FEG/TBS
「DREAM.6 ミドル級グランプリ2008 決勝戦」
2008年9月23日(火・祝)さいたまスーパーアリーナ
開場15:00 開始16:00
観衆=20,929人(主催者発表)
↑ムサシの下からの蹴り上げで失神するジャカレイ
▼メインイベント(第12試合) ミドル級GP決勝戦 1R10分・2R5分
○ゲガール・ムサシ(オランダ/チームムサシ&レッドデビル/83.8Kg)
KO 1R2分15秒 ※下からの蹴り上げ
●ホナウド・ジャカレイ(ブラジル/アスレ・マナウス・エクストリーム・クートゥア/83.8Kg)
※ムサシがミドル級GP優勝、DREAM初代ミドル級王者になる。
84Kg以下級最強を決定するため4月からトーナメントで争われていた『ミドル級GP』も、いよいよファイナルを迎える。決勝の舞台に上がったのは優勝候補の柔術家ジャカレイと、DREAMの笹原圭一プロデューサーが「新世代のスター候補」と期待する打撃系のムサシ。寝技VS打撃、最強の称号を手にするのはどっちだ!?
1R、サウスポーのムサシは低く構えてジャカレイのテイクダウンを警戒しながらジャブを打つ。足元にダイビングしてタックルしたジャカレイは、ムサシを高々と持ち上げてテイクダウン。
まずは片足を越えてパスガードしたジャカレイは、パンチを打ちながらもう片方の足も抜きにかかり、一度体を起こして豪快な右フック! しかし、これは空振りとなり、そこへムサシが下からの蹴り上げ! この一発が見事にジャカレイのアゴをカウンターで直撃し、ジャカレイが失神! ムサシが初代ミドル級チャンピオンの座に輝いた。
優勝したムサシには賞金1千万円と、ミドル級GP優勝ベルト、そしてDREAM初代ミドル級王座のベルトが贈られた。
勝利を目前にしながら逆転負けを喫したジャカレイは「ムサシは本当にチャンピオンにふさわしいファイターです。でも、私は絶対に諦めません。また必ず戻ってきます。私が一番ガッカリしています。また期待して下さい。次回は私の最高のものをお見せします。今日はムサシ選手、おめでとう」とムサシの勝利を祝福。
優勝したムサシは「実はこのトーナメントを通じて仲のいい人たちが助けてくれました。今日はジャカレイ選手に勝ちましたが、友だち相手なので辛かったです。
このチャンスを与えてくれてありがとう、全員にお礼を言いたい。闘う時はリングでは一人ですけど、みんなが応援してくれたおかげで優勝できました。ありがとうございました。最後にもう一人、ヒョードルがいろいろアドバイスをしてくれました。ありがとうございます」と、勝利の陰に“皇帝”の助言があったことを明らかにした。
▼セミファイナル(第11試合) ヘビー級ワンマッチ 1R10分・2R5分
−ミルコ・クロコップ(クロアチア/チーム・クロコップ/102.7Kg)
ノーコンテスト ※ローブローによりミルコが試合続行不可能のため
−アリスター・オーフレイム(オランダ/ゴールデングローリー/109.9Kg)
旗揚げ戦以来、ミルコがDREAMに凱旋! この試合に向けてミルコはオランダでイワン・ヒポリッとのもとでトレーニングを積んできたという。またミルコは直前会見でハリトーノフ戦をぶち明けるなど、周囲を驚かせている。
対するアリスターは待望のミルコ戦に向けて破壊のハンマーを復活させる気合の入りよう。「打撃が得意な選手に打撃で勝つのは皮肉だろ?」とミルコに対してKO宣言とも取れる発言を残している。試合前、エメリヤーエンコ・ヒョードルが両選手に花束を贈呈する。ミルコは両膝にサポーターを巻いている。
1R、サウスポーのミルコに対して、オーソドックスのアリスター。アリスターはアウトローを放ち、右ストレートで飛び込む。距離が詰まると首相撲に持ち込むアリスターだったが、ミルコはそれを突き放す。
