注目のWBC世界フライ級チャンピオン統一戦は27日夜、東京・有明コロシアムに観衆1900人(公式発表)を集めて行われたが、正規王者・亀田興毅(亀田)が暫定王者ポンサクレック・ウォンジョンカム(タイ)に判定負けを喫し、無冠に追われた。これが23戦目の初黒星。ポンサクレックは見事な正規王座の奪還だ。
この夜のポンサクレックは絶好調。スタートから攻勢に立ち、同じサウスポーの亀田に対し、左ストレートを主体に多彩なブローを決め続けた。亀田も速いジャブ、左ストレートで対抗するものの、32歳のベテランにうまく外され、ミス・ブローが目立つ。5回に偶然のバッティングで両者右目上をカットしたが、主審は最初に亀田が切ったためポンサクレックに減点1。さらにバッティングでポンサクレックも切ったが、これは「両者」減点せず。この回はポンサクレックのみ減点となった。
その後もポンサクレックが老獪な試合運びで終始優勢に試合を進めた。亀田も出血に顔を赤く染めながら、タイの王者の強打によく耐え、応戦した。しかし、ポンサクレックに終始圧力をかけられ、最後までペースを奪えず。12回終了ゴングが鳴ると、両者それぞれ勝利を信じて手を上げた。勝負は明白と見えたが、オフィシャルの採点は意外にも割れ、キーン(英国)115−112、デルカ(米)116−112でポンサクレックの勝ち、残るアレクシス(モンテネグロ)は114−114のドローとしたため、2−0判定でポンサクレックの勝ちとなった。
試合後の勝者ポンサクレックは「思うように試合ができた」と、予言通りの結果に会心の表情。一方亀田陣営は敗北を受け容れず、5回にレフェリーが2点減点したと誤解したことに怒り、敗者興毅の会見はなし。代わりにライセンス停止中の父・亀田史郎氏が控え室で怒りを爆発させ、記者会見でも「このままでは引き下がれない、WBCに再戦を要求する」と息巻いた。またJCB安河内事務局長を「絶対にクビにする」と不穏当な発言も。せっかくの好ファイトが、試合後のゴタゴタにより後味の悪い印象を与えたのは残念。
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