M-1MC
「M-1 RAJA BOXING SINGHA BEERムエタイチャレンジ
『NAI KANOMTOM vol.2』」
2010年6月6日(日)東京・ディファ有明
開場15:30 開始16:00
▼トリプルメインイベント第3試合 WPMF世界ライト級タイトルマッチ 3分5R
○カノンスック・ウィラサクレック(WSRフェアテックス/挑戦者・同級4位)
判定3−0 ※50−46、50−46、49−46
●増田博正(スクランブル渋谷/王者)
※カノンスックが新王座に就く。
37歳にして進化を続け、世界チャンピオンの座に君臨する“キックの鉄人”増田。3連勝で迎えた43戦目は、世界タイトル2度目の防衛戦だ。
挑戦者は日本を主戦場に闘うムエタイ戦士のカノンスック。77戦のキャリアを誇り、最近は以前のハードパンチャーぶりが鳴りを潜めていたが、まだ23歳と若く老け込むには早すぎる。現在4連勝でこの試合を迎えた。
カノンスックは近年にないほど身体が引き締まっている。表情も気合い十分だ。両者ワイクーを舞って試合開始。
1R、サウスポーの両者、パンチを走らせてくるカノンスックに増田は左ローキックを的確に当てていき、カノンスックの強振にも慌てずしっかりブロックしてローを返す。カノンスックも強い左ローを蹴る。終了間際、カノンスックがコーナーでパンチを連打したが、増田はすぐに首相撲に持ち込んで動きを制した。オープンスコアはジャッジ三者とも10−10(※WPMFタイトル戦はオープンスコアリングで行われる)。
2R、両者共に左ローを交互に当てていく。カノンスックはローから左右フックを振り回し、増田も負けじとローから左ストレート。ローからパンチの圧力を強めていくカノンスック。増田は左ローをコツコツと蹴ってダメージを与えていくが、カノンスックの連打にコーナーで詰まる場面も。
オープンスコアはカノンスックの10−9が1名、10−10が2名。
3R、両者ともパンチからローの蹴り合いを展開。相手のローにパンチを合わせる展開が続く。相手の攻撃を受けて返し、手数で少しずつ上回る増田の得意戦法“ジャパニーズ・フィームー”をカノンスックも実行しているように見える。増田はじっくりと構えてカノンスックのローに左ローを返していく恐ろしいほどの冷静ぶりだが、カノンスックの左ローの方が強烈でパンチの手数も多い。まさにジャパニーズ・フィームーを逆に仕掛けられているようだ。増田が首相撲でカノンスックを転倒させる場面もあったが、オープンスコアは10−9で増田が1名、カノンスックが2名。
4R、ローの蹴り合いが続くが、カノンスックはパンチでも前へ前へと出てくる。増田の左ストレートがクリーンヒットすれば、カノンスックも左フックをヒット。カノンスックのアグレッシブさが目立ち、首相撲でも2回転倒させる。増田はローが効いているのか、立つのが辛そうな様子だ。オープンスコアはジャッジ三者とも10−9でカノンスックが取った。
5Rも増田の左ローとカノンスックの左ローが交互に相手を捉え、一進一退の攻防が続いたが、突如、カノンスックがジャンプしての左ハイキック! この一発が強烈に決まり、増田は倒れずともその場で棒立ち。すかさず左右のフックでラッシュをかけるカノンスック、増田は耐え切れずにダウン!