さらに体を沈めながら右フックで前に出るアリスター。再び組みの攻防になると、アリスターがテイクダウンを奪い、グラウンドで上になる。
クローズガードでアリスターの両手首をクラッチするミルコ。アリスターはそのクラッチを切って、鉄槌を落とす。
するとここでミルコが左目尻から出血、ドクターチェックが入る。ドントムーブでの再開後、ミルコはアリスターの体をがっちりとホールドし、アリスターの体を蹴り離す。
スタンドに戻るとミルコが左ミドル、そして左ハイキック! しかしアリスターはそのまま前に出てミルコからテイクダウンを奪う。インサイドガードのアリスターはミルコの顔面に鉄槌を連打する。ここで再びミルコが左目尻から出血し、2度目のドクターチェックが入る。
ブレイクでの再開後、ミルコの左ストレートにアリスターが右をかぶせて、ボディに強烈なヒザ蹴り! そのままミルコをコーナーに押し付けると顔とボディにヒザ蹴りを突き上げる。
するとここでアリスターのヒザ蹴りがミルコの股間に入ってしまい、試合が中断される。アリスターにはイエローカードが提示され、ミルコのダメージを回復させるため、ミルコには2分間のインターバルが与えられる。
再開後、アリスターはすぐに組みつくと首相撲からボディと顔面にヒザ蹴り。するとこれが再びミルコの股間を直撃。ミルコは苦悶の表情を浮かべて、その場にうずくまる。ニュートラルコーナーで2枚目のイエローカ−ドが提示されるアリスター。ミルコは長時間に渡って、ドクターの診断を受けるが、立ち上がれることが出来ず。
島田ルールディレクターは「アリスター選手に2度の急所攻撃があり、ドクターの診断でミルコ選手はこれ以上試合続行が不可能となりました。
しかしアリスター選手のヒザ蹴りは偶発性の事故と判断します。よってこの試合はノーコンテストという結果になります」とノーコンテスト裁定を発表した。
試合後、ミルコはすぐにリングを降り、アリスターは「素晴らしい試合がこういう形で終わってしまって申し訳ない。ミスを犯してしまったよ。クロコップをKOか関節技で倒そうと思って一生懸命練習してきた。自分はDREAMでNo.1になるためにミルコと戦いたかった。また次の試合を楽しみにしていてくれ」とファンに謝罪の言葉を述べた。
▼第10試合 ライト級ワンマッチ 1R10分・2R5分
○青木真也(パラエストラ東京/69.9Kg)
一本 1R1分10秒 ※裸絞め
●トッド・ムーア(アメリカ/チーム・サード・コラム/69.8Kg)
秋山成勲を「小悪党」とコキおろし、大晦日での対戦をぶち上げて話題を呼んでいる青木が登場。DREAM最多出場を誇る“ミスターDREAM”だ。今回はオレンジ色のロングスパッツを履いて登場。
1R、サウスポーの青木が左ミドルキックで先制、同じくサウスポーのムーアはジャブを出す。組み付いていった青木は両足を引っ掛けてムーアの背中に飛び乗ると、ムーアはコーナーまで運んでいって青木を押し付ける。
ところが、そこで青木があっさりとスリーパーを極めると、崩れ落ちたムーアがタップ。青木が秒殺勝利を飾った。
マイクを握った青木は「本日はご来場いただき、ありがとうございます。DREAMは3月から始まって本当にいいものになりました。本当にいいものです。そして、僕が大黒柱です。今日は偉そうなこと言わせて下さい、前に試合をした秋山マイケル・ジャクソン先輩、大黒柱の青木真也と年末にめちゃくちゃワオワオしませんかーっ! でも、社会人まだ3年目なので主催者にお任せしまーす!」と、リング上で秋山との対戦を正式表明!
大晦日での吉田秀彦との対戦を表明した秋山、その秋山との対戦を表明した青木。秋山を中心とするこのトライアングルの構造、一体どうなるのか?
