↑新人王トーナメントを制した(左から)小宮山、ニ戸、國安、73KING
KGS
「R.I.S.E.49 〜RISING ROOKIES CUP〜」
2008年8月30日(土)東京・新宿FACE
開場16:30 開始17:30
▼メインイベント(第9試合) RISING ROOKIES CUP -70kg 決勝 3分3R(延長1R)
○國安浩史(シルバーウルフ)
判定3−0 ※30−28、29−28、29−28
●AESOP(PHOENIX)
※國安がRRC-70kg級優勝。
魔裟斗の後輩にあたる國安は5勝(2KO)1敗の戦績を持つシルバーウルフの25歳のホープ。
AESOPは21歳で、トーナメント参戦前は2戦2勝と振るわなかったが、1回戦を1R17秒でKO勝利、準決勝でも勝利を収めて2勝(1KO)2敗と戦績を五分に戻して勢いに乗っている。
1R、サウスポーのAESOPがいきなり乱打戦に持ち込み、國安をコーナーへ追い詰めての連打。
國安は右ローとパンチを返していく。ジャブで突き放して右ローと右ストレートで勝負したい國安だったが、AESOPの乱打戦に巻き込まれて距離が取れない。
しかし2R、やや出足が鈍ったAESOPに國安の右ロー、右ストレート、右フックが次々に当たる。AESOPは飛び掛るように接近戦に持ち込むが、ブレイク後に攻撃をもらい、組み付くという苦しい展開に。
3R、AESOPが左ストレートを連打して前に出るが、回り込む國安の右ローをもらって足を上げる場面が目立つ。國安が距離を保って闘える状況となり、AESOPをロープに詰めて右アッパー、右ストレート、右フックと右のパンチを中心にまとめた。
判定は2&3Rのパンチ&ローキックの攻勢により、判定3−0で國安の勝利。シルバーウルフジムに新たなタイトルをもたらした。
國安は「とりあえずルーキーズカップは取ろうと思って出場して取ったので、今度は正真正銘、R.I.S.E.のベルトを奪いに行きたい。これから中量級を自分が盛り上げて行きたいと思います」とマイクアピールした。
▼セミファイナル(第8試合) RISING ROOKIES CUP -60kg 決勝 3分3R(延長1R)
○小宮山工介(北斗会館/KAMINARIMON
CLIMAX’07 60kg級優勝)
KO 2R2分13秒 ※3ノックダウン
●布施将人(TARGET/2007年KAMINARIMON
60kgトーナメント準優勝)
※小宮山がRRC-60kg級優勝。
ここまで4戦4勝(2KO)と無敗のまま勝ち上がってきた21歳の“元・天才空手少年”小宮山。対する28歳の布施も5戦5勝(2KO)と無敗対決による決勝戦となった。二人は所属は違うが普段からTARGETで一緒に練習する仲間でもある。
1R、どっしりと構えて左へ回りながら様子を見る小宮山に対し、布施はローと捕まえてのヒザ。
序盤はあまり動きがなかったが、後半になると小宮山は後ろ蹴り、マッハ蹴りと多彩な蹴り技を繰り出し、突き刺すようなボディへの前蹴りで布施をロープ際まで吹っ飛ばすと、顔面への前蹴りを炸裂させる。
最後には空中でニ回転してボレーシュートのように蹴る工流ニ回転廻し蹴りを発射したが、これは空振りとなった。
2R、ロー&ミドルから組み付き、小宮山が苦手とする首相撲からのヒザ蹴りに持ち込む布施。柔道出身だけに組み力には定評のある布施に、小宮山も首相撲で応戦して互いに回しながら蹴る。
しかし、離れたところで小宮山の後ろ蹴りがズバッと決まり、布施はロープ際へ後退。
チャンスを逃さない小宮山は飛びヒザ蹴りを放ったが、勢いあまってトップロープから転落しそうになる。
その後、小宮山は前蹴りを突き刺し、ヒザ蹴りの連打で立て続けにダウンを奪い、布施はうずくまって3ノックダウン。
空手大会で計60回以上の優勝経験がある小宮山が、新たにそのコレクションにRISING
ROOKIES CUPの優勝カップを加えた。
小宮山は「盛り上がってますかーっ!」と観客を煽ったまではよかったが、「布施さんとは同じジムで練習しているんですが、今日は頑張って試合しようと思って勝てて嬉しいけど、布施さんは…」とまとまりのないマイクになってしまい、兄・大介から「もういいよ!」とダメだしされてしまった。
