Zuffa
「UFC97 REDEMPTION」
2009年4月18日(土)カナダ・モントリオール ベル・センター
▼第12試合 UFC世界ミドル級タイトルマッチ 5分5R
○アンデウソン・シウバ(ブラジル)
判定3-0 ※30-25、30-25、30-25
●ターレス・レイチ(ブラジル)
※アンデウソンは5度目の防衛に成功。
現在、UFCのパウンドフォーパウンドと言われるアンデウソン。現在までUFC8連勝で、今回勝てばUFC新記録となる。対するレイチもUFC5連勝中と、勢いに乗っている。
1R、ダラリとガードを下げたアンデウソンは、そのままプレッシャーをかけ、レイチは攻め込むことができない。レイチは飛びヒザなどで中に飛び込もうとするが、アンデウソンはそうはさせず。アンデウソンはサウスポーにスイッチして、さらにプレッシャーをかける。レイチはタックルを仕掛けるも、遠すぎて失敗。アンデウソンは相手をケージまで追い込み、ボディへパンチ。さらに足払いでレイチを倒す。レイチはタックルからもぐってスイープを狙うが、アンデウソンは踏ん張って立ち上がる。ケージへ押し込み、足をかけてテイクダウンを狙うレイチ。対するアンデウソンは余裕の表情だ。
2R、まずレイチがタックルで飛び込んでテイクダウン。アンデウソンはハーフガードの状態で、長い足を相手の足に絡み付けていく。フルガードになったアンデウソンは、下からヒジ打ち。レイチはなかなかパスできない。するとアンデウソンは下から三角絞めを狙うが、レイチは腕を入れてディフェンスする。すかさず立ち上がるアンデウソン。レイチは寝転んでグラウンドに誘うが、絶対王者はその誘いに乗らない。アンデウソンはオーソドックスのままプレッシャーをかけ、さらにサウスポーにスイッチして右ロー。レイチは攻め込む隙を見出すことができない。
3R、アンデウソンはサウスポーになり、体を振りながら前へ出る。レイチは相手のパンチをかわしながらグラウンドに持ち込もうとするも、アンデウソンはスタンドを選ぶ。立ち上がったレイチに、アンデウソンは右ストレート。レイチは「目が指に入った」とアピールするが、試合は続行される。スタンドでなす術の無いレイチが自ら寝転ぶと、場内からは大きなブーイング。アンデウソンは関節蹴り、そして二段蹴りとやりたい放題だ。さらにアッパーカットをヒットし、相手をひるませるアンデウソン。レイチはスライディングキックから寝転ぶが、アンデウソンはグラウンド勝負を拒否する。
4R、相手の左膝へ関節蹴りを連発するアンデウソン。攻めてこないレイチの前で、ダンスのように体を揺らし相手を誘う。レイチは相手のローに合わせてタックルに行くも失敗。膠着気味の試合に対して、長いブーイングが聞かれるようになる。
5R、ラストラウンドとあって前に出るレイチだが、アンデウソンはそれを軽く捌く。レイチはタックルに行くが、それを切るアンデウソン。再びタックルに来たレイチを潰し、パウンドを浴びせる。立ち上がったアンデウソンは、右のスーパーマンパンチをヒット。レイチはなんとか組み付きたいが、王者の前にグラウンドに持ち込むことすらできない。このまま試合は終了した。
消化不良の内容となってしまったが、終わってみればアンデウソンが相手に何もさせない、磐石の強さを見せた試合だった。王者はこれでUFC9連勝と、連勝記録を更新。日本から新たに参戦する秋山成勲は、この王者を目標としなければならないが、今のアンデウソンに勝てる選手が今のUFCにいるのだろうか――。
▼第11試合 ライトヘビー級 5分3R
○マウリシオ・ショーグン(ブラジル)
TKO 1R4分28秒
●チャック・リデル(米国)
体を振りながらプレッシャーをかけるショーグン。対するリデルはいつもの構えから、ワンツーを主体に攻める。リデルの右ストレートがヒットするが、ショーグンは右ミドルで相手の勢いを止める。さらに左右フックを当てていくショーグン。リデルがワンツーを放ってきたところで、ショーグンは両足タックルを仕掛け、テイクダウン。ヒールホールドに失敗すると、掴んでいた足をたぐってバックを狙う。
リデルは立ち上がるが、ショーグンはそのままバックに回る。しかしリデルは離れ、その際にパンチをヒット。それでもひるまないショーグンは、またも右フックからタックル。それを切られたショーグンは右ストレートを振るが、リデルはかわしてタックルでテイクダウンに成功。しかしすぐに立ち上がる。
再開後、ショーグンがいきなりの左フックを当て、リデルは吹っ飛ぶようにダウン! ショーグンがすぐさまパウンドで追い討ちをかけると、レフェリーが割って入り試合は終わった。
引退が噂されるリデルは、この負けでますます後が無くなった。一方のショーグンは、これでライトヘビー級王座がグッと近づいたことになる。勝者と敗者のコントラストがハッキリと別れた結果となった。
