シュートボクシング協会
「SHOOT BOXING WORLD TOURNAMENT S-cup2008」
2008年11月24日(月・祝)さいたまスーパーアリーナ
開場15:00 開始16:00
※オープニングマッチは15:15開始
▼メインイベント(第13試合) S-cup2008トーナメント決勝戦
○アンディ・サワー(オランダ/S-cup2002・2004王者)
KO 2R2分11秒 ※3ノックダウン
●緒形健一(シーザー/S-cup2006王者)
※サワーが3度目の優勝
『S-cup2008』の決勝戦は2年前の『S-cup2006』同様、緒形とサワーによって争われることになった。緒形は2006年優勝、サワーは2002&2004優勝。S-cup優勝経験者同士が、1勝1敗で3度目の最終決着戦を迎える!
1R、序盤は静かな立ち上がり。お互いにローや前蹴りで牽制する。ジャブを出しつつ左ミドルに繋げる緒形に、サワーはすかさずローを返す。左右の前蹴りを出す緒形、ジャブも突いてサワーを前に出させないが、サワーは自分から下がって緒形を誘う。
左フックで飛び込むサワー、離れると顔面へ前蹴り。緒形のジャブにハイキックを返し、緒形がワンツースリーで入るところで、三発目に合わせた左フック! これで緒形がダウンを喫する! 立ち上がったところでゴングが鳴った。
2R、いきなりハイキックを放つサワー、左へ回ってもう一発。緒形も右ストレート、右ローが快音を発して決まる。ワンツーを繰り出して前に出る緒形に、インローを蹴っていくサワー。
左ジャブを緒形に右手でパーリングさせたサワーは、なんと右バックキック! 踵でレバーを蹴られた緒形はダウン!
立ち上がったところへサワーはやはり左ジャブで緒形にパーリングさせてからの左ボディ、そして左ミドルで緒形が2度目のダウンを喫する。
立ち上がった緒形にサワーは左ハイキックを三連発し、左ボディ、続いて左ハイキック!
横倒しになる緒形! 歓喜のサワー! リング上で大の字になり、勝利を喜ぶ。『S-cup2008』はサワーが制し、通算3度目の優勝を飾った。
「コンバンハ! 私はK-1はあまりうまく出来ませんでしたが、カムバックしました。このベルトは奥さんと子供のために取りました。トレーナーやSB関係者の皆さん、ありがとう。そして日本のファンの皆様、心からありがとうございました」サワーは高らかにカムバックを宣言した。
試合後、サワーは「2006年に失ったタイトルを取り戻すために、今日はリベンジの日になると思っていて、その通りになったので嬉しい。最近の試合はスロースターターで1Rは特にアグレッシブにいけず、それでK-1のタイトルを失ったので今日は1Rからアグレッシブに行くようにしていた」とコメント。
さらに、宍戸戦で右の拳を痛めて決勝の緒形戦では右手があまり使えず、それを補うために「もっと動いて蹴りを使おうと思ったのが、かえって功を奏した」と打ち明けた。
記者との質疑応答が終わると、サワーは自ら「ひとこと言わせてくれ」と申し出て、テレビカメラへ向かい「魔裟斗! 私が真のチャンピオンだと魔裟斗に伝えてくれ。魔裟斗はK-1のチャンピオンになったが、私は魔裟斗を2度も倒している。私がまだチャンピオンだということを魔裟斗には言いたい」と、怒りながら魔裟斗へメッセージを送った。
また、大会を総括したシーザー武志会長は「言い訳になるが、緒形は試合前に頚椎を痛めてしまい針治療とかをやっていたんですが、“出ないとしょうがない”と出場を決めました」と、本当は試合が出来る状態ではなかったことを打ち明けている。
▼セミファイナル(第12試合) 72kg契約 3分3R
○梅野孝明(シーザージム/SB日本ミドル級)
判定3−0 ※三者とも30−29
●菊地浩一(寝屋川ジム/SB日本スーパーウェルター級2位)
今年5月にマルフィオ・カノレッティに敗れ、S-cupへの出場権を逃した菊地。今回は再起戦として、かつて寝屋川ジムの同門で後輩にあたる梅野と対戦する。
1R、サウスポーの菊地はインロー、右前蹴りで距離を取る。もともとヘビー級だった梅野は体の圧力を活かして菊地を下がらせ、強烈な右の前蹴りを出す。
菊地も細かく左ミドル、右ローを蹴っていくが、梅野は菊地をロープに詰めて強烈な右ミドルを蹴る。梅野は菊地をコーナーに詰めると、菊地のボディに右ストレート、そして右ミドルを蹴る。