するとカノンスックはジャブ、前蹴りで突き放し、首相撲で増田をコカしまくる。これ以上ダメージを与えるのは無用、というムエタイの流し方だ。増田は逆転を狙ってローとパンチで攻めていくが、明らかにスピードがなくクリーンヒットを奪えない。そのままカノンスックが逃げ切り、判定3−0で世界タイトルを奪取した。
▼トリプルメインイベント第2試合 M-1ミドル級タイトルマッチ 3分5R
○我龍真吾(ファイティングマスター/元M-1ミドル級王者/挑戦者)
判定3−0 ※50−45、50−46、49−47
●悠生(スタレントネットワークス/王者)
※我龍が王座返り咲き、第3代王座に就く。
昨年5月23日、大麻取締法違反で逮捕(不起訴処分)され、M-1ミドル級王座を返上。同年8月15日に復帰した我龍が王座奪回を目指すため約7カ月ぶりにM-1のリングに立った。
迎え撃つチャンピオンの悠生は、昨年8月2日にマット・テーチャカリンを王座決定戦で下しベルトを獲得したが、その後はまさかの2連敗。今回が正念場となる。
1R、我龍はワンツー・ロー、ワンツー・ローで的確に右ローをヒットさせていく。この右ローが早くも効果を発揮し始め、我龍は打ち合いにも持っていき、レバーブローからヒザ蹴りのボディ攻め。悠生はバックブローとローで反撃するが、我龍の勢いに押され気味。オープンスコアは我龍の10−9が2名、10−10が1名。
2R、我龍は右フック→左レバーブローを連打、テンカオと組んでのヒザ蹴りも連打し、ボディへのダメージを蓄積させていく。さらに左右フックの連打と右ロー、悠生はパンチとローで応戦するが、やはり我龍の気迫に押され気味で手数が少ない。オープンスコアは三者とも10−9。
3R、悠生がバックブローを皮切りにパンチでラッシュをかけ、我龍はワンツー・ロー、ワンツー・ローで確実に右ローを入れていく。レバーブローも交えての攻撃。悠生はローを返して、ようやくエンジンがかかってきた様子。オープンスコアは我龍10−9が1名、悠生10−9が1名、残り1名は10−10と三者三様。
4R、ロー、パンチ、組んでのヒザ蹴りで悠生が前へ出ての攻勢。我龍はややスタミナ切れだが、ワンツー・ローを繰り返して確実に右ローでダメージを与えていく。前へ出るのは悠生だが、我龍の攻撃をもらい優勢には見えない。オープンスコアは三者とも10−10。
5R、両者が意地のローの蹴り合い、そして組んでのヒザ蹴り。その中でも、我龍の右ローが的確に相手を捉える。ついに我龍の右ローで大きくバランスを崩す悠生! そこで「残り1分」のコール。我龍が両手を差し出す。“我龍タイム”だ! 悠生もこれに応じ、3度手を合わせてから両者ノーガードで打ち合いを始めるが、我龍のワンツー・ローの連打で悠生がダウン!
悠生が立ち上がると、再び両手を差し出して我龍タイムを要求する我龍。悠生もこれに応えたが、最後まで我龍がワンツー・ローで押し切った。大差の判定で王座を奪回した我龍は思わず男泣き。
我龍はマイクでファンとスタッフにお礼を言い、「自分は1年前、お客さんに本当に申し訳ないことをしてベルトを返上しました。また試合をさせていただき、本当にありがとうございます」と不祥事を詫びる。
そして「私事ですが、昨日の計量1時間前に最愛の人にフラれました。それですっかりやる気をなくしてしまったんですが、本当に皆さんの温かい応援のおかげで気合いを入れて、ベルトを獲ることが出来ました。今日まで自分を支えてくれた彼女のことを凄く愛していて、生まれてから今まで、この世で一番愛している人だったので、僕は約束します。僕はもう一生彼女を作りません! 一生彼女を愛し続けます。約束します。それくらい愛していました!」と、異例の“もう彼女は作らない宣言”を行った。
▼トリプルメインイベント第1試合 初代M-1ライト級王座決定戦 3分5R
○遠藤智史(ヌンサヤーム/元全日本ライト級王者)
KO 2R2分49秒 ※右フック
●壮泰(士道館橋本道場/MA日本スーパーライト級王者)
※遠藤が初代M-1ライト級王座に就く。
決勝戦に進出していた中村敏射が、カンボジアの試合において目を負傷し、緊急手術のため欠場。代わってその中村に準決勝で敗れた元全日本ライト級チャンピオンの遠藤が繰り上げ出場となり、MA日本スーパーライト級チャンピオンの壮泰とM-1初代ライト級王座を争う。
1R、両者高めのミドルキックの蹴り合いで様子を探り、壮泰はワンツーの右ストレートを当てていく。サウスポーの遠藤は左のボディストレート。
両者は蹴り合いながら、その蹴りにパンチでのカウンターを合わせていく。ラウンド終了間際には組んでのヒザの蹴り合いも見られた。オープンスコアはジャッジ三者とも10−10。
2R、やはりお互いに高めのミドルを蹴り合いつつ、ローキックの返し合いをする。壮泰は右ストレートをヒットさせていくが、遠藤はいきなり足を止めての打ち合いを仕掛ける。
壮泰もこれに応じたが、壮泰の左フックに遠藤が左ロングフックをカウンターで合わせた! 崩れ落ちる壮泰、ダウンを喫する。
立ち上がるも足元がおぼつかない壮泰に、遠藤はパンチでラッシュ。壮泰も打ち返すが、遠藤の前進力が優り、左ストレートで壮泰の頭が跳ね上がる。遠藤はパンチから組んでのヒザ、壮泰もパンチで必死の反撃。
しかし、コーナーへ追い詰められたところで左フックをもらい、壮泰はマットに沈んだ。遠藤が見事なKO勝ちで、敗者復活の戴冠となった。
「いつも面白くない試合をしているのにみんなが応援してくれたから、諦めなくて続けることが出来ました。いま言えることは、日本にはチャンピオンがたくさんいるので、そいつらを1人1人倒していきたいと思います」と、遠藤は高らかに“王者狩り”を宣言した。
▼第9試合 WPMF JAPAN査定試合 59kg契約 3分5R M-1ムエタイルール
○TURBO(チームOJ/元WMAF世界スーパーフェザー級王者)
TKO 5R2分41秒 ※ヒジによるカット→ドクターストップ
●前田尚紀(藤原/元・全日本フェザー級王者)
3・21ディファ有明大会で末廣智明にまさかの敗北を喫した前田が、復帰戦で再びWPMF日本ランキング査定試合に挑む。対戦相手のTURBOとは2005年12月5日の『藤原祭り2005』で対戦し、この時は残り時間2〜3秒で前田がダウンを奪い、3R判定3−0で勝利を奪っている。約5年ぶりの再戦、5Rの決着はいかに?
