極真空手道連盟 極真館
「第8回全日本ウェイト制空手道選手権大会」
2010年5月3日(月・祝)埼玉・戸田市スポーツセンター
開場10:00 開会式11:00
従来の極真空手ルールに顔面突き、ヒジ打ち、投げ、逆技(立ち関節技)を加えた“真剣勝負ルール”による全日本ウェイト制大会は今回で4回目を迎えた。過去3回は上段(顔面)突きでの一本勝ちが続出したが、今回はルールが浸透してきたためか、打ち合い自体が少なく上段突きによる一本勝ちは過去大会ほど多くは見られなかった。
今大会では初めて韓国以外の外国勢が参戦、今年から極真館に加盟したブルガリアが4名、カナダが1名を送り込んだ。その結果、なんと軽重量級と重量級はブルガリア同士の決勝戦となり、二階級の全日本王座を奪われることに。中量級でもカナダのマット・ボウズが決勝戦に進出し、あわや……というところだったが、昨年の中量級王者・北澤真也が土壇場で王座海外流出を食い止めた。
軽量級と中量級は日本人のみの参加となり、昨年の軽量級王者・時田元樹が二連覇を達成、五十嵐智が中量級を初制覇した。
昨年重量級に出場し、“怪物”のニックネームにふさわしいインパクトを残して優勝した元キックボクシング三階級制覇&四冠王の須藤信充は、体重を102kgに増量して登場。1回戦は不戦勝、準決勝でブルガリアのクラジミール・コーレフと対戦したが、本戦3分の間、下がり続けて何度も場外へ。時折、下がってカウンターのフックを放つも空振りに終わり、ほとんど手を出さずに敗退した。
盧山初雄館長は5月1日、2日に行われた『第16回全日本青少年空手道選手権大会』を振り返り、「来年は1000〜1500人でやることになるかもしれない」と盛況だった大会に満足そう。
今大会に関しては「最初に比べたらみっともない試合が少なくなった。ルールが浸透している証です。これまで海外は半分クローズしていましたが、今回ブルガリアを入れたので来年から一気に増えることになるかもしれない。ロシアもきっと出てくるでしょう。日本人にはさらに頑張ってもらいたい」と、内容には満足しながらも二階級を初出場のブルガリアに持っていかれたことに警鐘を鳴らす。
上段突きありというルールのため、一階級8人のトーナメント枠を増やすことは考えておらず、海外からの参加選手が増えた場合は各国で予選をやって人数を制限するという。それでも「日本は王座を守るどころか海外とは実力に大きな隔たりがある。海外は日本を置き去りにしてどんどん進化している。日本は彼らの2〜3倍努力しなければ勝てない」と、日本人選手たちに発破をかけた。
▼軽量級(−60kg)決勝戦
○時田元樹(埼京・城北/前年軽量級優勝)
試割り判定 15枚−13.5枚
●遊佐真介(川崎元住吉支部)
軽量級は昨年の優勝者・時田元樹が1回戦を不戦勝、準決勝を左上段突きと右上段突きによる合わせ一本で勝ち上がり、決勝戦へ進出。対するは昨年3位の大熊裕幸を準決勝で判定3−1に破った遊佐真介だ。
サウスポーの時田は右へ回り込みながら左中段廻し蹴りと右下段廻し蹴り。遊佐は飛び込んでの左右フックを繰り出すが、時田は右フックで迎え撃つ。両者とも距離をとっての蹴りを多用し、時折、連打で飛び込んでくる遊佐に時田が右フックを合わせるという展開で終了。
本戦の判定は0−0で延長戦へ突入。やはり右へ回り込む時田が左中段廻し蹴りと右下段廻し蹴り。遊佐がパンチで入ってくると左ストレートを繰り出す。遊佐の左下段廻し蹴りに右上段廻し蹴りを合わせるが、これは受け止められて両者転倒。決定打がないまま延長戦が終了し、時田に旗が一本上がったが引き分け。勝負は試割り判定に持ち込まれ、遊佐が13・5枚、時田が15枚で時田の二連覇が決まった。
RESULT
優 勝 時田元樹(埼京・城北/前年軽量級優勝)
準優勝 遊佐真介(川崎元住吉支部)
3 位 大熊裕幸(埼京・城北/前年軽量級3位)、山田博明(さいたま中央)
▼軽中量級(−65kg)決勝戦
○五十嵐 智(愛知県)
延長1回 判定3−0
●中川裕介(さいたま中央/前年軽中量級準優勝)
五十嵐智が、準決勝で2008年の軽中量級王者・渋谷俊から右フックで技ありを奪って決勝戦へ進出。もう一方のブロックからは昨年の準優勝者・中川裕介が1回戦を試割り判定、準決勝は左フックによる合わせ一本勝ちで勝ち上がってきた。
サウスポーの五十嵐に右中段廻し蹴りをヒットさせる中川。五十嵐も右下段廻し蹴りで反撃し、左下段廻し蹴りで転倒させる。右のパンチを連打して前へ出る五十嵐、勢いあまって両者とも場外へ転落してしまう。再開後、両者ともパンチを繰り出すが決定打はなく、中川に旗が1本上がったが引き分けで延長戦に。
蹴りの応酬からパンチの打ち合い、中川が前蹴りを効果的に使う。しかし、五十嵐が連打で前へ出ると中川を場外へ押し出す! 上段廻し蹴りの相打ちから、五十嵐が片手で道衣を掴んでのパンチを連打! これが決め手となり、判定3−0で五十嵐が初優勝を飾った。