梅野のパワフルな攻撃が目立つラウンドとなった。
2R、菊地はジャブ&インロー。そして梅野の外側に出て左ストレートを当てる。梅野はそれを受けながらも、右ストレートで前に出て菊地を後退させる。右の前蹴りで菊地をコーナーまで吹っ飛ばす梅野。菊地がコーナーを背負うと思い切り右ミドルを蹴る。
しかし菊地も下がりながら右フックのカウンター、左ストレートを当てる。左ストレートから右アッパーを打つ菊地。パンチから奥足へのローキックを蹴る。梅野はパワフルな右ストレート、右ミドルを蹴るが単発に終わる。
3R、菊地はガードを高く上げてインロー。梅野の右ボディストレートに左のパンチを返す。梅野はフルパワーのパンチとヒザ蹴りで前に出るが、菊地がそこに左ストレートや右アッパーのカウンターを当てる。ひたすら右ストレートで前に出る梅野だが、菊地のブロックは固い。
菊地もその右をブロックして左ストレートを何発も返すが、梅野は下がらない。菊地が左ハイキックを効かせるが、梅野が菊地のガードの上から何度もフルスイングの右ストレートや右アッパーを打ち込む。体格を利したパワー殺法で菊地を押し切った梅野が判定をものにした。
▼第11試合 60kg契約 3分3R
○パジョンスック・ポー・プラムック(タイ/ポー・プラムック)
判定3−0 ※三者とも30−28
●ジュン・ビュング(韓国/太雄會館)
ブアカーオの弟弟子パジョンスックが9月大会に続いての登場、前回は左フックで3度のダウンを奪って1RKOの圧勝を飾っている。対するジュンはこれが4度目の来日、過去に石川剛司と及川知宏を破った実績を持つ。パジョンスックはなんとSBの象徴であるロングスパッツを見に付けての登場だ。
1R、左ミドルを放っていくパジョンスックに左右のフックで襲い掛かるジュン。左右のフックからローを蹴り、手招きして挑発するジュンはパジョンスックが左ミドルを蹴っても構わず突進していく。
パジョンスックは左ジャブから右、左とフック。そしてジュンの左ミドルをスウェーでかわし、左ミドルを放っておいて左フックを打ち返してきたところに左フックのカウンターでダウンを奪う。
2R、下がりながら左ミドルを蹴っていくパジョンスック、ジュンは変わらずパンチでどんどん前へ出て行く。左右のパンチを伸ばすジュンに左フックをヒットさせるパジョンスックは、左のカウンターも当てて右ローへ繋ぐ。左の蹴りをフェイントして左フックを放つパジョンスック、ジュンの右フックをかわして左フック。
3R、変わらないペースで左ミドルを蹴っていくパジョンスック、ジュンは前に出てローからパンチを出していくが、なかなか捕らえることは出来ない。ジュンの右フックからの左フックがヒットすると、ニヤッと笑うパジョンスック。
パンチを出しながら前に出てくるジュンに、カウンターを合わせようとするパジョンスックは、組むと首相撲からの投げを狙う。
ひたすら前へ前へと出てパンチを振るっていくジュン、組み付くとパジョンスックがジュンの腕をアームロックのように固めるが、これは極まらず試合終了のゴングを聞いた。
▼第10試合 S-cup2008トーナメント準決勝戦 第2試合
○アンディ・サワー(オランダ/S-cup2002・2004王者)
判定3−0 ※30−27、30−27、30−26
●宍戸大樹(シーザー/S-cup2008日本トーナメント優勝)
※サワーが決勝戦に進出
1回戦は総合格闘家のホロデッキーに判定勝利を収めたものの、攻撃にいつものようなキレがなかった宍戸。ホロデッキーに蹴られた右ローのダメージも気になるところだ。
一方、サワーはキバスを必殺の左ボディでマットに沈めて、ほぼノーダメージで勝ち上がった。1回戦の試合内容を考えればサワーが圧倒的に有利だ。
1R、宍戸はサワーの周りを回りながら左ミドル、インローを蹴る。サワーはそれを受けて強烈なインロー、宍戸の前蹴りを流して右ストレートを打つ。宍戸は細かいパンチからミドルにつなげるが、サワーは下がらない。
サワーは宍戸のガードの上から右フック、宍戸が奥足ローを蹴ってくると右ストレートで飛び込む。サワーは宍戸を下げさせると左フックから右ロー。宍戸は二段飛びヒザ蹴りからローを蹴る。
宍戸が組み付いてくると、ヒザ蹴りを突き上げるサワー。左右の前蹴りでサワーを突き放す宍戸。しかしサワーは宍戸をロープに詰めて左ボディ!