1R、右へ回り込みつつハイ&ローキックを蹴るTURBO、前田はその動きに構わずどっしりと構えて右ロー。TURBOが左前蹴りを繰り出したところで、思い切り伸びる右ストレートをカウンターでヒットさせ、早くもダウンを奪う! 前田はパンチでラッシュ、TURBOもラウンド終了間際にラッシュを仕掛け返し、前田をロープ際へ追い詰める。
2R、TURBOが左ミドル、左ハイ、左ストレートと左の攻撃を上下に散らす。前田は突っ込んでのワンツーをヒットさせる。TURBOは蹴り数をアップさせていくが、前田は重い一発を返し、ヒジも狙っていく。
3R、前田はパンチからロー、TURBOは回り込んでの蹴りを狙うが、両者とも攻めあぐねている感があり、レフェリーがファイトを促す。以外にも噛み合わない試合展開となっていく。TURBOの前蹴りで3度も大きく吹っ飛ばされる前田、さらにTURBOは組んでのヒザ蹴り連打。前田はボディを効かされたか。
4R、TURBOが左ミドル、前蹴りで徹底的にボディを狙う。ボディブローのフェイントをかけてのアッパーも繰り出すなど、真骨頂を発揮して前田を惑わせる。前田は右フックで倒しに行くが、TURBOのステップを捕らえきれない。
両者共にパンチをもらう場面があるが、TURBOはその後に左ミドルを付け足すため競り合いで少しずつリードしている。
5R、両者共に打ち合いを展開する。この勝負を懸けた打ち合いは前田がやや押し気味。いよいよ“前田劇場”の開幕か。しかし、空振りが目立つ。TURBOはパンチだけではなく前蹴りで突き放したりする場面も見せ、パンチ一辺倒の前田に右ヒジ! 攻撃をやめない前田だったが、TURBO右ストレート、左ミドルで前田を下がらせたところでレフェリーが割って入った。
ドクターチェックが行われ、前田の右目下がバックリと大きな傷口を開けていることが確認されると、ドクターはストップを告げた。うなだれる前田は、TURBOの呼びかけにも気づくことなくリングを降りていった。
▼第8試合 日泰国際戦 53kg契約 3分3R M-1エクステンションルール
○藤原あらし(バンゲリングベイ・スピリット/元WPMF世界スーパーバンタム級王者)
延長R 判定3−0 ※三者とも10−9
●サイヤノーイ・ルークフアタノン(タイ/ルークフアタノン)
今年1月23日ノラシン戦に敗れた後、新田明臣率いるバンゲリングベイ・スピリットに移籍したあらし。心機一転、ガウンもトランクスも入場曲も新しいものに変えて、復帰戦に臨んだ。階級も今までのスーパーバンタム級55kgからバンタム級53kgに落とし、今後はスーパーフライ級も見据えていくという。
対するサイヤイノーイはムエタイのTVマッチBBTVで活躍中の18歳、タイのビッグプロモーターであるソンチャイプロモーションからの刺客だ。
1R、サウスポーのあらしは左ボディストレートを主軸に右ローキック、左ハイキックも蹴っていく。左ボディストレートでスタミナを削り、右ローでダメージを与えていく作戦か。サイヤイノーイは鋭い左ミドルを返し、右ミドルから右ストレートにつなげてくる。左ハイキックはあらしがスウェーバックで見事にかわす。
2Rになるとサイヤイノーイはいきなりテンポアップして、スピード・パワー共に見違えるような動きに。重い右ミドルを蹴り続け、組むとヒザ蹴り。あらしはボディブローと右ローで応戦するが、サイヤイノーイの鋭い攻撃の方が決まっている。
3R、あらしもテンポアップして早いリズムの左ミドルとパンチで追い詰めていく。ヒザ、アッパーがクリーンヒット。あらしの左ミドルが快音を発して決まり、サイヤイノーイも右ミドルを蹴り返して来る。あらしのヒザ、ボディブロー、左ミドルによるボディ攻めが効いた印象だが、判定はドローで延長戦に突入する。
ここで両者は組んでのヒザ合戦を展開する。あらしは左右のストレートで飛び込み、相手の胴に両手を回して固めてのヒザ蹴り。サイヤイノーイはテンカオから組んでのヒザ蹴りに行くが、組み際の前にあらしがパンチをヒットさせていたのが勝敗を分けた。若きムエタイ戦士との競り合いに勝利したあらしは、観客席へ向かって「これからも頑張ります。よろしくお願いします!」と叫んだ。