↑(右から)大介、工介、夕介の“天才空手少年ブラザース”小宮山三兄弟。三男・夕介もこの日、プロ大会前に行われたアマチュア大会KAMINARIMONデビューを果たし、僅か22秒KOで初陣を飾っている。
▼第7試合 RISING ROOKIES CUP -55kg 決勝 3分3R(延長1R)
○二戸伸也(クロスポイント・ムサシノクニ/2008年KAMINARIMON
55kgトーナメント準優勝)
判定3−0 ※30−26、30−26、29−27
●梅原崇雪(TARGET)
※ニ戸がRRC-55kg級優勝。
共にデビューから無敗、6戦6勝(2KO)の27歳・梅原と3戦3勝の28歳・ニ戸による決勝戦となった。梅原は仕事を辞めてTARGETでインストラクターをしながら練習漬けの毎日を送ってきたという。ニ戸は準決勝で梅原と同門の武延を破って、同門対決を阻止しており、ニ連続TARGET狩りなるか。
1R、小気味よく動くニ戸はパンチ主体、ボディを狙ったり、飛んでのパンチやバックキックなどトリッキーな技も繰り出す。梅原は右ローを主軸に、パンチからロー、ニ戸のパンチをかわしてのローと右ローを効かせていく。ニ戸にパンチをさせまいと前蹴りで突き放し、接近すると組んでのヒザ。
2R、ニ戸は潜り込むような姿勢からのアッパー、ワンツー、左ボディと小気味よく動きながらパンチの回転力を上げて行く。梅原がヒザを出そうと片足立ちになったところに左のカウンターを合わせ、ダウンを奪う。
ここから試合はヒートアップ、梅原もダウンを奪い返そうとパンチで勝負をかけ、ミドル&ロー、ヒザ蹴り。しかし、このアグレッシブさが裏目に出たか、ワンツーをもらって2度目のダウンを喫する。
3R、ニ戸は右ストレート、左アッパーによるボディ攻め。左アッパーからの右フックも繰り出し、パンチのコンビネーションで押していく。ボディから入って頭部へのパンチへ繋げ、梅原もこれに打ち合って右ロー、左ミドル。最後まで止まらない打ち合いを展開したが、ダウンを2度奪ったニ戸が大差をつけて判定勝ちした。
応援団や山口元気会長にお礼を言ったニ戸は、「今日のトーナメントまでの間、一緒に練習に付き合ってくれた池井選手にもお礼が言いたいです。その内、K-1に出るので名前を思い出してあげてください」と、なぜか同門の池井佑丞をアピールした。
また、山口会長は「彼は天性の当て勘があるし、センスは非凡なものがある。KAMINARIMONは準優勝だったんですが、けっこういいものを持っていたのでデビューさせました。プロで化ける子でしたね。
彼には来年新設予定のR.I.S.E.の55kgのタイトルを狙わせたい。普段は大工さんの仕事をしていて、夜しか練習に来れないんですが、池井と上手くやっています。池井は作戦を練るのが好きなので、それがハマっている感じですね。チーム池井ってとこですか」と評した。
また、クロスポイントが二階級制覇を達成したことについては「今の新しいジムが出来て、集中して練習が出来る環境になってから2年。選手育成を本格的に始めて3年かかりましたが、やっと成果が出てきたと思います」と満足そうだった。
▼第6試合 RISING ROOKIES CUP -65kg 決勝 3分3R(延長1R)
○73KING(クロスポイント・ムサシノクニ/2007年
KAMINARIMON 65kgトーナメント準優勝)
判定3−0 ※30−28、29−28、29−28
●敏暴ZLS(チームゼロス/2007年 KAMINARIMON
65kgトーナメント準優勝)
※73KINGがRRC-65kg級優勝。
RRC(ライジング・ルーキーズ・カップ)決勝戦のオープニングを飾る−65kg級決勝戦。ダウンした相手を指差して「アッハッハッ〜!」と笑い飛ばす狂乱ファイトと、青木真也のコスプレでお馴染みの73KINGは21歳で5勝(3KO)2敗。対する敏暴ZLSは新潟を拠点とする28歳の選手で、3勝(2KO)1敗。
実は両者、アマチュア大会KAMINARIMONトーナメントの決勝で対戦し、その時は敏暴が勝ってプロデビューを決めた。さらにプロのリングで再戦し、今度は73KINGが勝利。3度目の決着戦を制して、新人王の座に輝くのはどっちだ?