↑勝利の雄叫びを上げる青木真也に対し、観戦に来ていた五味隆典(肌色の帽子姿)も祝福
▼第9試合 ミドル級ワンマッチ 1R10分・2R5分
○秋山成勲(フリー/84Kg)
一本 1R6分26秒 ※腕ひしぎ十字固め
●外岡真徳(正道会館/83.7Kg)
直前会見ではミルコと共にハリトーノフ戦を名乗り出て、ダブルヘッダーをぶちあけるなど、試合前から話題を振りまいてきた秋山。対戦相手の外岡が秋山のことを人間的に合わないと言い放ち、喧嘩のつもりで戦うと宣言している。外岡は上半身裸で気合十分の入場。
対する秋山はブーイングの中、チームのメンバー全員と正座して一礼するパフォーマンスをして花道へと向かう。秋山は前回に引き続き、道衣を着て試合に挑む。
1R、互いに細かくフェイントを入れる両者。外岡はジャブとインローで秋山を近づけさせない。そして秋山をロープにつめると右フックで前に出る。それを上手くかわして秋山はポジションを入れ替えると、左フックを返す。
秋山が左のパンチで飛び込むところに、外岡は右フックを返す。しかしパンチで距離が詰まったところで秋山がクリンチアッパー。さらに組の攻防になると外岡の体を持ち上げるようしてテイクダウンを奪う。サイドポジションで外岡を押さえ込む秋山。
両足で外岡の左腕を挟み、右脇を差した状態で鉄槌を落とす。必死に暴れる外岡だったが、秋山はマウントポジションに移行して鉄槌。外岡が腕を伸ばしてそれを嫌がると、秋山は外岡の右腕をとって腕十字を狙う。
外岡はそれをディフェンスしつつ、亀の状態になるが、秋山はバックマウントからパンチを落とす。外岡もそこから一瞬は立ち上がるのだが、秋山はそのまま組み付いて再びテイクダウン。がっちりと外岡の上体を制し、腕十字へ。回転して逃げようとする外岡だったが、秋山はその動きに合わせて外岡の腕を伸ばしてタップを奪った。
試合後、マイクを握った秋山は「まず外岡選手、自分と戦っていただいてありがとうございました。年末、自分は吉田秀彦とやりたいです。自分の夢であり、超えなけてはいけない壁だと思います。吉田先輩、受けてくれますよね? 色々な人の力が必要だと思いますが、よろしくお願いします」と、何とあの吉田秀彦に宣戦布告!
DREAMを主戦場とする秋山と戦極を主戦場とする吉田。二人の間に様々な壁はあるが、このビッグマッチは実現するか!?
▼第8試合 ウェルター級ワンマッチ 1R10分・2R5分
○桜井“マッハ”速人(マッハ道場/76Kg)
判定3−0
●弘中邦佳(アカデミアAz/75.9Kg)
「憧れであり、目標だった選手。やっとここまで来たかなと思います」と“夢のマッハ越え”を宣言している弘中。それに対し、マッハは「ばかやろう!」とビートたけしのモノ真似で応戦する。世代交代の懸かった一戦であり、DREAM初代ウェルター級王座へ繋がる一戦。勝つのはどっちだ!?
1R、ステップを踏みながら向かい合う両雄。軽くパンチ、ローキックの応酬があった後、マッハがワンツーで突っ込む。それをかわした弘中が胴タックル、組み付くとテイクダウンに成功。パスガードしようとする弘中の足にマッハは踵蹴り、弘中は上半身をしっかり抑え込みながら鉄槌を入れたが立ち上がる。
マッハはローキック、バックキック。弘中はジャブを返し、マッハがワンツーで前に出てローキック。左フックから右ローに繋ぐマッハ。弘中が右ストレートを出すと右から左へフックを返す。さらに右ローキック。弘中のジャブでマッハの右目辺りが腫れてきた。組み付いてきた弘中をロープに押し込むと、マッハは弘中を抱えながら踵で太腿を蹴るバレリーキック。
テイクダウンした弘中は上半身を抑え込みながらパウンドを狙うが、マッハは顔を左右に振ってパンチを避け、弘中の首を引き寄せる。立ち上がった弘中はアゴに踏み付けをやってしまい、試合は一時中断。口頭注意が与えられた。
試合再開、マッハは右ローから左右のフック、弘中のボディブローに右ストレートを返し、左ボディから前蹴り。さらに右ロー。下がる弘中にマッハの右ローが鋭く決まる! 弘中のパンチに合わせて右ローを叩き込むマッハ。弘中もパンチを出すが、マッハはすぐに右ストレートや前蹴りを返していく。