宍戸も必死にサワーを押し返してアッパー、インロー。このインローでサワーのバランスを崩すと左ヒザ蹴りを突き上げる。足を止めてガードを固めるサワーに細かくパンチをまとめる宍戸。
宍戸が手数でサワーを攻め込むが、宍戸をロープに詰めたサワーが体を大きくひねって渾身の左ボディ! この一撃で思わず動きが止まってしまう宍戸。サワーはそこに追撃の右ストレートを叩き込む! サワーの猛打を受ける宍戸だったが、ここでラウンド終了のゴングが鳴らされ、宍戸にとっては命拾いとなった。
2R、サワーは1R終了間際の勢いそのままに、一気に前に出てワンツー、右ボディストレート! そして宍戸のガードの間に右ストレート、左ボディを打つと、宍戸がスリップ気味のダウン! ダメージはないものの、宍戸がサワーにポイントでリードされるという展開になる。再開後、宍戸が胴廻し回転蹴り。
サワーは右フックから返しの左フック、さらに右ストレート。宍戸はサワーに組みつくと、背中を見せてアームロックを狙う。
右ストレートで飛び込み左ボディを突き刺すサワー。この一発で宍戸の体が「く」の字に折れ曲がる。しかし宍戸も必死にサワーを押し返して距離を取る。
そして宍戸はジャブ、左フックと細かいパンチをサワーの顔面に集める。前に出てくるサワーに顔面前蹴りを突き刺す宍戸。サワーは宍戸と額をつけるようにして左ボディ、アッパー、さらにハイキックを蹴る。
宍戸もサワーのガードの間からアッパーを突き上げ、フロントチョークを仕掛ける。サワーは右ストレートから左ボディのコンビネーションで前に出るが、宍戸も右腕でサワーの左ボディをしっかりとブロック。
サワーは右ローを連打、さらに右ハイキック。宍戸は前蹴りで距離を取ろうとするが、サワーが前に出て右ストレート! 宍戸は必死にガードを固めてサワーの猛攻を耐える。
3R、インロー、前蹴りを出す宍戸。サワーは右ストレートで宍戸の懐に入る。宍戸は左アッパー、左ボディ、近距離からの飛びヒザ蹴り。
組み付く宍戸をサワーは後ろに投げる。前蹴りを蹴る宍戸に対し、サワーは宍戸の左足を狙って左右のローを蹴る。宍戸はサワーのローのタイミングでバックブロー、組みついてはアームロックを狙う。
前に出てくるサワーに再びバックブローを狙う宍戸。サワーは組みつく宍戸を突き放してハイキック。宍戸はガードを高く上げてそれに耐える。
ラウンド中盤、口を大きく開けて息をするサワー。宍戸は飛びヒザ蹴りで距離を詰めて、ガードを固めるサワーに左アッパー、左ボディと細かくパンチをまとめる。サワーはそれを凌いで左右のローを返す。
宍戸は組みついてアームロックを狙うが極まらない。宍戸が左フック、左右のローを返すサワー。宍戸はサワーのボディにヒザ蹴りを突き上げる。宍戸を下がらせて左フックを打つサワー。
終了間際、宍戸が胴廻し回転蹴り。それをかわしたサワーがバックキックを放ったところで試合終了のゴングが鳴らされた。宍戸が持ち前の粘り強さでサワーを苦しめたものの、最終的にはサワーがダウンを奪っての判定勝利。S-cup2008の決勝戦は前回と同じ緒形VSサワーの組み合わせとなった。
▼第9試合 S-cup2008トーナメント準決勝戦 第1試合
○緒形健一(シーザー/S-cup2006王者)
KO 2R2分11秒 ※右ストレート
●ルイス・アゼレード(ブラジル/シュートボクセ・アカデミー/ブラジル代表)
※緒形が決勝戦に進出
1回戦で金井からKO勝ちを奪って圧勝した緒形と、シュナイドミラーにダウンを奪われながらもスタンディング肩固めで逆転の一本勝ちを奪ったアゼレードによる準決勝。
これが60戦目となる緒形はキャリアの差を見せ付けたいところだが、吉鷹弘は「アゼレードが勝ち上がったら緒形にとって厄介な相手」と戦前に予想している。果たして…?
1R、前蹴りとローで牽制する緒形にアゼレードも右ローで牽制する。ローから左右フックで突っ込むアゼレードは、緒形がコーナーから脱出するとハイキックを繰り出す。右に左にと構えを変えるアゼレード、右ローで緒形のバランスを崩す。
緒形が前に出て左ローを三発ヒットさせると、アゼレードは組み付いて再び肩固めを狙う。
緒形も首投げを狙ったが、同体で倒れる。するとアゼレードは倒れ際にひざを落とす。圧力に押されていたアゼレードだが、ジャンプしての左ミドルから右フック、さらに飛びヒザから連打! 片足タックルで緒形をコカそうとする。
2R、左ミドルから連続して左のパンチを放ってくるアゼレードに、左ミドルで応戦する緒形。アゼレードは左右のフックを振り回してハイキック、緒形は左ミドルと右ローを使い分ける。緒形の左ミドルに下がるアゼレード。
緒形はロープを背負ったアゼレードに連打を見舞って行くが、逆に右フックを喰らってダウンを喫する!
