全日本キックボクシング連盟
ALL JAPAN KICKBOXING 2008
「Fujiwara Festival〜藤原祭り2008〜」
2008年12月5日(金)東京・後楽園ホール
開場17:00 本戦開始18:00
※オープニングファイト開始17:20
▼メインイベント(第7試合) 58kg契約 3分3R延長1R
○前田尚紀(藤原/全日本フェザー級1位)
判定3−0 ※三者とも29−23
●ソルデティグレ・ヨースケ(U.W.F.スネークピットジャパン/全日本フェザー級7位)
約1年4ヵ月も勝ち星から遠ざかっている“闘う修行僧”前田が、昨年に引き続き藤原祭りのメインを務める。
対戦相手は今年7度目の出場となる働き者ヨースケだ。司令塔・大江慎が今回も“秘策”を授けたとの前情報もあり、番狂わせを狙う。
1R開始のゴングが鳴ると、ヨースケは予想外の行動に出た。いつもなら開始のゴングと共に突っ込んでいくのだが、その場から一歩も動かず前田を迎え撃ったのだ。異常に気付いた前田も飛び込むのをやめて止まると、ヨースケが縦ヒジで切り込んでいく。
そこからヨースケはいきなり前に出て距離を潰し、左フックで前進。押される形となった前田はヒジと左ボディフック、ヨースケのガードを割るような縦ヒジをぶち込む。
プロボクシングで5勝(3KO)3敗3分の戦績を持つヨースケはパンチの連打で前田をコーナーへ追い詰め、ヒジで左目上のカットに成功! かなり切れて流血していたため場内は番狂わせの予感にどよめく。
ドクターチェックからの再開後、突っ込むヨースケをパンチで迎え撃つ前田。そこで前田の右フックが炸裂! ダウンを奪って形勢逆転に成功だ。
歓声が爆発する場内! 前田は怒涛のラッシュを仕掛け、左ボディ、ヒジ、左右のフックとヨースケをメッタ打ち。ヨースケはグラつきながらもこのラッシュに耐え切った。
2R、今度は突っ込んできたヨースケに前田はカウンターの顔面前蹴り。ヒジとフックを繰り出してくるヨースケに左右のフック、左ヒジ、左ミドル、さらにヒジの打ち合いからテンカオを突き刺す。距離を詰めて接近戦を挑んでくるヨースケに左右のフックを乱打、そして左フックでヨースケが仰向けにぶっ倒れる!
ダウンから立ち上がったヨースケはやはり距離を詰めて右のショートアッパーで勝負を賭ける。
前田はテンカオで迎え撃っての左右フック、左ヒジの三連打! いや、五、六連打!ボディを叩いてヨースケの動きを止めると今度はガードの隙間を突く左縦ヒジを連打していく。
反撃するヨースケの右ヒジに右フックのカウンターを合わせ、2度目のダウンを奪うそれでも果敢に打ち合いを挑んでいくヨースケに、前田は怒涛のラッシュで応える。
気迫と気迫のぶつかり合いに場内は大歓声、ラウンド終了後には拍手が沸き起こる。思わず前田の師・藤原敏男会長もリングに駆け上がって前田に檄を飛ばす。
3R、ヨースケのパンチを左ミドルで迎え撃った前田は、ヒジを振るって前に出るヨースケをパンチで押し返す。
前田の左縦ヒジ、右ロー、そしてアッパー気味の左フックでまたもダウンを奪う。仕留めようと左右のフックでラッシュをかける前田に、ヨースケも突っ込んでの超接近戦。前田は回り込みながら右ローを二発、ヨースケのアッパーには右フックを返していく。
勝負を諦めないヨースケは右ヒジを繰り出して前田の傷口を狙い、前田は右ローで応戦して接近すると縦ヒジを叩きつける。
押して右ヒジを放つと、ヨースケも左ヒジを返し、パンチをまとめ打ち。ヨースケの右アッパーに前田のアゴが跳ね上がる! 流血がさらに酷くなる前田だが攻撃の手を緩めず、ヨースケも最後まで打ち合っていった。
大熱戦の末、前田が大差をつけての判定勝ちで、久しぶりの勝ち名乗りを受けた。敗れたヨースケは男泣き。しかし、両者には惜しみない拍手が送られた。
▼セミファイナル(第6試合) 70kg契約 3分3R延長1R
○小比類巻太信(BRAVI RAGAZZI/2004&2005K-1
WORLD MAX日本王者)
判定3−0 ※30−25、30−25、30−26
●ASH-RA(X FORCE)
全日本キックでプロデビューした小比類巻が、約10年ぶりの凱旋試合。しかも、ヒジ&首相撲ありのキックボクシングルールにも久しぶりの挑戦だ。現在、藤原ジムで藤原敏男会長からの教えを受けているため、大会に花を添えるための出場。対戦相手はK-1に3度出場したことがあるASH-RA。