2R、マッハのローに弘中がタックルを合わせてテイクダウン。マッハは下からの蹴り上げ、弘中はロープの外に上半身を飛び出させ、同じくロープの外に出ているマッハの顔面を叩く。ドントムーブでリング中央へ。足を取りに来たマッハに弘中が離れる。
立ち上がったマッハの右ローが快音を発して決まり、弘中がグラつく。弘中はタックル、これを受け止めたマッハはサイドへ投げを打ち、立ち上がり際にはハイキック。お互いにボディを狙い、弘中はハイキックからパンチで前に出る。
しかし、マッハの右フック、さらに左フックをもらってしまう。マッハの右ロー! パンチを打ちに行く弘中に、マッハが左フックのカウンター。ワンツーにも右ストレートをカウンターで入れる。
弘中がパンチを出す度に、パンチを返してクリーンヒットを奪うマッハ。首ヒザ蹴り連打から、弘中の左フックに合わせた左フックのカウンター! これでダウンを奪い、胸を踏みつけてから上に乗ってパウンドの連打! パウンドをまとめてマッハが完全に優勢を印象付けた。
マッハは弘中に引っ張られて起こしてもらうと、弘中を一本背負いで投げてスリーパーを極めるパフォーマンスを見せる。判定は3−0でマッハの勝利。
「みなさん、ありがとうございました。KOしたかったけど、最後は苦しかったけど苦しさの中にチャンスがあると信じて、最後に追い込みのスリップストリームのつもりでやりました。皆さんの応援があるから、僕も頑張れます」とマイクアピール。世代交代を許さず、日本ウェルター級第一人者の面目を保った。次回はいよいよ、ニック・ディアスとのタイトルマッチになるか?
▼第7試合 ミドル級ワンマッチ 1R10分・2R5分
○船木誠勝(ARMS/90Kg)
一本 1R0分52秒 ※踵固め
●ミノワマン(フリー/87.9Kg)
パンクラス時代の師である船木との試合を前に「運命の巻」と試合のテーマを語ったミノワマン。対する船木は「自分の首を掻っ切ってみろ!」とミノワマンにメッセージを残している。会場には二人のここまでの歴史を振り返り、二人がこの試合に向けての想いを語るVTRが流される。先に入場したミノワマンのセコンドは伊藤崇文と柳澤龍治、船木はかつてのパンクラスのメインテーマ曲で入場する。
1R、サウスポーの船木は左ミドル、それを空振りさせられるとバックキックを放つ。それを取ってミノワマンがテイクダウンを奪うと、船木が下から足関節を仕掛ける。ここから足関節を取り合う両者。
すると船木がヒールホールド! これが極まり、ミノワマンが声を上げながらタップ! 船木が復帰3戦目で一本勝ちを収めた。
試合後、マイクを握った船木。客席から大きな声援が送られると、船木は喜びで表情を歪ませながら、「ありがとうございます。おかげさまでやっと復活できました。これからも格闘技、体が使えなくなるまで、自分が出来ることがあれば、格闘技を支えていきます」と宣言した。
▼第6試合 フェザー級ワンマッチ 1R10分・2R5分
○山本 篤(KRAZY BEE/62.8Kg)
判定3−0
●所 英男(TEAM ZST/63Kg)
山本“KID”徳郁との対戦を表明している所が、まずはKIDの後輩でありKIDが自分の後継者と認めている山本篤を迎え撃つ。このKIDからの刺客を撃破し、大晦日に夢のKID戦を実現させることが出来るか?
静かな入場曲で登場した山本は、トップロープを掴むとクルッと一回転、リングを走ってアピールする。もちろん、セコンドにはKIDが就く。所は大声援を受けて入場、リングイン前には笑顔を見せる。
1R、ジャブを突きつつ右ストレートを伸ばす所。山本も左右に動いてジャブ、タックルのフェイントもかける。
ローを出した所に山本がワンツーで突っ込むと、ちょうど真正面を向いていた所は後方へ吹っ飛ぶ! すかさず上に乗る山本。所はオープンガードから腕十字を仕掛けていく。が、山本は立ち上がる。
ローキックの応酬、山本のジャブには左フックを返す所。右ストレートから組んでのヒザを一発。山本も強い右ストレートを打ち返し、左ストレート。山本のジャブが所の顔面を捉え、逆に所のパンチは空振りが目立つ。山本が左右フックで入ってくるとヒザを突き上げる所、右フックには右フックを返し、自分からも打ちに行って飛び付く!