1R、サウスポーの敏暴が左ミドルとストレートをボディに入れ、顔面へ連打してのヒザ蹴り。73KINGは組んでのヒザ蹴りに活路を求め、打ち合いの中では左フックをヒットさせる。パンチで優位に立ったのは敏暴だったが、73KINGは打たれても下がらない。
2R、敏暴のコンパクトなパンチに対して、73KINGは大振り気味だが強打かつ回転は速い。度々足を止めてのパンチの打ち合いが展開され、敏暴がヒット数では上回っているも明らかに疲れが見える。それに対して73KINGは打たれても打ち返しに行き、組んでのヒザで形勢逆転。
3R、73KINGは打たれながらも、まるで何かにとりつかれたかのようにパンチを打って前へ出て行く。この打ち合いで敏暴は疲れ、73KINGは組んでヒザ、離れ際にパンチ、そしてまた組んでのヒザという動きを繰り返す。ヒザがボディ、顔面へ突き刺さる。
両者共にフラフラだが、73KINGは攻撃の手を休めない。表情を変えずにとにかく前へ前へと攻めて行き、ヒザ蹴りとパンチを当てて判定勝利を収めた。
表彰式ではちょっと涙ぐんだ73KINGだったが、「試合が終わったばかりでロレツが回らないんですが、王様は誰だ!?」と観客に問いかけ、一部から「73KING!」と声が飛ぶ。73KINGは「まだリアクションが薄いんですけど、リアクションが大きくなるようにもっともっと面白い試合をやっていきます」と挨拶した。
試合後、クロスポイント山口元気代表は「73KINGは体が大きくなっているので65kgだともうキツイ。こまかいパンチに対応できていない。前回の後楽園ホールではウェルター級でやったんですが、その時は動けていたので今後は階級を上げます。ただ、今回は地力で勝った感じがしたのでそれはいい経験になったと思います」と、一階級上げる方針があることを明かした。
▼第5試合 ワンマッチ ヘビー級 3分3R
○百瀬竜徳(TARGET/R.I.S.E.
G-BAZOOKA TOURNAMENT’05王者)
判定3−0 ※30−27、30−28、30−27
●内田洋一(リアルディール)
初代G-BAZOOKAトーナメント王者の百瀬が復帰戦。最近は澤屋敷純一、アレックス・ロバーツ、前田慶次郎ら国内トップ選手との試合で勝ち星から遠のき、戦績も8勝(4KO)9敗2分と黒星が先行している。盟友ファビアーノがR.I.S.E.初代ヘビー級王座のベルトを獲得しただけに、復帰戦には並々ならぬ覚悟で臨む。
対する内田は怪我に泣かされ、約3ヵ月ぶりの試合。リアルディールも70kg級で龍二がDoAトーナメント制覇、60kg級で裕樹がR.I.S.E.初代王座に就くなどの活躍をしており、後に続きたいところだ。
1R、お互いにワンツー&ローを飛ばすが、百瀬の方が前蹴り、ハイキック、ヒザ蹴りを混ぜるなどバリエーションが豊富。両者とも下がらず円を描きながら、ローとパンチを交換する。
2R、お互いに押してからのローで攻め合い、百瀬は接近するとヒザ蹴り、内田はアッパーを狙う。百瀬の右フックからの右ハイキックで内田は目の上をカットして流血。百瀬は左インロー、右ローからパンチへ繋ぎ、内田も同様の攻撃を繰り出すが、手数やヒット数で百瀬が上回る。ラウンド終盤には、ハイキックを連発して内田をロープ際まで追い詰めていった。
3R、組んでのヒザ蹴りで百瀬が優勢に立つ。両者ともスタミナ切れでフラフラとなるが、百瀬がヒザ蹴り、前蹴り、パンチと死力を尽くしてタフなファイトを制した。
▼第4試合 ワンマッチ −61.0kg契約 3分3R
○板橋 寛(スクランブル渋谷)
KO 3R1分38秒 ※パンチ連打
●宮下トモヤ(パワーオブドリーム)
DEEPで9勝1敗2分の戦績を誇る総合格闘家・宮下が、R.I.S.E.デビュー戦。迎え撃つはR.I.S.E.60kg級でいぶし銀の実力を見せる板橋だ。
1R、両者ともサウスポー。宮下は間合いを詰めると一気にパンチ連打、パワーと手数で押していく。板橋は機先を制せられる形となり、最初は面食らったようだが、ガードして左ローで反撃を開始。
板橋の右フックがヒットすると宮下の動きが鈍り、板橋は左ローを主軸に組んでのヒザ。宮下は早くもローに体を捻り始める。
2R、パンチ一辺倒の宮下に対し、板橋は左フック、左ロー、組んでのヒザと技の引き出しの多さを見せて追い掛け回す。宮下はバックステップで回り込みながら、カウンターのアッパーを狙っていくが、ついに板橋の左ローでダウン。
3R、バックステップで回り込みながらパンチを叩きつける宮下に、板橋がパンチのコンビネーションとロー、組んでのヒザと攻撃を散らして追い掛け回す。ローにガクガクとバランスを崩す宮下。