▼第10試合 ライトヘビー級 5分3R
○クシシュトフ・ソシンスキー(ポーランド)
一本 1R3分53秒 ※アームロック
●ブライアン・スタン(米国)
往年の名プロレスラー、バッドニュース・アレンの弟子という異色の経歴の持ち主ソシンスキーが、UFC初参戦のスタンを迎え撃つ。
まずサウスポーのソシンスキーが左右のインロー。スタンはしっかりと構え、パンチを返していく。ソシンスキーは組み付いて首相撲からヒザを打っていこうとするも、スタンの背筋が強く、足が届く位置まで顔面を下げることができず。両者はいったん離れたが、ここでソシンスキーが強烈な両足タックルでテイクダウンに成功。
ケージ際でパス、そしてマウントを奪取する。スタンはなんとか立ち上がるが、ソシンスキーが再びテイクダウンすると、サイドポジションからアームロック。スタンはタップするほかなかった。
▼第9試合 ヘビー級 5分3R
○シェイク・コンゴ(フランス)
TKO 2R2分29秒
●アントニー・ハードンク(オランダ)
1R、コンゴがローを放っていくが、ハードンクが腰を落とした構えのままプレッシャーをかけ、ケージ際まで追い込む。コンゴは前に出て組み付き、相手をケージに押し込むが、展開は無く両者離れる。ハードンクの右ミドルをキャッチしたコンゴが、そのまま相手を倒す。しかし寝技に行く気は無く、レフェリーもそれを見てブレイクをかける。再開後、コンゴが右ストレート2連発をヒット。さらに差し込んでケージに押し込むと、ハードンクが引き込み。グラウンド状態のままラウンド終了。
2R、コンゴがパンチを放ちながら前に出ると、ハードンクは勢いに負けてグラウンドで下になる。リーチの長さを活かしてパウンドを打ち込むコンゴ。ハードンクもなんとか足を利かせるが、展開を作ることができない。コンゴが構わずパウンド&ヒジをヒットさせると、顔をカットし、ひるむハードンク。さらにコンゴが連打で追い討ちをかけたところでレフェリーが試合をストップした。
▼第8試合 ライトヘビー級 5分3R
○ルイス・カーニ(ブラジル)
判定3-0 ※29-28、28-27、28-27
●スティーブ・キャントウェル(米国)
1R、ローを放ちながらオクタゴンの中を回るキャントウェルに対し、サウスポーのカーニがパンチを主体に追う展開。カーニはアッパーや左ミドルもヒットさせる。互いにパンチを交換し合う中、カーニのヒット率が高くなる。それを嫌がったキャントウェルが組み付くもテイクダウンできず。両者はなれ、カーニが左フックから左ハイ。キャントウェルは右ハイなどを返していくが、カーニはすべてブロックしてみせる。カーニのパンチでキャントウェルが鼻血を出したところで、このラウンドは終了。
2R、流れを引き戻そうとキャントウェルは前に出るが、反対にカーニのパンチをもらってしまう。正確な右ジャブで相手を入らせないカーニ。するとキャントウェルはまた下がりだし、カーニは飛び込みながらの右ミドルで追い討ちをかける。ここで互いに決め手に欠けるため、場内からはブーイング。するとキャントウェルが前に出て左ハイをヒット! カーニは動きが止まり、その後も明らかに前に出る力が落ち、さらにカーニは右ストレート! 今度はキャントウェルが追って、カーニが回る展開に。
3R、キャントウェルはいきなりも右ハイから、軽快なステップを使い相手を追う。カーニもパンチを繰り出すが、相手にかわされてしまう。カーニは何度かヒザをヒットさせるも、キャントウェルが前に出る。パンチをもらったカーニはタックル。しかし腰が高すぎて潜り込むことができない。ここでカーニがパンチの連打をヒットさせ、相手をケージまで下がらせるが、追い足が無く追撃できず。それでもチャンスを作ったことは大きい。
試合終了のブザーが鳴り、両者ともに勝利を確信して両手を挙げるが、判定は3-0でカーニへ。これでUFC3連勝となった。
▼第3試合 ライト級 5分3R
○マーク・ボチェック(カナダ)
一本 1R4分57秒 ※スリーパーホールド
●ダービド・ビエルクヘイデン(スウェーデン)
組み付いたビエルクヘイデンが、相手をケージに押し込む。差し返したボチェックが片足をたぐってテイクダウンに成功。ハーフガードまで持ち込む。そしてパスしたボチェックはサイドに行くも、ビエルクヘイデンはフルガードに戻す。上からパウンドを浴びせながら、またもハーフガード、そしてパスしてサイドに移行したボチェック。ビエルクヘイデンはハーフガードに戻すが、ボチェックはすぐさま足を抜いてマウントまで持っていく。そこからヒジ、さらにパウンドを浴びせるボチェックに対し、ビエルクヘイデンは相手に背を向けてしまい、ボチェックはそこをチョークに捕らえタップを奪った。
▼第2試合 ウェルター級 5分3R
○TJ・グラント(カナダ)