オープンガードで山本の頭を引き寄せる所だが、山本に立たれてしまう。山本のジャブ、左フックが当たり、所も右ストレートを打ち返す。所のパンチは空振りが目立つが、ヒザ蹴りやローはヒットする。
パンチの的確さは山本が上で、もらった所は鼻血を吹き出す。所のジャブに山本が左フックを返し、これがモロにヒット! グラつく所だったが、すぐに胴廻し回転蹴りを放って組み付き、ごまかした。上になった山本は所の片腕を背中に回し、ロックしてのパウンドを叩き込んだが、初回終了のゴング。所は劣勢で初回を終えた。
2R、両手を下げて左右に素早く動く山本、所は再び胴廻し回転蹴りから組み付いていく。オープンガードから山本の首を引きつける所、鼻血がかなり酷くなっている。ここでドクターチェックのためブレイク。同じポジションから試合再開。
立ち上がる所は右ストレートから左フックを振るって前に出る。山本がタックル、所はハーフガードから腕を取る。離れる山本は立ち上がり、所が前に出て行って組み付き、引き込む。上になることに成功した所は腕十字!
抵抗する山本にパンチを叩き込み、残り時間は1分!
所の逆転を願う場内のファンは大声援! 下になって山本の腕を伸ばしにいく所と、ガッチリ両手をロックする山本。山本はヒザで所の顔面を押さえつけてパンチを叩き込む。そしてゴング!
勝利を確信した山本は両手を広げてバック宙! 逆に所は“やられた…”という表情で苦笑い。判定は3−0で山本!
「チャンスをありがとうございました。勝てて嬉しいです。もう1回、所さんとやります。次は全力で行きます。今日はちょっと力を抜きました」と山本がマイクアピールすると、場内の所ファンからブーイングが沸き起こる。すると今度はKIDがマイクを握り「ブーブー言うけど、ゴメン、コレが本当なんだよね」と、“これが現実、これが実力”とアピールした。
▼第5試合 ヘビー級ワンマッチ 1R10分・2R5分
○セルゲイ・ハリトーノフ(ロシア/ゴールデングローリー・ロシア/115Kg)
KO 1R2分15秒 ※パンチ
●ジミー・アンブリッツ(アメリカ/フリー/132Kg)
大会直前に対戦相手がマイティ・モーからアンブリッツに変更されたハリトーノフ。DREAM初参戦はゴールデングローリーの所属となっての試合となる。
一方のアンブリッツは過去にジョシュ・バーネットとも対戦経験があるアメリカのパワーファイターだ。リング下でエメリヤーエンコ・ヒョードルが観戦する中、DREAMヘビー級で存在感を示すのはどっちだ? なお両者の体重差が15kg以上あるため、グラウンド状態での
1R、サウスポーのアンブリッツはパンチで突っ込んでいくが、ハリトーノフは下がりながらジャブをつき、強烈な左フック! これで大きくバランスを崩すアンブリッツ。
ハリトーノフは一気にパウンドで襲い掛かろうとするが、アンブリッツはタックルでテイクダウンを狙う。ここはそれを阻止しようとしたハリトーノフがロープを掴んだということで、注意が与えられるが、再開後、ハリトーノフはアンブリッツのボディと顔に右ストレート。
その後もハリトーノフは右ボディストレートを織り交ぜながら、プレッシャーをかけてアンブリッツを下がらせると鋭い右ストレートを顔面に突き刺す。ボディと顔面に的確にパンチを打ち分けるハリトーノフ。
そしてアンブリッツがコーナーを背負ったところで、強烈な右フック! これで足元がふらつくアンブリッツ。
ハリトーノフはアンブリッツの頭が下がったところでヒザ蹴りを突き上げ、亀になったアンブリッツのボディにパンチを叩き込む。するとここでアンブリッツがタップ。ハリトーノフがモーの代役アンブリッツを問題なく退けた。
▼第4試合 ライト級ワンマッチ 1R10分・2R5分
