展開に持ち込むなど、ワに有効打を許さない。
2R、左ミドルを蹴る佐藤。これをフェイントに左ハイキックを蹴ると、これがワの顔をかすめる。さらに佐藤はパンチの打ち合いでもワンツーを当てて、試合を有利に進める。
しかしここでワはスイッチが入ったように猛ラッシュ! 顔を血まみれにしながら、左右のフック、アッパーなどとにかく手数で前に出る。この気迫に押されてか、ワの攻撃を受けて何度もマットに転ぶ佐藤。ワのヒザ蹴りをもらって、コンタクトが外れたとアピールする佐藤だったが、ラウンド終盤にはこのヒザ蹴りでダウンを宣告される。
3R、左フックで前に出る佐藤。しかしここでワの左のテンカオがカウンターでボディに突き刺さり、佐藤がダウン! 何とか立ち上がった佐藤だったが、ボディを押さえて苦悶の表情を浮かべる。
するとワが一気に佐藤に襲い掛かり、パンチとヒザ蹴りのラッシュ! これで佐藤がマットに倒れると、レフェリーが試合をストップ。序盤こそ佐藤に攻め込まれる場面もあったワだったが、最後は王者の風格漂う気迫溢れるファイトで佐藤を下した。
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▲頭突きありのルールだけに、このように頭から突っ込んでパンチを打つことも許される。 |
▼第3試合 ラウェイルール 3分3R
○ミン・ウイン(前ラウェイライト級王者)
判定3-0
●竹内祐也(和術慧舟會総本部/UN-JKライト級1位)
会場内に用意されたミャンマーの民族楽器が奏でる入場曲で登場するウイン。独特の音楽が流れる中、試合が始まった。
1R、竹内はいきなりバックブロー、そのままウインを首相撲に捕まえるが、ウインは左右のフックを叩き込む。何度も首相撲を狙う竹内だったが、ウインは組み際に左フック、さらに組みの攻防になると、両差しにして竹内をコーナーやロープまで押し込む。
ブレイクによる再開後、竹内の右ミドルにウインが右ストレート! ここまで劣勢だった竹内だったが、ウインがバランスを崩したところで顔面踏み付け! この攻撃には場内が大きく沸きかえった。
2R、ここでも首相撲を多用する竹内。すばやくウインの後ろに回ってチョークスリーパーをイ狙うが、ウインは頭を抜きながら竹内の体をコーナーに押し込んでブレイクを待つ。再開後、パンチで前に出るウインの右ストレートが当たって竹内がダウン!
何とか立ち上がった竹内だったが、ダメージは残っている。一気に距離を詰めるウインは左ミドルから右ストレート! 竹内は必死にウインの体を捕まえてディフェンス。
ウインは打撃が当たらないならばと、竹内の蹴りをキャッチして豪快な投げを見せる。終盤、竹内はウインの顔面に前蹴り、フロントチョークで逆転を狙う。
3R、序盤は組みの攻防が続くが、半身になる竹内に対して、ウインが竹内を持ち上げてマットに叩きつける場面が目立ち、中盤以降はほとんどがこの展開に。残り10秒、竹内はヒジ打ちをウインの頭に落とすが、有効打にはならず。2Rにダウンを奪ったウインが判定勝利となった。
▼第2試合 和術ルール 3分3R
○星野大介(総合格闘技津田沼道場)
判定 0−0
●金子謙三(和術慧舟會総本部)
和術ルールは打・投・極が認められたOFG着用の立ち技ルール。
1R、右ローと右フックで前に出る金子。星野はそれに真っ向勝負し、ショートの距離で細かい連打を入れる。胴タックルで組み付く金子だったが、星野の腰が強く倒れない。
距離が離れると金子の右ミドルの蹴り終わりに、星野が右フック! さらにそのまま首相撲に捕らえて強烈なヒザ蹴りを突き刺す。
2R、星野はジリジリと前に出てプレッシャーをかける。金子は下がりながらもローを返し、胴タックルで組み付く。星野はテイクダウンを阻止して距離を取ると、右フックから左ストレート。右フックからの連打で攻め込む。
そして残り1分、星野が金子を首相撲に捕らえるとヒザ蹴りを連打。金子は両手ブロックでディフェンスするため、星野のヒザ蹴りを被弾してしまう。
3R、このラウンドも前に出るのは星野。右ミドルと右フックを出していく。金子も負けじとパンチを返すのだが、いかんせん下がりながらのため印象が悪い。
するとパンチの打ち合いから星野の右ストレートがヒット! そのまま首相撲でヒザ蹴りを突き刺す。何とか組み付いてブレイクを待つ金子。星野は再開後にラッシュを仕掛けるものの、金子を倒しきれない。ダウンを取らないとポイントが付かないというルールのため、ドローに終わった。
▼第1試合 柔術ルール 3分2R
△串間政次(和術慧舟會総本部)
時間切れドロー
△仲山貴志(総合格闘技津田沼道場)
癌で余命数年と宣告され、左足を切断してもなお戦い続ける“不屈の格闘家”串間。試合では義足を外して戦う。
1R、先にテイクダウンを奪う仲山。串間は仲山の袖とズボンを持ち、右足を利かせてパスガードを許さない。2R、自ら引き込んだ串間は仲山の襟を掴んで、自らの足を使って絞めを狙う。
仲山はそれを切って、サイドポジションへ。そこから串間の道衣を使った絞めを狙うが、串間は右足を入れてガードに戻す。残り10秒、串間が上のポジションを取り返すものの、インサイドガードのまま試合終了となった。
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