メガトンGP実行委員会/DEEP事務局
「clubDEEP TOKYO〜メガトンGP 2008 FINAL〜」
2008年8月2日(土)東京・新宿FACE
開場13:30 第二部18:00(メガトンGP、ワンマッチ)
DEEP名物である“普通より大きい人”超重量級(100kg以上)ファイターを対象とした、格闘技史上初の『メガトンGP』。16名で行われた1月14日の開幕戦、5月24日の2回戦を勝ち上がってきた4名により、ついに決勝の日を迎えた。
当日抽選によって決まった準決勝の組み合わせは井上俊介(吉田道場)VS折橋謙(CORE)、川口雄介(BLUE
DOG)VS小阪俊二(ファイティングマスター)。まず中村和裕をセコンドに付けた井上が折橋を1R4分9秒、腕ひしぎ十字固めに破り、続いて川口が小阪を1R僅か45秒でマットに沈めた。
これにより、下馬評どおり優勝候補に挙げられていた二人による決勝戦に。試合は激しい“肉弾戦”となった。先に攻めたのは川口だったが、井上の右ストレートでダウン。それでも川口はパンチの連打とヒザ蹴りで攻めて行き、場内は両者の応援団がヒートして異様な盛り上がりを見せた。
ほとんどスタンドの打撃による勝負となったが、2度のグラウンドで上になったのはいずれも川口。鉄槌を連打し、防御する井上を追い込んでいく。最後に井上も上になったパンチを連打したが、判定2−1のスプリットデシジョンで川口が勝利。初代DEEPメガトン級王座のベルトを腰に巻いた。
川口は「2年前、会長に出会ってなかったら今日はなかった。ドラマのROOKIESみたいだけど、夢をいただいてありがとうございました! 金はありませんが、夢と時間はいっぱいあります」と、総合格闘技のリングに自分を導いてくれたBULL会長にお礼を言うと共に、さらに上のステップを目指すことをアピールした。
大会後、佐伯繁DEEP代表は「凄い試合でした。内容も雰囲気も100点満点の試合だった」と決勝戦を絶賛。「川口にはこれから世界へ向かっていって欲しい。日本人のヘビー級はあまりいないし、ウチのチャンピオンなので、いつDREMAから“ミルコと”と言われるか分からないから、しっかりと防御を練習しないと。現時点で世界はまだ厳しいけど、日本人にはない体格を持っているので可能性を持っている」と、いずれはDREAMでミルコ・クロコップとの試合を実現させたいと語った。
川口は学生時代に柔道で活躍、高校選手権秋田大会、秋田県総体、国民体育大会、講道館杯、全日本Jr、インカレなどで輝かしい実績を残している。また、テレビ朝日で放送されていた『銭形金太郎』に出演し、見事、優勝したこともある極貧格闘家。
▼メインイベント メガトンGP決勝 1R5分・2R4分
○川口雄介(BLUE DOG)
判定2−1
●井上俊介(吉田道場)
※川口が優勝、初代DEEPメガトン級王座に就く。
いよいよ迎えた決勝戦。3大会に別けて行われてきた世界初のメガトンGP、初代王座に就くのはどっちだ!? この試合はDEEP初代メガトン級王座決定戦として行われ、試合前にはベルトも披露された。
1R、川口がパンチ連打で突っ込むと、井上の右ストレートで川口がダウン! 起き上がった川口を井上が投げ飛ばしたが、川口がすぐに起き上がってのパンチ。これは井上の体がロープの外に出てしまったため場外ブレイクに。組み付く川口と体勢を入れ替える井上、川口は離れるとパンチの連打、井上は押されて倒れるがすぐに立って組み合う。
組み合った状態からお互いにパンチ、井上がコーナーへ押し込んで行き、離れ際に右フック。さらに井上は足払いでテイクダウン、バックに乗ると川口が背負ったまま立ち上がる。これはブレイク。
川口がパンチで突進、井上のバックブロー。組み合うと井上がコーナーへ押していき、組んだままボディへの連打。川口もヒザで応戦だ。両者の応援団がヒートして、異様に盛り上がる場内。押し込む井上がヒザ。