歯を食いしばって必死の形相で立ち上がる緒形。その直後、前に出た緒形はアゼレードをコーナーへ詰め、右ストレートから左フック、そして右フックで逆転KO! もんどり打って倒れたアゼレードには担架が用意された。衝撃的な逆転KOに場内は騒然! 緒形が決勝戦へ駒を進めた。
▼第8試合 59kg契約 3分3R
○歌川暁文(UWFスネークピットジャパン/SB日本スーパーフェザー級2位)
KO 1R2分17秒 ※投げによるノックダウン
●白鳥 剣(新東金ジム/アマチュアキックボクシング世界選手権Sフェザー級王者)
7月の後楽園大会では石川剛司と壮絶な打撃戦を繰り広げた歌川がS-cupにワンマッチで参戦。MA日本キックを主戦場とする白鳥を迎え撃つ。歌川は「ダン、ダン、ダダン」で始まるPRIDEのメインテーマをリミックスした入場曲でリングに上がる。
1R、サウスポーの両者。歌川はガードを高く上げて左ローを蹴る。白鳥はそこにパンチを合わせるが、歌川の左ローが何度も当たる。歌川は白鳥がパンチを打とうと頭が下がったところにヒザ蹴り、距離が開けば左ミドル、左ローを蹴る。
白鳥が距離を詰めようと前に出てくると、白鳥の頭を持って首相撲の要領で白鳥をマットにこかす歌川。
ここで歌川は白鳥の頭に体を浴びせるようにして、白鳥をマットに叩きつけ、白鳥が後頭部を強打! 何と白鳥はこのダメージからすぐに立ち上がることができず、レフェリーがダウンを宣告!
必死に立ち上がる白鳥だったが、足元はフラフラ。歌川が投げで相手を戦闘不能に追い込むというシュートボクシングらしい技でインパクト大のKO勝利を収めた。
▼第7試合 50.8kg契約 2分3R
○風香(シーザージム)
延長判定3−0 ※三者とも10−9
●市井 舞(フリー/UKF女子総合格闘技インターナショナルフライ級王者)
※本戦の判定は30−29、29−30、30−30
大会前日の記者会見で舌戦を展開、さすが女子プロレスラーというプロ魂を見せた両者。幸田くみを意識したという“エロかっこいい”コスチュームを見て欲しいという風香と、「ぶっ飛ばす!」と超ハイテンションの市井、女子プロレスラー同士の異色のシュートボクシング、勝つのはどっちだ!?
普通に入場してきた市井に対し、風香はダンサーを引き連れてピンク色のダースベイダーのマスクを被っての派手な入場パフォーマンスを繰り広げる。マスクを脱ぐとダンサーと一緒にダンスを踊りながら、時間をたっぷり使っての入場だ。
1R、市井が左右のパンチを繰り出しながら前に出て、風香もパンチで迎え撃つ。風香の右ミドルに市井がバックブローを繰り出し、風香は組み付いての肩固め! これは市井が逃れるもブレイク後にパンチを入れてしまい、イエローカードが提示される。
ガムシャラにパンチで突っ込んでいく市井と、ミドルキックやヒザ蹴りも使う風香。
2R、左右のパンチを出しながら前に出る市井と、組もうとする風香。右ストレートから左ミドルを放つ風香に、市井はバックブローを返す。
風香は前蹴り、左ミドル、右ストレート。市井はとにかくパンチを前に出してひたすら突っ込む。風香がややアウトボクシングで優位だったか。
3R、パンチで突っ込む市井と前蹴りで防ぐ風香。首投げを狙う風香だが、市井は腰に腕を回してそれを防ぐ。市井のバックブローがヒット、バックについて投げを狙う市井。これを防いだ風香は再び首投げにトライ、市井はバックドロップで返す。
市井がワンツーからバックブロー、風香は組み付いてのヒザ蹴り。とにかく手を出し続ける二人、市井はバックブローで2回転。両者バテバテで息を上げながらも、攻撃の手を休めなかった。
判定は1-1で延長戦に突入。風香は前蹴り二連発、市井はパンチを出しての突進だ。左ミドルとパンチを放つ風香だが、市井はとにかく前へ出続ける。ワンツーで攻める風香、市井はバックブローを連発する。
風香は組み付いてのヒザ、右ストレート。パンチを当てた数は風香がやや上回ったか……判定は3-0で風香。フラフラになりながらの苦しい闘いだったが、風香は笑顔で勝ち名乗りを受けた。
▼第6試合 S-cup2008トーナメント一回戦 第4試合
○アンディ・サワー(オランダ/S-cup2002・2004王者)
KO 1R2分44秒 ※2ノックダウン
●エドウィン・キバス(エストニア/S-cup2008バルト3国トーナメント優勝)
※サワーが準決勝に進出
S-cup&K-1MAX世界王者としてシュートボクシングの頂点に君臨していたサワー。しかし2006年のS-cupでは緒形健一に敗れて準優勝、今年はK-1MAXでも準決勝敗退という結果に終わり、今回はチャレンジャーとしてのS-cup出場となる。
対するキバスはバルト3国予選を勝ち抜いて本選出場を決めたが、ほとんど情報がない、いわゆる未知の強豪だ。サワーはこの難敵キバス相手にどう戦う?
