▲石井（右）がアピサック（左）を破り、史上4人目の外国人チャンピオンに！

新日本キックボクシング協会
「MAGNUM−27」
2011年10月2日（日）東京・後楽園ホール
開場16：45　開始17：00　

▼メインイベント4（第11試合）　ラジャダムナンスタジアム認定スーパーライト級王座決定戦　3分5R
○石井宏樹（藤本/元日本ライト級王者、TOUITSUライト級王者）
判定3−0　※49−48、49−47、49−47
●アピサックK.T.ジム（タイ/同級6位）
※石井が新王座に就く。

　石井は通算4度目となるラジャダムナンスタジアム（ルンピニースタジアムと並ぶムエタイの2大殿堂。この2つのスタジアムが認定するタイトルこそが真のムエタイ世界王座と言われている）のタイトルマッチ。

　過去3回はいずれも判定で敗れており、「次で4度目の挑戦なので、本当に命をかけてリングに上がります」と一大決心で臨む。

　対戦相手は、“ムエタイスーパーツインズ”として2009年3月のM-1に来日したことのあるアピサック。J-NETWORKライト級王者・黒田アキヒロに3RでヒジによるTKO勝利を収めている。

　1R、石井が右ローで先制し、前蹴りで距離を取りながらジャブと左右のローを蹴っていく。アピサックはローを蹴り返しつつ、時折パンチで前に出て石井にロープを背負わせる。石井は回り込みながらジャブ、そしてヒジも繰り出す。

　2Rは1Rよりもテンポをアップし、ジャブとローを次々と決めていく石井。アピサックがミドルを蹴ってくると、必ずミドルを蹴り返す（ムエタイではミドルキックのクリーンヒットのポイントが高いとされている）。アピサックは一気に前へ出てヒジ、首相撲を仕掛けるが、石井もしっかり組んで主導権を握らせない。

　石井はヒジとパンチを織り交ぜ、ボディブローもヒットさせる。アピサックは飛び込んでのヒジを狙う。

　3R、石井の右ローと左フックのコンビネーションが何度も決まる。ミドルを蹴られてもしっかり蹴り返し、アピサックが前へ出てくるところにフックを合わせてすぐに回り込む。アピサックは距離を詰めてのパンチとヒジで勝負を仕掛けるが、石井もヒジを返す。石井はボディブローを入れながら、カウンターのパンチも当てる。

　4Rはミドルの蹴り合いとなるが、石井はその中で左フックからの右ロー。両者ともスネでミドルをブロックしてクリーンヒットを奪わせない一進一退の攻防が続く。アピサックは組んでのヒザ蹴りで勝負に出るが、石井が逆にバランスを崩させる場面もあった。

　5Rも激しいミドルの蹴り合いとなったが、終盤に石井がパンチとヒジでラッシュをかける！　アピサックをコーナーへ詰めてのパンチ＆ヒジ、そしてローキック。試合終了のゴングが鳴ると、石井のセコンドに就いていた元ラジャダムナンスタジアム認定ライト級王者ジャルンチャイが「チャナ！　チャナ！（勝った）」と叫ぶ。

　判定（今回のレフェリー＆ジャッジは全員タイから招いたラジャダムナンのオフィシャル審判員）が読み上げられ、勝者は石井！　4度目の挑戦にして悲願のムエタイ王座を奪取した石井は思わず男泣きし、その場に崩れ落ちた。

　ムエタイ500年の歴史の中で、ラジャダムナンスタジアムのタイトルを獲得した外国人（タイ人以外）は藤原敏男、小笠原仁、武田幸三に続いて史上4人目の快挙だ。

　石井はマイクを持つと「皆さんのおかげでベルトを巻くことが出来ました。自分が巻いていますが、これは皆さんのベルトです。自分が代表して巻かせてもらっているだけです。今まで応援ありがとうございました」と、ファンに感謝した。

▲2R終了間際、喜多村（左）のハイキックが顔面にヒット！

▼メインイベント3（第10試合）　ミドル級タイトルマッチ　3分5R
○喜多村誠（伊原/同級1位/挑戦者）
TKO　3R1分43秒　※ヒジによるカット
●宮本武勇志（治政館/王者）
※喜多村が新王座に就く。

　宮本と喜多村は今回が6度目の対戦。両者は今年5月に同タイトルマッチで対戦し、偶然のバッティングによるドクターストップでノーコンテストとなっていた。今度こそ完全決着なるか？

　1R、喜多村が左右のローを蹴りながら前へ出ると、宮本は左右のフックからボディブローにつなげるコンビネーションで応戦する。喜多村がローを蹴り、宮本がパンチのコンビネーションという図式に。

　2Rも同じ展開で、宮本がボディブローにつなげるコンビネーションパンチで前へ出れば、喜多村がローで押し返す。両者とも転倒が多く、その度に転ばせた方の応援団から大歓声が沸き起こる。喜多村はローと見せかけてのハイキックをヒットさせた。