ブレイク後、井上は右ミドルを放ったが倒れてしまい、上に乗った川口がパウンドの連打。残り30秒、鉄槌を連打する川口だが、井上もディフェンスする。
2R、井上のローにタックルで飛び込む川口。離れると逆に井上がタックル、川口を倒すも立ち上がる。川口がヒザ蹴り、コーナーへ押し込んだ井上のヒザがローブローになってしまい、試合は一時中断する。
川口がフックで突進、井上は組み付いてヒザ蹴り。川口のヒザと井上のボディパンチが交互に決まる。自軍コーナーへ押し込んでいった井上がボディへのパンチ、ヒザ。そしてブレイク。文字通りの肉弾戦に場内は沸きに沸く。両陣営の応援団がリングサイドにまで来てエキサイト。異様な興奮状態となる。
井上の左ロー二連発、突っ込んでくる川口に右フック。組み付いた川口はアッパーを放つが、井上にコーナーへ追い込まれてしまう。ワンツーで突っ込む川口、井上が倒れこむと上になってパンチを落としまくる。
バックを奪った川口はなおもパンチを繰り出していくが、井上が前に落として上になり、川口はコーナーを背に座り込んだ状態。そこで今度は井上がマウントになって胴に組み付く川口へパンチを連打する。そして試合終了のゴング。
判定は2−1のスプリットで川口! “池袋の伝説の番長”BULL率いるBLUE DOG GYMから初のチャンピオンが生まれた川口は「今日は凄い苦しい試合内容だった。2年前に会長に出会ってなかったら今日はなかった。ROOKIESみたいだけど夢をいただいてありがとうございます。金はありませんが夢と時間はいっぱいあります。佐伯さん、今後もお願いします」とマイクアピール。
川口にはこれから防衛戦を行っていくDEEP初代メガトン級のベルト、そして国産和牛サーロインステーキ、ステーキのアウトバックス食事券、サムライTVからスカパーチューナーなどが送られた。
▼セミファイナル 無差別級契約 5分2R 女子グラップリングルール
△美花(RANGER品川)
ドロー 判定1−0
△高橋洋子(フリー)
1R、高橋はヘッドロックからカニバサミでテイクダウン。美花は下から三角絞め、高橋が足を払ってサイドへいき、足を取りに行くと美花もヒールホールド。上に乗る高橋、再びヒールホールドからアンクルホールドへ。美花もヒールホールド。高橋は回りながら外し、サイドからマウント、そして絞めながらサイドへ回り、またもマウント。
高橋はアームロックを狙うが、美花がローリング。高橋は立ち上がるとフロントチョーク、そしてヒールホールド。美花も膝十字を仕掛けていくが、高橋は体を回転させて外しアキレス腱固めを狙う。美花もヒールホールドの体勢に。
2R、美花がコーナーへ押し込んで行き、高橋がバックへ回る。美花は足を取りに行くが、高橋はバックを譲らない。下から腕十字を仕掛ける美花。ここで両者ブレイク。
高橋は組み付くと首投げ、バックを奪おうとした美花のバックを奪い返す。美花は膝十字からアキレス、高橋もアキレス腱固めで絞り上げるが、ブレイクに。
高橋が片足タックル、ガブる美花はフロントチョーク。しかし上になった高橋が逆にガブると、今度は美花が上に。そして腕十字! これはかわした高橋、美花が続いてアキレスを取りにいったところで試合終了となった。
ジャッジ1名が美花を支持したものの、残る2名はドロー。引き分けとなった。
▼第6試合 77.1kg以下契約 5分2R
△山田崇太郎(パラエストラ千葉)
ドロー 判定1−0
△鈴木亮司(ALLIANCE)
1R、サウスポーの山田へ圧力を掛けていくのは鈴木。山田は飛びついて両足でしがみ付き、空中でフロントチョーク! ぶら下がるように絞めていく山田だが、鈴木が耐える。鈴木は山田を下ろして上になるが、山田がすぐにヒップスローで上に。
