Zuffa
「UFC98 EVANS vs MACHIDA」
2009年5月23日(現地時間)アメリカ・ネバダ州ラスベガス
MGMグランドガーデン
▼第11試合 UFC世界ライトヘビー級選手権試合 5分5R
○リョート・マチダ(ブラジル/挑戦者)
TKO 2R3分57秒 ※左フック
●ラシャード・エバンス(アメリカ/王者)
※リョートが新チャンピオンの座に就く。エバンスは初防衛に失敗。
中村和裕、ソクジュ、ティト・オーティズらを破りUFC6連勝を飾ったリョートが、MMA(総合格闘技)14戦無敗のままタイトルマッチまで辿り着いた。空手衣を着ての入場だ。チャンピオンのエバンスも18戦無敗1分、『UFC.88』ではUFCの象徴であるチャック・リデルをKOし、『UFC.92』でフォーレスト・グリフィンを3RでTKOに破ってライトヘビー級王座を獲得した。今回が初防衛戦。リングサイドではマイク・タイソンが観戦している。
1R、サウスポーのリョートは柔らかい動きの構えからジリジリと間合いを詰めに行き、エバンスはステップを使って距離をとる。長い見合いが続き、場内はブーイング。リョートが左ハイキック、エバンスも右フックを連打して前に出るが、再び見合いとなる。リョートが左ミドル、エバンスのパンチに左ストレートを返す。リョートがパンチのフェイントから左ミドル。組み付くが、すぐに離れる。
リョートが左ミドルから左フック、エバンスがバランスを崩して倒れ、リョートが覆い被さってパンチを見舞うが、エバンスもすぐに立ち上がる。リョートは右ローから左ハイキック。静かな立ち上がりの第1Rとなった。
2R、お互いに前手を伸ばして相手を入らせない。場内は“マチダ”コール、その声援に押されてリョートが胴タックルに行くが、倒せなかったためすぐに離れる。エバンスのフックをかわしたリョートが連打で前に出るが、エバンスもパンチを返す。
頭を振ってフェイントをかけ、入り込もうとするエバンスだったが、リョートの左ストレートからの右アッパーでエバンスが膝をつく! リョートは一気にパンチでラッシュ! 激しく揉み合って立ち上がると、リョートの連打にエバンスは相手は見ずにメチャクチャにフックを出して応戦、そこでリョートの右フックから左フック! エバンスが意識を失って膝から崩れ落ちる! リョートがKO勝ち! 日系人初のUFC王者が誕生した。
「とっても幸せです。ファンのみんな、ブラジルのみんな、ありがとう! このベルトを長い間持ち続けたいです。エバンスは打たれ強かったが、ずっと攻め続けた。空手が最高なんだ! みなさん、夢があったら頑張ってください。夢は必ずかないます。私も今、やってみせました! “ドラゴン”(リョートのニックネーム)がチャンピオンになったぞ!」と、リョートは高らかに宣言した。
▼第10試合 ウェルター級 5分3R
○マット・ヒューズ(アメリカ)
判定 ※三者とも29−28
●マット・セラ(アメリカ)
セラは映画『ロッキー』の入場テーマ、TOKYOファイブファイブのTシャツを着ての入場だ。ヒューズとは試合前から舌戦を繰り広げているだけに、因縁の対決と言っていいだろう。そのヒューズはジョルジュ・サン・ピエール、チアゴ・アウベスに連敗を喫しており、セラは前回『UFC.83』でサンピエールに敗れている。賭け率は3−1でヒューズ有利と出ているが、果たして?
1R、サウスポーのヒューズはステップインしてのジャブ、セラは右のジャブを伸ばす。ヒューズが突っ込んだところセラの頭がヒューズのアゴにバッティング、同時にセラの右フックがヒューズの後頭部へ! これでダウンするヒューズ、立ち上がるも明らかに足元がおぼつかない! それでも片足タックルで喰らい付くヒューズは、セラを金網へ押し付けていく。ダメージの回復をしながらボディへヒザを突き刺していくヒューズ。離れると大きく呼吸する。
真っ直ぐな右ストレートを伸ばしていくセラに、タックルで組み付くヒューズ。足を掛けてテイクダウンを奪う。そしてすぐに右フック、バックを奪って片腕を取りながらパンチ、さらにチョークを奪いに行く。身体を回転させて向かい合いながら、立ち上がるセラ! セラの右フックが空を切り、ヒューズが胴タックルに入ったところでラウンド終了。セラは笑顔で手を挙げて、歓声に応える。
2R、ヒューズが右のジャブからタックル、あっさりとテイクダウンを奪う。セラはハーフガード、ヒューズはボディを叩いていく。ヒューズはボディと顔面へ右フックを打ち分け、セラは打たせながら涼しい顔。抑え込んでコツコツとパンチを入れていくヒューズだが、膠着に大ブーイングが起こり、レフェリーがブレイク。立ち上がってヒューズがタックルに入ったところでラウンド終了。