1R、インローやミドルを蹴るキバスに対しサワーはじりじりと前に出る。長身のキバスにサワーは得意の左ボディフック、そこから右ローにつなげる。飛びヒザ蹴りで前に出るサワー。
キバスを後退させてジャブから右ボディストレートを打つ。下がりながらインローやジャブを繰り出すキバス。しかしサワーはキバスをロープに詰めて右ストレートから左ボディ! これでキバスは大きくバランスを崩す。
ここは何とか持ちこたえたキバスだったが、サワーがキバスの蹴り足をキャッチして強烈な左ボディ! この一発でキバスがダウンを喫する。再開後、サワーは左フックから右ハイキック。そしてキバスをロープに詰めると左フックから右ストレート!
これでキバスの動きが止まり、サワーが怒涛の連打。キバスのレバーに左ボディを叩き込むと、キバスがマットに崩れ落ち、サワーが貫禄のKO勝利! サワーがノーダメージに近い状態で準決勝に勝ち上がった。
▼第5試合 S-cup2008トーナメント一回戦 第3試合
○宍戸大樹(シーザー/S-cup2008日本トーナメント優勝)
判定3−0 ※三者とも30−29
●クリス・ホロデッキー(カナダ/Team Tompkins)
※宍戸が準決勝に進出
S-cup日本予選トーナメントを勝ち上がってきた宍戸が、アメリカMMA(総合格闘技)の新星であるホロデッキーを迎え撃つ。「シュートボクシングのワールドトーナメントなんだから、シュートボクサーが勝つのは当然」と、MMAファイターに対抗意識を燃やす宍戸。ホロデッキーは「俺が優勝して伝説になる」と豪語している。
1R、ホロデッキーの右ストレートに左インローと左ミドルを合わせていく宍戸。ホロデッキーはそれに右ローを返す。左インローをコツコツと当てて行く宍戸にパンチで前に出るホロデッキー、ボディも狙ってくる。
宍戸はサイドキックを連発して圧力をかけてくるホロデッキーを突き放し、ホロデッキーが右ストレートを放ってくると左ミドルを合わせる。ホロデッキーの右ローをもらいすぎている感のある宍戸。
2R、右フックから右ロー、さらにフックを振るってくるホロデッキー。宍戸は飛びヒザ蹴りを見せ、コツコツと左インロー。ホロデッキーの圧力を前蹴りで跳ね返す。さらに飛びヒザ蹴りをもう一発! これがヒットすると宍戸は一気に距離を詰めてパンチを連打していく。下がるホロデッキーは組んでテイクダウン。
宍戸はテンカオを突き刺し、前蹴りとジャブでホロデッキーを下がらせると、どんどん前へ出てローキックと前蹴り、右ハイキックも放つ。コーナーへ追い詰めるとバックキック。前蹴りを顔面、ボディと使い分ける。ボディを効かされて苦しいホロデッキーも上段後ろ廻し蹴りを繰り出すが、これは空振り。
3R、パンチで勝負をかけるホロデッキーに前蹴りで応戦する宍戸。ホロデッキーは左右ボディを叩いて右ロー、宍戸がヒザ蹴りを放つとホロデッキーがタックルでテイクダウン。
左ミドル、前蹴り、ヒザでホロデッキーのボディを攻めまくる宍戸。そして飛びヒザ蹴りからバックキック! ホロデッキーの右ローはもらいすぎているものの、押していくのは宍戸だ。
宍戸の右ハイキック! ホロデッキーは組んでテイクダウンしていく。ホロデッキーのパンチには前蹴り、左ミドル、右ストレートに右ハイキックを合わせようとする。ホロデッキーは起死回生を狙ってバックブローを放ったが、これが空振りに終わるとまだゴング前なのに相手に背を向けた。
負けを悟ったかのような行為だったが、判定はその通り、宍戸が勝利している。
▼第4試合 S-cup2008トーナメント一回戦 第2試合
○ルイス・アゼレード(ブラジル/シュートボクセ・アカデミー/ブラジル代表)
一本 1R2分07秒 ※スタンディング肩固め
●デニス・シュナイドミラー(ドイツ/S-cup2008ヨーロッパトーナメント優勝/ヨーロッパ代表)
※アゼレードが準決勝に進出
緒形健一の準決勝を決める戦いはヨーロッパ予選王者のシュナイドミラーVSブラジル代表のアゼレードとなった。
シュナイドミラーはK-1MAXに出場経験があり、アゼレードはPRIDEで五味隆典と2度対戦経験がある総合格闘家。
異種格闘技戦の匂いがする試合となった。アゼレードは緑×黄色のブラジルカラーのキックパンツ、シュナイドミラーはロングスパッツでリングに上がった。
