▲写真左より準優勝のナヴァロ、優勝の田中、3位の赤石
11月21日(土)東京体育館にて国際空手道連盟極真会館「第41回オープントーナメント全日本空手道選手権大会」が行われ、第4回世界ウェイト制(2009年)軽重量級覇者・田中健太郎が優勝を果たした。
128名が参加し、体重無差別のトーナメントで“空手日本一”の座を争う極真会館の全日本大会。今年は日本から田中を筆頭に、第4回世界ウェイト制中量級覇者・森善十朗、第37回(2005年)&第38回(2006年)全日本大会覇者・内田義晃、第25回全日本ウェイト制(2008年)重量級覇者・赤石誠、第26回(2009年)同覇者・徳田忠邦らが出場。 海外からも第9回(2007年)世界大会4位ダルメン・サドヴォカソフ(ロシア)、同6位アレハンドロ・ナヴァロ(スペイン)、同7位エドアールド・タナカ(ブラジル)、同ベスト16のヌルマガメド・マメドフ(ロシア)といった世界大会で実績を残している選手たちが名を連ねた。 近年は全日本大会でも海外勢の躍進が目立ち、決勝戦が日本人VS外国人選手という顔合わせが2大会連続で続いたが(※第9回世界大会は第39回全日本大会を兼ねる)、今年の決勝も田中とナヴァロの間で争われることになった。 第4回世界ウェイト制の決勝で対戦し、大接戦を演じたこの2人。この日の田中が突きと下段廻し蹴りを的確に当てれば、ナヴァロが怒涛の突きの連打で前に出るという一進一退の攻防となる。しかし本戦の終了間際にナヴァロが2度目の顔面殴打の反則をしてしまい、痛恨の減点。この減点が判定に影響し、田中が本戦5−0でナヴァロを撃破。田中が全日本王座の海外流出を阻止すると共に、5年ぶり2度目の優勝を果たした。 大会終了後、「今回は本戦で倒すことを目標にやってきました。ただ一歩手前で行ききれなかったですね。決勝戦も腹が効いていたのは分かったんですが、見ている人には分かりにくかったかもしれません。やりたいことが出来なかったですね。優勝した出来たことについて周りの方々に感謝はしていますが(優勝は)喜べないです」と険しい表情で試合を振り返った田中。 松井章圭館長は「決勝戦は図らずもウェイト制の決勝戦と同じ組み合わせになりました。ある意味、順当な結果だったと思います。
今回の成果を2年後の世界大会に活かすことが出来るように昇華して欲しい」と大会を総括。 田中自身も「松井館長も言われていましたが、これでようやくスタートラインに立ちました。
ここからどう次につなげていくか。世界大会に向けて大変な2年になると思います。休んでいる暇はないです」と勝利の余韻に浸ることなく、2年後の世界大会に向けて、すぐに練習を再開したいと語った。 国際空手道連盟極真会館
「第41回オープントーナメント全日本空手道選手権大会」 2009年11月22日(日)東京体育館 開場10:00 開会式11:30 ▼決勝戦
○田中健太郎(川崎中原支部) 判定5−0 ●アレハンドロ・ナヴァロ(スペイン) 第4回世界ウェイト制の決勝でも対戦し、大接戦を演じているこの2人。田中はここまで全試合、本戦での勝利と安定感のある強さを見せているが、ナヴァロもここまで危なげなく勝ち進んできた。田中はナヴァロから日本の牙城を守ることが出来るか? 足を止めてどっしりと構える田中に歩み寄るナヴァロ。非常に近い間合いからナヴァロは左の突き、右の膝蹴りで攻める。田中はそれを受けて右の下段廻し蹴り、右の膝蹴りを返す。田中の右足を内側から蹴って、突きで前に出るナヴァロ。田中が強烈な右の下段廻し蹴りを当てると、ナヴァロはそこに右の突きで飛び込む。しかしここでナヴァロの左の突きが田中の顔面に当たってしまい、ナヴァロでに注意が与えられる。 しかし再開後、ナヴァロが怒涛のラッシュ! 左右の突きの連打で前に出ると、左の中段蹴り、膝蹴りと攻撃をまとめて前に出る! 田中も下がりながら前蹴り、右の下段廻し蹴りを返して応戦。田中が右の下段を蹴ると、ナヴァロはそこに右の突きを合わせる。白熱した攻防が続く中、終了間際、ナヴァロの突きが再び田中の顔面を捉えてしまい、ナヴァロにとっては痛恨の減点1。試合が再開になった瞬間、試合終了の合図が鳴らされた。 判定はナヴァロの減点の影響もあり、田中が判定5−0で勝利。今年の世界ウェイト制の決勝でも対戦したナヴァロに苦しめられたものの、田中が辛くもナヴァロを振りきり、全日本王者の称号を手にした。 試合後、インタビューを受けた田中は「(ナヴァロと)前回、対戦した時は試割り判定だったので、今回は内容で決着をつけたいと思いました。試合をする前は絶対に負けられないという気持ち、それだけでしたね。(日本代表の重みはありました?)でもそれを力にすることが出来たので、優勝できたと思います」と決勝戦を振り返った。