3R、場内が大いに盛り上がる中、ヒューズは右フックと右のジャブ、セラが入ってくるとヒザを突き出す。右フックから組み付くヒューズ、セラは堪えたがヒューズはさらに押し込んでいきテイクダウンを奪う! セラは倒れると同時にオモプラッタ! しかし、ヒューズはそれをかわして抑え込みながらボディへのパンチ。ヒューズは金網へ押し込んで行き、パンチを見舞おうとするがセラがそこで三角絞め! 腕を引き抜くヒューズ! レフェリーがスタンドを要求する。
頭を下げてパンチで入っていくセラを、右アッパーで迎え撃つヒューズ。セラは両手を下げて挑発するが、ヒューズは乗ってこない。セラが組み付きヒューズが足を掛けて来たところへ、セラが支え釣り込み足で逆にテイクダウンを奪う! パウンドに行くセラだが、ヒューズは下からのタックルで上を奪い返そうとする。そこで試合終了のホーン! 大歓声の中、「マット」のファーストネームがコールされ、続いてリングアナから出たラストネームは「ヒューズ!」。ヒューズの判定勝利が告げられた。
▼第9試合 ミドル級 5分3R(スウィングバウト)
○ドリュー・マクフェデリース(アメリカ)
TKO 1R37秒 ※グラウンドパンチ
●グザビィエ・フーパ=ポカン(フランス)
『UFC.97』でデニス・カーンに敗れているポカンが、UFC&UFC&TUFで3勝4敗のドリューと対戦。ポカンはDEEPなどでプロフェッサーXのリングネームで活躍した選手。ドリューは勝つ時はKO勝ち、負ける時は一本負けと分かりやすい試合をするためか、大声援で迎えられた。
1R、ステップを使って大きく回り込むポカンに、いきなり右フックで飛び込むドリュー、金網まで吹っ飛んだポカンへ右フックから左フック! ダウンしたポカンへさらにパウンドの嵐、ポカンが立ち上がろうとしたところで右アッパー! 続く右フック、左フックで腰から崩れ落ちたポカンにパウンドを見舞ったところでレフェリーが試合をストップ!
ドリューが僅か37秒でKO勝ちを飾り、大歓声に応えた。ポカンは何が起こったか分からないという様子でまだ試合を続けようとし、レフェリーに制止されるとポカンとした表情で勝ち名乗りを受けるドリューを見つめた。
▼第8試合 ミドル級 5分3R
○チェール・サネン(アメリカ)
判定 ※三者とも30−27
●ダン・ミラー(アメリカ)
ジェレミー・ホーンとデミアン・マイアに連敗を喫しているサネンと、UFNとUFCで3連勝しているミラーの対戦。サネンは23勝10敗1分、ミラーは11勝1敗1無効試合。当初、ミラーは岡見勇信との対戦が決まっていたが、岡見の欠場によりサネンが直前のオファーで出場となった。
1R、前に出るサネンにインローを飛ばすミラー、サネンがタックルに入るがフロントチョークに捕まる! 金網に押し付けながら首を引き抜いたサネンが立ち上がり、パウンドを見舞う。ヒジも混ぜながらパウンドを叩き込むサネンに、下から足を使ってディフェンスするミラーは足関節に行くが、すぐにサイドを奪ったサネンがヒジ!
ミラーはクロスガードからラバーガード、サネンは構わずパウンドとヒジ。中腰になったサネンが足を払いながら強烈な右を振り落とす。ヒジを使って腕を開かせたサネンは、そのままスライドさせるようにヒジを打つ。
2R、ミラーのローをキャッチしたサネンがテイクダウンに行くが、またもミラーがフロントチョーク。これは決まらず、サネンが胴タックルからリフトアップしてテイクダウンするとミラーがまたもフロントチョーク。しかし、サネンはやはり首を引き抜いてパウンドに行く。ガードをとるミラーに、しつこくパンチを入れていくサネン。片足を持ってコントロールしながら、左のパンチを振り下ろす。
3R、ミラーがフックからアッパーで前に出ると、力なく下がっていくサネン。しかし、タックルでテイクダウンを奪う。抱え込むミラーと、腕を引き抜いてはパンチ、ヒジを入れるサネン。膠着気味の展開に場内にはブーイングが沸き起こる。残り時間30秒、ミラーは下から三角絞めを仕掛けていくが、サネンは身体を起こしてディフェンス、パンチを入れて試合終了を迎えた。
疲労しきったサネンだったが、判定で勝利を収めた。
▼第7試合 ライト級 5分3R
○フランク・エドガー(アメリカ)
判定 ※三者とも30−27
●ショーン・シャーク(アメリカ)
UFCの大ベテランである元ライト級チャンピオンの“筋肉鮫”35歳シャークが、27歳のエドガーを迎え撃つ。どちらもレスリングベースという対決。
1R、どちらもオーソドックスに構え、ジリジリと近寄って右フックを狙っていくのがシャーク。エドガーはパンチをフェイントにタックルを仕掛けていく。エドガーがパンチを連打、ステップを使って回り込んでいく。シャークの左フックをヘッドスリップしたエドガーが片足タックルに入るが、テイクダウン出来ずすぐに離れる。