1R、ガードを上げてじりじりと前に出るシュナイドミラー。右ストレートから左フックとコンパクトなパンチを見せる。
アゼレードは下がりながら左ミドル、カウンターの左フックを狙う。左フックを合い打ちする両者。シュナイドミラーは右ストレートから飛び込み、右ローを蹴る。
アゼレードが大振りのパンチで前に出るが、シュナイドミラーはそれをブロックして左フックからの右ストレートでダウンを奪う。
声を上げて喜びを爆発させるシュナイドミラー。
シュナイドミラーは再開後も左フックからヒザ蹴りを連打し、一気にアゼレードに襲い掛かっていくが、ここでアゼレードがシュナイドミラーの左フックに合わせて組み付くと、そのまま肩固め!
これががっちりと入り、シュナイドミラーがタップ! パンチでダウンを喫したアゼレードだったが、見事なサブミッションで準決勝に駒を進めた。
▼第3試合 S-cup2008トーナメント一回戦 第1試合
○緒形健一(シーザー/S-cup2006王者)
KO 2R2分58秒 ※2ノックダウン
●金井健治(ライトニング/SB日本ウェルター級王者)
※緒形が準決勝に進出
試合3日前にブライアン・ロアニューがドタキャン、急遽、リザーブマッチ出場から本戦に繰り上げ出場となった金井。先輩であり前回のS-cup覇者である緒形との大一番を迎えることになった。
これで3年連続秋のビッグマッチで対戦相手が直前に変わるという不運に見舞われた緒形は、「正直“またか!”と思った。気持ちを切り替えるのに時間を要した」という。
突如訪れたビッグチャンス到来に大物喰いを狙う金井と、後輩であり自分が返上した日本タイトルを保持する男の挑戦を受ける形となった緒形。昨年は気持ちを切り替えられないままロアニューにKO負けを喫してしまったが、モチベーションの差は試合に出るのか?
1R、ジャブを突いていく金井、ローと左フックを散らしていく。緒形は前蹴りを出しつつ左ミドル。金井は左へサークリングしながらジャブと右ロー、緒形は右ローと左ミドルそれにパンチのコンビネーション。左ジャブから左右でボディを叩き、左ミドルへ繋ぐ緒形。果敢にアタックしてくる金井を、緒形は左ジャブと前蹴りで冷静に突き放す。
2R、金井が左ジャブから右ロー、さらにワンツーで突っ込みボディから右ローを蹴る。アグレッシブに出てきた金井を左ミドルで迎え撃つ緒形、顔面への前蹴りも放つ。
ボディから顔面へとストレートを繋げる金井。しかし、緒形の左ミドルに金井の表情が苦痛に歪む。左ミドルから左ハイキック、さらに右ハイキックと攻める緒形。
金井は左フックを狙っていくが、緒形の左フックをもらい、続くレバーにも後退。このチャンスを緒形は見逃さなかった。
パンチの連打で一気に前へ出て、打ち返してくる金井のガードの隙を突いて適格にパンチを当てて行く。そして、緒形の左フックで金井がダウン! 立ち上がるもワンツーで前に出る緒形の右ストレートがクリーンヒットし、金井は後方へ吹っ飛ぶように倒れた。
KO勝ち(トーナメントは2ノックダウン制)で緒形はほぼ無傷で準決勝進出を決め、幸先のいいスタートを切った。敗れた金井は「威圧感が凄くあった。練習で完封されてほぼ当たらない状態だったので、対策はただ打ち合おうと。当たれば崩れると思ったが、なかなか当たらなかった。2R初っ端にもらった左ミドルをヒジにもらって痺れてしまい、回復できなかった」と試合を振り返った。
そして、「今までもらったことのないパンチでした。最強でした」と緒形のパンチ力を称えた。
▼第2試合 70kg契約 2分3R
○菱田剛気(シーザー力道場)
判定3−0
●“生きる都市伝説”与国秀行(フリー)
浅草中学で教師として働く“下町の熱血先生”菱田VS“生ける都市伝説”というニックネームで前田日明プロデュースの不良格闘技イベント『ジ・アウトサイダー』に出場したことがある与国。教師VS不良という異色の一戦が組まれた。
1R、すぐに首相撲に持ち込む菱田。与国がタックルで組み付いてくると、カウンターの首投げで菱田がシュートポイントを奪う。再開後、与国が菱田の顔面に右ストレートを突き刺す。しかし頭を下げて突っ込む与国に菱田がフロントチョーク、頭が下がりがちになる与国にパンチをまとめる。