▼3位決定戦
○赤石 誠(総本部) 判定4−0 ●木立裕之(本部直轄浅草道場) リーチで勝る赤石は左の下突きから右の下段廻し蹴り。左の中段蹴りで木立に距離を詰めさせない。木立が前に出て来ると、下がりながら攻撃を返す赤石。右の下段廻し蹴りをこつこつと当てる。さらに赤石は右の下段廻し蹴り、右の膝蹴りで木立を下がらせる。終盤、赤石の攻撃で場外にまで押し出される木立。このまま試合終了となり、赤石が3位の座を手にした。
▼準決勝 第2試合
○田中健太郎(川崎中原支部) 判定5−0 ●木立裕之(本部直轄浅草道場) 準々決勝では別府良建を本戦判定で下している田中。一方の木立は世界べスト4のダルメン・サドヴォカソフと体重判定にまでもつれつ接戦を演じている。どっしりと構えて前に出る田中は右の横蹴りで木立を突き放す。木立は左の突きから右の下段蹴り。田中もすぐに右の下段廻し蹴りを返す。間合いを詰めようとする木立に田中は右の膝蹴り。左の突きから右の下段廻し蹴り、左の前蹴りで田中が前に出る。 そこに細かく突きを返し、左の下段を蹴り返す木立。田中は前に出ながら左の下突き、奥足への下段廻し蹴り、後ろ廻し蹴りを見せる。細かく左右の突きを見せる木立。田中はそこに左右の膝蹴りを連打。さらに左右の下段蹴りを蹴って、木立の攻撃を封じ込める。判定は5−0で田中! 2004年以来、2度目の全日本王者に王手を賭けた。
▼準決勝 第1試合
○アレハンドロ・ナヴァロ(スペイン) 延長判定5−0 ●赤石 誠(総本部) ここまで圧倒的な強さを見せ付けて勝ち上がってきたナヴァロ。赤石はナヴァロの壁を越えることが出来るか!? 赤石は距離を取りながら左の下段廻し蹴り。左の突きと左の前蹴りでナヴァロに距離を詰めさせない。そして距離が詰まると赤石は右の膝蹴り。なかなか前に出られないナヴァロだったが、右の突きで大きく前に出ると、そこから右の中段蹴り。赤石が右の下段を蹴ると、ナヴァロはすぐに右の中段を蹴り返す。 さらにナヴァロは意表を突いた後ろ廻し蹴り! ここから左右の突きを繰り出して攻撃の回転を上げる。赤石はそれを受けて右の下段廻し蹴り、さらに前蹴りや膝蹴りを返す。ナヴァロは赤石の攻撃を受けないように左右に回りながら突き。判定は2−0(ナヴァロ)となり、延長戦へ。 延長、左の突きから右の下段廻し蹴りにつなげる赤石。ナヴァロは赤石の下段を受けて左の突きを返す。右の下突きから左の突きを打つナヴァロ。赤石も左の突きを返して右の膝蹴りを蹴る。試合が終盤に差し掛かると、ナヴァロは再び赤石の左右を回りながら突きのラッシュ! このナヴァロの猛攻に赤石は手が出ない。延長の判定は5−0でナヴァロ。遂に外敵・ナヴァロが決勝にまで駒を進める結果となった。
▼準々決勝 第4試合
○田中健太郎(川崎中原支部) 判定5−0 ●別府良建(鹿児島支部) 初日から磐石の強さで勝ち上がり、4回戦ではヌルマガメド・マメドフを下した田中。対するは世界王者・木山仁の後継者として期待される別府。 左右の突きから奥足への左の下段を蹴る田中。別府はそこに左の突き、左右の下段を返す。しかし田中はそれを受けて右の下段廻し蹴り! これが別府の左足を捉える。じりじりと間合いを測りながら奥足への左の下段を蹴る田中。別府もすぐに右の下段を蹴り返す。田中は距離が詰まると左右の膝蹴りと前蹴り。これで別府を突き放して右の下段を蹴る。さらに左右の突きでラッシュを見せる田中。本戦5−0の完封勝利でベスト4に駒を進めた。
▼準々決勝 第3試合