1R、ジャブと強い右ローキックで攻める小比類巻はASH-RAのパンチにテンカオを合わせる。ASH-RAは小比類巻のジャブにワンツーを返すが、接近すると捕まってしまい、ヒザをもらう。離れると小比類巻は強い右ロー、ASH-RAがパンチで入ってくると捕まえてのヒザという動きを繰り返す。ラウンド後半、早くも右ローが効いて、ASH-RAがガクッと腰を落とす場面も。
2R、小比類巻がジャブで突き放つつの右ロー、その蹴りでASH-RAは一回転。続く右ハイキックはASH-RAがダッキングでかわす。ジャブ、右ロー、ASH-RAがパンチで入ってくると組みヒザ。このパターンが続く。クリンチした小比類巻は踵で相手の太ももを蹴る。
小比類巻は飛びヒザ蹴りを放ち、再びジャブ。ラウンド終了間際、組んで離れ際に右ローを叩き込むと、これでASH-RAがダウンを喫する。小比類巻優勢だが、後半は時計をチラ見してスタミナ切れの様子。
3R、小比類巻が右ローから組みヒザ、ASH-RAは左右フックで引き離す。小比類巻のクリンチが目立ち始め、苛立つASH-RAはカモンゼスチャーだ。両者にクリンチで注意が与えられるが、小比類巻はやはり右ローを蹴ると、パンチで反撃しようとするASH-RAにクリンチ。
しかし、右ロー三連打でダウンを追加する小比類巻。第1回のK-1MAX日本トーナメントを髣髴させるような、右ロー一本に攻撃を絞ったかのような攻めだ。
その後も右ローを蹴り続け、ASH-RAはパンチを出しながら“来いっ!”と手招き。最後、小比類巻がクリンチから離して、左ハイからの左右フック、そして右ハイキックで見せ場を作ったところで試合終了。小比類巻が復活の勝利を収めた。
小比類巻は「いつも藤原ジムで練習をさせてもらって、強い皆さんと一緒に練習を積ませてもらっているので、藤原先生と道場の皆さんに心より感謝しております。
自分自身、今年は試合が少なくて残念だったんですが、2月のK-1が終わってから練習させてもらっている藤原ジムの藤原祭りに少しでも花を添えたいと思って試合に出ました。
満足できる試合ではなかったんですが、自分の道場を開くことができ、今年最後の試合だったので、胸を張って来年のK-1に行きたいと思って今回は試合をさせてもらいました。キッチリ仕上げて、練習して来年は頑張ります。皆さんもよいお年を」と、珍しく長いマイクで思いのたけを語った。
▼スペシャルエキジビションマッチ 時間無制限一本勝負
○ウルティモ・ドラゴン&小林聡GM
フォール 9分58秒 敗者・藤原敏男
●藤原敏男&初代タイガーマスク
※レフェリー藤原喜明、サブレフェリー和田良覚
▼第5試合 全日本ミドル級タイトルマッチ 3分5R
○中村高明(藤原/王者)
判定2−0 ※50−50、50−49、50−48
●江口真吾(AJ/挑戦者・同級1位)
※中村が2度目の防衛に成功。
2006年12月から8連勝という快進撃を続けている中村の、2度目の王座防衛戦。挑戦者は1998年のデビューから10年目、32歳にして初のタイトルマッチ挑戦のチャンスを手にした江口だ。こちらも5連勝&3連続TKO勝利と波に乗っている。今夜、どちらかの連勝記録にピリオドが打たれる。
1R、パンチとローの交換が続く。右ローをコツコツと当てる江口に、中村はジャブを出しつつ下から伸ばすようなパンチで前へ出て組み付く。スイングの大きい中村のパンチに、江口が右を合わせる。
右のアッパー気味のパンチを伸ばしてヒザを突き刺した中村を、江口が組んで投げた。このラウンド、ヒジもヒザも温存していた中村だが、終了間際に首相撲から右ヒジ一閃。この一発で江口は左目蓋をカットされた。
2R、ジャブを伸ばして右ロー、そこからパンチを振り回して前に出る中村。下から伸びてくるパンチが江口には見えにくそうだ。江口は細かくパンチを出しながら右ローへ繋げていく。ジャブで距離を取り、下から伸ばすパンチを当て、珍しくフットワークを使って大きく回りこむ中村。余裕を持った試合運びだ。
3R、下からパンチを連打していく中村に、ひらすら右ローを蹴っていく江口。連打から組み付き、サバ折りに捉える中村。