2R、じりじりと前に出て行く与国。菱田をコーナーに詰めると右ストレートを当てる。徹底的に組みの攻防を狙う菱田はフロンチョークでキャッチポイントを奪う。
これは凌がれた菱田だが、ジャブから左手を与国の首に巻きつけてフロントチョーク。与国はそれを突き放して、左右のパンチを振り回すが当たらない。
3R、上体が低い与国のボディに前蹴りを突き刺す菱田。与国の首をキャッチしてフロントチョークの形からヒザ蹴りを突き上げる。
パンチで前に出て行くのは与国だがクリーンヒットはない。逆に菱田はジャブ、フロントチョーク。与国はスタミナ切れからか、徐々に手数が止まり始める。
菱田は頭が下がる与国にヒザ蹴りを連打。この態勢のまま、試合終了となった。判定は投げとキャッチでポイントを奪った菱田の勝利。“下町の熱血先生”菱田が“生ける都市伝説”与国を下した。
▼第1試合 50kg契約 2分3R
○MIKU(クラブバーバリアン/DEEP女子ライト級王者)
判定3−0 ※三者とも30−28
●レーナ(及川道場)
17歳の“現役女子高生ファイター”レーナはアレクサンダー大塚の入場曲でお馴染みの「AO-COUNER」で入場、空手衣を見に纏っている。続いてDEEP女子ライト級チャンピオンのMIKUがロングスパッツ姿で登場した。
1R、左ミドルを放っていくレーナと、それに右ローを返すMIKU。ワンツーで入り込むレーナを前蹴りとパンチで跳ね返すMIKUは、前蹴りからのタックルも見せる。組み付いて首投げを狙うMIKUに、腰を落として防ぐレーナ。左フックをもらったMIKUはすぐにタックル、持ち上げて落とすがこれはシュートポイントにならない。
2R、右ローからのパンチで前に出て、組み付いて首投げを繰り出すMIKU。レーナはパンチで前に出ようとするが、MIKUは組み付いて首投げ! 惜しくもシュートポイントにはならず。MIKUはすぐに組み付いていってヒザ蹴りの連打、レーナはもらい続けてしまう。MIKUはパンチで前へ出てもう一度、首投げ! これは見事にシュートポイントが入った。
3R、MIKUは前蹴り、ストレートと距離の長い打撃、レーナがパンチで入ろうとするとすぐに組んで首投げに行こうとする。レーナの右ストレートに合わせて左を伸ばし、首を取って組みに行くMIKU。
さらに右ロー、ワンツーから組んでのヒザ。レーナは首相撲に対応できず、ヒザをもらい続ける。
右ストレートに左手を伸ばして組み付いたMIKUはまたも首投げ、レーナの頭がマットにめり込む。レーナは逆転を狙ってパンチで行こうとするが、MIKUに蹴られて試合終了。勝利を確信したMIKUは笑顔だ。判定はもちろん、MIKU。レーナはその場で悔し涙を流した。
テレビ解説の吉鷹弘は「今まで見てきた総合の選手の中で、一番SBルールに適応していた」とMIKUを称えた。
MIKUは「やりたいことがあってそれを練習してきたんですが、練習でやったことは出せました。投げ、タックル、打撃を練習してきたので。こういう機会をいただいて自分のプラスになりましたね。自分の中の目標、SBの目標として投げしかないと思っていましたね」と試合を振り返り、復活が予定されているSBレディース王座を「狙いたいです」と、総合に続いての二種目二冠達成を口にしている。
▼オープニングマッチ第3試合 S-cup2008リザーブマッチA 70kg契約 3分3R
○魏 守雷(中国/中国武術協会/2006年全国武術散打70kg王者)
KO 2R2分03秒 ※2ノックダウン
●山口太雅(寝屋川/SB日本ウェルター級1位)
リザーブマッチAには、昨年5月に散打軍団として来日している魏が登場。初来日時にはあのアンディ・サワーを苦しめている。対する山口は金井の本戦出場を受けてのスクランブル参戦となった。
1R、サウスポーの山口は右ロー、左ハイキックを蹴る。魏はフルスイングのパンチで一気に距離を詰めると、豪快な右フックで山口をなぎ倒してダウンを奪う。
再開後、魏は山口のガードの間を狙って左右のアッパー、強烈なボディを叩き込む。山口は魏の右ミドルにバックブローを合わせるが当たりは浅い。魏は山口のローを空振りさせながら前に出る。