RESULT
優 勝 五十嵐 智(愛知県)
準優勝 中川裕介(さいたま中央/前年軽中量級準優勝)
3 位 渋谷 俊(城南川崎)、田中晶典(さいたま中央/前年軽中量級優勝)
▼中量級(−72kg)決勝戦
○北澤真也(城南川崎/前年中量級優勝)
判定5−0
●マット・ボウズ(カナダ)
昨年の優勝者・北澤真也が、1回戦でアマチュアシュートボクシング3位の実績を持つ山田義浩に左フックで合わせ一本勝ち、準決勝は京都支部長の谷口雅春を試割り判定で振り切り、決勝の舞台へ。対するはカナダから参戦したモヒカン頭のマット・ボウズ。1回戦は不戦勝、準決勝は延長戦で右フックと右アッパーで技ありを奪い、合わせ一本勝ちを飾っている。
全日本の王座を死守したいサウスポーの北澤は、しっかりとガードを上げながら左下段廻し蹴りを徹底的に狙う。両者組んでのヒザ蹴りの打ち合いが何度か見られ、北澤はパンチから突っ込んで行って組んでのヒジ打ちも繰り出す! 左中段廻し蹴りをヒットさせ、怯んだマットにパンチの連打から組んでのヒザ蹴り連打! クリンチでしのぐボウズに注意が与えられる。
その後も組んでのヒザ蹴りを有効に使い、ボウズの上段廻し蹴りをかわして下段を蹴り込んで行く北澤。下段からの左フックを北澤が繰り出したところで試合終了となり、判定5−0で北澤が二連覇を達成した。
RESULT
優 勝 北澤真也(城南川崎/前年中量級優勝)
準優勝 マット・ボウズ(カナダ)
3 位 谷口雅春(京都)、ソル・ドン・ハン(韓国)
▼軽重量級(−80kg)決勝戦
○ニコライ・アタナソフ(ブルガリア)
合わせ一本勝ち ※右下段廻し蹴り
●ニコライ・ヨルゴフ(ブルガリア)
ブルガリア同士の決勝戦となった軽重量級。身長183cm、体重80kgの18歳ニコライ・ヨルゴフは1回戦を右ストレートによる合わせ一本勝ち、準決勝も左フックでの一本勝ちと圧倒的な強さでの決勝進出。対するニコライ・アタナソフは身長176cm、体重75kgの26歳。1回戦は右フックと連打による合わせ一本勝ち、準決勝では2008年軽重量級優勝&2007年中量級優勝の菊地先を延長戦の末に判定3−0で破っての決勝進出だ。
アタナソフが内股への左下段廻し蹴りで先制、ヨルゴフが右下段廻し蹴りを放つと、すぐに右下段廻し蹴りを返す。アタナソフのワンツーからの右下段廻し蹴りに転倒するヨルゴフ。アタナソフがジャブからの右下段廻し蹴りを叩き込むと、ヨルゴフが効いた素振りを見せてしまったため、技ありを奪われる。
再開後もアタナソフの左フックから右下段廻し蹴りに仰け反るヨルゴフ。これが技ありとなり、アタナソフが同国対決を制して優勝を飾った。
RESULT
優 勝 ニコライ・アタナソフ(ブルガリア)
準優勝 ニコライ・ヨルゴフ(ブルガリア)
3 位 水谷 玄(大阪北摂/前年軽重量級準優勝)、菊地 先(さいたま中央/前年軽重量級3位)
▼重量級(80kg超)決勝戦
○スラビ・スラボフ(ブルガリア)
一本勝ち ※右上段突き
●クラシミール・コーレフ(ブルガリア)
軽重量級と同様、ブルガリア同士の決勝戦となった重量級。当初、出場予定だった『K-1 WORLD GPリトアニア予選』出場者のトドール・トドロフに代わって参戦したスラビ・スラボフは、1回戦でイ・イム・ゴンを右フックで合わせ一本勝ちに破り、準決勝では本部内弟子のキム・スン・ヒョンを判定4−0で下しての決勝進出。クラジミール・コーレフは1回戦で右ストレートとヒザ蹴りによる合わせ一本勝ちを飾り、準決勝では昨年の優勝者・須藤信充を本戦判定4−0で破って決勝へ駒を進めてきた。
スラボフは身長182cm、体重89kgの37歳。コーレフは190cm、99kgと巨漢の25歳。
両者ともパンチを出しては組み合うという展開が3度続いたが、コーレフの蹴り足を掴んだスラボフが2度転倒させる。さらにスラボフは鮮やかな足払いでコーレフを転倒させ、下段突きを決めたがこれは技ありには至らず。再開後、パンチと下段廻し蹴りの応酬があり、コーレフが前蹴りを出したところへスラボフが右フック! これが決まってコーレフが倒れ、スラボフが一本勝ちで重量級を制した。
RESULT
優 勝 スラビ・スラボフ(ブルガリア)
準優勝 クラシミール・コーレフ(ブルガリア)
3 位 須藤信充(城南大井町/前年重量級優勝) 、キム・スンヒョン(韓国/前年重量級3位)
技能賞 中川裕介(さいたま中央/前年軽中量級準優勝)
試割り賞 菊地 先(さいたま中央/前年軽重量級3位)23枚
敢闘賞 イ・イム・ゴン(韓国)
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