○木立裕之(本部直轄浅草道場) 体重判定 ●ダルメン・サドヴォカソフ(ロシア) カラテ人生の集大成を賭け、悲願の無差別全日本王者を目指す木立。一方のダルメンは2年前の世界大会でベスト4に残っているロシアの強豪選手だ。 お互いに足を止めて近い距離で突きと下段を蹴り合う両者。木立が左の突きから右の下段蹴り。ダルメンは左の下突きから右の膝蹴りを返す。ダルメンの右の膝蹴りを受けて、左の突きを返す木立。ダルメンが前に出ようとすると、木立はダルメンの前足に左右の下段を蹴る。ここで木立が右の目尻をカットしてしまい、ドクターのチェックが入る。 再開後、左の突きから前に出て行く木立。ダルメンは左の突き、右の下段を蹴ってそれを押し返す。細かく左右の突きを返す木立だが、ダルメンは力強い左右の突き、そして下段を蹴って攻撃をまとめる。判定は2−0(ダルメン)で延長戦に入るが、ここで再び木立にドクターチェックが入り、木立は負傷箇所に絆創膏を張って延長戦に臨むことになる。 延長戦、左の突きから右の下段を蹴る木立。ダルメンも左の突きから右の膝蹴り。右の上段蹴り、右の膝蹴りを見せるダルメン。木立も細かい突きの連打を見せるが、ダルメンは木立の左右の動きながら突き、そして膝蹴り。木立もそれを受けて右の下段を蹴り返す。ここでも判定1−0(ダルメン)となり、試合は再延長戦へ。 再延長、木立が左の突きから左の下段蹴り。ダルメンは左の突きから右の下突き、木立の体を突き放して右の下段を蹴る。ここも最後まで互いに一歩も譲らず突きと下段を蹴り合う展開が続いた。判定は0−0となり、結果は体重判定に委ねられることになる。体重は木立79.7kg、ダルメン91.3kgとなり、10kg以上の体重差があるため、木立が勝利! ダルメンとの厳しい一戦を制した。
▼準々決勝 第2試合
○アレハンドロ・ナヴァロ(スペイン) 判定5−0 ●森 善十朗(東京城西支部) 今大会の外国人選手の中でも最も優勝に近いとされているナヴァロは、圧倒的な強さを見せ付けて準々決勝にまで進出。今年、世界ウェイト制初制覇を成し遂げた森はナヴァロを食い止めることが出来るか? 足を使って距離を取りながら下段を蹴る森。ナヴァロは右の突きから距離を詰めて、細かく左右の突きをまとめる。森は距離が詰まると突きから左の下段廻し蹴り。しかしナヴァロが回転の早い突きの連打で森を後退させる。 森の左の下段蹴りを受けて、そこに右の突きから飛び込むナヴァロ。森は足を使ってナヴァロの突進をさばく。ナヴァロが前に出て来ると、前足に下段を蹴る森。しかしナヴァロは構わず突進し、左右の突きから右の上段蹴り、そして右の膝蹴り! 試合が進むにつれてナヴァロの圧倒的な攻撃力の前に森の手数が止まる。最後はナヴァロのラッシュを森が受ける形で試合終了。ナヴァロが本戦で森を下した。
▼準々決勝 第1試合
○赤石 誠(総本部) 判定4−0 ●エドアールド・タナカ(ブラジル) 総本部のエースとして全日本大会初制覇を目指す赤石は準々決勝でブラジルのタナカと対戦。タナカは4回戦で元全日本王者の内田義晃を体重判定の末に下している。 赤石は距離を詰めようとするタナカを突きで止めて、右の下段廻し蹴り、右の膝蹴りを当てる。タナカは近い距離で細かく突きを返すのだが、赤石は右の突きから右の下段廻し蹴りと、攻撃を必ず右の下段にまでつなげる。 タナカも左右の突き、そして赤石の内股に右の下段を蹴るが勢いがない。逆に赤石は右の膝蹴りから右の下段、左の突きから右の下段と、右の下段廻し蹴りを軸にしたコンビネーションでタナカを攻め込む。終盤には右だけでなく左の下段廻し蹴りも当ててタナカを下した。
優 勝 田中健太郎(川崎中原支部/28歳)
準優勝 アレハンドレ・ナヴァロ(スペイン/33歳) 第3位 赤石 誠(総本部/28歳) 第4位 木立裕之(本部直轄浅草道場/37歳)
第5位 ダルメン・サドヴォカソフ(ロシア/26歳) 第6位 別府良建(鹿児島支部/28歳) 第7位 森 善十朗(東京城西支部/24歳)
第8位 エドアールド・タナカ(ブラジル/25歳)
GBRの「極真会館・第42回全日本大会」特集
高橋佑汰VSガンダム、田中健太郎VS赤石誠のスパーリング、森善十朗の日本海式竜巻蹴り、房総の金太郎・荒田昇毅の破天荒すぎる猛特訓などを動画で!インタビューも多数あり |
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