コーナーを背負った山口は飛びつくようにギロチンチョークを狙うが、前に振り落とされてしまう。前に出てくる魏に左ストレートを打ち込む山口。
魏は散打選手らしいパワフルなサイドキックで山口をロープまで吹っ飛ばす。さらに魏は山口のパンチに絶妙のタイミングでタックルを合わせ、山口の高々と持ち上げてマットに叩きつける。
2R、左ミドル、左ハイキックを蹴る山口。魏は再びタックルから山口を持ち上げてマットに叩きつける。ワンツーで前に出る魏に右フックを返す山口。山口の左ミドルに右ストレートで飛び込む魏。
山口が魏を首相撲に持ち込むが、その離れ際に魏が右のパンチを一閃! これが山口の顔面を打ち抜き、山口がこの試合2度目のダウンを奪われる。
再開後、魏は山口をコーナーに詰めて怒涛のラッシュ! 魏は左右のフックで山口に顔面のガードを固めさせると、がら空きになったボディに強烈なパンチを叩き込み、飛びヒザ蹴りを突き刺す。
何とかコーナーから脱出した山口だったが、魏はそれを追いかけるように右フック! これで山口が後方に倒れこみ、レフェリーはダウンを宣告。魏が前回の来日でも見せたパワフルな攻撃でリザーバーの権利を得た。
▼オープニングマッチ第2試合 S-cup2008リザーブマッチB 70kg契約 3分3R
○グレッグ・フォーリー(オーストラリア/JABOUT/S-cup2008オ−ストラリア推薦枠)
判定3−0 ※三者とも30−29
●オー・ジュソク(韓国/TEAM BLACK
ROSE/S-cup2008韓国推薦枠)
黒いロングスパッツに身を包んだグレッグと、キックパンツ姿に二本のベルトを携えて登場したオー。両者ともその実力は?
1R、グレッグはローと力強い右ストレート、オーは速い左ジャブを突くが、グレッグの右アッパー二連発をもらう。左右のフックとアッパーを豪快に振り回して前に出るグレッグ、オーは組み付く。前蹴りで突き放し、右ストレートを叩き込むグレッグ、オーは組んでのヒザに活路を求める。
やや疲れが見えるグレッグにオーがローで前に出てパンチからヒザ。グレッグはオーが組み付いてくるところにフックを合わせる。
2R、ムエタイスタイル構えて前に出るオー、グレッグは回り込みながら右ローを入れ、パンチへ繋げていく。下がりながらオーが入ってくるところをフックで迎え撃つグレッグ、右ストレートからの左フックでオーが吹っ飛ぶ!
3R、ローで前に出るオーを左フックで迎え撃つグレッグ、自ら下がって右ロー、左フックを何度も狙う。オーも左フックから組み付いてのヒザ、グレッグが左フックを当てて、オーが組み付いてヒザを蹴るという展開が続く。
逆転を狙ってオーが左右フックで前に出るが、グレッグは胴に抱きついてのクリンチで阻止する。終始アグレッシブに攻めたグレッグが判定3-0で勝利を収めた。
▼オープニングマッチ第1試合 57kg契約 2分3R
○高嶋龍弘(シーザー力道場)
判定3−0 ※三者とも30−28
●坂村アツシ(POWER-X)
今回がデビュー2戦目となる16歳の高嶋は、中学時代にホームレスを経験したことがあるという“元ホームレス中学生”。高嶋はタイガーマスクのテーマに乗って、タイガーマスクのコスプレで入場する。
1R、左フックから距離を詰めてローを飛ばす坂村。高嶋は組みの攻防になると、坂村をマットにこかす。坂村は前蹴りで距離を取ろうとするが、ラウンド終盤に高嶋が首投げでシュートポイントを奪う。
2Rに入ると坂村の前蹴りを空振りさせて、左フックを合わせる高嶋。手を伸ばして組み付こうとする坂村に右アッパー、左フックを打ち込む。坂村は首相撲からのヒザ蹴りを狙うが、高嶋が再び首投げでシュートポイントを奪う。
3R、いきなり右ストレートで飛び込む高嶋。坂村が首相撲に持ち込もうとするが、高嶋は坂村をマットに転がす。パンチで距離を詰めてヒザ蹴りを出す坂村。高嶋はその組み際に右ストレート、左フックを合わせる。
完全に試合を有利に進める高嶋だったが、坂村のヒザ蹴りがボディにグサリ! この一発で明らかに動きが止まってしまう高嶋。しかし坂村に組み付いて、何とか追撃を凌いで判定勝利。“元ホームレス中学生”高嶋がデビュー2連勝を飾った。
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