パウンドを落としていくと、鈴木も下から足を利かせて応戦。殴りながらパスを狙う山田、サイドからマウントへ行くもすぐに戻される。再び殴りながらパスしてマウントへ持っていく山田、鈴木がマウント返しで上になる。そこで放った山田の蹴りがローブローに。
スタンドから試合再開、鈴木がパンチで前に出ると山田は組み付く。
2R、開始と同時に組み付く山田。しかし、テイクダウンを奪ったのは鈴木の方。立ち上がる鈴木に下から蹴りを入れる山田。立ち上がると再び飛び付いて胴に両足を巻く山田を鈴木が落として上を奪う。ラバーガードから殴る山田、鈴木はクロスガードの山田を持ち上げてバスターだ。
立ち上がる鈴木。右ミドルを山田がキャッチしてアキレス腱固めに引きずり込むが、鈴木が逃げようとしたため山田がバックを取りに行って上を奪う。パスを狙いつつ殴る山田、鈴木が立ち上がると山田はすぐに飛びつく。
上になる鈴木。パスしてマウントを奪ったが、立ち上がる。ブレイクで両者スタンドに。胴タックルで組み付く山田、それでも上になったのは鈴木の方。鈴木はスタンドを要求する。パンチを打ちに行く鈴木に、飛び付く山田。上になった鈴木がパンチを打とうとしたところでゴングとなった。
判定はジャッジ1名が山田にポイントを付けたが、他の2名はドロー。引き分けに終わった。
▼第5試合 83.9kg以下契約 5分2R DEEPグラップリングルール
○木村参味夫(CMA戦ジム/闘うレフェリー)
一本 2R4分44秒 ※腕ひしぎ十字固め
●江口信一郎(DOBUITA/闘うカレー屋)
普段はDEEP&DREAM&戦極などの団体のレフェリーであり、今回の第1試合でもレフェリーを務めた木村が、今度は選手として入場。テーマ曲は尾崎豊の曲だ。たっぷりともったいつけて木村はリングイン。対するはカレーのチェーン店『COCO壱番屋』に務める“闘うカレー屋”江口。木村が勝った場合は、カレー1年分をプレゼントするという。
1R、長いスタンドの差し合いが続き、焦れた観客から「参味夫、アクション!」という声が飛ぶ。いつもは自分が言ってる掛け声に発奮したか、木村は江口をコーナーへ押し込んで行き、片足を掬おうとしたが、江口に首投げされる。が、すぐに立ってバックを奪ったのは木村。バックマウントからマウント、腕十字からスリーパーを狙っていったが時間切れ。
2Rが始まる前に、野口レフェリーから木村へ「積極的に!」との注意が飛び、木村は苦笑い。木村のタックルに江口がガブって首を取りに行くが、上になった木村がバックを奪い、投げからバックマウント。しかし、展開が生まれずブレイクに。
相手の首を落として片足タックルで木村がテイクダウン、ところが下から江口がフロントチョーク! キャッチが入る。木村が首を抜いて脱出すると、場内からは大きなため息が。そんな場内の空気を吹き飛ばすかのように、木村は腕十字! これが見事に極まってレフェリー木村が勝利を収めた。
敗れたものの先にマイクを渡された江口は「今日、僕が頑張れたのはいつもカレーを食べているからです。もちろんそれはCOCO壱番屋のカレーですよ」と、本当は勝って言いたかったというお店のPR。続いて木村がマイクを握ったが、一言喋っただけで佐伯代表にマイクを取り上げられてしまった。
▼第4試合 メガトンGPリザーブマッチ 1R5分・2R4分
○和歌嵐(手塚道場)
KO 1R5分0秒 ※右ストレート
●中村 護(ALLIANCE)
メガトンGPのリザーブマッチは、1994年高校柔道大阪大会無差別級優勝、2004年第31回全日本サンボ選手権100Kg級優勝の和歌嵐と、“世界のTK”こと高阪剛が主宰するA-SQUARE所属の中村によって争われた。和歌嵐は井上に、中村は折橋に2回戦で敗れている。
1R、サウスポーの中村は左右の連打で前に出る。正面からの打ち合いに応じる和歌嵐。中村が胴に組み付くも動きがなくブレイクに。和歌嵐の右インローに大きくバランスを崩す中村。左右の連打で中村が前に出て、再び組み付くがやはりブレイク。