○中村K太郎(和術慧舟会東京本部/70Kg)
判定2−1
●アドリアーノ・マルチンス(ブラジル/KRAZY
BEE/70Kg)
「日本で一番強いと言われている青木真也と闘いたい」と青木に宣戦布告、総合格闘技からの引退を撤回し、DREAMで復帰戦を行う中村。日本屈指のグラップラーである。
その相手は山本“KID”徳郁の柔術コーチ&練習パートナーのマルチンスだ。マルチンスはKIDをセコンドに従えて入場した。
1R、サウスポー同士の対戦。中村はジリジリと前に出て行って左フック、マルチンスはローキックだが、左フックで中村が尻餅をつく。マルチンスが寝技に行かなかったためブレイク。スタンドに戻るとマルチンスがアッパー、フックを放つ。
胴タックルで組み付く中村、体を入れ替えてロープに押し付けるマルチンス。足へのヒザ蹴りの応酬があるも、ブレイクとなる。
左右のフックを放って前に出る中村、マルチンスも打ち合いに応じ、中村が胴タックルでテイクダウン。ハーフガードの体勢から顔面に鉄槌を落とす中村は、マルチンスがインサイドガードに戻すと腰を上げてパスガードに行く。ガードを越せない中村はパウンド、マルチンスは抱きついてブレイク待ちの状態だ。
中村がパウンドを入れて覆いかぶさろうとしたのと同時に、マルチンスがディフェンスしようと腕を差したため、そのヒジが中村にヒット。中村の左目上が切れて流血してしまう。試合がストップされてドクターチェックが入り、両選手に膠着を誘発させたとしてイエローカードが提示される。
再開すると、パンチで前に出る中村は右ジャブ、右フックをヒットさせる。マルチンスが右フックを出したところで胴タックル、マルチンスもすぐに反応してロープへ押し込んでいく。
ブレイク後、思いきった右アッパーを振り回してくるマルチンス。中村はジャブを出しながら前に出る。再び胴タックルに行くが、ロープに押し付けるのはやはりマルチンス。またもブレイク。
マルチンスは右のパンチで中村の傷口を狙い、右アッパーも振ってくる。中村の左ストレート、ワンツー、マルチンスのフックにテンカオ。中村が圧力を掛けていったところで1R終了。
2R、ジャブで圧力を掛け、左フックに繋げていく中村は胴タックルに行くが、やはりマルチンスにコーナーへ押し込まれてしまいブレイク。ジャブとフックから中村が再び組み付き、サイドに振ってテイクダウンするもすぐにマルチンスに立たれてしまう。そしてブレイク。
右ジャブを面白いように何度も当て、マルチンスを何度も仰け反らせる中村。しかし、続く左フックが当たらない。思い切って左ストレートで飛び込む中村、マルチンスは飛び蹴り。
中村のジャブにパンチを打ち返し、飛び蹴りに繋げてくるマルチンス。中村が胴タックルで組み付いたところで試合終了のゴングが鳴り、盛り上がりに欠けた内容に場内にはブーイングが起こった。
判定は2−1のスプリットデシジョンで中村が勝利。KIDと握手を交わし、リング四方に体で“K”の字を作るKポーズを作った。
▼第3試合 ミドル級GP準決勝 1R10分・2R5分
○ホナウド・ジャカレイ(ブラジル/アスレ・マナウス・エクストリーム・クートゥア/83.8Kg)
一本 1R1分27秒 ※腕ひしぎ十字固め
●ゼルグ“弁慶”ガレシック(クロアチア/チーム・トロージャン/83.9Kg)
イアン・マーフィー、ジェイソン“メイヘム”ミラーを下し、優勝候補の呼び声の高いジャカレイ。対する弁慶は打撃が主な武器ではあるが、寝技の対応力も高く総合力のあるファイターだ。
ニックネームの由来でもあるワニのポーズが日本でも定着しつつあるジャカレイは会場での人気も高い。弁慶はストップ・ザ・ジャカレイなるか?
