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【ムンジアル】ホジャーが悲願の無差別級制覇を達成! 黒帯ガロ級で本間祐輔が準優勝

2007/08/28


▲無差別級決勝で戦うホジャーとホミーニョ

 1996年の第一回大会から、11度目の開催となるブラジリアン柔術世界選手権(通称ムンジアル)が、初めてブラジルを離れ米国ロサンゼルスで開催され、5日間2700人の柔術家が参加した。

 ブラジルを離れ、米国での開催ということもあり、参加者や参加国のどのような変化が見られるのかも注目されたが、当然のように主催国米国人の参加は絶対的に増えている。リオデジャネイロよりも遥かに渡航しやすくなった日本勢の参加も多いが、反対にヨーロッパ各国からの参加は減少していたようだ。

 黒帯に関していえば、その勢力分布でブラジルが他を圧倒していることには変わりないが、逆に色帯でいうとブラジル勢の参加が例年の少ないこともあり、優勝、そして上位進出の可能性はこれまでの大会より多かったことは間違いないだろう。

▲ホジャーはスペルぺサードでも優勝。二冠を達成した。

 また、欧州勢の参加者の減少は、現地のトップアカデミーでの修行をその前後におくケースが多いブラジルと違い、LAでの開催が純粋にトーナメント参加が唯一の渡航理由になったことも挙げられるのではないだろうか。

 米国開催には、日本からの参加選手からも「ムンジアルという独特の雰囲気がない」という声も多数聞かれた。確かに小奇麗な会場と、国際連盟の努力もあり(最終日には)影響の大きな得点ボードが試合進行をクリアにし、リングアナによる英語のコールは洗練された空気をムンジアルに持ち込んでいた。

 その一方で、例年ムンジアルが行なわれてきたチジューカ・テニス・クルービーの猥雑としたなかで、最終日へ向け会場の雰囲気に引き締まり、時には神々しさも感じられる――、あのムンジアル独特の雰囲気は、LA大会では感じられなかった。

 米国での大会開催は、柔術普及の大きな一歩であるが、ブラジルで開かれてきたときの絶対的な価値はやや薄れ、数多くあるスポーツのなかでワン・オブ・ゼムの世界大会が開かれている――、そんな軽さを感じられたことは否めない。

 形を変えつつあるムンジアル、そのなかで「勝利」、「優勝」という普遍の価値の誰よりも求めていたのが、ホジャー・グレイシーだった。

 2002年に茶帯で無差別を制しているホジャーだが、2004年から昨年まで連続準優勝に終わっている。最強の柔術家と称されながら、彼はまだ一度も無差別制覇という勲章を手にしていない。MMAデビューも飾り、アブダビコンバットでは2年前に無差別を制しているホジャーにとって、今年は絶対に負けられない無差別級での闘いだった。

 そのホジャーの拘りが強く出たのが、決勝戦。同門のホミーニョことホムロ・バハルとの対戦に関し、「最も権威のある闘いに、同じアカデミー、親、兄弟だからといって試合をしないことは考えられない。ムンジアル無差別級の優勝者は、闘って決められるべきだ」と、闘わずにして同門のホジャーに優勝を譲るつもりだったホミーニョを戦場に誘った。

 迎えた無差別級決勝戦、勝負に賭ける気持ちの差は歴然としていた。しっかりと組み付き、足払いでテイクダウンを奪ったホジャーは、2度に渡りバックマウントを奪取し、最後は送り襟絞めで柔術世界一の座を射止めた。

「これで最強を名乗れる? それは僕には分からないけど、とにかく最高だよ。これまで優勝を待ち望んでいた母が会場にいなかったことが残念でしょうがないけど、これから電話で報告するよ? 今後、MMAなら何も決まっていない。確かなことは、また来年、ムンジアルで優勝するためにトーナメントに出場するということだよ」というホジャー。

 ボードッグとの契約に縛られてはなく、HERO'S関係者が接触を図っていることも認めたホジャーだが、そのプライオリティは常にムンジアル無差別級制覇にあるようだ。


▲ガロ級・本間祐輔が男子日本人選手として初めて黒帯決勝にまで勝ち進んだ。

▲ガロ級では大賀幹夫も3位入賞。黒帯の表彰台に2人の日本人が上がった。

 今大会は、日本の柔術界にも大きなターニングポイントとなった。

 黒帯ガロ級に出場した本間祐輔が、男子日本人選手として初めて黒帯の試合で決勝戦に進出。この試合こそ敗れたものの、ムンジアルの黒帯で初めて銀メダルを巻いた日本人柔術家となった。また、同階級では大賀幹夫も3位に入賞し、これもまた始めて黒帯の表彰台に二人の日本人選手が上ることとなった。

 ADCC世界王者の塩田さやかが女子茶・黒ペナ級で準優勝。も、決勝でフランスのローレンス・コーサン(ベーリンギ柔術)に敗れての2位という結果に本人は全く納得していなかった。

▲杉江大輔は微妙なジャッジで敗れてベスト8で敗退。

 レーヴィ級の杉江大輔(準々決勝でテイクダウンを決め逆転のポイントと思われたが、副審二人が無効を主張し敗退)、ペナ級の佐々幸範がベスト8。植松直哉(ペナ級)と渡辺直由(レーヴィ級)、倉岡ジョン・カルロス(ガロ級)らは初戦を突破したが、2試合目で敗れている。

 なお、昨年、日本人として始めて黒帯で3位を獲得した吉岡大は、プルーマ級準々決勝で優勝したホビソン・モウラに敗れた。

【関連リンク】
≫国際ブラジリアン柔術連盟公式サイト
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