シャークの右ローにタックルを合わせ、テイクダウンを奪うエドガー。ガブりながら首を固めるが、スタンドに戻る。ステップで大きく回りこんで行くエドガーに、パンチで迫っていくシャーク、エドガーがかわして右ボディから右フックをヒットさせる。
2R、シャークがいきなり左フック、ジリジリと追っていくが、ステップを使うエドガーを捕まえきれない。フック、アッパーを当てては離れるアウトボクシングを展開するエドガー。シャークは空振りが目立つ。
ステップとヘッドスリップ、パーリングを使って巧みにシャークのパンチをかわしていくエドガー、左アッパーからの右フックが何度もヒットする。シャークが左右フックで突っ込むとエドガーがブロックしながら右フック&右ボディ。エドガーはタックルに行くと、すぐに放して右ハイキック。
3R、自分のパンチを当ててシャークのパンチを空振りさせるエドガーだったが、シャークが満を辞してのタックルでテイクダウン! エドガーはバックを奪わせながらすぐに立ち上がる。ジャブとステップを使い、シャークの左右フックを空振りさせるエドガーは、右フックから右ボディ。パンチはヒットさせるが、タックルでのテイクダウンは奪えない。
シャークが片足タックルに行くも、すぐに足を引き抜くエドガー。シャークの左フックを空振りさせて右ストレートをヒットさせ、すぐにステップで距離をとる。エドガーの左アッパーから右フック、左ボディ。残り時間僅かでシャークがタックルで勝負をかけたところ、エドガーがフロントチョーク! これはガッチリと極まったかに見えたが、すぐに試合終了のホーンが鳴った。
勝ちを確信したエドガーはガッツポーズ! 判定はその通り、3−0でエドガーが勝利を収めた。
▼第6試合 ウェルター級 5分3R
○ブロック・ラーソン(アメリカ)
一本 1R3分6秒 ※肩固め
●マイク・パイル(アメリカ)
ラーソンの対戦相手が書類の不備で欠場となり、急遽出場となったパイル。サウスポーに構えたラーソンはパンチからタックル、パイルは下から膝十字を狙って行く。これをかわしたラーソンはバックを奪い、ガードに戻ったマイクへパウンドを落としていく。ラーソンは立ち上がろうとしたマイクにアナコンダチョーク、ガードに戻ったマイクにボディへのパンチから肩固め! 見事な寝技で一本勝ちを飾った。この鮮やかな一本勝ちに、“サブミッション・オブ・ザ・ナイト賞”が送られた。
▼第5試合 ヘビー級 5分3R
○ティム・ヘイグ(カナダ)
一本 1R1分42秒 ※フロントチョーク
●パット・バリー(アメリカ)
1R、ホーストの弟子としてK-1に出場経験のあるパリーの右ハイキックからのストレートでヘイグの動きが止まり、パンチで一気にラッシュをかける。しかし、ヘイグがタックルでテイクダウンし、立ち上がろうとしたパリーのバックを奪う。上を奪い返そうとするパリーの前に出てフロントチョーク! パリーの両足を自分の両足で挟み、動きを封じて逆転勝利を収めた。
▼第4試合 ライト級 5分3R
○カイル・ブラッドリー(アメリカ)
TKO 1R1分3秒 ※パウンド
●フィリップ・ノヴァー(アメリカ)
▼第3試合 ライトヘビー級 5分3R
○クシシュトフ・ソシンスキー(カナダ)
TKO 1R3分17秒 ※右ストレート
●アンドレ・グスマオン(ブラジル)
ヘンゾ・グレイシーの弟子グスマオンと、日本でも有名なプロレスラーであるバッドニュース・アレンの元弟子であったソシンスキー。足を止めての打ち合いでソシンスキーが有利に立つ。連打で金網際に追い詰めたソシンスキーの右ストレートがアゴを打ち抜き、一瞬にして全身から力が抜けたグスマオン! 見事なKOでソシンスキーが勝利を得た。
▼第2試合 ウェルター級 5分3R
○吉田善行(日本/東京イエローマンズ)
一本 1R2分24秒 ※フロントチョーク
●ブランドン・ウルフ(アメリカ)
初参戦となった『UFC.84』では僅か56秒で一本勝ちを飾るも、2戦目の『UFC Fight for
the Troops』では1RでKO負けを喫した吉田。次々と日本人選手がリリースされる中、勝利を収めて留まりたいところだ。
1R、サウスポーの吉田は前後に動いてプレッシャーをかけると、パンチを放ってきたウルフにパンチから組み付く。左脇を抱えながらヒザ蹴り、自分から倒れ込んでフロントチョーク! 上に乗った吉田がそのまま占め続けていくとウルフがタップするが、レフェリーがこれを見逃す。吉田は気を抜かず、下になっても首を絞め続け、2度目のタップを奪った。
▼第1試合 ライト級 5分3R
○ジョージ・ループ(アメリカ)
判定2−1 ※30−27、28−29、30−27
●デイブ・カプラン(アメリカ)
※今大会の模様は5月24日(日)22:00よりWOWOWにて放送。リピート放送は5月27日(土)午前5:50〜。
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