1R、ガードを低く構える弁慶に対し、ジャカレイは細かくパンチのフェイントを入れながら距離を詰める。そして弁慶がロープを背負ったところでジャカレイが弁慶の蹴り足をつかんでテイクダウン。
ジャカレイは弁慶の蹴り上げをさばいてパスガードを奪うと、サイドポジションからヒザ蹴りとパンチを入れる。さらにここからマウントポジションへと移行するジャカレイ。
弁慶がブリッジでポジションを返そうとすると、ジャカレイはそこを狙ってガードからの腕十字固め! これがズバリ極まり、ジャカレイが優勝候補の名に恥じない一本勝ちで決勝に駒を進めた。
▼第2試合 ミドル級GP準決勝 1R10分・2R5分
○ゲガール・ムサシ(オランダ/チームムサシ&レッドデビル/83.8Kg)
一本 1R1分28秒 ※三角絞め
●メルヴィン・マヌーフ(オランダ/マイクス/84Kg)
マヌーフはいつも通り超ハイテンションでの入場、首輪を付けたまま左右にステップを踏み、踊りながら歩を進めていく。対するムサシはオランダで有名なマヌーフを破り、地元での知名度も高めようと目論むムサシ。
1R、ジャブの応酬からいきなりムサシがタックル! 足を掛けてムサシがテイクダウンに成功、バックマウントを奪う。パウンドを叩き込むムサシを引きずり落とすマヌーフだが、下になったムサシはすぐに三角絞め!
高々とムサシの体を持ち上げてバスターで叩きつけるマヌーフだが、その衝撃でムサシの足はさらに深々と食い込み、三角絞めを完成させてタップを奪った。
敗れたマヌーフは呆然と勝ち名乗りを上げるムサシを見上げていた。
▼第1試合 ミドル級GPリザーブマッチ 1R10分・2R5分
○アンドリュース・ナカハラ(ブラジル/極真会館/83.5Kg)
TKO 2R0分30秒 ※パウンド
●ユン・ドンシク(韓国/TEAM YOON/84Kg)
GPリザーブマッチは開幕戦で桜庭和志と対戦したナカハラと、準々決勝でゲガール・ムサシに敗れたもののそれまでは一本勝ちを量産していたドンシク。空手と柔道という日本を発祥とする格闘技をバックボーンとする二人の対戦となった。
ナカハラはセコンドにフランシスコ・フィリオを従えての入場。ドンシクは総合デビュー戦以来となる道衣を着ての試合だ。
1R、ナカハラはいきなり右ロー。ドンシクはパンチから距離を詰めていくが、ナカハラはそれを突き放す。距離が開くと右ハイキックを蹴るナカハラ! これがドンシクの顔をかすめるが、ドンシクはかまわずナカハラに組み付く。
四つ組みの状態からテイクダウンを狙うドンシクだがナカハラは倒れない。すると自ら引き込み気味にガードポジションを取るドンシク。ここから寝技の展開に持ち込もうとするが、ナカハラは立ち上がり、スタンドを要求する。
ブレイク後、インローを蹴っていくナカハラ。ドンシクは大きなパンチのフェイントからテイクダウンを狙うが、ナカハラは簡単に組み付かせない。ジャブ、ワンツーで前に出るナカハラ。ドンシクのパンチを空振りさせて、強烈なローを蹴り、組み付いてくるドンシクの道衣をつかんでヒザ蹴りを打つ。
さらにナカハラはドンシクにテイクダウンされるも、何とガードポジションからオモプラッタを仕掛ける。
しかしここでドンシクがナカハラのオモプラッタを外して、グラウンドで上のポジションを取ると、ナカハラの首に手を回して絞めを狙いながらパスガードしてマウントへ。そしてドンシクは道衣を使った絞め技をしつこく狙っていくが、ナカハラも必死にそれをディフェンスする。
ナカハラは長時間、ドンシクの絞めに苦しめられたものの、残り3分過ぎにブリッジで脱出。スタンドの展開に戻すことに成功する。ナカハラはワンツー、右ハイキック。そして強烈なインローでドンシクの出足を止める。
さらにナカハラはカカト落とし! ドンシクのタックルを切ると、4点ポジションからヒザ蹴りを入れる。ナカハラの総合格闘技への対応力が目立つラウンドとなった。
2R、口を開けて息をするなど、明らかにスタミナ切れが目立つドンシク。ナカハラは鋭いローを蹴ると、ドンシクのパンチにカウンターの右ストレート! さらにそこから左フックを当てると、ドンシクがマットに崩れ落ちる。
必死にガードポジションでパウンドを阻止しようとするドンシクだったが、ナカハラがパウンドを連打! ドンシクの動きが止まったところでレフェリーが試合をストップ。総合2戦目のナカハラが大方の予想を覆す勝利を収めた。
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