判定2-1 ※30-27、28-29、29-28
●長南 亮(日本)
1R、前に出る長南。相手のパンチをかわしながらバランスを崩したが、組み付いて首投げでテイクダウンする。地元の新鋭グラントは、ケージに足をかけながら、下から腕十字に行くも、長南はしっかりとディフェンスする。グラントはもぐりスイープを失敗すると、またも下から腕十字。さらに長南の右腕を捕らえてオモプラッタを仕掛ける。長南は上をキープしたいところだが、グラントは立ち上がり、今度は逆にタックルで長南を倒す。長南はハーフガードからヒップスロー。これは失敗したがなんとか立ち上がり、打撃戦に持ち込む。しかしグラントもパンチをヒットさせ、長南はペースを掴むことができない。
2R、左フックをもらった長南は下がってしまうが、組み付いて相手をケージに押し込む。さらに相手の右足を取ってテイクダウンに成功する。グラントは長南の右腕を抱えながらのヒップスローで相手の体勢を崩し、立ち上がり、さらにタックルでテイクダウン。上を取ってからパンチを浴びせ、さらにバックを奪うなどグラント優勢の展開だ。長南はここで正対し、上へ。すると長南は、立ち上がってからパウンドを振り落として相手にダメージを与える。足を利かせてディフェンスするグラントは、ケージ際で相手をガードの中に戻す。長南は上からヒジを当てながらヒザ十字へ行くも失敗。グラントはすかさず上になりマウント奪うが、長南はすぐに返して上になる。
3R、グラントは疲れたか動きが鈍く、そこに長南は右フックをヒットさせる。さらに左ジャブ2連発。グラントは左ジャブからのタックルでテイクダウンを奪う。長南はハーフガードから相手の脇を差しスイープ! 相手の体にピッタリとついて上をキープする。グラントは下から長南の足をすくいスイープを狙うが、長南は踏ん張ってトップポジションのままだ。グラントはスパイダーガードで下から長南をコントロール。そして長南が腕を取ろうとした瞬間にスイープに成功する。長南は立ち上がるもパンチを当てられ、印象が悪いまま試合を終えた。
判定は2-1でグラントへ、長南はこれでUFC戦績1勝3敗となり、いよいよ崖っぷちに立たされた。
▼第1試合 ライト級 5分3R
○サム・スタウト(カナダ)
判定3-0 ※29-28、29-28、29-28
●マット・ウィマン(米国)
1R、スピーディーなパンチが交換される中、ウィマンが右クロス、さらに右ハイで攻め込む。さらに片足タックルでテイクダウンを奪うが、パスした瞬間に相手に立たれてしまう。ウィマンのスーパーマンパンチにカウンターを当てていくスタウト。ウィマンがまたもタックルに行くが、スタウトはそれを切って逆にケージに押し込む。ウィマンのギロチンをはずしたスタウトは立ち上がり際にワンツーをヒット。ここからウィマンはテイクダウンで何度もタックルを仕掛けるが、スタウトはなかなか上を取らせない。
2R、ウィマンが積極的にパンチを打つも、スタウトは相手にペースを握らせない。グラウンドになり、ウィマンはバックを狙うが、スタウトは相手を前に落としてディフェンス。立ち上がると、ウィマンは明らかにスタミナが切れた様子だ。そこへスタウトが相手の左ボディへパンチを打ち込み、ウィマンはダウン! スタウトはすかさず上を取り、相手の下からの腕十字もなんなく凌ぐ。立ち上がり、ウィマンは何発もボディに打撃をもらい、動きが止まってしまう。必死のタックルも切られ、ウィマンはなす術が無くなってしまう。
3R、開始早々いきなり前へ出るウィマン。スタウトはそれを捌く。ウィマンはタックルをしかけ、しつこく押し込みテイクダウンに成功。すぐさまバックに回り、チョークを狙う。スタウトは4の字ロックに捕らえられるが、体勢を入れ替えて上を取る。そこからパンチとヒジを打ち込んでいくスタウト。ここで攻めきれないと見ると、すぐに立ち上がる。するとウィマンはまたもタックルでテイクダウン。自分の体を相手にピッタリとつけてパスを狙うが、立ち上がられ、打撃を交換したところで試合が終了した。
ジャッジは3人ともスタウトを支持。地元ファンの前で、久々の勝利となった。
<その他の試合結果>
▼第7試合 ライトヘビー級 5分3R
○エリオット・マーシャル(米国)
判定3-0
●ヴィニシウス・マガリャエス(ブラジル)
▼第6試合 ミドル級 5分3R
○デニス・カーン(カナダ)
判定3-0
●グサヴィエ・フーパ=ポカン(フランス)
▼第5試合 ミドル級 5分3R
○ネート・クォーリー(米国)
TKO 1R2分27秒
●ジェイソン・マクドナルド(カナダ)
▼第4試合 ミドル級 5分3R
○エド・ハーマン(米国)
判定3-0
●デビッド・ロワゾー(カナダ)
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