リングに7月19日(月・祝)東京・ディファ有明にて開催される『REBELS 3』で対戦が決定したTOMONORIが上がり、「TOMONORI選手はこれから研究する感じなので、これから考えていきたい」(あらし)、「キックボクシングの歴史に残る、軽量級の素晴らしさを伝えたい」(TOMONORI)とそれぞれ意気込みを語った。
▼第7試合 ヘビー級 3分3R M-1エクステンションルール
○KOICHI (バンゲリングベイ・スピリット/M-1ヘビー級王者)
KO 2R2分32秒 ※左右フック連打
●瀧川リョウ(フリー/K-1JAPAN GP’98第3位)
ファビアーノ・サイクロンとWPMF世界ヘビー級王座を争うことが決まっていながら、怪我のためタイトル獲得のチャンスを失ったKOICHIが再起戦。対するは5月に40歳になったばかりの滝川だ。
1R、KOICHIが右ローを狙い撃ちにし、滝川はKOICHIがパンチを出すとフックを被せてくる。1Rに大きな動きはなかったが、2Rになると滝川が足払いや足掛けでKOICHIを何度も転倒させてスタミナを奪っていく。KOICHIは疲れを感じさせながらも、パンチから右のヒザで滝川のアゴを直撃! かち上げたところへ左右フックを打ち込み、滝川はバッタリと倒れて担架に乗せられた。
▼第6試合 WPMF JAPAN査定試合 フェザー級3分3R M-1エクステンションルール
○森井洋介(藤原/元全日本同級9位)
判定3−0 ※三者とも29−26
●コンパヤック・ウィラサクレック(タイ/WSRフェアテックス/M-1スーパーバンタム級王者)
12勝(4KO)1敗1分という好成績を誇る森井はまだ21歳、小林聡、中村高明、山本真弘、前田尚紀に続く藤原ジムの新鋭である。対するは藤原あらしをKOしたのを始め、多くの日本人選手を得意のハイキックで葬っているコンパヤック。
1R、森井は師匠・藤原敏男を髣髴とさせるような独特のフットワークから、右ストレートをボディに狙い撃ち。コンパヤックは早くもパンチにハイキックを合わせてくる。しかし、森井は右ストレートで飛び込んで効かせると、グラついたコンパヤックに左右フックとアッパーの連打! もう一度の右ストレートでダウンを奪う。立ち上がったコンパヤックは組んでのヒザでピンチを凌ぐ。
2R、序盤に森井が左スイングフックからのコンパクトな右アッパーで2度目のダウンを追加! 追い込まれたカノンスックは右ローを狙い撃ちし、今度は森井が足を上げてダメージが見られる。それでも森井はフックにフックを合わせ、ローを蹴り返す。
3R、コンパヤックが左右フックとローで猛反撃を開始。積極的に前へ出て攻める。森井もローを返し、ジャブを突いて応戦。ローはお互いにヒットさせて共にダメージが見た目にも明らかに。コンパヤックが気迫を見せてやや押したが、2度のダウンを挽回することは出来ず、森井が殊勲の勝利を収めた。
▼第5試合 WPMF JAPANランキング戦 ウェルター級 3分3R M-1エクステンションルール
○田中秀弥(RIKIX)
判定3−0 ※三者とも30−28
●渡部太基(藤原/元・全日本ウェルター級9位)
▼第4試合 WPMF JAPAN査定試合 ヘビー級3分3R M-1エクステンションルール
○大石 亨(日進会館)
判定3−0 ※30−29、30−28、30−29
●エド・リョーマ(バンゲリングベイ・スピリット)
▼第3試合 WPMF JAPAN査定試合 70kg契約 3分3R
○清水 武(藤原/元・全日本スーパーウェルター級7位)
判定3−0 ※30−28、30−27、30−27
●柿崎孝司(WSRフェアテックス)
▼第2試合 WPMF JAPAN査定試合 ライト級3分3R M-1エクステンションルール
○増田卓人(町田金子)
TKO 3R2分24秒 ※ヒジによるカット→レフェリーストップ
●金澤元気(新宿レフティー/J-NETWORK同級7位)
▼第1試合 WPMF JAPAN査定試合 55kg契約 3分3R
○キム・ギフン(バンゲリングベイ・スピリット)
判定3−0 ※29−28、29−28、30−29
●宮崎貴大(WSRフェアテックス)
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