　3Rが始まるとすぐ宮本にドクターチェックが入った。鼻が切れての流血だ。再開後、ジャンプして宮本に襲い掛かる喜多村。宮本のパンチにヒジを返し、今度は右目の上をカットして大流血に追い込む。

　2度目のドクターチェック後もジャンプして襲い掛かった喜多村はヒジを連発し、宮本がパンチで反撃してもヒジを返す。

　パンチとヒジの打ち合いとなる中、宮本の流血が酷くなり、2度目のドクターチェック。これでドクターストップがかかり、喜多村がタイトル奪取に成功した。

▲いつになく慎重だった江幡（左）だが、キャリアで優るタイ人を破った

▼メインイベント2（第9試合）　日タイ国際戦　54kg契約　3分3R
○江幡　塁（伊原/日本バンタム級王者）
判定2−0　※29−28、29−28、29−29
●クワントーン・ルークペットノーイ（タイ）

　新日本キックのリングでは16戦負けなしの日本バンタム級王者・江幡。今回は16歳ながら江幡の16戦を上回る36戦のキャリアを持つクワントーンを迎え撃つ。

　1R、クワントーンはほぼ右ミドル一本で攻める。前へ出てミドルを蹴るクワントーンに、江幡は下がりながら左右ロー。ラウンド終了間際には左ハイキックでクワントーンをグラつかせて追撃しようとした江幡だが、ゴングが鳴る。するとクワントーンはヒジを見舞ってしまう。

　2R、下がって回り込んでいく江幡にクワントーンは右ミドルで前へ出る。接近すると組んでのヒザ蹴り。このヒザ蹴りに苦しめられた江幡だが、左右ローとフックで反撃。クワントーンもパンチを返して組んでのヒザ蹴りに持ち込む。

　3R、ひたすら下がって攻撃する江幡を追っていくクワントーン。江幡がパンチを出すとクワントーンもパンチを返し、打ち合いの中で江幡が左フックからの右アッパーをヒットさせた。珍しく手数の少ない江幡だったが、最後は軸足蹴りでクワントーンを転倒させ、パンチを入れて判定勝ちした。

▲ジムで共に汗を流した仲間と共に10カウントゴングを聞いた深津（中央）

▼メインイベント1（第8試合）　深津飛成選手引退エキシビジョンマッチ　2分2R
ー深津飛成（伊原/元日本フライ＆バンタム級二階級王者）
勝敗なし
ー蘇我英樹（市原/東洋スーパーフェザー級王者）

　1994年6月10日にプロデビューし、日本フライ級＆バンタム級の2階級を制覇した深津が引退式を行った。エキシビションマッチとしてタイトルマッチやノンタイトルで何度も対戦した蘇我と、1Rはヘッドギアを着用して、2Rはヘッドギアを外してガチンコの殴り合いを展開。場内を沸かせた。

「俺は運動神経が悪くて逆上がりも出来なかった。でも戦闘能力を磨いてここまでやって来ました。こんな俺でもチャンピオンになれるので、みんなも頑張れば勝てるはず。みんな頑張ったら絶対に幸せな人生がおくれます。キックボクシングをやってよかった。本当によかった。被災地の皆さん、これからも一緒に戦いましょう。長い間、ありがとうございました」と、深津は最後のメッセージ。

　2010年4月18日、憧れの立嶋篤史と戦った試合が最後の公式戦となった。生涯戦績は68戦46勝（25KO）15敗7分。現在は吉祥寺でアジアンレストラン「Khuchai（くーちゃい）」を経営している。

▼第7試合　58kg契約　3分3R
○ファーサイ･ヨックタイジム（タイ）
判定2−0　※29−28、30−28、30−30
●兼子ただし（伊原/日本フェザー級2位）

▼第6試合　日本ライト級　3分3R
○湯澤尚矢（伊原/日本ライト級5位）
KO　1R2分10秒
●朴龍(市原)

▼第5試合　日本バンタム級　3分3R
○古岡大八(藤本/同級4位)
判定2−0　※29−29、30−28、30−29
●逸可（トーエル/同級10位）

▼第4試合　日本フェザー級　3分3R
○千久（伊原道場）
判定3−0　※30−28、30−29、30−27
●森本竜太（治政館）

▼第3試合　日本ミドル級　3分3R
○本田聖典（山田）
判定3−0　※30−28、30−29、30−29
●博通（治政館）

▼第2試合　70kg契約　3分2R
○大木翔平（八景）
判定3−0　※20−18、20−19、20−19
●笠島竜二（トーエル）

▼第1試合　日本バンタム級　3分2R
○海彦（伊原）
判定3−0　※20−18、19−18、20−18
●服部竜真（横須賀太賀）