打撃のスペシャリストである吉鷹弘が打撃技術を分析していく連載コラムの特別編。今回は12月31日に行われた『Dynamite!!』で、衝撃的な結末を迎えた長島☆自演乙☆雄一郎VS青木真也を分析する。長島のヒザ蹴りの特徴と、筆者を驚かせた“その後”の動きとは? そして、青木はなぜあのヒザ蹴りをもらってしまったのか!?
■1Rの青木は中盤から“何か”を訴えかけているように見えた
昨年の大みそかに行われた青木VS長島の一戦。結果はすでにご存知の通り、総合ルールに突入した2R目の1分も経たない内に青木がまさかのKO負け……。いったいこの様な結末を誰が予想しただろうか? 少なくとも格闘技に携わる者ならば、総合ルールのラウンドでは誰しもが予想し得なかった、と言っても過言ではないだろう。
1R目は寝技なしのK-1ルールというより打撃ルール。
一発もらえば致命傷にもなりかねないオープンフィンガーグローブによる長島の打撃を、序盤から青木は自ら後ろへ下がって巧みに間合いを保ち、強引に長島が得意の左フックで入ってくれば見事なダッキングで脇を差すように、もしくはタックル気味に間合いを詰めて長島を崩していった。
立ち上がりを見る限り、青木はパンチがよく見えていた。このまま上手く間合いを取りながら、時折、左ミドルを混ぜながらの展開にもっていくのでは……と思った矢先、ラウンドの中盤から展開が大きく変わっていく。というより、青木自らが変えていった様に思えた。
それは“何か”に訴えかけているかのごとく、プロレスの様なドロップキック、そして浴びせ蹴り(胴廻し回転蹴り)、さらには左ミドルを出しながら自らスリップするかのような動き。
会場には総合のファンだけでなく K-1系のファンも多数来場しているせいもあって、自然と青木の消極的ファイトに大ブーイングが巻き起こる。
どれだけブーイングが起きようが、青木は“何かの訴え”かのごとくまったく打撃戦に付き合わない戦い方を変えようとはしない。蹴っては倒れ、蹴っては倒れ(引き込みと言った方がいいのだろうか?)を繰り返す展開は変わらず1Rが終了する。
2R目は総合ルール。青木のグラップリングの実力からして勝負あったか、と観衆の大多数が思ったに違いない。パンチもよく見えている青木からして、私も青木の勝利は固い、と思っていたが……。
ゴングが鳴るやいなや強引に間合いを詰めるかのように、青木はサウスポー構えから下半身へタックルに行こうとする。そこへK-1の試合でもほとんど蹴りすら見せることが少ない長島が、何と右のヒザ蹴りを青木の顔面に合わせていく。
ドンピシャのタイミングで、これが見事にヒット。PRIDE時代にブライアン・ロアニュー(オランダ)の右飛びヒザ蹴りを被弾した青木は見たことがあったが、あれは下がるところへ被弾したもの。いまだかつてタックルに入るところへ打撃を合わされたことがない青木がタックルに、しかも絶妙のタイミングで長島の右ヒザ蹴りをカウンターで完璧に合わされるとは……。まさかの展開に驚かされた。
■長島のヒザ蹴りは“隠し玉”だった!?その技術的特長
何度もフィニッシュシーンを見たが……
ここから吉鷹弘が長島のヒザ蹴り、そして青木がもらってしまった要因を技術分析!
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