国際武道人育英会
「第9回全日本空手道選手権大会」
2008年10月12日(日)東京・稲城市総合体育館
開場9:30 1部開始9:50(開会式・各クラス予選)
2部開始14:00(フリースタイルカラテ公開試合・各クラス決勝まで)
“極真カラテの帝王”と呼ばれた、第22回全日本チャンピオン増田章が考案した「フリースタイルカラテ」が、ついにベールを脱いだ。フリースタイルカラテとは、「空手武道をオリンピック種目に」を目指し、従来のフルコンタクト空手ルール(手技による頭部打撃は禁止)を活かして「勝敗判定の曖昧さを改善」することを目的に作られた。
試合は1R2分の3R制で行われ、どちらか一方が2Rを先取するか、一本勝ち(突き・蹴りで相手を3秒以上ダウンさせるか、3秒以上戦意を喪失させる。または3秒未満のダウンを2回奪った場合か、獲得ポイントが80点に達した場合)を先取した方が勝利者となる。
最大の特徴は従来の突き・蹴りに加えて、投げ技・組み技が認められおり、相手の足裏以外の部分を床に着けさせるとポイントになるということ。軸足刈り、相手の足に自分の足を掛けて倒す崩し技、相手の背後を奪いホールドすると「有効」として20ポイント、それ以外(タックルを切られて床に手や膝を着いた場合など)と相手を場外に技で押し出した場合は「効果」として10ポイントが与えられる。
分かりやすく言うと、従来の極真スタイルのフルコンタクト空手ルールに、レスリングと相撲を融合させたような競技だ。
今回は初のフリースタイルカラテ公開試合として、東軍(増田道場)と西軍(岡山アスリート道場)に別れて6対6の東西対抗戦が行われた。出場する選手たちは「フリースタイルカラテプロジェクト」と呼ばれるメンバーで、この競技を増田師範と共に研究・開発しているチームである。
打撃戦においては組み技があるため、従来のフルコンタクト空手ルールでの試合のような接近戦はほとんどなく、離れた間合いからの突き・蹴り、または捕まれないための上下へのコンビネーションが多く見られた。
そして、最大の見所は組み技・投げ技・崩し技。相手の蹴りに合わせて軸足を払ったり、蹴り足を取ってタックルに行って投げたりという技が見られた他、片足タックルに行った方が先に膝を着いてしまったり、投げを仕掛けた方が逆に潰されるといった場面も見られた。
白熱したのは次鋒戦の倉持雅充(増田道場)VS小松原誠二(岡山アスリート道場)。小松原が開始早々、足払いを二度連続して決めて有効二つを奪い、倉持が投げで有効を奪い返すと、すぐに投げ返して有効を追加した。1Rは60−30で倉持の勝利。2Rは共に反則の両手掴みがあったため相手に40点ずつ与えてしまい、投げを見舞った小松原が10点を獲得して50−40で小松原が勝利した。決勝ラウンドはお互いに注意で20点ずつ奪われて、投げを決めた倉持が40−20で勝利した。
増田師範のパートナー的存在としてフリースタイルカラテを研究している、第1・2・4回全日本ウエイト制中量級優勝&第7・8回同無差別級優勝の秋吉栄史郎(増田道場)は、副将戦に登場。松尾高宏(岡山アスリート道場)と対戦した。
秋吉は相手の注意で20点、足払いで10点、蹴り足を取っての投げ2回で40点、計70点で1Rを先取すると(70−0の大差)、2Rも組んでの投げ技と相手を回しながら頭を抑えて引っ繰り返す投げ技を決めて40点を獲得。40−20で2Rも取り、今回唯一のストレート勝ちを収めている。対抗戦は2勝1敗3分で東軍の増田道場が勝利を収めた。
「初めての試みなので改善点はいっぱいある」と反省しきりの増田師範だったが、「フリースタイルカラテを広めたいので、このルールでやってみたいという選手を募集します。来年は何大会かオープンの形で開催していきたい」と、意欲を燃やした。
また、フリースタイルカラテの誕生で「トラディショナル(伝統)スタイルと名付けられたフルコンタクト空手ルールでは、無差別級の全日本大会が行われ、第5〜8回全日本ウエイト制無差別級準優勝・小野寺建(清武会西田道場)と新極真会第16回全日本ウエイト制中量級優勝・篠彰彦(増田道場鷺宮)の決勝戦となった。
お互いに腕と腕がくっつくくらいの接近戦から下突き、下段廻し蹴りを放つが、大きな展開はなく2回目の最終延長も終え、勝敗は試し割り判定でつけられることに。隣コートに移動し、背中を向け合った状態で希望する板の枚数を申告し、合計枚数が多い方の勝ちとなる。
最初の正拳は互角。しかし、続けて行われた足刀で篠が失敗して0枚、小野寺は6枚を割った。逆転を狙う篠は手刀で6枚に挑戦したが、これも失敗。手刀で3枚を割った小野寺が10枚の差をつけて、無差別級初優勝を果たした。
フリースタイルカラテ公開試合の映像をGBRで配信中!