江口の出血がますます酷くなり、ついにドクターチェックが入る。試合再開後、ジャブとアッパー、さらに連打を入れて組み付いていく中村。
打っては組み付く展開が続いたため、レフェリーからクリンチの注意を受ける。中村がサバ折りで倒したところでラウンド終了。
4R、徹底して右ローを蹴る江口に連打で迫っていく中村。飛び込み際の江口の右ストレートがヒット、さらにもう一発! 江口はパンチに活路を見出していくが、中村が連打からすぐに組み付くためその後の展開がない。なぜかヒジ&ヒザを封印して、パンチ一辺倒の中村。クリンチしてブレイクの場面が目立つ。
5R、ひたすらパンチを連打する中村に、江口は右ストレートをヒットさせて前へ出る。そこに組み付く中村。逆転を狙って江口が右ストレートで前へ出て行くが、中村に組み付かれてしまい後が続かない。
何度目かのクリンチで、ついに中村が右ヒジを2度、江口の傷口へ叩き込む! 血しぶきが飛び、流血が酷くなった江口にドクターチェックが入る。
試合再開、江口はワンツーで前に出て中村と真正面からの打ち合い。前に出る江口に組み付く中村。江口はワンツーからハイキック、さらに中村を前蹴りで転倒させた。中村は最後までらしくない展開が続いた。ジャッジ1名がドローだったが、判定2-0で中村が2度目の防衛に成功。ベルトは中村の腰に再び戻った。
▼第4試合 全日本ウェルター級タイトルマッチ 3分5R
○クリストフ・プルボー(スイス/スクランブル渋谷/挑戦者・同級1位)
TKO 4R2分59秒 ※ヒジによるカット
●山本優弥(青春塾/王者)
※プルボーが第24代王座に就く、山本は初防衛に失敗。
山本優弥の2008年を締め括る試合は、全日本ウェルター級王座の初防衛戦。ここまでの今年の戦績は2勝3敗、初防衛を果たして星を五分にすることが出来るか。対する挑戦者プルボーは、2006年にプロのキックボクサーになることを目指して日本へやってきたキック留学生。もし、タイトル奪取なれば、初代ミドル級王者レイモンド・エドラー以来史上2人目、37年ぶりの外国人全日本チャンピオン誕生となる。
1R、ジャブとローの交換からプルボーが右ストレートを伸ばしていく。山本は右ロー、プルボーは組み付いてヒザ蹴りから投げをうつ。ジャブから得意の右ヒジを狙うプルボーに山本は右ローを狙い打ち、組むとプルボーはヒザ蹴りの連打。
徹底して右ローをヒットさせていく山本に、プルボーは組み付いてヒザ蹴りからヒジ。山本の右ストレートにも右ヒジを合わせようとする。
2R、時折サウスポーにスイッチして右ヒジを狙ってくるプルボー、山本はしっかりブロックして右ローを返す。プルボーは組んでのヒザ、テンカオ、ボディブロー、そして飛びヒザ蹴りからまた組んでのヒザとボディを攻めて行く。圧力を掛け始めるプルボーがヒジ、山本は回りこみながら右ローを蹴っていくが、ボディを打たれる場面が目立つ。プルボーがボディからワンツー、そしてヒザ。山本もパンチで反撃するが、プルボーが片手を引っ掛けてのヒザとパンチ&ヒジを交互に仕掛けてくる。
3R、接近していってヒザからヒジ、パンチも織り交ぜてボディへの飛びヒザ蹴りを放つプルボー。山本は上中に攻撃を散らされて、パンチももらってしまう。そこで山本もヒジで応戦! 思い切った右フックで前へ出る。
プルボーの右ストレートをもらい、組んでのヒザに押される山本。山本もパンチをまとめるが、プルボーはしっかりとガード。それでもパンチで前に出る山本が右ローに繋ぎ、ややプルボーを怯ませた。
4R、圧力を掛けて前に出るプルボーはパンチとヒジ、ボディへの飛びヒザを巧みに使い分ける。山本も右ローで必死の応戦、しかし、プルボーにボディをヒザで抉られる。
前に出る山本を左右のリズミカルなヒザで迎え撃つプルボー、山本はアッパーを交えたコンビネーションで詰めるが、やはりヒジからのヒザをボディに突き刺される。
次から次へと突き刺さるプルボーのカウンターのヒザ! そしてヒジ! 前に出てパンチで攻めようとした山本を、ついにプルボーの右ヒジが捉えた! 左のこめかみ辺りから激しく流血する山本!
長いドクターチェックが入り、山本の傷口に押し当てたガーゼが真っ赤に染まった時、レフェリーが両手を交差させて試合をストップ!