苦しい展開の宮下はタックルに行ってしまい、イエローカードを提示されてしまう。そして、ついに左ローに捕まってダウン。続く板橋の連打でロープに釘付けになったところでレフェリーが試合をストップした。
▼第3試合 -60.0kg契約 3分3R
△後藤勝也(池袋BLUE DOG GYM)
ドロー 判定1−1 ※29−28、29−29、28−29
△仲江川裕人(如心館/KAMINARIMON
CLIMAX’07 65kg級優勝)
池袋の番長BULL率いるBLUE
DOG GYMの20歳のホープ後藤は2戦2勝(1KO)、対する仲江川も22歳と若く、戦績は1勝(1KO)1敗。
1R、巧みなボクシングテクニックを持つ仲江川が速いコンビネーションパンチとワンツーで圧倒。しかし、後藤も相手のパンチをよく見て右ローをコツコツと当てて行き、左フックもヒットさせる。勢いとスピード、パンチで仲江川が押し気味。
2R、ハイキックも放つ仲江川がパンチと蹴りのコンビネーションでこのまま圧倒するかに見えたが、後藤もパンチで打ち合いに応じて激しいパンチの応酬が繰り広げられる。両者共にパンチで相手を捉え、仰け反る場面が何度も見られた。
3R、ローでダメージを与えた後藤がボディ打ちと前蹴りで優勢に立つも、仲江川がパンチで逆襲。後藤も打ち合いを挑み、2Rに続いて激しい打撃戦が展開される。お互いにパンチで相手を仰け反らし、両者ともダメージで動きが鈍る中、後藤のバックブローがヒット! 激しい内容で痛み分けとなった。
▼第2試合 -70.0kg契約 3分3R
○阿佐美宏明(パワーオブドリーム/KAMINARIMON
CLIMAX’07 75kg級優勝/RISING ROOKIES CUP ’08 -70kg第3位)
判定3−0 ※三者とも30−29
●岩崎正徳(RKJライコンドー/RISING
ROOKIES CUP ’08 -70kg第3位)
RRCは準決勝でAESOPに敗れて3位に終わったライコンドーからの刺客・岩崎がワンマッチに出場。阿佐美も準決勝で國安に敗れて3位になっており、今回は事実上の3位決定戦となる。
1R、どっしりと構えてリング中央に陣取る岩崎に対し、阿佐美は距離を取ってリング上を大きく回る。リングいっぱいに回り続ける阿佐美に岩崎は右ロー、阿佐美がパンチで来ると右ストレートで迎え撃つ。しかし、後半は阿佐美が距離を掴み始めたか、岩崎のストレートが来ると右ローを合わせ、自分からも右ローを蹴っていく。
2R、阿佐美は左のパンチから入って連打、反撃を受けないように組み付く。岩崎はその入り際にアッパーとストレート。阿佐美は左をフェイントして右アッパー、何度も出入りしてパンチ&ロー。そこを岩崎がパンチで迎え撃つという展開。
3R、阿佐美は顔にパンチを連打して右ローに繋ぐ。前半は回り込みながらの突進パンチで優勢に立つも、岩崎の左フックをモロにもらう場面も。阿佐美は岩崎が攻めてくるとすぐに離れてステップで回り込み、岩崎を近づけさせない。
阿佐美が来るのを待って右ストレートもヒットさせるが、阿佐美は回って突進してを繰り返すため、止まっている岩崎よりも阿佐美の攻撃の方が多く当たり、判定勝ちとなった。
▼第1試合 -56.0kg契約 3分3R
○葉山翔平(烈拳會)※デビュー戦
判定3−0 ※30−27、30−27、30−26
●吉田直人(ドージョーチャクリキ・ジャパン/RISING
ROOKIES CUP ’08 -55kg第3位)
RRC準決勝で梅原に敗れて3位になった18歳の吉田と、関西グローブ空手軽量級優勝の実績を持つ21歳の葉山が対戦。葉山は今回がデビュー戦だ。
1R、両者とも至近距離での打ち合いを展開し、葉山が右フックでダウンを奪う。吉田は焦ったか、倒れた葉山の蹴ろうとしてしまい、イエローカードを提示される。同じ打ち合いでも、ガツガツ行くのは葉山の方。
2R、吉田はレバーブローからの右ロー、アッパーからのローと攻める。しかし、葉山のローからの右ストレートニ連打がヒット! 吉田は右のパンチがほとんど見えてないようで、面白いように当たる。吉田は体を左へ捻ってパンチをかわし、アッパーを狙う。
3R、ローとヒザ蹴りに繋げるパンチのコンビネーションで吉田が優勢に立つが、スタミナ切れ。葉山の右ストレートがクリーンヒットし、吉田の体がグニャリと曲がる。ラッシュをかける葉山だが、同じようにスタミナ切れとなり、両者フラフラの状態でありながら互いにパンチを出し合い、もつれるように倒れた。
判定は大差で葉山が勝利、デビュー戦を白星で飾った。
|