■フリースタイルカラテ公開試合 東西対抗戦
▼先鋒戦 55kg級
○本多将也(増田道場)
1−0 1R20−20、2R20−20、3R30−20
●黒石靖俊(岡山アスリート道場)
1Rは両者に両手掴みの反則があり、注意の20ポイントが双方に入る。2Rは本田が背後取りで20ポイントを獲得するも、その体勢から黒石が足をすくって後ろに倒し、1R同様20対20。3Rは両者注意で双方に20ポイント、黒石がタックルに行くも膝を着いてしまい、本田が10ポイントを追加して30対20で勝利を収めた。
▼次鋒戦 65kg級
○小松原誠二(岡山アスリート道場)
2−1 1R60−30、2R40−50、3R40−20
●倉持雅充(増田道場)
小松原が軸足払いを二連続で決めて40ポイント、倉持が投げを決めて20ポイントを奪い返すが、すぐに小松原も投げ返す。小松原が投げを失敗して倒れ倉持に効果が入り、1Rは60対30。2Rは両者が両手掴みで注意2回、双方に40ポイントと倉持が効果も奪って50対40で2Rをとる。3Rも両者に注意で20ポイントずつ入ったが、小松原が投げで20ポイントを獲得して40対20で3Rを制した。
▼四将戦 75kg級
△清水健史(増田道場)
1−1 1R0−20、2R両者ポイントなし、3R20−0
△池本幸司(岡山アスリート道場)
1Rは清水が両手掴みで注意を受け、池本が20対0で勝利。2Rは組み技が全くない打撃の展開となってポイント無し。3Rには清水が投げで20ポイントを奪い、20対0で勝利し、1−1で引き分けとなった。なお、個人戦の場合は延長戦がある。
▼三将戦 75kg級
△藤原昭仁(増田道場)
1−1 1R0−20、2R40−20、3R20−20
△木村智洋(岡山アスリート道場)
1Rに木村が片足を取っての投げで20対0になったが、打撃では藤原が押していた。2R、藤原が蹴り足を取っての見事な投げを2度決めたが、顔面殴打の反則があり、40対20に。3Rは先に20ポイントを先取された藤原が終了間際に投げを決めて20対20で引き分けに持ち込んだ。
▼副将戦 75kg級
○秋吉栄史郎(増田道場)
2−0 1R70−0、2R40−20
●松尾高宏(岡山アスリート道場)
1R、相手の両手掴みによる注意で20ポイントを得た秋吉は、蹴り足を取っての投げを2回決めて40ポイント獲得、さらに相手のミスにより効果で70対0と、あと10ポイントで一本勝ちというところまで追い詰めた。2Rには両者の両手掴みによって20ポイントずつ入り、秋吉が相手を回して崩しながら頭を抑えて転がし、20ポイントを獲得。最もフリースタイルカラテらしい戦い方で2Rも40対20で勝利し、今回唯一のストレート勝ちを収めた。
▼大将戦 90kg超級
△福岡政雄(増田道場)
1−1 1R0−0、2R0−30、3R20−0
△寺尾典起(岡山アスリート道場)
※2対1で東軍(増田道場)の勝利
1Rは打撃に終始したため両者ポイントなし。2Rに寺尾が蹴りに合わせた軸足払いで効果と有効の30ポイントを獲得して勝利。しかし、3Rは福岡が足払いを決めて寺尾を背中からマットに落とし、20ポイントを獲得。両者1Rずつ取っての引き分けとなった。
RESULT
▼少年伝統型クラス
優 勝 大平由依(岡山アスリート道場)
準優勝 池田龍太郎(岡山アスリート道場)
3 位 中西寧々(岡山アスリート道場)
敢闘賞 森田史哉(増田道場本部)
▼中学伝統型クラス
優 勝 大平香保(岡山アスリート道場)
準優勝 山田亮佳(増田道場本部)
3 位 加藤拓弥(増田道場本部)
4 位 村上拓哉(増田道場本部)※敢闘賞も
▼小学3・4年クラス
優 勝 沖田光樹(岡山アスリート道場)
準優勝 渡邊美里(岡山アスリート道場)
3 位 岩崎拓巳(岡山アスリート道場)
4 位 星野海成(増田道場本部)
▼小学5・6年クラス
優 勝 川元啓次郎(岡山アスリート道場)
準優勝 小室亮太(増田道場本部)
3 位 滝川雄太(増田道場本部)
4 位 渡邊眞由(岡山アスリート道場)
▼U-15クラス
優 勝 池田竜司(増田道場本部)
準優勝 青木一真(岡山アスリート道場)
3 位 三宅 伸(岡山アスリート道場)
4 位 星野隆成(増田道場本部)
▼U-18クラス
優 勝 増嶋小太朗(極真会館小嶋道場)
準優勝 小松原誠二(岡山アスリート道場)
3 位 諸留 匠(増田道場本部)
4 位 後藤嵩彰(増田道場本部)
▼一般男子無差別クラス
優 勝 小野寺建(清武会西田道場)
準優勝 篠 彰彦(増田道場鷺宮)
3 位 齋藤祐郁(如水会館)
4 位 新井康昭(極真会館小嶋道場)
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