スイスからのキックボクシング留学生プルボーが歓喜のベルト戴冠! その両手が高々と挙げられた。「初めて日本へ来た時からプロとして成功して、タイトルマッチをするのが夢でした。今日まで応援してくれた人たちに感謝します。ありがとうございました」と、プルボーは感無量のマイクアピール。
▼第3試合 全日本ライト級王座決定戦 3分5R延長1R
○遠藤智史(AJ/同級3位)
判定3−0 ※三者とも49−47
●海戸 淳(S.V.G./同級1位)
※遠藤が第18代王座に就く。
8月のM-1でカノンスックに敗れ連勝記録は「5」で途絶えたものの、34歳にして初めてのベルトに王手を掛けた海戸。王座決定戦を争うのは7月の挑戦者決定トーナメント2試合を勝ち抜いた遠藤だ。こちらは初のタイトルマッチに挑む27歳。
1R、ミドルキックを飛ばしていく海戸に、サウスポーの遠藤は右ローを返していく。右ロー、右ストレート、右ミドルと連続してクリーンヒットを奪う海戸は、テコンドー仕込みのバックキックも繰り出す。
終始優勢に試合を進めていた海戸だったが、ラウンド終了間際、右ローで不用意に体が開いてしまったところに右フックを合わされて痛恨のダウン!
2R、左インローをコツコツと蹴る遠藤に対し、強い右ミドルを蹴りこんでいく海戸。遠藤のローに対して右ローからの右フックで何度も突っ込む。遠藤はテンカオから左ヒジ、海戸もすぐに右ヒジを返す。
3R、海戸の右ミドルに左ストレートを合わせた遠藤、海戸はバックキックからバックブロー。海戸の強烈な右ボディストレート、遠藤もすぐに左を返す。一発一発は重いが、バランスの崩れる海戸に遠藤は左のパンチを当てて行く。遠藤の左ミドルに海戸のヒジ。
4R、遠藤の左ミドルと海戸の右ミドルが交互に相手を捉える。遠藤の左ストレートに海戸が回転ヒジを合わせると、これで遠藤の額が腫れあがった。
遠藤が左右のパンチとロー、海戸はヒジを振りかざしてどんどん前進、遠藤の側頭部から流血が見られる。パンチとミドルで荒々しく前に出る海戸と、あくまでも自分のペースを貫いてワンツーと左ミドルを返していく遠藤。
5R、ワンツーで前に出る遠藤をバックキックで迎え撃つ海戸。そこから足を止めての打ち合いが始まる!
右のパンチとヒジを叩きつける海戸に遠藤は左ミドル、さらに組んでのヒザ蹴り。
左ヒザが顔面にヒットし、そこから頭を押さえつけての顔面ヒザを連発する遠藤! 海戸も足を止めて左右フックで激しく応戦! 遠藤は徹底した首相撲からのヒザ連打!
左ストレートを当て、接近してくる遠藤を首相撲に捕らえて顔面を強襲していく遠藤。海戸は逆転を狙ってフックで前に出て行くが、遠藤に顔面をヒザで蹴り上げられる!
すると海戸はジャンプしての横蹴り! 顔面にもらった遠藤はカッと目を見開いて反撃しようとするが、海戸はもう一発、飛び蹴りを繰り出す。
熱戦の勝敗は判定に持ち込まれ、遠藤が判定3-0で勝利。新チャンピオンの座に就いた。敗れた海戸にも、勝った遠藤にも惜しみない拍手と歓声が送られる。遠藤は「これからもっと強くなります。今日はありがとうございました」と、手短に喜びを語った。
▼女子エキシビジョンマッチ 2分2R
Little Tiger June(青春塾/J-GIRLSミニフライ級9位)
※エキジビションのため判定なし
岡田敦子(RAPTURE KING/J-GIRLSミニフライ級6位)
▼ちびっこエキシビジョンマッチ 2分1R
原田優音(藤原)
※エキジビションのため判定なし
星樹里亜(極真流空手道武拳会館)
▼第2試合 全日本ライト級ランキング戦 サドンデスマッチ3分3R延長1R
○白濱卓哉(建武館/同級10位)
KO 1R2分36秒 ※パンチ連打
●上杉武惟(藤原/同級9位)
▼第1試合 全日本フェザー級ランキング戦 サドンデスマッチ3分3R延長1R
○森井洋介(藤原)
判定3−0 ※30−29、30−28、30−28
●堀口貴博(WSRフェアテックス/同級10位)
▼オープニングファイト第2試合 ライト級3分3R
○渡部太基(藤原)
判定3−0 ※三者とも30−28
●倉持 巌(超越塾)
▼オープニングファイト第1試合 79kg契約 3分3R
○入月健一(S.V.G.)
判定2−0 ※30−29、29−29、30−29
●木村秀和(AJ)
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