中村のアッパーに和歌嵐が左フックから右ストレート、そのまま組み付くがまたもブレイク。和歌嵐が左ローから右ストレート、中村も鼻血を出しながらパンチを打っていく。二人は再び組み合うが、やはりブレイクに。中村にドクターチェックが入る。
中村がジャブから片足タックルに行き、胴タックルに切り替える。これもブレイク。和歌嵐の右ストレート、打ち負ける中村は胴タックル、そしてブレイク。
離れるとパンチを出す中村に、和歌嵐は“来いっ!”とカモンゼスチャー。それを合図に両者は足を止めて打ち合うが、オーソドックススタイルの和歌嵐の真正面に立ったサウスポーの中村へまともに右ストレートが直撃! 中村が後方へ吹っ飛ぶ! レフェリーがストップするのと同時にラウンド終了となったが、ストップの方が早かったため和歌嵐のKO勝ちとなった。
▼第3試合 メガトンGP準決勝 1R5分・2R4分
○川口雄介(BLUE DOG GYM)
TKO 1R0分45秒 ※セコンドからのタオル投入
●小阪俊二(ファイティングマスター)
川口は開幕戦で正道会館の高原信好を1R0分40秒、2回戦は元・若翔洋こと馬場口洋一を1R0分16秒と共に1分かからず仕留めてきた優勝候補の筆頭。2007年4月13日のデビュー戦から5戦全勝をマークしている。
対する小阪は我龍真吾率いるファイティングマスター所属。開幕戦では保坂忠弘に判定勝ち、2回戦では横綱・朝青龍の付け人を務めていた大相撲高砂部屋の元三段目力士・熊郷克彦を1R僅か10秒でTKOに破った。
1R、川口がショートのパンチでいきなりダッシュ、コーナーへ追い詰めて胴タックルでテイクダウンを奪う。すかさずパウンドの雨を降らせる川口、ニーオンザベリーで鉄槌を連打したところで小阪のコーナーからタオルが投入され、優勝候補・川口が秒殺勝利を飾った。
▼第2試合 メガトンGP準決勝 1R5分・2R4分
○井上俊介(吉田道場)
一本 1R4分9秒 ※腕ひしぎ十字固め
●折橋 謙(CORE)
※井上が決勝戦へ進出。
吉田秀彦率いる吉田道場で練習する井上と、リングス・ZST・デモリッション・パンクラスなどで闘ってきた折橋の対戦。井上は1999年インターハイ柔道競技100Kg超級優勝、2005年アマチュアシュートボクシング選手権重量級優勝の実績を持つ。
1R、右ローの合い打ちで折橋が転倒、すぐに覆いかぶさる井上はフロントチョークの体勢に。折橋が片足タックルで押し込んでいき、井上は腹固め! 回り込んで逃げようとする折橋と足を両足で挟んで極めに行く井上。回り込みながら井上は折橋の顔にパンチを叩き込んでいく。
バックに回った井上は亀の折橋へ背後からのパンチを連打、立ち上がる折橋に殴りかかり、折橋が組んでくると鮮やかに投げ飛ばしてテイクダウン。そのまま袈裟固めに。残り時間1分、マウントに移行した井上はパンチから腕十字! 見事に一本勝ちを奪い、決勝進出を決めた。
第1試合のDEEPグラップリングタッグ1DAYトーナメント決勝戦はこちら
「歩けば汗をかき、普通の人とは違う匂いをさせつつ、一生懸命に練習して汗を流しても体重は変わらない」という“普通よりもおっきい選手”を対象に行われる世界初メガトンGもいよいよファイナル。「今日の優勝者がもしかしたら将来、ミルコやヒョードルと闘うかもしれません。もしかして勝つかもしれません。そうなれば皆さんは歴史の証人です」と大会実行委員からのかなり強気な挨拶で幕を開けた。
まずジャンケンでクジを引く順番を決め、折橋が1番、井上が2番、川口が3番、小阪が4番に。続いてのくじ引きで1番は川口で第2試合の青コーナーを選択、2番の折橋は第1試合の青コーナーと別れ、3番の井上は第1試合の赤コーナーを選ぶ。自動的に4番の小阪は第2試合の赤コーナーに。
これにより、準決勝の組み合わせは井上VS折橋、小阪VS川口の組み合わせになった。
|